ななっ! それは一種の…
3がつのとある日。
最近のみこにゃんは、様子が変です。
マシュマロを1日1袋食べたり、ゲコ太のぬいぐるみを抱きしめたりするのはいつものことですが…
「はむっ」
「またか…」
そう、上条さんのことを噛むようになったのです。
噛むといっても甘噛みですが、ある日突然噛むようになったのです。
今日も、膝に飛び乗るとすぐに人差し指を噛み始めました。
噛むといっても甘噛みですが、ある日突然噛むようになったのです。
今日も、膝に飛び乗るとすぐに人差し指を噛み始めました。
「(いきなりどうしたんだ?まさか何かの病気か…?)」
痛くはないのですが、理由がとても気になります。
しかし、聞いても答えてくれないのです。
しかし、聞いても答えてくれないのです。
「おい、なんで噛んでるんだ?」
「……、」
「歯がかゆいとか?」
「……、」
「新しい歯が生えたとか?」
「……、」
一向に応える気配はなく、幸せそうにはむはむと噛んでいます。
最初は虫歯かと思いましたが、歯を見ても異常はありませんでした。
最初は虫歯かと思いましたが、歯を見ても異常はありませんでした。
「(赤ちゃん返り、とか?)」
上条さんはそう思いましたが、みこにゃんの赤ちゃん時代なんてわかりません。
2年前の春に、すずにゃんから預かった日にはすでに児童期だったのですから。
2年前の春に、すずにゃんから預かった日にはすでに児童期だったのですから。
「(よし、病院に行って聞いてみるか。悪い病気だったら大変だし)」
上条さんはみこにゃんに(病院と言うと嫌がるので)「買い物に行く」と伝えると、身支度を始めました。
―1時間後―
「次の方、どうぞ」
奥の診療室のドアが開き、看護婦さんが出てきました。
「ほら、行くぞ」
「にゃー…だまされたー…」
上条さんはみこにゃんの首根っこを掴んで診療室へ入りました。
「こんにちは」
「あら、あのときの茶毛のネコですね。今日はどうされましたか?」
「あ、えっと…最近噛みついてくるんですよ、コイツ。だから歯の病気かと思って来たんですけど」
「なるほど…どのように噛むんですか?」
「はむ、みたいな…甘噛みって言うんですかね」
「……くすっ」
すると、いきなりその場にいた女医さんと看護婦さんがくすくすと笑い始めました。
「あの、どうしたんですか?」
「飼い主さんは面白いくらい鈍感なんですね」
「はい?」
「ネコが飼い主に甘噛みをする―――それは、一種の愛情表現なんですよ」
「あ、愛情表現!?」
「そうです。ネコが飼い主を慕っている証拠なんです。だから、病気でもなんでもありませんよ」
「そうだったのか…知りませんでした、すみません」
「これからは、ネコの気持ちも考えてお世話してあげてくださいね」
「わかりました、今日はありがとうございました」
上条さんは膝に乗っていたみこにゃんの頭を撫でてあげました。
―その日の夜―
「みこにゃん、もう寝る時間だからテレビはおしまいだぞ」
「あとちょっとーっ」
「それ昼にも再放送やってるじゃねぇか。2期もあるみたいだし」
「ニャル子さんまだ出てないーっ」
「はぁ…」
上条さんはソファに腰かけると、隣で座っていたみこにゃんを抱き上げました。
ほっぺをつつくと、にゃっと鳴きました。
ほっぺをつつくと、にゃっと鳴きました。
「マシュマロばっか食ってるから柔らかいんだろうな」
「違うもんっ」
上条さんは笑いながら、これからはみこにゃんの気持ちを考えて過ごしていこうと思いました。
―ふぃんー