美琴はお風呂を上がり、制服に着替えている途中、いろいろと思いふけっていた。
いろいろ、と言っても内容は上条オンリーだが。
いろいろ、と言っても内容は上条オンリーだが。
「(この生活……夢みたい…………)」
『夢』
寝ている間に見る物と、将来実現させたい願望の2つの意味を持つ『夢』。
絶対に内緒の話だが、美琴はこの2つの意味で上条との夢を見ていた。
睡眠中の夢では上条とうまくいったり、夢の中でもスルーされたり、種類はいろいろだがとにかく上条がでてくる頻度が多い気がする。
さらに将来の願望という方の意味では、上条と一緒になれたらなー、なんて漏電赤面物の想像(妄想)をしてたりもする。
そんな美琴にとってこの未来は『夢』そのもの。
憧れ以外何ものでもない。
寝ている間に見る物と、将来実現させたい願望の2つの意味を持つ『夢』。
絶対に内緒の話だが、美琴はこの2つの意味で上条との夢を見ていた。
睡眠中の夢では上条とうまくいったり、夢の中でもスルーされたり、種類はいろいろだがとにかく上条がでてくる頻度が多い気がする。
さらに将来の願望という方の意味では、上条と一緒になれたらなー、なんて漏電赤面物の想像(妄想)をしてたりもする。
そんな美琴にとってこの未来は『夢』そのもの。
憧れ以外何ものでもない。
「(5年、かぁ…………5年待てば私もアイツと……け、結婚することになるのかなー……なんて)」
考えるだけで顔が熱くなる。
そして妄想も加速する。
そして妄想も加速する。
「5年……5年か。 付き合えるなら今のうちに準備しとくことないかな……デートの場所とか、お弁当の内容とか……」
「ちょっと私、心の声が漏れてるから」
「ッ!!? 今の聞こえて……? ってかなんでいるのよ!!」
「タオルあったかなー、と思って。 というか駄々漏れってレベルじゃないわよ。 もうちょっと自重しなさい」
「う……」
「ちょっと私、心の声が漏れてるから」
「ッ!!? 今の聞こえて……? ってかなんでいるのよ!!」
「タオルあったかなー、と思って。 というか駄々漏れってレベルじゃないわよ。 もうちょっと自重しなさい」
「う……」
自分に指摘されるというのは奇妙な感覚だ。
「って、冷静に考えたらアンタも私なんだから、5年前に同じ失敗してるのよね」
「いやしてないけど?」
「はぁ!? なんで!?」
「そりゃ会話の内容とか行動とかが丸々同じってことはないわよ」
「で、でもさっきのお風呂の出来事とかは同じだったんじゃ……」
「大まかな流れはね? でも今みたいな細かいところは普通に変わってるわよ。 喫茶店の名前も私が5年後に来た時は別の名前だったしね」
「そ、そんな……」
「いやしてないけど?」
「はぁ!? なんで!?」
「そりゃ会話の内容とか行動とかが丸々同じってことはないわよ」
「で、でもさっきのお風呂の出来事とかは同じだったんじゃ……」
「大まかな流れはね? でも今みたいな細かいところは普通に変わってるわよ。 喫茶店の名前も私が5年後に来た時は別の名前だったしね」
「そ、そんな……」
急転降下。
今の未来が確定していないとわかったのだ。
つい今までは、ただ5年間過ごせば上条とくっつけると思っていただけにショックは大きい。
今の未来が確定していないとわかったのだ。
つい今までは、ただ5年間過ごせば上条とくっつけると思っていただけにショックは大きい。
「ねぇ、いくらなんでも落ち込みすぎじゃない? 大まかな流れは変わってないわけだし」
「だ、だって、100%未来がわからないじゃどうなるかわからないし……」
「…………御坂美琴はそんな弱気な人間だったかしら?」
「え?」
「アンタは今まで未来がわかってなかったわけだけど、そんな弱気だった? 」
「…………」
「御坂美琴って人間はどんな困難にも立ち向かっていったでしょ? だったら今回も1つの困難だと思ってどーんと積極的にいきなさい!」
「…………うん、そうしてみる」
「だ、だって、100%未来がわからないじゃどうなるかわからないし……」
「…………御坂美琴はそんな弱気な人間だったかしら?」
