「「いただきまーすっ!!!」」
「「い、いただきます……」
「「い、いただきます……」
上条家に2人の元気な声と2人の微妙な声が響き渡る。後者は響いてないけど。
テーブルの上に用意された豪華な食事の数々。
この日の為に5年後美琴が数日前から準備を重ね、2人の歓迎のために作ってくれたらしい。
テーブルの上に用意された豪華な食事の数々。
この日の為に5年後美琴が数日前から準備を重ね、2人の歓迎のために作ってくれたらしい。
「おお……美味そうだな」
さっきはぶつぶつ言っていた上条も食欲には勝てず、残りの質問を後回しにして料理に橋を伸ばす。
「…………うわっ!! なんだこれうっま!!」
「ほ、ほんと!! すっごいおいしー!!」
「ほ、ほんと!! すっごいおいしー!!」
その料理は想像を超える味だった。
一口食べるともう止まらない、上条は次々に橋を進めて行く。
一口食べるともう止まらない、上条は次々に橋を進めて行く。
(マジで一流レストランの料理よりも美味いんじゃないか…………まあ一流レストランの料理なんて食べたことないけどさ、5年後の御坂って料理上手過ぎだろ!! ていうか今の御坂も料理上手いのか?)
常盤台中学なら、これくらいの一流料理の勉強もしているかもしれない。
これくらい美味いのなら、5年前に戻っても是非とも作ってほしい。
これくらい美味いのなら、5年前に戻っても是非とも作ってほしい。
(さすがに図々しいか……? でも1回か2回くらいなら……)
ひょっとして作ってくれるかもしれない。
なんて思った上条が右側の美琴に目をやると、彼女は赤い顔して硬直していた。
なんて思った上条が右側の美琴に目をやると、彼女は赤い顔して硬直していた。
「御坂? 手止まってるけどどうし……」
止まるはずがないと思っていた上条の手までが止まった。
彼は、美琴同様に目の前の衝撃の光景を目の当たりにしたのだ。
彼は、美琴同様に目の前の衝撃の光景を目の当たりにしたのだ。
「はい、あーん♪」
「んー……美味い!! こんなに美味しい料理を作れる子が嫁だなんて……上条さんは幸せものですよ」
「もー、それ毎日言ってるじゃない。 いい加減聞き飽きたわよ」
「そう言う割には顔が嬉しそうですけど?」
「…………だって嬉しいんだもん……ほら、私にも食べさせて?」
「わかってますよ、ほらあーんして」
「んー……美味い!! こんなに美味しい料理を作れる子が嫁だなんて……上条さんは幸せものですよ」
「もー、それ毎日言ってるじゃない。 いい加減聞き飽きたわよ」
「そう言う割には顔が嬉しそうですけど?」
「…………だって嬉しいんだもん……ほら、私にも食べさせて?」
「わかってますよ、ほらあーんして」
5年後上条は目の前の一口サイズの料理にフォークを突き刺し、そのまま5年後美琴の口へと運んでやった。
彼女は恥ずかしがる素振りを一切見せず、大好きな夫から食べさせてもらった料理をほうばっている。
この衝撃にツッコまずにいられる上条ではなかった。
彼女は恥ずかしがる素振りを一切見せず、大好きな夫から食べさせてもらった料理をほうばっている。
この衝撃にツッコまずにいられる上条ではなかった。
「な、何してるんでせう?」
「何って見てわかるだろ? 食べさせ合ってんだよ。 カップルなら定番だろ?」
「定番はどうか知らないけどさ……まさかいつもやってんのか?」
「何って見てわかるだろ? 食べさせ合ってんだよ。 カップルなら定番だろ?」
「定番はどうか知らないけどさ……まさかいつもやってんのか?」
と、上条が言ったタイミングで5年後上条の口に料理が運ばれたため、代わりに5年後美琴が答える。
「当たり前でしょー? むしろそっちは食べさせ合いしないの?」
