とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part11

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匿名ユーザー

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被害者・未来


ドМ自販機二世がある公園に一人の少年が入って行った。
余りにも細い線。栗色の瞳に髪。
女性といわれても違和感がない。
アイドル並みの美貌の少年である。
しかし、

「はァァァァァまづらくゥゥゥゥゥゥン!!!
 相変わらずの恰好で、ホモ野郎でも誘ってるンですかァ!!?」

台無しである。

その口調が、ではない。

彼からあふれ出る殺気。
一流の軍人でも冷や汗が出るほどのその殺気が、
彼の美貌を台無しにしていた。


それほどの殺気を受けても、ベンチに座ったその少女は微動だにしない。
ボサボサの黒髪にベージュのジャージ。
あまりにボーイッシュな格好だが、
体つきが女性であると強く主張する。

「……」

少年からの言葉に反応もせず。
少女は無表情であり続けた。

「……」

「……」

「……」

「……」

「……すぴー」

「寝てンのかよ!!!」



「……おはよう、よみかわ」

「昼だっつゥの!! ……三下はどうした?」

「むう、たいしょうも女の子なのに『三下』は酷いよ」

「てめェの『大将』はどうなんだよ?」

「たいしょうはまだ来てないよ」

「そうか……しかし、この前のパーティはいろいろすごかったな」

「たいしょうのお父さんの誕生日パーティ、すごい顔ぶれだった」

「親父(統括理事長)にイギリス王室、イギリス清教最大主教……」

「お父さん(世界トップクラス企業社長)、元米国大統領にローマ教皇……」

「参加者一万強。まァ、過半数は叔母だがな」

「でもあの二人はもっとすごかった」

「主役か……もう40すぎだろォ??」

「うん、でもあのイチャイチャっぷり」

「人前で手をつないだままなのは当然」

「抱き合うのは序の口」

「恥ずかしいセリフはしょっちゅう出るし……」

「……キスなんか普通にしてた」

「謝って回る三下は不憫だったなァ」

「顔を真っ赤にしてたね、恥ずかしいと思うよあれ」

「親があれだと苦労すンな」

「土下座、上手だったね」

「慣れてるしなァ」

「しかも、そのたいしょうの扱いが」

「自分の両親の発言が原因としても……」

「あれは「ごめーん、待ったー?」ない」

「アァ、あれ「もしもーし」はないわ」

無視。

『二人の親友に笑顔で手を振りながら走り寄る』という姿勢のまま少女は固まった。
肩まで伸びた茶色がかった黒髪は少し癖っ毛で、毛先はツンツンしている。
いい笑顔だ。少しずつ暗いオーラが出てきたが。
彼女の名は上条美弦といった。

「……人が、野良犬に追いかけられ、工事現場を六ケ所も迂回し、赤信号に十回以上も待たされ、不良と三回もガチバトルしながら全力疾走で来たのに、スルーするなんて、なんとも友達がいが「「遅かったな(ね)、『愛の結晶』」」一週間経ってもまだそれを言われ続けるのか!!! 怨むわよ、あのバカ親共!!!! あーもう不幸よー!!!!!!」

『わたしたちの愛の結晶です!!』
と両親に笑顔で16年間紹介され続けた彼女の悲鳴が平和な空にこだました。


END






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