「え?」
「アンタは今まで未来がわかってなかったわけだけど、そんな弱気だった? 」
「…………」
「御坂美琴って人間はどんな困難にも立ち向かっていったでしょ? だったら今回も1つの困難だと思ってどーんと積極的にいきなさい!」
「…………うん、そうしてみる」
自分に元気づけられるというのも不思議な感じだが、実際かなり元気が出た。
弱々しさは消え、1つの決心もついた。
弱々しさは消え、1つの決心もついた。
「(5年前に戻ったら…………もうちょっと、いやもっとアプローチしなきゃ、アイツ鈍いしね)」
♢ ♢ ♢
2人の美琴が部屋に戻ると、2人の上条が雑談をしながら待っていた。
そして5年後上条がこちらに気づいた。
そして5年後上条がこちらに気づいた。
「お、戻ってきたか。 なんか時間かかったな」
「まあいろいろあってねー、ていうかそろそろ時間じゃない?」
「え? ああ、もうそんな時間か」
「まあいろいろあってねー、ていうかそろそろ時間じゃない?」
「え? ああ、もうそんな時間か」
今、時計の針は11時45分を指していた。
5年後の2人の話だと、『寝たら戻る』とのことらしいので、これ以降いつ戻ってもおかしくない。
5年後の2人の話だと、『寝たら戻る』とのことらしいので、これ以降いつ戻ってもおかしくない。
ということは、時間がやってきたらしい。
4人がご飯を食べた机を囲んだところで5年後美琴が5年後上条を促し、5年後上条もうなずく。
4人がご飯を食べた机を囲んだところで5年後美琴が5年後上条を促し、5年後上条もうなずく。
「そうだな、最後に何か聞きたいこととかないか?」
5年後の上条の問いかけに、上条と美琴は沈黙する。
聞きたいことがないからではない、あまりに、まだ聞きたいことが多過ぎるのだ。
その膨大な量の中から、上条は一つを選んだ。
聞きたいことがないからではない、あまりに、まだ聞きたいことが多過ぎるのだ。
その膨大な量の中から、上条は一つを選んだ。
「じゃあ……漠然としたことだけど、俺はこれからどうすればいい?」
「……どうすればいい、ってのは、5年前に戻ってからのことだな?」
「……どうすればいい、ってのは、5年前に戻ってからのことだな?」
5年後上条の口調は全てわかっている、という感じだった。
上条はうなずき、話を続ける。
上条はうなずき、話を続ける。
「ああ。そんで、御坂とのことなんだけど……」
「!!」
「!!」
今までただ聞いていただけの美琴の体がビクッと動く。
まさか自分の名前が出てくると思っていなかった美琴は、横目で上条を見る。
まさか自分の名前が出てくると思っていなかった美琴は、横目で上条を見る。
「戻って御坂と会い続けていると、その、結婚することになるんだろ?」
「そりゃもちろん……多分」
「…………正直に言うぞ、今の俺じゃ御坂と結婚してる姿が想像できない」
「ッッッ!!」
「そりゃもちろん……多分」
「…………正直に言うぞ、今の俺じゃ御坂と結婚してる姿が想像できない」
「ッッッ!!」
美琴の体が先ほど以上に大きく動く。
「(そ、想像できない……? それって、どういうことよ……)」
美琴はジッと上条を見つめるも、彼はそれに気がつかない。
そしてそのまま、上条は抱えていた大きな『悩み』を吐き出した。
そしてそのまま、上条は抱えていた大きな『悩み』を吐き出した。
「もちろん御坂のことが嫌いってわけじゃないだ。でもなんて言うか、俺は今までに女の子を好きになったことはないし、恋愛ってのがよくわからないっていうかさ。それにそんな変な感じで御坂に会っても御坂に失礼だと思うし……」
上条の悩みは真剣そのものだった。
それに美琴のことを気にかけているのも実に上条らしい悩みだった。
誰とも目線を合わせず、気まずそうにする上条だったが、美琴はなんと声をかけていいのかわかならない。
それに美琴のことを気にかけているのも実に上条らしい悩みだった。
誰とも目線を合わせず、気まずそうにする上条だったが、美琴はなんと声をかけていいのかわかならない。