「た、食べさせ……」
「た、食べさせ……」
ムリムリと真っ赤な顔を左右に振る美琴。
そんな美琴を見て『ちょっと可愛いかも』とか思う上条だった。
そんな美琴を見て『ちょっと可愛いかも』とか思う上条だった。
♢ ♢ ♢
「はー、食ったなー……すげー美味かったし上条さんは満足です」
ソファに座り、満腹となった自分の腹をさする上条。
さすがに食べ過ぎた、だが後悔はしていない。
というかここまで腹一杯食べたのはいつ以来だろうか。
最近は以前に増して金欠だったし、食費を抑えていたこともあってろくに食べてなかった気がする。
さすがに食べ過ぎた、だが後悔はしていない。
というかここまで腹一杯食べたのはいつ以来だろうか。
最近は以前に増して金欠だったし、食費を抑えていたこともあってろくに食べてなかった気がする。
(マジで御坂には感謝しねーと…………そういえば御坂は……)
5年後美琴はキッチンで5年後上条と仲良く皿洗いをしているようだが、一緒にここへやってきた方の美琴は何してるんだ、と思い後ろにいる彼女の方を見てみると
「………………」
無言。
ただただ無言で、サイドボードの上に並べられている5年後の自分たちの写真を真剣に眺めていた。
ただただ無言で、サイドボードの上に並べられている5年後の自分たちの写真を真剣に眺めていた。
(…………何を思ってんのかわかんねぇけど話かけないほうがよさそうだな……)
あまりに真剣な表情の美琴を見た上条がそんなことを考えていると、皿洗いを終えた5年後美琴が隣に座ってきた。
「えへへ……料理に満足してもらえて嬉しいわ。 そんなに美味しかった?」
「え? ああ、今まで食べた中で一番美味かったかもな。 御坂って料理上手いんだな」
「うん、そりゃ当麻のために作ったんだから……」
「え?俺のために?」
「え? ああ、今まで食べた中で一番美味かったかもな。 御坂って料理上手いんだな」
「うん、そりゃ当麻のために作ったんだから……」
「え?俺のために?」
高校生上条と5年後美琴のまさかの桃色空間。
それを見た5年後上条は黙っちゃいない。
上条の隣から奪い返すかのように5年後美琴の腕を(優しく)引っぱり、抱き寄せた。
それを見た5年後上条は黙っちゃいない。
上条の隣から奪い返すかのように5年後美琴の腕を(優しく)引っぱり、抱き寄せた。
「わっ……」
「おいおい5年前の俺……美琴を盗ったら許さんからな」
「おいおい5年前の俺……美琴を盗ったら許さんからな」
5年後の自分の目はマジだった。
別に盗る気はねーよ、と言おうとした時、
別に盗る気はねーよ、と言おうとした時、
「がっ!!?」
後頭部に衝撃を受け上条はソファから思い切り転げ落ちた。
一体なんだ、と思ったがその答えは明白だった。
一体なんだ、と思ったがその答えは明白だった。
「アンタねぇ……未来の私にまで手を出すつもりか!!」
「いってぇ!! なんで蹴るんでせう!? だいたい『未来の私にまで』ってなんだよ!! そもそも俺が誰かに手を出したか!?」
「ッ!! ったくこの鈍感は……」
「いってぇ!! なんで蹴るんでせう!? だいたい『未来の私にまで』ってなんだよ!! そもそも俺が誰かに手を出したか!?」
「ッ!! ったくこの鈍感は……」
怒る美琴、まあ当然である。
しかし、現時点では上条が美琴の怒る理由を理解できるわけがなかった。
上条は後頭部をさすりながらソファに座り直した。
しかし、現時点では上条が美琴の怒る理由を理解できるわけがなかった。
上条は後頭部をさすりながらソファに座り直した。
「ま、まあそれはいいとして……それよりいい加減教えてくれよ。 なんで俺達は5年後に来る事になったんだ? それから帰る方法と、帰ると時間もこっちと同じだけ過ぎてるのかってこともだ」
