美琴は病院へと戻り、上条を治す準備が出来たとカエル顔の医者に報告した。
カエル顔の医者は突然の美琴の報告に驚いたが、美琴から事情を聞くと納得し(テスタメントという単語を出たときは渋面を浮かべていたが)、
念のために美琴が知識を得られているかのいくつかのテストを行った後、上条を治すための手術を開始した。
カエル顔の医者は突然の美琴の報告に驚いたが、美琴から事情を聞くと納得し(テスタメントという単語を出たときは渋面を浮かべていたが)、
念のために美琴が知識を得られているかのいくつかのテストを行った後、上条を治すための手術を開始した。
手術中、美琴は能力を使って上条の神経を隅々まで調べ、異常になっている部分を修復していった。
少しでも加減を誤ると致命的な事態になってしまうのだが、美琴は十分すぎるほどの集中力を発揮し、問題なく手術は進んでいった。
少しでも加減を誤ると致命的な事態になってしまうのだが、美琴は十分すぎるほどの集中力を発揮し、問題なく手術は進んでいった。
治療が後半に差し掛かったとき、カエル顔の医者が美琴を制止した。
「今日はここまでだね」
「えっ? でも、まだ終わって……」
「今の状態でも当分は安全だよ。それより、君は自分の状態を把握できているのかい?」
「状態……?」
「えっ? でも、まだ終わって……」
「今の状態でも当分は安全だよ。それより、君は自分の状態を把握できているのかい?」
「状態……?」
美琴は一瞬カエル顔の医者が言っていることの意味がわからなかった。
しかし、一度手をとめて気を緩めた瞬間、強烈なめまいに襲われる。
しかし、一度手をとめて気を緩めた瞬間、強烈なめまいに襲われる。
「あれ……?」
「神経を使う作業だからね。君が思っている以上に疲労が溜まっているようだ。
このままでは治療にも影響が出そうな雰囲気だったね?」
「そんな……。すいません、気が付かなくて……」
「いいや、君は本当によくやっている。気にする事はないよ。
とにかく、今日はここまでだ。続きは明日にしよう。
それまで君は体を休めているといい」
「はい……」
「神経を使う作業だからね。君が思っている以上に疲労が溜まっているようだ。
このままでは治療にも影響が出そうな雰囲気だったね?」
「そんな……。すいません、気が付かなくて……」
「いいや、君は本当によくやっている。気にする事はないよ。
とにかく、今日はここまでだ。続きは明日にしよう。
それまで君は体を休めているといい」
「はい……」
手術が中断された後、上条は病室へ移された。
上条はしばらくの間眠っていたが、その間に、その部屋には彼を心配する人々が集まっていた。
見事なまでに女性だらけであり、美琴はやや離れた部屋の入り口付近で、若干引き気味でその光景を見ていた。
上条はしばらくの間眠っていたが、その間に、その部屋には彼を心配する人々が集まっていた。
見事なまでに女性だらけであり、美琴はやや離れた部屋の入り口付近で、若干引き気味でその光景を見ていた。
「う、う~ん」
上条が目を覚す。
美琴は上条に声をかけようとしたが、それより前に、白い修道服を来た少女が上条に飛びついた。
美琴は上条に声をかけようとしたが、それより前に、白い修道服を来た少女が上条に飛びついた。
「とうま!」
上条は突然の事に驚き、その少女、インデックスを落ち着かせようとしていたが、
インデックスは上条に抱きついたまま動こうとはしなかった。
インデックスは上条に抱きついたまま動こうとはしなかった。
美琴はその光景をしばし呆然と眺めていたが、様子はそのまま変わらなさそうだったためか、
ふらりと部屋の外へと姿を消した。
ふらりと部屋の外へと姿を消した。
その後、上条はインデックスと後続で飛びついてきた女性達をなんとか引き離し、自分の体を状態を調べていった。
以前の症状が嘘のように、自由に体を動かすことができる。
以前の症状が嘘のように、自由に体を動かすことができる。
「……俺は、治ったのか?」
上条の問いにカエル顔の医者が答える。
「これで、半分といったところだね」
「半分? ……ってことは、まだ」
「そうだね。一応、君の体は以前のように動かせるようになっているはずだよ。
ただ、このままだといずれ、症状が再び進行してしまうね」
「そうですか……」
「心配しなくていいよ。半分と言っただろう?