上条と会わなくなるのだけは絶対にイヤだ。
しかし、彼に拒まれたら、自分はどうすればよいのだろうか。
しかし、彼に拒まれたら、自分はどうすればよいのだろうか。
上条の悩みが美琴に伝染しかけたその時、全てを5年後上条が一蹴した。
「それはあれだ、気にすんな!」
「ッ!!? え、いや、気にすんなって言われても……
「あのな、俺はお前なんだ。 その俺が気にすんなって言ってるんだからいいんだよ。何も気にしないで今まで通り過ごして問題ないって」
「ッ!!? え、いや、気にすんなって言われても……
「あのな、俺はお前なんだ。 その俺が気にすんなって言ってるんだからいいんだよ。何も気にしないで今まで通り過ごして問題ないって」
そう言って笑う5年後上条の無駄とも言える自身を前に、美琴は少し気が楽になった。
だが、豪快とも言える性格の5年後とか変わり、少しばかり弱気になっている上条は、まだ納得できていないようだった。
だが、豪快とも言える性格の5年後とか変わり、少しばかり弱気になっている上条は、まだ納得できていないようだった。
「そ、そうなのか? ……でも御坂のこともあるし……」
「あーもう!! 俺ってこんな面倒くさい性格だっけか!?」
「面倒くさい性格よー」
「おい妻、それはひどくないか……ってまあそれはいい。 この際お前ら二人でちゃんと話し合えよ。 俺らははずすからさ」
「え、いや、ちょっと待……」
「あーもう!! 俺ってこんな面倒くさい性格だっけか!?」
「面倒くさい性格よー」
「おい妻、それはひどくないか……ってまあそれはいい。 この際お前ら二人でちゃんと話し合えよ。 俺らははずすからさ」
「え、いや、ちょっと待……」
上条が言い終わる前に、5年後の二人は寝室へと消えて行った。
しっかりと手を繋いで。
残された2人には、当然のように沈黙が訪れる。
しっかりと手を繋いで。
残された2人には、当然のように沈黙が訪れる。
「「…………」」
上条はこちらを見てくれない、やはり相当悩んでいるようだ。
だが、美琴の答えは決まっている。
そして今の美琴にそれは伝える「勇気」がある。
さらに、その『先』を言う勇気もだ。
だが、美琴の答えは決まっている。
そして今の美琴にそれは伝える「勇気」がある。
さらに、その『先』を言う勇気もだ。
「(大丈夫よ、大丈夫。 自分の気持ちを、素直に伝えるだけ……それだけだから)」
美琴は、1つ大きく深呼吸をし、自分の想いを伝え始める。
「…………そ、そそんなのいいに決まってるじゃない。 5年前に戻ったら、会わないってのおかしいわよ」
「え? いやでも、それだとこの未来になる可能性が高いんだぞ?」
「だ、だから……」
「え? いやでも、それだとこの未来になる可能性が高いんだぞ?」
「だ、だから……」
思わず言葉に詰まる。
しかし言わないわけにはいかない。
今言わなければ、『この』未来は訪れないだろう。
美琴はもう一度深く深呼吸をした後、まっすぐ上条の顔を見て、
しかし言わないわけにはいかない。
今言わなければ、『この』未来は訪れないだろう。
美琴はもう一度深く深呼吸をした後、まっすぐ上条の顔を見て、
「私は、アンタと一緒にいたいの。 会わない、なんてのは、嫌」
はっきりとした口調で、そういった。
迷いの一切無い、言葉だった。
上条は一瞬戸惑ったようだったが、美琴の変わらない意志を感じたのか、強張っていた顔が緩んだ。
迷いの一切無い、言葉だった。
上条は一瞬戸惑ったようだったが、美琴の変わらない意志を感じたのか、強張っていた顔が緩んだ。
「……そうか、わかった。 まあホントのこと言うと、俺だって会わないってのは嫌だしな。 どうなるかわからないけど……これからもよろしく頼む」
「ッ! う、うん!!」
「ッ! う、うん!!」
美琴は大きくうなずいた。
また上条と一緒にいることができることが、彼女に安心感を与え、上条同様強張っていた顔を緩ませた。
しかし、まだ終わりではない。
また大チャンスの途中だと、美琴は思っていたのだから、再び顔も心も引き締める。