「それはいいって良くないわよ……」
「? 何か言ったか、御坂?」
「な、なんでもない!! そ、それで!? 話の続きは!? 2人も私たちと同じ経験したならわかるんでしょ!?」
「それはいいって良くないわよ……」
「? 何か言ったか、御坂?」
「な、なんでもない!! そ、それで!? 話の続きは!? 2人も私たちと同じ経験したならわかるんでしょ!?」
(いろんな意味で)顔を赤くした美琴は、ごまかすためか少しだけ声を荒げ、ソファに座り込んだ。
当然だが、上条からは結構離れた位置にだ。
当然だが、上条からは結構離れた位置にだ。
「んー……まあな。 よいしょっと」
5年後上条はソファに座り、自分の膝の上に5年後美琴を座らせた。
「…………なんでそこに座らせるんでせう?」
「だって美琴あったかいじゃん。 ほら、こうやってギュッと抱きしめると特に」
「えへへー」
「…………もういいや、うん、もういい」
(う、羨ましい……)
「だって美琴あったかいじゃん。 ほら、こうやってギュッと抱きしめると特に」
「えへへー」
「…………もういいや、うん、もういい」
(う、羨ましい……)
上条はもういろいろと諦め、美琴は自分が抱きしめられている姿を見てまたも顔を紅潮させていたが、5年後の2人は特に気にする様子も見せず上条の質問に答える。
「まずなんで5年後にタイムスリップすることになったか、なんだけどさ。 正直わかんねーだよ」
「え?」
「これから5年前の戻れば俺の言っていることがわかると思うんだけど、戻っても原因が掴めないんだよね。 土御門とか一方通行にも協力してもらって魔術と科学の両面からいろいろ調べはしたんだけど……まあ全くの原因不明ってこった」
「ほんとにいきなり5年後にワープして、こっちで1日過ごして5年前の戻るのもいきなりって感じだったのよね」
「じゃあどうやって戻るのよ。 まさか寝てたら戻ってましたー、とかじゃないでしょうね」
「その通り、寝てたら戻るんだよ」
「…………マジで?」
「「マジで」」
「え?」
「これから5年前の戻れば俺の言っていることがわかると思うんだけど、戻っても原因が掴めないんだよね。 土御門とか一方通行にも協力してもらって魔術と科学の両面からいろいろ調べはしたんだけど……まあ全くの原因不明ってこった」
「ほんとにいきなり5年後にワープして、こっちで1日過ごして5年前の戻るのもいきなりって感じだったのよね」
「じゃあどうやって戻るのよ。 まさか寝てたら戻ってましたー、とかじゃないでしょうね」
「その通り、寝てたら戻るんだよ」
「…………マジで?」
「「マジで」」
なんだか拍子抜けだった。
タイムワープなんてとんでもない出来事、絶対に何かしらの敵がいるものだと思っていたのに、肩すかしもいいとこである。
タイムワープなんてとんでもない出来事、絶対に何かしらの敵がいるものだと思っていたのに、肩すかしもいいとこである。
「ま、俺も5年前の5年後の俺に同じ事言われたんだけどな。 それでも原因がわかるかと思って調べたんだけどもさ」
「5年前の俺に5年後の……?? ややこしいな……わけがわからん」
「5年前の俺に5年後の……?? ややこしいな……わけがわからん」
ははっ、と笑う5年後上条。
上条はもう少し詳しく聞こうかとも思ったが、これ以上説明を受けてもわからなさそうだったので止めておいた。
会話が一段落したところで、今度は美琴が口を開いた。
上条はもう少し詳しく聞こうかとも思ったが、これ以上説明を受けてもわからなさそうだったので止めておいた。
会話が一段落したところで、今度は美琴が口を開いた。
