第四章 この物語にヒロインは居ない
「見つけた」
帰宅途中の上条を襲ったのはロボットの様に大きい『駆動鎧』だった。
手腕部分にはシェルブレイダーという金属を切断する為の熱伝導装置が取り付けられていて、コンクリートは貫通していた。
手腕部分にはシェルブレイダーという金属を切断する為の熱伝導装置が取り付けられていて、コンクリートは貫通していた。
「テメェが上条当麻か」
「……誰だ!」
「あたしはテレスティーナ=木原=ライフライン。ったくよぉ、折角御坂美琴とお前を相打ちにさせようと思ったのによ。
レイヴィニア=バードウェイとかいうガキのせいで超電磁砲とテメェはあの鉄橋で目出たく再会……。
アレが魔術って奴か?なかなか意味不明だったわ。ま、あたしとしては超電磁砲を殺せばいいわけだけど今どこに居る?」
「……誰だ!」
「あたしはテレスティーナ=木原=ライフライン。ったくよぉ、折角御坂美琴とお前を相打ちにさせようと思ったのによ。
レイヴィニア=バードウェイとかいうガキのせいで超電磁砲とテメェはあの鉄橋で目出たく再会……。
アレが魔術って奴か?なかなか意味不明だったわ。ま、あたしとしては超電磁砲を殺せばいいわけだけど今どこに居る?」
音声拡大装置で辺りにテレスティーナの声が響いた。
喋らないと殺すっていうのはお決まりのパターンか。
上条はギリッと音をたてて、歯ぎしりして。そして上条は駆動鎧の頭部部分を目上げて言った。
喋らないと殺すっていうのはお決まりのパターンか。
上条はギリッと音をたてて、歯ぎしりして。そして上条は駆動鎧の頭部部分を目上げて言った。
「言うわけないだろ!」
「そうか、死ね」
「そうか、死ね」
一瞬だった。ガトリングガンが駆動鎧の腹部から飛び出して上条目掛けて数百の特殊銃弾が発射される。
特殊銃弾は上条に届く前に空中に浮遊し、そして駆動鎧へ戻っていく。
火花を散らし、駆動鎧はホバーで少し浮いた状態で後退する。
特殊銃弾は上条に届く前に空中に浮遊し、そして駆動鎧へ戻っていく。
火花を散らし、駆動鎧はホバーで少し浮いた状態で後退する。
「な、なんで来たんだ!?」
「うっさいわねぇ、私は超能力者よ?超電磁砲、舐めんじゃないわよ」
「うっさいわねぇ、私は超能力者よ?超電磁砲、舐めんじゃないわよ」
御坂美琴。先ほどの銃弾は磁力によって操作していた。
熱伝導装置と移動によって起こる振動によって崩壊した建物の破片を踏みつけて御坂はコインをポケットから取り出す。
そして、指先で弾いて――親指で彼女の代名詞。『レールガン』を撃ち込んだ。
音速の三倍で移動するコインはいとも簡単に駆動鎧の右手部分を吹き飛ばした。
熱伝導装置と移動によって起こる振動によって崩壊した建物の破片を踏みつけて御坂はコインをポケットから取り出す。
そして、指先で弾いて――親指で彼女の代名詞。『レールガン』を撃ち込んだ。
音速の三倍で移動するコインはいとも簡単に駆動鎧の右手部分を吹き飛ばした。
「会いたかったわよ、超電磁砲ッ!」
「……この一ヶ月は返してもらうわよ。当麻と過ごしたハズの一ヶ月をね!!」
「……この一ヶ月は返してもらうわよ。当麻と過ごしたハズの一ヶ月をね!!」
砂鉄が空中に浮いた。
「砂鉄の弾ってかァ!?そんなモンこの駆動鎧に通じると思ってんのか!?」
「アンタはねぇ、私を舐めすぎ」
「アンタはねぇ、私を舐めすぎ」
砂鉄の弾は帯電し、そしてコインを飛ばす要領で数十の砂鉄の弾を駆動鎧のボディへぶつけた。
コインを飛ばした程の威力はないが、穴を開けるくらいのことなら出来る。
それを数十と繰り返せば駆動鎧のボディは機能しなくなるはずだ。
ガガガガガガガガ!!!と轟音が鳴り響くと無数の砂鉄の弾とその余波でボディを削り取っていく。
コインを飛ばした程の威力はないが、穴を開けるくらいのことなら出来る。
それを数十と繰り返せば駆動鎧のボディは機能しなくなるはずだ。
ガガガガガガガガ!!!と轟音が鳴り響くと無数の砂鉄の弾とその余波でボディを削り取っていく。
「あめぇぞ!」
テレスティーナはそう叫ぶと上条へ再びガトリングガンを向けた。
「しまった!間に合わない!」
御坂は磁力を最大にし、銃弾を止めようとするも。遅かった。