自らの5年後のために、今ここで積極的に行動しておくべきここを逃すべきではない。
また上条と一緒にいることができることが、彼女に安心感を与え、上条同様強張っていた顔を緩ませた。
しかし、まだ終わりではない。
また大チャンスの途中だと、美琴は思っていたのだから、再び顔も心も引き締める。
自らの5年後のために、今ここで積極的に行動しておくべきここを逃すべきではない。
「よし、んじゃあの2人を呼んでくるか」
上条は立ち上がり、5年後の自分たちがいる寝室へ行こうとしたのだが、
「ちょ、ちょっと待った!! 」
美琴は勇気を振り絞って、震えるような声で上条を呼び止めた。
「ん? なんだ?」
「その……よ、よよければ…………つ、作ってあげよっか?」
「?? 作るって何を? タイムマシンか?」
「バカかアンタは!! そんなもん作れるなら私は今頃博士号とってノーベル賞もらって世界的有名人よ!!」
「じゃあなんだよ、上条さんにもわかるように言ってくれよ」
「だ、だから、……理を……」
「いや聞こえないんですが……」
「だからっ! その! りょ……料理…………」
「料理?」
「その……よ、よよければ…………つ、作ってあげよっか?」
「?? 作るって何を? タイムマシンか?」
「バカかアンタは!! そんなもん作れるなら私は今頃博士号とってノーベル賞もらって世界的有名人よ!!」
「じゃあなんだよ、上条さんにもわかるように言ってくれよ」
「だ、だから、……理を……」
「いや聞こえないんですが……」
「だからっ! その! りょ……料理…………」
「料理?」
上条は余程予想外だったのか目を丸くしていた。
「ちょ、ちょっと、返事くらいしてよね!」
「あ、ごめん。 なんかあっけに取られてたっていうか……でもなんで料理なんだ?」
「なんでって……えーと…………さ、さっき晩ご飯食べてた時、ちらちらこっち見てたでしょ」
「え……気づいてました?」
「さすがにあれだけ見られれば気づくわよ、アンタじゃないんだから」
「それはどういう意味だ?」
「と、ともかく! 食べ終わった後も美味かったとか、また食べたいとか言ってたでしょ? だから
あ、アンタさえよければ、作るけど……どう、かな?」
「あ、ごめん。 なんかあっけに取られてたっていうか……でもなんで料理なんだ?」
「なんでって……えーと…………さ、さっき晩ご飯食べてた時、ちらちらこっち見てたでしょ」
「え……気づいてました?」
「さすがにあれだけ見られれば気づくわよ、アンタじゃないんだから」
「それはどういう意味だ?」
「と、ともかく! 食べ終わった後も美味かったとか、また食べたいとか言ってたでしょ? だから
あ、アンタさえよければ、作るけど……どう、かな?」
言った、言い切った。
告白でもなく、ただ料理の話なのに心音がヤバい。
美琴は顔の紅潮を隠すかのように俯き、上条の返事を待つ。
が、上条からの返答は思いの他、早かった。
告白でもなく、ただ料理の話なのに心音がヤバい。
美琴は顔の紅潮を隠すかのように俯き、上条の返事を待つ。
が、上条からの返答は思いの他、早かった。
「まあ……御坂がいいって言うなら、作ってもらおうかな」
「ほ、ほんとに!?」
「ほ、ほんとに!?」
美琴は顔を上げ、上条を見る。
そこに立っていた上条は少し驚いたような表情をしていた。
そこに立っていた上条は少し驚いたような表情をしていた。
「ああ。 ……なんで御坂が喜んでるんだ? 普通逆じゃね?」
「う、うるさいわね!! そんな細かいこと気にしなくていいのよ!!」
「細かいか?」
「いいから!! そ、そうだ。 私は2人を呼んでくるからちょっと待ってて」
「お、おう、わかった」
「う、うるさいわね!! そんな細かいこと気にしなくていいのよ!!」
「細かいか?」
「いいから!! そ、そうだ。 私は2人を呼んでくるからちょっと待ってて」
「お、おう、わかった」
上条を気迫で強引に押し込み、美琴は足早に寝室へ入った。
もう上条と顔を合わしている事自体が限界だった。
もう上条と顔を合わしている事自体が限界だった。