「あの……じゃあさ。 わ、私たちは……いつから付き合い出すの……?」
「ッ!? お、おい御坂何聞いてんだよ!!」
「だ、だって……き、気になるじゃない…………なんでこうなったのか……」
「…………確かに……気にならない、と言えばウソになるな」
「ッ!? お、おい御坂何聞いてんだよ!!」
「だ、だって……き、気になるじゃない…………なんでこうなったのか……」
「…………確かに……気にならない、と言えばウソになるな」
どのような経緯で美琴と付き合い、結婚にまで至ったのか、ということは非常に気になる。
だが、5年後美琴から返ってきた返答は
だが、5年後美琴から返ってきた返答は
「残念ながらそれは答えられないわねー」
「え……な、なんで……?」
「だって言っちゃうと面白みがないじゃない、でしょ? どうなるかは自分で確かめなさいってことよ」
「………でも……すっごい気になるっていうか……」
「え……な、なんで……?」
「だって言っちゃうと面白みがないじゃない、でしょ? どうなるかは自分で確かめなさいってことよ」
「………でも……すっごい気になるっていうか……」
ごねる美琴に5年後美琴は、上条に聞こえないよう耳打ちをする。
「でもじゃないわよ。 それにここで教えると未来が変わっちゃうかもよ?」
「!! わ、わかった! もう聞かない!!」
「え? 御坂? 聞かないのか?」
「え、ほ、ほら、5年後の私が言うように自分で確かめた方がいいかな、と思って……」
「なんだよ……結局聞かないなら何もわからずじまいか…………あー、すっげー気になってきた……」
「諦めろ、5年前の俺。 まあ戻ってからの楽しみができたと思えばいいだろ?」
「いやそう言われてもなぁ……」
「!! わ、わかった! もう聞かない!!」
「え? 御坂? 聞かないのか?」
「え、ほ、ほら、5年後の私が言うように自分で確かめた方がいいかな、と思って……」
「なんだよ……結局聞かないなら何もわからずじまいか…………あー、すっげー気になってきた……」
「諦めろ、5年前の俺。 まあ戻ってからの楽しみができたと思えばいいだろ?」
「いやそう言われてもなぁ……」
上条は隣の美琴を見る。
彼女の顔はほんのりと赤くなっているように見えた。
彼女の顔はほんのりと赤くなっているように見えた。
(……ほんとに俺は御坂と付き合って結婚するのか? 正直今のままだと想像できないな……それにこの未来を美琴も望んだんだろうか……)
全ては5年後の戻って5年間を過ごせばわかること。
だが、そう言葉で言うように簡単なことではない。
悩む上条の気持ちを察したのかのように、5年後上条が
だが、そう言葉で言うように簡単なことではない。
悩む上条の気持ちを察したのかのように、5年後上条が
「他に聞きたいことは? あんま詳しく教えられないけど他のみんなのことでも話そうか?」
「あ、私それ聞きたい! 『妹達』がどうなるのかとか、友達の事も気になるし。 アンタも気にならない?」
「そうだな……俺も聞きたいかな」
「よし! じゃあまずは『妹達』だけど――」
「あ、私それ聞きたい! 『妹達』がどうなるのかとか、友達の事も気になるし。 アンタも気にならない?」
「そうだな……俺も聞きたいかな」
「よし! じゃあまずは『妹達』だけど――」
♢ ♢ ♢
それから数時間後。
積もる話はあるものの、きりよく話が一段落したため、4人はお風呂へ入ることにした。
積もる話はあるものの、きりよく話が一段落したため、4人はお風呂へ入ることにした。
「準備できたわよー、誰から入る?」
洗面所から戻ってきた5年後美琴は、リビングの3人を見回す。
今日一日いろいろあって疲れてはいるものの上条は