明日の残り半分で、君を完治させてあげられるね」
「半分? ……ってことは、まだ」
「そうだね。一応、君の体は以前のように動かせるようになっているはずだよ。
ただ、このままだといずれ、症状が再び進行してしまうね」
「そうですか……」
「心配しなくていいよ。半分と言っただろう?
明日の残り半分で、君を完治させてあげられるね」
その言葉を聞き、安堵する上条。
そこへインデックスが割り込んだ。
そこへインデックスが割り込んだ。
「どうしてとうまは半分しか治ってないの?」
「彼の治療はなかなかに気の長い作業になってしまっていてね。
御坂君の負担を考えると1回でというわけにはいかなかったんだ」
「御坂……あれ、そういえば、御坂は? さっきまでいたよな?」
「彼の治療はなかなかに気の長い作業になってしまっていてね。
御坂君の負担を考えると1回でというわけにはいかなかったんだ」
「御坂……あれ、そういえば、御坂は? さっきまでいたよな?」
上条は目を覚ました時、部屋の中に美琴がいたことを確認していた。
治してもらったお礼を言おうとして、再度部屋の中から美琴の姿を探したが、そこに彼女の姿は無かった。
治してもらったお礼を言おうとして、再度部屋の中から美琴の姿を探したが、そこに彼女の姿は無かった。
「先生、御坂がどこいるかわかりませんか?」
「いつの間にか部屋から出て行ったようだね。今彼女がどこにいるかはわからないが、
明日に備えて彼女もここに泊まることになっている。彼女が泊まる部屋に行けば会えるんじゃないかね」
「いつの間にか部屋から出て行ったようだね。今彼女がどこにいるかはわからないが、
明日に備えて彼女もここに泊まることになっている。彼女が泊まる部屋に行けば会えるんじゃないかね」
それなら後で礼を言いに行こうと思い、上条はカエル顔の医者から、美琴が泊まっている部屋の場所を聞いた。
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美琴は自分の寝室として貸し出された病室で、ベッドに腰掛けていた。
「はぁ……どうしちゃったのよ、私」
美琴の脳内に先ほどの光景が蘇る。
白い服を着たシスターが上条に抱きついている、その光景を見たとき、美琴は胸に鈍い痛みが走った。
そして気がついたら、いつの間にかここに逃げ込んでいた。
そして気がついたら、いつの間にかここに逃げ込んでいた。
「なんでこんなにモヤモヤした気分になってんのよ……」
そのときからずっと、胸騒ぎのような、不思議な感情が収まらない。
ただ、美琴にはその感情がどういうものなのか、理解ができなかった。
ただ、美琴にはその感情がどういうものなのか、理解ができなかった。
美琴はふと、とあるメモを持ち出し、その中身を確認する。
それは、 学習装置《テスタメント》で知識を得る前に作成した、記憶を失っていないかどうかのチェックリストだった。
それは、 学習装置《テスタメント》で知識を得る前に作成した、記憶を失っていないかどうかのチェックリストだった。
その中の一つに目が留まる。
『上条当麻を助けなければいけない理由は何?』
「私がアイツを助けなきゃいけないのは、妹達を助けてもらったから。
ううん、それ以前に、目の前で死にそうになってる人を放っておけないし……」
ううん、それ以前に、目の前で死にそうになってる人を放っておけないし……」
一度目を通した時は、それが正解だと思っていた。
しかし、改めて考え直してみると、何か間違っているような気がする。
ひょっとしたら、何か重要な事を忘れてしまったのではないか。そんな不安がよぎる。
美琴の胸の中のモヤモヤは、次第に大きくなっていった。
しかし、改めて考え直してみると、何か間違っているような気がする。
ひょっとしたら、何か重要な事を忘れてしまったのではないか。そんな不安がよぎる。