「(やった……やったやった!! これでちょっとは進展する……はず、よね? 私にお礼言っておかないと)」
美琴はちょっぴり薄暗い寝室に入り、奥のクローゼットと思われる物の前にいる5年後2人の元へ歩み寄る。
「(ん? 何か話してる……?)」
小さいが聞こえる話し声。
L字型の部屋のため、2人の位置からこちらは見えない。
気になった美琴はこっそりと聞き耳をたててみる。
そこで聞こえてきた会話は―――――
L字型の部屋のため、2人の位置からこちらは見えない。
気になった美琴はこっそりと聞き耳をたててみる。
そこで聞こえてきた会話は―――――
「上手く話し合えてるかね、5年前の俺達は」
「大丈夫よ。 なんたって私たちなんだから」
「ははっ、まあそれもそうだな」
「それにしても、今の当麻じゃありえないわね。 私と結婚することが考えられないなんて言うなんて。 今じゃ毎日べったりなのにねー」
「ほんとだよ、美琴と結婚したことで上条さんは超幸せ者ですからねー。 でも、べったりなのはそっちじゃないか?」
「大丈夫よ。 なんたって私たちなんだから」
「ははっ、まあそれもそうだな」
「それにしても、今の当麻じゃありえないわね。 私と結婚することが考えられないなんて言うなんて。 今じゃ毎日べったりなのにねー」
「ほんとだよ、美琴と結婚したことで上条さんは超幸せ者ですからねー。 でも、べったりなのはそっちじゃないか?」
そして、5年後上条は5年後美琴を抱き寄せる。
5年後美琴も待ってました、と言わんばかりに両手を上条の背に回す。
5年後美琴も待ってました、と言わんばかりに両手を上条の背に回す。
「んー? それはどうかなー」
「今もべったりじゃん、この可愛いやつめ! …………まあ、今でも『考えられない』っちゃあ考えられないな」
「それはどういう意味でかしら?」
「そりゃもちろん、美琴なしの生活が『考えられない』って意味で、な」
「えへへ……私もよ?」
「今もべったりじゃん、この可愛いやつめ! …………まあ、今でも『考えられない』っちゃあ考えられないな」
「それはどういう意味でかしら?」
「そりゃもちろん、美琴なしの生活が『考えられない』って意味で、な」
「えへへ……私もよ?」
そして、2人は見つめ合い、距離が縮まる―――――
「――――――――ッ!!??!?!!??!??!?」
声にならない叫びとはこういうことを言うのだろう。
美琴は2人と話すことなく、リビングへ超ダッシュでリターンした。
これには上条も驚いたらしく、
美琴は2人と話すことなく、リビングへ超ダッシュでリターンした。
これには上条も驚いたらしく、
「おお!!? ど、どうした!? 呼びに行っただけで驚くわけないし……変な虫でも見たのか!?」
「ち、違っ、そ、そうじゃなくて…………!!!」
「じゃ、じゃあなんだよ、5年後の俺らが関係しt」
「だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!!!! ア、アンタはしゃべんなっての!!!!!!!!」
「ちょ!! 何度目だよ!! 室内で電撃はマズいだろ!! 落ち着けって!!」
「ち、違っ、そ、そうじゃなくて…………!!!」
「じゃ、じゃあなんだよ、5年後の俺らが関係しt」
「だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!!!! ア、アンタはしゃべんなっての!!!!!!!!」
「ちょ!! 何度目だよ!! 室内で電撃はマズいだろ!! 落ち着けって!!」
美琴の頭に上条の右手が置かれると、放電はピタリと治まった。
「あ、あの!! 手が……頭に……」
「こうでもしないと放電するんだろうが!! で? 何があったんだよ」
「何って……それは……」
「こうでもしないと放電するんだろうが!! で? 何があったんだよ」
「何って……それは……」
自分が見た状況を、まともに話せるわけがなかった。
「(あ、ああ、アイツと、わ、わた、わ、私が…………キs――――――――)」