今日一日いろいろあって疲れてはいるものの上条は
「俺は後でいいよ、ここに住んでるわけじゃないのに一番風呂もらうのは悪いからな」
「うん、私も後でいいわ」
「了解。 ま、5年前に私も同じ事言ったから聞かなくてもわかってたけどね」
「…………じゃあ聞かなくてもよかったんじゃないの?」
「うん、私も後でいいわ」
「了解。 ま、5年前に私も同じ事言ったから聞かなくてもわかってたけどね」
「…………じゃあ聞かなくてもよかったんじゃないの?」
美琴の疑問に対し、細かい事は気にしないの、と5年後美琴は笑う。
すると5年後上条が立ち上がり、
すると5年後上条が立ち上がり、
「んじゃ美琴、行こうか」
「うん♪」
「「ちょっと待て」」
「うん♪」
「「ちょっと待て」」
上条と美琴の呼び止められ、5年後の2人は振り返る。
『なぜ止める』といった表情が見られるが、気にせず上条がツッコミを入れる。
『なぜ止める』といった表情が見られるが、気にせず上条がツッコミを入れる。
「いやあのさ、今から風呂入ろうとしてんだよな?」
「そうだぞ?」
「だったらさ、明らかにおかしいわよね?」
「おかしい? 何が?」
「そうだぞ?」
「だったらさ、明らかにおかしいわよね?」
「おかしい? 何が?」
上条と美琴は声を合わせて言い放った。
「「なんで2人で(お)風呂に行こうとしてるんせう(してんのよ)??」」
5年後の2人は一度顔を見合わせた後、
「そんなの決まってるじゃない、一緒にお風呂に入るためよ」
「これも恋人同士なら当たり前だろ? さ、風呂が冷めるといけないから早く行こうぜ」
「これも恋人同士なら当たり前だろ? さ、風呂が冷めるといけないから早く行こうぜ」
5年後上条は5年後美琴の肩を抱き、洗面所へと消えて行った。
残された2人は気まずいったらありゃしない。
残された2人は気まずいったらありゃしない。
(恋人同士だと一緒に風呂入るもんなのか……? そ、それとも俺がスケベなだけなのか? どっちにせよ御坂の顔見れねぇよ…………)
(2人でお風呂…………一緒に入るってことは……全部み、見られ――)
(2人でお風呂…………一緒に入るってことは……全部み、見られ――)
「お、おい御坂! 電気漏れてる漏れてる!!」
「ひゃい!? あ、ご、ごめん……」
「あ、いや……べ、別に気にすんなよ……」
「ひゃい!? あ、ご、ごめん……」
「あ、いや……べ、別に気にすんなよ……」
あはは、と2人して乾いた笑いでこの場の気まずさをごまかす。
まあぶっちゃけごまかせてないけどそうするしかなかった。
そのままの体勢でいること約10分、もうそろそろこの雰囲気は限界なんじゃ、というところへ洗面所の方から5年後美琴の声が聞こえてきた。
まあぶっちゃけごまかせてないけどそうするしかなかった。
そのままの体勢でいること約10分、もうそろそろこの雰囲気は限界なんじゃ、というところへ洗面所の方から5年後美琴の声が聞こえてきた。
「ちょろっとー、5年前の私ー!」
「え、な、何?」
「……悪いんだけどさー、ちょっとこっち来てー!」
「え、な、何?」
「……悪いんだけどさー、ちょっとこっち来てー!」
何があったのか知らないが、とりあえずは助かった。
やっとこの微妙な空気が漂う状況から脱出できると安堵した美琴がそそくさと洗面所に向かうと、お風呂場の扉をほんの少しだけ開け、顔を出している5年後美琴の姿があった。
やっとこの微妙な空気が漂う状況から脱出できると安堵した美琴がそそくさと洗面所に向かうと、お風呂場の扉をほんの少しだけ開け、顔を出している5年後美琴の姿があった。
「いやー2人きりで喜んでるとこ邪魔しちゃってゴメンゴメン」