美琴の胸の中のモヤモヤは、次第に大きくなっていった。
突然、美琴のいる部屋のドアが開く。
「よっ、今いいか?」
入ってきたのは上条だった。
「アンタ……ノックくらいしなさいよね」
上条の突然の訪問に、美琴は呆れたように返事を返した。
「お見舞いに来てくれてる人たちの相手しなくていいの?」
悪意を込めたつもりは全く無かったはずなのだが、どこかトゲトゲしい口調になってしまう。
「今日のところは、もう帰ってもらったよ」
「……そう」
「……そう」
「御坂、お前にはほんとに世話になった。感謝してるよ」
「……アンタには、でっかい借りがあったから。それを返しただけよ」
「んなことはねえよ……って、何か怒ってらっしゃる?」
「……別に、怒ってなんかないわよ。ってかアンタ、いきなり部屋出て動き回ったりして平気なの?」
「おかげさまで、このとーりピンピンしてますよっと」
「……アンタには、でっかい借りがあったから。それを返しただけよ」
「んなことはねえよ……って、何か怒ってらっしゃる?」
「……別に、怒ってなんかないわよ。ってかアンタ、いきなり部屋出て動き回ったりして平気なの?」
「おかげさまで、このとーりピンピンしてますよっと」
そう言って、上条は突然スクワットを開始した。
そして何回目かのときに、バランスを崩して派手に転倒した。
そして何回目かのときに、バランスを崩して派手に転倒した。
「ってー」
「……アンタ、馬鹿じゃないの?
ちょっとの間とはいえ寝たきりだったんだから、そんなすぐに動けるようになるわけ無いでしょ」
「……アンタ、馬鹿じゃないの?
ちょっとの間とはいえ寝たきりだったんだから、そんなすぐに動けるようになるわけ無いでしょ」
美琴は冷ややかな目で上条をみつめる。
「はは、そういやそうか……」
「もういいから、部屋でおとなしくしてなさい」
「もういいから、部屋でおとなしくしてなさい」
なんなら連れて行こうか、と美琴は提案するが、上条はそれを辞退し、そのまま部屋に帰った。
再び部屋に一人になった美琴は、あることに気づく。
再び部屋に一人になった美琴は、あることに気づく。
「あれ、治ってる?」
美琴の胸の中のモヤモヤしたものが、いつの間にか消え去っていた。
不思議に思う美琴だったが
不思議に思う美琴だったが
「ま、治ったんならいっか」
特にこだわることはなく、そのまま気にしないことにした。
しかし、美琴も気が付かないレベルの、小さなチクリとした痛みだけは残っていた。
しかし、美琴も気が付かないレベルの、小さなチクリとした痛みだけは残っていた。
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翌日、美琴は再度上条の治療のための手術を行っていた。
しかし、昨日とはうってかわって、作業は難航していた。
難易度としては昨日と変わらないはずだったが、美琴自身の能力の制御が甘くなっているのか、何度かヒヤリとするような事も起こっていた。
フォローに徹しているカエル顔の医者がいなければ、何が起こっていたかわからない。そのような状態だった。
しかし、昨日とはうってかわって、作業は難航していた。
難易度としては昨日と変わらないはずだったが、美琴自身の能力の制御が甘くなっているのか、何度かヒヤリとするような事も起こっていた。
フォローに徹しているカエル顔の医者がいなければ、何が起こっていたかわからない。そのような状態だった。
(なんで、集中できないのよ……)
美琴の胸の中のモヤモヤが、いつの間にか復活していた。
「コイツは治ったあと、どうするんだろう」ふとそう思ったとたん、昨日見たある光景が頭から離れなくなった。
「コイツは治ったあと、どうするんだろう」ふとそう思ったとたん、昨日見たある光景が頭から離れなくなった。