上条の声が遠くなっていき、美琴は倒れた。
♢ ♢ ♢
どれくらいの時間が経ったのだろうか。
寒いような、暑いような、なんとも言えない奇妙な感覚。
この感じは初めてではない。
つい最近、味わったことがある感覚だ。
寒いような、暑いような、なんとも言えない奇妙な感覚。
この感じは初めてではない。
つい最近、味わったことがある感覚だ。
「う……うーん……」
頭が冴えない。
思考が安定しない。
それでも体内時計が起きろと言っているのだろうか、上条は上半身を半ば強引に起こした。
思考が安定しない。
それでも体内時計が起きろと言っているのだろうか、上条は上半身を半ば強引に起こした。
「………………ここは……俺んちだよな」
右手で目をこすり、それでも視界はまだぼんやりとしているが、室内を見回す。
そしてようやく状況を把握した上条は、大きなあくびをし
そしてようやく状況を把握した上条は、大きなあくびをし
「そうか……戻ってきたのか」
本当に1日の出来事とは思えないくらい、濃い1日だった。
急な5年後へのタイムスリップ、そこで出会った自分の姿。
さらにはまだ20歳だと言うのに、結婚して家庭を持ち、さらに自分で店まで経営しているという超展開。
さらにさらに、その相手と言うのが
急な5年後へのタイムスリップ、そこで出会った自分の姿。
さらにはまだ20歳だと言うのに、結婚して家庭を持ち、さらに自分で店まで経営しているという超展開。
さらにさらに、その相手と言うのが
「まさか御坂だとはなぁ……」
上条は一応夢の可能性も考え、携帯電話に手を伸ばし日付を確認してみたが、確かに1日時間が経っていた。
「やっぱ夢じゃないよな。 さて……どうしたものか…………ん?」
不意に右手に襲った柔らかい感触。
それに妙に膨らんでいる布団。
それに妙に膨らんでいる布団。
「……待てよ、ここベッドだよな。 てことは今のインデックス…………」
上条からサーっと血の気が引いた。
マズい、これはマズい。
どうやら戻って来たのはいいが、いつもの風呂に戻してはくれなかったようだ。
しかも今ので彼女は目を覚ましたらしく、もぞもぞと動き出していた。
これは朝から噛みつきのフルコースですね、わかります。と覚悟を決め、上条は目を閉じた。
マズい、これはマズい。
どうやら戻って来たのはいいが、いつもの風呂に戻してはくれなかったようだ。
しかも今ので彼女は目を覚ましたらしく、もぞもぞと動き出していた。
これは朝から噛みつきのフルコースですね、わかります。と覚悟を決め、上条は目を閉じた。
が、
「何よもう…………朝っぱらからいい度胸してるわね……黒子」
「………………あれ?」
「………………あれ?」
この声はインデックスではない。
服装もいつもの『歩く協会』でなければ、髪色も銀ではなく栗色。
頭まですっぽりとかぶっていた布団から姿を現したのは、もうお分かりだろう。
服装もいつもの『歩く協会』でなければ、髪色も銀ではなく栗色。
頭まですっぽりとかぶっていた布団から姿を現したのは、もうお分かりだろう。
「黒子……覚悟はできて…………あれ?」
「よ、よう…………御坂」
「よ、よう…………御坂」
美琴はきょろきょろと部屋を見回す。
自分が今置かれている状況を的確に把握するため、部屋の隅から隅まで見回しているように上条は思えた。
そして最後にじっと上条を見つめたかと思うと、急激に顔を紅潮させ、
自分が今置かれている状況を的確に把握するため、部屋の隅から隅まで見回しているように上条は思えた。
そして最後にじっと上条を見つめたかと思うと、急激に顔を紅潮させ、
「…………ちょ、ちょ、あ、アンタ……な、何触ってんのよ!!」
「ま、待て待て待て待て待ってくださいお願いします上条さんちの家電が死んじゃうから頼むから待ってくれ!!!!!」
「ちょっ……!」
「ま、待て待て待て待て待ってくださいお願いします上条さんちの家電が死んじゃうから頼むから待ってくれ!!!!!」
「ちょっ……!」
部屋に紫電が走る、前に間一髪上条の右腕が美琴の頭に届いた。
