とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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if 指輪 物語




『我々主要協力機関27社は、学園都市との協力関係を一方的に解除するものとする。これは我々の国を防衛するために必要な措置である』

ハワイ諸島においてのグレムリンとの一応の決着がつき、ホテルのラウンジに置かれた大型テレビから聞こえてきたものだった。
何を言われたのか即座に理解できなかった。
言葉が浸透していくにつれ、その内容を理解した上条は頭の中が真っ白になった。
誰かを助けるための行為が別の側面を見せた瞬間だった。
今回もこれまでと同じく、上条当麻が上条当麻らしく行動したにすぎなかったというのに。

そこで彼は思い出す。
彼をグレムリンの計画を止めようと誘った人物、レイヴィニア=バードウェイを。
ラウンジを出て、辺りを見渡すもその姿が認められず、相手が出るかも確証がないまま電話をかける上条。
意外にも相手は数回のコールの後に出た。

「質問に答えろ、バードウェイ! お前も、お前も…」
「お前もグレムリンだったのか!?」
『想像にお任せするよ』

そう言い残して相手は電話を切った。
上条の異変に気づき、美琴は彼の後を追った。
そこで美琴の目に映ったのは、彼にはあまりにも似合わない、魂の抜けたような表情を浮かべてる上条だった。

「…御坂、俺は学園都市には帰らない」
「俺はこの失敗を取り戻す」
「失敗なんかじゃない!」
「アンタがハワイ諸島の人達を救った事実までは否定させない!」
「ハワイの人達は自分達が助かったせいで他の誰かが傷ついてるって思ってる!そんな重荷は選ぶ権利のあった俺だけが背負っていればいいんだ!」

(あぁ、またコイツは自分で全て背負うとする…)

「なら…なら私もその重荷を背負う!」
「なんでだ! お前は関係ないだろ!」
「関係なくない!アンタはいつもそう。そうやって自分一人で抱え込んで…、私がなんのためにここにいると思ってんのよ!」
「…」
「少しは人に背中を預けなさいよ!それとも私ってそんなに頼りない…?」

私の声、少しは届いたのだろうか?



「…んねぇ」
「えっ?」
「全然分かんねぇよ!」
「あのとき…、第22学区のときもそうだ!」
「お前にとって妹達の件はそんなに借りが大きいことだったのか!?」
「違う!そんなのじゃない! 私は、私は…」

美琴は一瞬この先を言うことを躊躇った。
上条に拒否されてしまうかもしれないという可能性も否めなかったからだ。
しかしギュッと握りしめた手の中に"ある物"があることを思い出した彼女は、たとえどんな結果になろうとアイツを救うことを心につよく決めた。

「私は、御坂美琴は上条当麻のことが大好きなの!!」
「…!」
「自分だけの現実が壊れてしまうほど好き…なの」
「ロシアでアンタを救えなかったとき、死ぬほど怖かったし、後悔もした」
「アンタを失うことがあんなにこわいもんだって知らなかった」
「もうあんな思いは二度としたくない!だから今度は私がアンタを助ける!」
「ありがとな、御坂…」
「でもだからこそなんだよ…」

(まだ言うかこいつは…)

「そこまで言ってくれるお前だからこそ巻き込みたくn「これが何か分かる?」」

そう言って美琴は手の中の指輪を取りだした。

「えっ…?指輪…か? 」
「そ。だけどこれはただの指輪じゃない」
「特別な意味が込められたペアリングなの。見える?ここに模様が描かれているでしょう」
「ああ…」
「この二つの指輪をつなげると…」
「! 模様が奇麗につながった…」
「電気分解を利用することで唯一無二の模様を刻めるのよ」
「そのことから、う…浮気防止のおまじないって言われてるの」
「これが私の全てよ」

(ああー 遂に全部言っちゃったー//// 恥ずかし過ぎてアイツの顔が見れない…)

「…」
「…」

(なんで無言なのよ。なんか言ってよ…)

永遠とも思える時間だったが、それは唐突に終わった。
体がなにか大きて暖かいものに包まれたのだ。

「!? ア…アンタ何してんのよ!////」
「わりい、なんとなくこうしたかったんだ」
「しばらくこのままでいさせてくれないか」
「あ…うん、別にいいよ////」

しばらくそうしていると、上条はぽつりぽつりと語りだした。
これまで何があったか、自分が何を体験したのかを。
美琴は時折相槌を打ちながらそれを受け入れていた。



「ありがとな御坂、人に頼るのがこんなに嬉しいことだったなんて知らなかった」
「でしょ?だからもう一人で抱え込まないで。私で良ければいつでもアンタの力になるから」
「違う…」
「えっ?」
「御坂で良いんじゃない!御坂が良いんだ!」
「ふぇ?////」

(コイツ今なんて?私が良い?……それってまさかここ、告白うーーーー!?)

「だ、だからさっき御坂が好きだって言ってくれたことに対しての返事d「ちゃんと言って!」」
「えーと、んまあ…女の子にあんなこと言わせちゃったもんな」
「…よーし、い、行くぞ」
「う…うん」

あ、アイツの顔真っ赤だ。私も負けず劣らず赤いのは鏡を見なくても分かる。

「俺は御坂美琴が好きだ」
「学園都市第3位の超電磁砲なんて言われてるけど、俺はお前のそれ以外の部分も知っている」
「本当はすごく子供趣味なこと、本当は結構怒りっぽいこと、本当は泣き虫なこと」

(おいこら…それ褒めてないわよね。シリアスな場面で何言ってんのよ!)

「そういう所全部ひっくるめて御坂美琴だし、それが俺の好きな御坂美琴なんだ」

(あ、あああまたコイツはこんなことを言う~ こんなこと言われたら怒るに怒れないじゃん…)

「だから新たに約束するよ」

そう言ってアイツは自分の小指を差し出した。

「上条当麻は御坂美琴と共に御坂美琴とその周りの世界を守る」
「本当に分かってるの?私の世界はアンタを中心に成り立ってるのよ」
「ああ、もちろんだ」
「だからこれからはどんなことがあっても絶対御坂の所まで帰ってくる」
「絶対よ」
「任せとけ、上条さんが嘘をついたことがありますか」
「…」

無言で睨んでやった。

「スミマセンありましたね何度かありましたね」
「ふふっ、冗談よ。じゃあ信用するからね…」

そう言って私は自分の小指をアイツのそれに絡ませた。

「これからよろしくな、美琴」

アイツは私から指輪を受け取ると、私の薬指にはめてくれた。

「こちらこそよろしくね、当麻」

私もアイツの薬指にもう片方の指輪をはめた。
そう言い合って二人はキスを交わした。

「ねえ当麻」
「どうした?」
「浮気は駄目だからね」
「しねーよ!こんな可愛い恋人がいるのにするわけねーだろ」
「そもそも上条さんを好きになってくれる人なんて美琴さんぐらいしかいないだろ」

さすが一級フラグ建築士並びに一級フラグブレーカーの言うことは違う。それに可愛いって~

「バカ…」
「なんか言ったかー」
「別にー」
「?まあいいか」
「さーてそれじゃ行くとしますか」
「また誰かが傷つかなきゃいけないなんてそんなふざけた幻想、ぶち殺しに行こうぜ」

私に手を差し出したアイツの顔にもう先程のような絶望の表情はなかった。
そこにいたのは大切な人を守るという強い意志を持ったヒーローだった。
この先何が待ち受けてるのかなんて分からない。
でもこれだけは確かだ。
アイツと一緒ならどんなことも乗り越えていけそうだということは。

(終わり)








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