雑念混じりの状態ではあるが、美琴は頭をフル回転させて上条の治療を進めていく。
しかし、無理がかかっているのか、少しずつ、頭痛が美琴を襲うようになった。
しかし、無理がかかっているのか、少しずつ、頭痛が美琴を襲うようになった。
余計なことを考えず、集中しろ。
そう自分に言い聞かせる美琴だったが、一向に効果は出ない。
そして、またも危うくミスをしてしまいそうになる。
そう自分に言い聞かせる美琴だったが、一向に効果は出ない。
そして、またも危うくミスをしてしまいそうになる。
カエル顔の医者は、何かを迷っているようだった。
おそらくは、治療を中断させるかどうかだろう。
この段階で中断してしまうと、今日の分の治療は意味をなさなくなる。
おそらくは、治療を中断させるかどうかだろう。
この段階で中断してしまうと、今日の分の治療は意味をなさなくなる。
そして、美琴にもできないと判断されてしまうと、この方法で上条の病気を完治させることは不可能となるだろう。
すぐにどうこうという状態は脱してはいるものの、上条はこのままでは爆弾を抱えたまま生活を送ることになる。
しかし、そんなことよりも
すぐにどうこうという状態は脱してはいるものの、上条はこのままでは爆弾を抱えたまま生活を送ることになる。
しかし、そんなことよりも
(コイツは絶対、「私が」助けるんだから!)
美琴には治療を中断するという気はさらさらなかった。
カエル顔の医者も、そんな美琴の表情から察して、制止しようとはしなかった。
カエル顔の医者も、そんな美琴の表情から察して、制止しようとはしなかった。
治療は少しずつ進んでいくが、美琴の頭痛は激しさを増し、頭の神経が焼き切れてしまうのではないかと思えるくらいだった。
しかし、美琴はすべての気力を振り絞って能力の演算を続けた。
しかし、美琴はすべての気力を振り絞って能力の演算を続けた。
突然、美琴の頭の中に、上条と初めて出合った頃の情景が浮かんできた。
当時は子ども扱いされたことに腹を立てていたが、今では笑い飛ばせそうだ。
妹達を救ってもらった。偽デートをした。罰ゲームをした。外国まで追いかけていった。
次々へと、上条との思い出と、その当時の美琴の感情が蘇っていく。
当時は子ども扱いされたことに腹を立てていたが、今では笑い飛ばせそうだ。
妹達を救ってもらった。偽デートをした。罰ゲームをした。外国まで追いかけていった。
次々へと、上条との思い出と、その当時の美琴の感情が蘇っていく。
(ああ、そっか。あのことを忘れてたんだ)
美琴は、自分が「ある感情」を忘れていた事に気付いた。
それはとても重要なもので、美琴は思い出せたことにホッとする。
いつの間にか胸の中のモヤモヤが消えていた。集中力も戻ってきた。
頭痛だけが消えずに痛みを増してきていたが、美琴は治療の成功を確信していた。
なんのために上条を助けるのか、それに対する明確な回答を見つけられたから。
それはとても重要なもので、美琴は思い出せたことにホッとする。
いつの間にか胸の中のモヤモヤが消えていた。集中力も戻ってきた。
頭痛だけが消えずに痛みを増してきていたが、美琴は治療の成功を確信していた。
なんのために上条を助けるのか、それに対する明確な回答を見つけられたから。
ほどなくして、手術のすべての工程を終え、上条の治療は完了した。
同時に、美琴は意識を失い、その場に倒れこんだ。
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上条は目を覚ました後、完治祝いということで大勢の友人達から手荒な歓迎を受けた。
そんな中美琴の姿を探してみたが、今回も美琴の姿が部屋の中に無かった。
そんな中美琴の姿を探してみたが、今回も美琴の姿が部屋の中に無かった。
前回は疲れて休んでいたというのが理由だったが、今回もそうなのだろうか。