しかしそれは美琴にとってはたまったもんじゃない。
しかしそれは美琴にとってはたまったもんじゃない。
なぜなら現在の状況は「ベッドの上」で「男女が2人」、しかも「至近距離」で「頭に手を」おかれているからだ。
しかし上条だってたまったもんじゃない。
この右手を離したらきっと家電はお亡くなりになってしまうだろう。
この右手を離したらきっと家電はお亡くなりになってしまうだろう。
「御坂、落ち着け。 落ち着いて電撃を止めてくれ。 いやマジで」
「こ、この状況で落ち着けるわけないじゃない!!! そ、そ、それにアンタさっき、さ、さ、触ったでしょ!!」
「ち、違う! あれは不可抗力だ!! まさかお前が隣にいるって知らなかっただけで……」
「こ、この状況で落ち着けるわけないじゃない!!! そ、そ、それにアンタさっき、さ、さ、触ったでしょ!!」
「ち、違う! あれは不可抗力だ!! まさかお前が隣にいるって知らなかっただけで……」
美琴の『胸』を触ってしまったことは事実。
上条は思わず右手に力が入ってしまったのだが、美琴にはそれが心地よ過ぎたらしく、
上条は思わず右手に力が入ってしまったのだが、美琴にはそれが心地よ過ぎたらしく、
「ちょ、ちょっと、手、強い……(いいけど)」
「あ、ごめん……もう大丈夫か?」
「う、うん、多分」
「いや多分じゃ困るんだけど」
「あ、ごめん……もう大丈夫か?」
「う、うん、多分」
「いや多分じゃ困るんだけど」
まあ実際大丈夫だったわけで、2人はベッドから下りてようやく落ち着いた。
……わけがなかった。
インデックスの書き置きと思われる『小萌の家に行ってくるんだよ』、的な置き手紙が置かれていた机を2人で囲んで座るも、
インデックスの書き置きと思われる『小萌の家に行ってくるんだよ』、的な置き手紙が置かれていた机を2人で囲んで座るも、
「(御坂と結婚してたんだよな、しかも夢じゃないんだよな……向こうにいるときはなんともなかったけど、顔見れねぇよ……)」
「(こ、コイツと結婚……結婚!? な、なんか、なんか、あっちでもいろいろあったけども! 最後に『アレ』も見ちゃったし……そのせいで2人にはお礼言い損ねたけど……そ、それはともかくこうして現実に戻ってみると……もう顔見れないわよ……)」
「(こ、コイツと結婚……結婚!? な、なんか、なんか、あっちでもいろいろあったけども! 最後に『アレ』も見ちゃったし……そのせいで2人にはお礼言い損ねたけど……そ、それはともかくこうして現実に戻ってみると……もう顔見れないわよ……)」
と、上条は目線を泳がせ、美琴はやっぱり俯いていた。
美琴はともかく、さすがの上条でも『結婚』しているという未来を突きつけられれば、相手を意識してしまうものだ。
というか、しないほうがおかしい。
美琴はともかく、さすがの上条でも『結婚』しているという未来を突きつけられれば、相手を意識してしまうものだ。
というか、しないほうがおかしい。
「あー……なんだほら、なんか飲むか!? お茶とかコーヒーとかならあるけど……」
「あ、うん…………じゃあコーヒー…………コーヒー……」
「あ、うん…………じゃあコーヒー…………コーヒー……」
2人が『コーヒー』から連想したもの、それは5年後の2人の姿と写真で見た、
「「(*1)」」
再び2人は沈黙する。
なんというか、胸がむずむずするような変な感覚を上条は覚えていた。
なんというか、胸がむずむずするような変な感覚を上条は覚えていた。
「え、えーと、だな…………そうだ!! 今、何時なんだろうな」
会話が思い浮かばな過ぎて、というよりは最早何を言っても未来の自分たちの姿を思い出してしまいそうで、苦し紛れだった。
しかし、
しかし、
「えと……って、何これ!?」
「ど、どうした!?」
「ど、どうした!?」
美琴の急な大声に驚いた上条は、思わず彼女の携帯を覗き込んだ。
するとその画面には、
するとその画面には、
「着信108件って……しかもほぼ白井か」
相当美琴のことを心配していたのだろう。
