とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part02

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匿名ユーザー

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私は泣いた。

涙を集めるとバイカル湖がいっぱいになるんじゃないか、というぐらい泣いた。
涙はしょっぱいからこの場合はカスピ海になるのか。
黒子が心配してくれるのを他所に、泣きに泣き濡れ泣き喚いた。

そのままいつのまにか私は眠り、朝目覚めると涙はとまっていた。
右手に違和感を感じ、そちらを見やると、
ベッドの傍にぺたんと座り込み、私の右手を握ってくれている黒子の姿があった。
握った右手の暖かさが、胸に渦巻いていたヘドロを溶かしていくような気がした。

思わず右手に力を込める。
それに反応した黒子が目を覚ました。
しかし、昨晩の取り乱し様を察してか、声をかけていいのかどうか不安げな表情を浮かべている。

「お姉様?お身体は大丈夫ですの?」
などという、らしくもない調子で声をかけてくる。
優しく心配されるのもありがたいが、今は何よりも普段通りに接して欲しい。

「おはよ、黒子。心配かけてごめんね」
私がそういって莞爾笑うと、黒子も応えてくれる。
その笑顔には一点の曇りも無く、黒子の心配が杞憂に終わったことが見て取れた。
優劣をつける訳ではないが、アイツ無き今となっては、黒子は最も大切な存在と言っても過言ではない。
そして、その大切で愛すべき変態にこれ以上心配をかけたくない。

なんとなくいいムードの中、右手がもにゅりもにゅりと揉み拉かれていることに気がついた。
どうやら黒子の中の変態がもにゅりもにゅりと頭を擡げはじめたようだ。
「それより黒子、あんた私の右手いつまで触ってんの?」
「ああ!この古伊万里焼きのようにすべすべとしたお肌!
アールデコ様式を思わせる切り揃えられた爪!
そして美しく真っ直ぐに伸びる指はお姉様の気高き意思そのもの!
さあお姉様!この指で黒子を!黒子を貫いてくださいまああああああああああああああああああ!」

電撃を浴びせて変態をだまらせる。
腐っても鯛とはこのことである。
腐ってる変態とはこのことである。
少しでも見直した自分がバカだった。

でも。
まだまだ傷は癒えないけれど、おかげで日常に戻ることができそうだ。
ありがとう、黒子。



学校が終わり、いつもの4人でいつものファミレスに集合してお茶を嗜む。
今日は黒子も初春さんも非番で休みなのだ。
まだ放課後すぐということもあり、閑散とした店内にはおやつ時独特のまったりとした空気が漂っている。
そんな空気を切り裂くように、開口一番、私は告げた。

「アイツとは別れました!」

事情の知らない2人は、はじめポカンと大きく口を開けていた。
そして、唖然→驚愕へと表情がオーロラの様にグラデーション化していき、たどりついた先には
「「えええーーーーーーーー!!!!!?????」」
絶叫が待っていた。

ブブゼラの大合唱を思わせる大声に、思わず顔をしかめながら耳を塞ぐ。
日本史の教科書にさながら4大公害病よろしく、「学園都市騒音問題」が加わる日もそう遠く無いかもしれない。
「2人とも!しーっ!」
とにかく、2人に落ち着いて座るよう促す。
この2人の耳年増っぷりというか、噂好きは相当なものである。
一応は心配してくれているようだが、好奇心が心配を上回ったらしい。
私に向けられた視線は、東海林のり子の如きであった。

「だってですよ!?この前まで花○牧場の生キャラメルみたいな激甘オーラを発してたじゃないですか!?」
「そうですよ!あの見てるだけで胸焼けしてゲロ吐きそうなラブラブっぷりはどうしたんですか!?」
2人からの予想外に辛辣な言葉に、少したじろいだものの、そこは大人の余裕で乗り切る。
「まぁ、いろいろあってね……」
そして事の顛末を2人に告げたのである。



「そんな男、別れて大正解ですよ!」
「そうですよ!御坂さんにはもっと相応しい男がいるはずです!」
「それ以前に御坂さんに手を出そうと考える時点でありえません!」
「身の程をわきまえろって感じですよねー」

最近の中学生って、怖い。
我ながらそう思うのであった。

最初は自分の不満に同調してくれていた佐天さん達を、ありがたく思っていた。
「その男は間違っている」
「御坂さんがかわいそう」
その言葉を聞いていると
「アイツがアルバイトばっかりするのが悪い」
という、自分の主張が認められ、救われた気分になるのだ。
まるで裁判で弁護人が完璧な弁護をしたように。
満身創痍の軍隊に、背後から大量の援軍が来たように。

しかし、ある2つの感情が私の心を塗りつぶしていく。

まず、怒りである。
もう別れたとはいえ、あれだけ愛した男である。
直接あった事もないくせに、なぜこれほど口汚く罵ることができるのか。
喧々囂々持論を述べる2人を達観しながら思う。
まぁそうさせてしまったのは私なのだが。

そして罪悪感である。
これがもし、アイツの浮気等自分に100%落ち度の無い場合なら、罪悪感など生まれなかっただろう。

私がもっと我慢をすればよかったのではないか。
私がなにか協力をすればよかったのではないか。
私があの時素直になればよかったのではないか。
私は別れを告げなくてもよかったのではないか。

またしても被害妄想がぐるぐると頭の中を駆け巡り、目から涙がこぼれそうになる。
駄目だ。
この子達、特に黒子の前で泣く訳にいかない。
これ以上心配をかけさせてはいけない。

「ごめん、ちょっとトイレ」
私は顔を背けながらそう告げ、トイレへと緊急避難した。








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