上条は立ち上がるが、テレスティーナのガトリングガンから逃げれるハズも無かった。
しかし、銃弾は全て溶かされ、そして駆動鎧は吹き飛んだ。胴体部分は何かによって貫通し、そして中の電源部分が露出していた。
その隙を逃さず、何かは左手、右足と次々大きい風穴を開けていく。
上条は立ち上がるが、テレスティーナのガトリングガンから逃げれるハズも無かった。
しかし、銃弾は全て溶かされ、そして駆動鎧は吹き飛んだ。胴体部分は何かによって貫通し、そして中の電源部分が露出していた。
その隙を逃さず、何かは左手、右足と次々大きい風穴を開けていく。
「……上条当麻ァ。期待はずれって言いたいんけど」
「麦野……何してるんですか。手加減なんてらしくないマネを」
「麦野……何してるんですか。手加減なんてらしくないマネを」
麦野沈利。第四位のレベル5で過去に御坂と戦ったことがある。
原子崩しという電子を波形や粒子に変えずに放出する能力で、破壊性の麦野は毎回レールガン並の威力を誇っている。
まさに『矛』と言わざるを得ない存在。
原子崩しという電子を波形や粒子に変えずに放出する能力で、破壊性の麦野は毎回レールガン並の威力を誇っている。
まさに『矛』と言わざるを得ない存在。
「だ、第四位ィィィッッ!!!!」
「うるさい、黙ってろオバサン」
「……皆殺しだ、死ねやァァァ!!!」
「うるさい、黙ってろオバサン」
「……皆殺しだ、死ねやァァァ!!!」
テレスティーナは頭部からロケットの様に発射され、駆動鎧はグニャンと胴体部分を歪めてから辺りを吹き飛ばした。
核兵器に近い。実際は原子核など使っていないが、それぐらいの威力があるという事だ。
学園都市は海に面していないのに加え、夏にはヒートアイランド現象になりやすいので全ての建物に耐熱性の鉄が埋め込まれている。
しかし、それさえも熱で溶かし、辺り数百メートルを吹き飛ばした。
核兵器に近い。実際は原子核など使っていないが、それぐらいの威力があるという事だ。
学園都市は海に面していないのに加え、夏にはヒートアイランド現象になりやすいので全ての建物に耐熱性の鉄が埋め込まれている。
しかし、それさえも熱で溶かし、辺り数百メートルを吹き飛ばした。
「……つっ……」
ゴォォォ、と廃墟と化した辺り一帯はうなり風が鳴り響いていた。
上条当麻はビルの瓦礫の間からうめき声をあげた。
しかし、あれだけの爆発があって何故上条は少しの怪我しかしていないのか。
砂鉄。上条の体には砂鉄が付着しており、砂鉄が守って入れたらしい。
上条当麻はビルの瓦礫の間からうめき声をあげた。
しかし、あれだけの爆発があって何故上条は少しの怪我しかしていないのか。
砂鉄。上条の体には砂鉄が付着しており、砂鉄が守って入れたらしい。
「……御坂!?」
足の感覚が薄い。
おまけにあんまり食べていないのが祟ったのかフラフラになっていた。
腕だけ飛び出している常盤台の制服がチラリと見えた。遠くの方で悲鳴や泣き声が聴こえてくるが上条の耳には入ってこない。
数十キロの瓦礫を必死に持ち上げ、御坂美琴を引き上げる。
おまけにあんまり食べていないのが祟ったのかフラフラになっていた。
腕だけ飛び出している常盤台の制服がチラリと見えた。遠くの方で悲鳴や泣き声が聴こえてくるが上条の耳には入ってこない。
数十キロの瓦礫を必死に持ち上げ、御坂美琴を引き上げる。
「……ッ!」
血塗れというか、彼女の左手がグチャリと潰れていた。
意識は無く、瀕死の状態と言えた。
上条を守るために砂鉄を使い、そして……。
意識は無く、瀕死の状態と言えた。
上条を守るために砂鉄を使い、そして……。
「ざまぁねぇな!超電磁砲!」
「テレスティーナ=木原=ライフライン……!」
「痛いか?痛いだろうね。心とやらもなァ」
「……黙れ」
「は?なんだって?」
「黙れっつってんだよ!クソ三下が!」
「テレスティーナ=木原=ライフライン……!」
「痛いか?痛いだろうね。心とやらもなァ」
「……黙れ」
「は?なんだって?」
「黙れっつってんだよ!クソ三下が!」
上条は御坂を抱えて病院へ連れて行こうとした、が。
人一人分の重さを抱える足なんてのはもう無い。
絶望に頭が支配された時だった。笑い声が空から聞こえてきた。
人一人分の重さを抱える足なんてのはもう無い。