もちろん黒子以外の名前も多々あり、美琴の人望の凄さが見て取れた。
上条も自分の携帯を見てみたのだが、
もちろん黒子以外の名前も多々あり、美琴の人望の凄さが見て取れた。
上条も自分の携帯を見てみたのだが、
「(…………2件かよ。 しかも土御門と小萌先生とか絶対補習関連だろ。 え、何? 俺って人望ないの?)」
無駄に落ち込む上条だった。
「ちょっと何暗い顔してんの? 大丈夫?」
「ああ……大丈夫だ。 そういや 向こうと同じだけ時間が過ぎてるなら丸1日時間が過ぎてるんだったな」
「そうなのよ、すっかり忘れてたけど。 こうしちゃいられないわね」
「ああ……大丈夫だ。 そういや 向こうと同じだけ時間が過ぎてるなら丸1日時間が過ぎてるんだったな」
「そうなのよ、すっかり忘れてたけど。 こうしちゃいられないわね」
そう言い終わると、美琴は側に落ちていた自分のカバンと靴を拾い上げ、
「ごめん、今日はもう帰るわね! みんなにかなり心配かけちゃってるみたいだし……」
「お、おう、気をつけて帰れよ」
「お、おう、気をつけて帰れよ」
急いで玄関に走る美琴の後を追い、上条も玄関へと進む。
かなり慌てている彼女だったが、靴を履いたところで、
かなり慌てている彼女だったが、靴を履いたところで、
「あ……」
「どうした?」
「どうした?」
それまで慌ただしく動いていた美琴の動きがピタリと止まった。
ドアの方を向いたままピクリとも動かない。
ドアの方を向いたままピクリとも動かない。
「おい、大丈夫か?」
と、声をかけてみるも、彼女は石のように動かない。
一体なんなんだ、と上条が顔を覗き込もうと一歩すすんだ時。
一体なんなんだ、と上条が顔を覗き込もうと一歩すすんだ時。
「あ、あの!!」
美琴が勢いよく振り返った。
そしてそのまま間髪入れずに、こういった。
そしてそのまま間髪入れずに、こういった。
「りょ、料理は、ちゃんと作りに来るから!! また連絡するからちゃんと携帯持っておきなさいよ!!」
「え、おい、御坂……って行っちゃったよ。 てか早いな!!」
「え、おい、御坂……って行っちゃったよ。 てか早いな!!」
言い終わるや否や、美琴は猛ダッシュで上条の部屋を去って行った。
そして残された上条には、ほぼ一日ぶりの静寂が訪れる。
そして残された上条には、ほぼ一日ぶりの静寂が訪れる。
「なんか、静かだな……」
入り口のドアを閉め、完全に1人の状態。
そして上条はこの1日にあったことを改めて思い出していた。
そして上条はこの1日にあったことを改めて思い出していた。
急にタイムスリップして、美琴とベンチで寝ていたこと。
興味津々で5年後の街を2人で見て回ったこと。
ドキドキしながら5年後の自分を尾行したこと。
5年後の自分とその結婚相手である美琴に会ったころ。
2人が想像を絶するぐらいラブラブだったこと。
料理が美味しかったこと。
自分が美琴と2人で喫茶店を経営しているということ。
美琴が漏電しまくったこと。
そして、美琴に一緒にいたいと言われたこと、料理を作ると言ってくれたこと
興味津々で5年後の街を2人で見て回ったこと。
ドキドキしながら5年後の自分を尾行したこと。
5年後の自分とその結婚相手である美琴に会ったころ。
2人が想像を絶するぐらいラブラブだったこと。
料理が美味しかったこと。
自分が美琴と2人で喫茶店を経営しているということ。
美琴が漏電しまくったこと。
そして、美琴に一緒にいたいと言われたこと、料理を作ると言ってくれたこと
大変だったこともあったが、全て楽しかった。
そして全てを振り返り終わった上条は、一言呟く。
そして全てを振り返り終わった上条は、一言呟く。
「こんなの……意識するに決まってるよなぁ……」
上条と美琴の未来。
一度未来を見たものの、まだまだどうなるかはわからない。
それは今から2人の努力によって、作られていく――――――――
一度未来を見たものの、まだまだどうなるかはわからない。
それは今から2人の努力によって、作られていく――――――――
T H E E N D ! !