「な……ッ!! べ、別にアイツと2人きりでいることなんて嬉しくないわよ!!」
「……あのね、アンタは私なんだからそんなウソバレバレだっつーの」
「う……そ、それで? 何の用なわけ?」
「あ、そうそう。 悪いんだけどさ、部屋のタンスから私の下着持ってきてくれない?」
「下着?」
「うん、持ってくるの忘れちゃって……下から2つ目の引き出しに入ってるからお願いね」
「しょうがないわね、わかったわよ」
「な……ッ!! べ、別にアイツと2人きりでいることなんて嬉しくないわよ!!」
「……あのね、アンタは私なんだからそんなウソバレバレだっつーの」
「う……そ、それで? 何の用なわけ?」
「あ、そうそう。 悪いんだけどさ、部屋のタンスから私の下着持ってきてくれない?」
「下着?」
「うん、持ってくるの忘れちゃって……下から2つ目の引き出しに入ってるからお願いね」
「しょうがないわね、わかったわよ」
そして部屋へ戻った美琴は、『なんだったんだ?』と上条に聞かれるも『下着忘れたらしくて』とは言いたくないので適当に流し、5年後の自分に言われた通り、タンスの下から2段目の引き出しを開けてみる。
そこにはキレイに丸めた5年後美琴のが並んでいた。
そこにはキレイに丸めた5年後美琴のが並んでいた。
(これか。 ……サイズが……今の私のより絶対に大きい…………)
悔しい、が、5年後には自分もこれをつけられるくらいに成長しているのか思うと、だいぶ安心できる。
(これをつけられるくらい成長すればアイツだって…………って、変な事考えてる場合じゃないっつーの! 早く持っていかないと――)
美琴の動きが停止した。
一つ手に取った下に見えたもの、それは――
一つ手に取った下に見えたもの、それは――
(な、な、な…………なんなのこれは!!? これ黒子が持ってるやつ……いやそれ以上の……なんで私がこんなもん持ってんの!?)
自分が普段からこれを着ているなんて信じたくない。
中学生の美琴にとって、それほど衝撃が強かった。
中学生の美琴にとって、それほど衝撃が強かった。
「なー御坂……なんか変なもんでもあったか?」
「ッ!!? な、なんでもないからアンタはそこに座っときなさい!!!」
「…………なんでそんな必死なんで――」
「いいから黙る!!!」
「はい…………」
「ッ!!? な、なんでもないからアンタはそこに座っときなさい!!!」
「…………なんでそんな必死なんで――」
「いいから黙る!!!」
「はい…………」
上条にバレてはたまらないので強引に黙らして、大慌てで引き出しを元に戻したかと思うと、下着片手にマッハで洗面所へと駆け込んだ。
「ちょ、ちょっと5年後の私!! 出てきなさい!!!」
『あー持ってきてくれた? ありがと、そこ置いといてー』
「いやだから!! 置いといて、じゃなくて出てきなさいってば!!」
『えー……何よもう……』
『あー持ってきてくれた? ありがと、そこ置いといてー』
「いやだから!! 置いといて、じゃなくて出てきなさいってば!!」
『えー……何よもう……』
浴室独特の籠った感じでの不満そうな声が聞こえたかと思うと、わずかにドアが開き5年後の自分が顔を出した。
大丈夫、ほんの少ししか開いてないし、湯気もあって5年後上条の姿は見えない。
大丈夫、ほんの少ししか開いてないし、湯気もあって5年後上条の姿は見えない。
「で? 何?」
「『何?』じゃないわよ!! 見たわよ……なんなのあの変なのは!!」
「え!?……あ、あれね……」
「『何?』じゃないわよ!! 見たわよ……なんなのあの変なのは!!」
「え!?……あ、あれね……」
『あの変なの』で通じたらしく、5年後美琴はスッと目を逸らした。