絶望に頭が支配された時だった。笑い声が空から聞こえてきた。
「上条ちゃん?そんな程度か?そこの三下女に女も自分も街もやられてんのに。虚勢を張る事しか出来ないのか?」
「……ト、トールっ」
「おい、誰が三下だ」
「……ト、トールっ」
「おい、誰が三下だ」
テレスティーナが言った瞬間、彼女の腕はスパッと斬れて腕は血と共に空中を舞った。
靴の音を立てて着地したトールは言った。
靴の音を立てて着地したトールは言った。
「いや、お前は三下だよ。ミコっちゃんを殺すために上条当麻と相打ちさせるなんて。そんなつまんねぇ勝負しか出来ないお前は三下根性しかないなぁ」
「ああああぁぁぁああああっ!!!て、テメェに何がわかるんだ糞ガキ!!」
「俺のライバルはこんなに偉大な精神を持ってるのによぉ」
「ああああぁぁぁああああっ!!!て、テメェに何がわかるんだ糞ガキ!!」
「俺のライバルはこんなに偉大な精神を持ってるのによぉ」
上条当麻の事を言った。トールにとって上条当麻は数少ない『同じ戦い』を繰り広げられるライバルだ。
そして、その上条の彼女としている御坂美琴。
同じ電撃系の力を持って、そして共闘したことがある友人未満の関係。
助けない理由にはならない。
そして、その上条の彼女としている御坂美琴。
同じ電撃系の力を持って、そして共闘したことがある友人未満の関係。
助けない理由にはならない。
「トール……」
「病院に連れて行け。ミコっちゃんを助けろよ?上条ちゃん」
「ああ、ッ……」
「病院に連れて行け。ミコっちゃんを助けろよ?上条ちゃん」
「ああ、ッ……」
足を引きずりながらそれ程近くない病院へ向かっていく。
「ふぅ、痛いなぁ」
「窒素装甲も殆ど意味を為しませんでしたよ」
「窒素装甲も殆ど意味を為しませんでしたよ」
少し出血している程度の怪我しか負っていない二人は右腕が無いテレスティーナを睨みつけた。
「爆発受けてないのか」
「大気圏近くまで飛んだら、あの程度の爆発くらい凌げるだろ」
「ああそう。で?お前は誰?」
「雷神トール。……あの三下はどうする」
「……殺すか。生きてる価値ないからね」
「同感です。ったく映画館が潰れえてたらどうしましょう」
「大気圏近くまで飛んだら、あの程度の爆発くらい凌げるだろ」
「ああそう。で?お前は誰?」
「雷神トール。……あの三下はどうする」
「……殺すか。生きてる価値ないからね」
「同感です。ったく映画館が潰れえてたらどうしましょう」
「クソ……御坂。まだ死ぬなよ……」
夕日が沈みかけていた。
夕焼けの日が学園都市のビルを照らして眩しかった。
コヒューとシュノーケルで呼吸した時の音のように細く、小さく、こもっていた。
ソレでも諦める訳にはいかない。例え、自分の足の感覚が無くなっていき、徐々に眠たくなって来ていたとしても。
夕焼けの日が学園都市のビルを照らして眩しかった。
コヒューとシュノーケルで呼吸した時の音のように細く、小さく、こもっていた。
ソレでも諦める訳にはいかない。例え、自分の足の感覚が無くなっていき、徐々に眠たくなって来ていたとしても。
「そこの方!どうしましたの?」
白井黒子がテレポートでやってくる。
そして上条の姿と抱えている御坂の姿を見て「ひっ」と少し怯えた。
そして上条の姿と抱えている御坂の姿を見て「ひっ」と少し怯えた。
「お姉様?ど、どういう事ですの、爆心地と寮は離れているハズですが……」
「来ちまったんだ。俺がテレスティーナ=木原=ライフラインが襲われてるって……」
「首謀者はテレスティーナ=木原=ライフラインでしたの!?あの女……。とにかくわたくしがお姉様を病院まで運びますの!あなたは警備員の救助隊を待っていてくださいまし!」
「来ちまったんだ。俺がテレスティーナ=木原=ライフラインが襲われてるって……」
「首謀者はテレスティーナ=木原=ライフラインでしたの!?あの女……。とにかくわたくしがお姉様を病院まで運びますの!あなたは警備員の救助隊を待っていてくださいまし!」
空気を裂く音がして、白井と御坂は消えた。
「……美琴」
いとしい彼女の名前を呟いて、彼は意識を手放した。
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