きっかけ
「どうして、御坂さんは上条さんなんかを好きになってくれたんでせうか?」
「へ?…あ、あんた!?いきなりなんてこと聞いてくれてんのよ!?」
「いやね、俺達、付き合うようになったのはいいけどさ、美琴がどうして俺なんかを好きになったのかとか、聞いてなかったなーなんて思いましてね?」
御坂美琴と上条当麻は最近、紆余曲折の末、やっと結ばれたばかりである。そして今日は二人の初デート。午前中から遊んでいて、今は休憩がてらファミレスで昼食をとっていた。
「な、な、あんた、物には順序ってのがあって、いくらなんでも急過ぎるでしょーが!!」
「えーいいじゃん、教えてくれよー。愛しの美琴たんが俺を好きになったきっかけとか聞いてみたいなー? …ダメ?」
「う…卑怯よ、あんた…はぁ、てかそうゆうあんたはどうなのよ?私の何処を好きになったのよー?」
「俺を助けようとしてくれたとこ」
「へ?」
「他にも、いつも元気で、自信家で、その癖結構泣き虫だったり、子供っぽい物が好きだったり、俺はそうゆう美琴を好きになったんだ。」
「あ、あんたこんなとこでよくそんな恥ずかしいこと!?」
「恥ずかしくなんかねぇよ。俺が美琴を好きにことはそんな恥じることなんかじゃないだろ?」
「な、な… 」
美琴としては上条からの問い詰めから逃げるため、同じ目にあわせてやろうとゆう魂胆だったが上条に対しては無意味、それどころか余計どつぼにはまってしまった。
「ほら、俺は言ったぞ?次は美琴の番だよなぁ?まさか、かのレールガン様がこれ以上逃げるなんてことはないよな?」
「こ、こいつ…」
悪い笑みを浮かべニヤニヤしている上条に、なんでこんなのを好きになったのか一瞬分からなくなった美琴はそのきっかけを思い出すことにした…
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(やっぱりきっかけって言えばあの時よね、絶対能力移行計画…あの時私は、自分で言うのも何だけどかなり無理してて、でもそれだけ頑張っても私は私の無力さを思いしるだけだった。
一方通行にはどうやっても敵わなくて、次は研究所を破壊して回ったけど、潰しても潰しても計画は他の研究所に引き継がれる。私にとって初めてどうしようもない、越えられない壁だった。そして最後の可能性にかけて、私は死のうとした。
そんなときに現れたのがこいつで、私の事を無条件に信じてくれて私と妹を最高の形で救ってくれた。)
それまで、まだ美琴は上条に対し、今のような感情は抱いていなかった。だがあの時、あの鉄橋に上条が現れた時、美琴の意識に確実に変化があった。
(絶望の淵にいた私がありえないと思いつつも心の奥底ではずっと期待していた、それが…)
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「…ヒーロー」
「ヒーロー?」
「そう。苦しいときに必ず現れて救ってくれるヒーローみたいな所、それが私の、あんたの好きなところであり、恋したきっかけ…
…いつもありがとね、当麻。…大好きです」
そう言った美琴は100%の笑顔で…
「な、な、な…」
今度は上条が赤面する事なった。
(ぐ…いつもならここは照れて怒りだすとこじゃないですか!?予想外過ぎてちょっとキュンとしてしまった…)
「あっれぇ?当麻ったら、そんなに顔赤くして、どうしたのー?」
さっきの笑顔はどこへやら美琴は悪い笑みを浮かべ上条の隣に移動し、肘で突つき出した。
「な、なんでもねぇ!ってか痛いわ!」
「ほれほれー!言ってみなさいよ!ホントは美琴さんにキュンとしましたってー」
尚も美琴は上条をからかうのをやめなかった。先ほどのことを根に持っていたのだろう…
「…あーもう!!そうだよ、さっきの美琴にはドキッとしてしまいました!!つーか!あれは卑怯だ!!美琴がかわいい過ぎるのがわりぃ!!」
やけになったのか吐き捨てるように上条は答えた。これに今度は美琴が顔を沸騰させた
「か、かわいいって!!??あんた、いきにゃりそんな、そんな~!?」
「おい!?なんか電気漏れてるぞ!?」
これ以上電気を出させない為に、上条は美琴の頭に右手を置く。…確かに電撃は止まったが…
「にゃ!?あ、あたま!?撫でて!?」
「落ち着け!!電気出てたから止めただけだ!!」
美琴はかえって混乱してしまい、呂律が回らなくなり、1人あたふたしていた。
(あーもう、大人っぽく振る舞ったと思ったら直ぐこんな… かわいいなーチクショウ!やばい、理性が!上条さんの鋼の理性がぁ!!
ぐ、駄目だ抱き締めてぇ…もう我慢ならん!!)
あっさり理性が崩れ去った上条は本能のまま動き、美琴の顎に空いている左手を添えて…
「ッ!!???」
美琴の綺麗なピンクいろの唇に自分の唇を押し付けた。つまりキスをした。口付け、接吻、うん、だって我慢できなかったんだもん。
「ッぷは…あ、あんたぁ、今、にゃ、にゃにを…」
「…初めて、したな。ファーストキスですよ。」
「き、キス…ファーストキス、私も…
ふにゃー」
「おっと!…おやすみ、美琴」
無理もないが美琴はオーバーヒートしてしまい気を失った。キスしたときにある程度予想はしていたためいつでも受け止められるようにしていて正解だった。
仕方ないので、美琴が起きるまで肩を貸してやることにした上条だったが、そこでふと今自分が今何処にいるのかを思い出した、と言うより、思い知った。
ファミレスです。お昼時です。人多いです。席目立つとこです。皆さんガン見です。
「は、はははは、お、お騒がせしましたぁ…」
上条は美琴が起きるまで、生暖かい視線に晒されることになった。
これも上条の不幸な日常であるが、今日だけはいつもの口癖は言わなかったとか。