『そういえばここで見るんだったっけ』などという小声も聞こえてくる。
これは絶対に何か隠している、確信を掴んだ美琴は追撃の手を緩めない。
『そういえばここで見るんだったっけ』などという小声も聞こえてくる。
これは絶対に何か隠している、確信を掴んだ美琴は追撃の手を緩めない。
「だから『あれね』じゃないから! 説明しなさい説明を!! なんであんなのを持ってるのかを!!!」
「…………べ、別に気にしなくていいわよ? 5年経ったらわかることだから……」
「気にするっつーの!! 言葉を濁すなごまかすな!! ていうか普段からあんなの身につけてるわけ!?」
「何言ってんのよ……あ、あんな恥ずかしいの普段から着てるわけないでしょ?」
「じゃあなんで? …………ま、まさか変な趣味でも?」
「ち、違うから!! その、だからあれは……」
「…………べ、別に気にしなくていいわよ? 5年経ったらわかることだから……」
「気にするっつーの!! 言葉を濁すなごまかすな!! ていうか普段からあんなの身につけてるわけ!?」
「何言ってんのよ……あ、あんな恥ずかしいの普段から着てるわけないでしょ?」
「じゃあなんで? …………ま、まさか変な趣味でも?」
「ち、違うから!! その、だからあれは……」
5年後美琴は一呼吸入れた後、ものすごい小声で
「……よ、夜に、当麻に喜んでもらうために着るのよ……」
「よ、夜に……? それってもしかして――」
「これ以上言わせんな!! さすがに口に出すのは恥ずかしいんだから!! ほら、早く戻って当麻との2人きりの時間を楽しんできなさい!!」
「ちょ……!!」
「よ、夜に……? それってもしかして――」
「これ以上言わせんな!! さすがに口に出すのは恥ずかしいんだから!! ほら、早く戻って当麻との2人きりの時間を楽しんできなさい!!」
「ちょ……!!」
僅かに空いていた浴室へのドアを強引に閉められ、5年後美琴は中へ戻って行ってしまった。
まだまだ言いたい事、聞きたい事はたくさんあったが、浴室の中には5年後上条もいるし開けて入るわけにはいかず話せずじまい。
結果美琴の頭の中では『あの』言葉がぐるぐると渦巻いていた。
まだまだ言いたい事、聞きたい事はたくさんあったが、浴室の中には5年後上条もいるし開けて入るわけにはいかず話せずじまい。
結果美琴の頭の中では『あの』言葉がぐるぐると渦巻いていた。
(よ、夜……夜にあれを着るってことは……5年後の私はアイツとあ、あんなことやこんなことを――)
もう今にも漏電しそうな状態の美琴。
ふらふらとした足取りでリビングへ戻ろうとしたその時、
ふらふらとした足取りでリビングへ戻ろうとしたその時、
『美琴、何話してたんだ?』
『え……うん、ちょっとね。 ま、まあ大したことないし気にしなくていいわよ?』
『なんだよ怪しいなー教えてくれよー、でないとこういうことしちゃうぞー』
『や! ちょっとそんなとこ触らないでよー♪』
『いいじゃんいいじゃん、俺たち夫婦なんだからさー』
『え……うん、ちょっとね。 ま、まあ大したことないし気にしなくていいわよ?』
『なんだよ怪しいなー教えてくれよー、でないとこういうことしちゃうぞー』
『や! ちょっとそんなとこ触らないでよー♪』
『いいじゃんいいじゃん、俺たち夫婦なんだからさー』
これがトドメだ!と言わんばかりに風呂場から聞こえてはいけない系のいちゃいちゃトークが聞こえてきてしまった。
と、そこへ
と、そこへ
「おーい御坂? なんかデカイ声聞こえてきたけどなんかあったのか――――って御坂サン!? また漏電してるんですけど!!?」
もし、上条の右手に『幻想殺し』がなかったら、この部屋が黒こげになっていたことは間違いない――