上条は友人達と話している間も、ずっとそのことが気がかりになっていた。
上条は友人達と話している間も、ずっとそのことが気がかりになっていた。
友人たちが帰った後、上条は昨日美琴が泊まっていた部屋を訪ねた。
しかし、その部屋は誰にも使われていない状態になっていた。
しかし、その部屋は誰にも使われていない状態になっていた。
「御坂君を探しているのかい?」
突然後ろから声がかかる。
上条が振り返ると、そこにはカエル顔の医者がいた。
ちょうどいいと、上条はカエル顔の医者に問いかける。
上条が振り返ると、そこにはカエル顔の医者がいた。
ちょうどいいと、上条はカエル顔の医者に問いかける。
「先生、御坂はもう帰ったんですか?」
カエル顔の医者はその質問にはすぐ答えず、少し間をおいた後
「ちょっといいかな?」
場所を変えることを提案してきた。
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「面会謝絶!?」
カエル顔の医者が言うには、美琴はまだ病院にいるらしい。
しかしどういうわけか、面会謝絶という不穏な状態になっているようだった。
しかしどういうわけか、面会謝絶という不穏な状態になっているようだった。
「本人の希望でね。1日だけ、誰にも会いたくないらしい」
「先生! 御坂に何かあったんですか!?」
「先生! 御坂に何かあったんですか!?」
カエル顔の医者は答えない。
上条がそれでも問いただそうとすると、カエル顔の医者はため息をつき
上条がそれでも問いただそうとすると、カエル顔の医者はため息をつき
「……そうだね。患者に必要なものを用意するのが僕の役目だからね」
と独り言のように呟いた。
そして、上条に向かって、美琴の所在を伝えた。
そして、上条に向かって、美琴の所在を伝えた。
「彼女は……○○号室にいるよ」
上条はその言葉を聞くと、即座にその部屋まで走っていった。
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美琴のいるはずの病室のドアが、勢いよく開かれる。
「御坂!」
中に飛び込んだ上条が辺りを見回すと、ベッドの上に座っている美琴の姿を発見した。
美琴は突然の上条の訪問に驚いているようだった。
美琴は突然の上条の訪問に驚いているようだった。
「な、何?」
美琴の姿からを一見して、特に別状が無いように思えた上条は、安堵のため息をついた。
「無事、なんだよな……? よかった、一時は俺のせいでお前がどうにかなっちまったのかと思ったよ」
一方、美琴は上条の姿を見て、少し焦っていた。
「え、ええと……そうですね。特になんともないですよ?」
その美琴の言葉は、上条に頭を殴られたかのような衝撃を与えた。
固まってしまった上条を見て、美琴はいかにも「まずい」という表情を一瞬だけ作り、あわてて表情を戻した。
固まってしまった上条を見て、美琴はいかにも「まずい」という表情を一瞬だけ作り、あわてて表情を戻した。
どうして敬語を使ったのか。不思議に思った上条が美琴に問いかける。
「なんで、敬語……」
「え、ええと……その」
「え、ええと……その」
美琴は何かを迷っているようだった。
上条は美琴の返事を待った。
「ちょっと驚かせようと思っただけよ」
美琴はそう言って目をそらした。
上条には、美琴のその反応が、何かをごまかそうとしたように見えた。
上条には、美琴のその反応が、何かをごまかそうとしたように見えた。
突然面会謝絶にして他人との接触をさけたこと、突然ぎこちない話し方になった理由。
上条の頭には、ある可能性についてが浮かんだ。そしてその可能性について、上条は聞かずにはいられなかった。
「なあ御坂」
「な、何よ……」
「な、何よ……」
「もしかして……俺の事、覚えてないのか……?」