とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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18巻のクーデターが終わった後



十月二十四日

あのイギリスの出来事から一週間が経とうとしていた。
ツンツン頭の少年、上条当麻は神妙な顔持ちで通りを歩いている。
「あの時、神裂に頼まれてこっちに戻ってきたはいいけど…」
そうフィアンマを倒そうと誓ってロシアに向かおうとしたところ神裂に止められたのだ



「いくら止めようと俺は一人ででもフィアンマを殴りにいく!」
「しかし、何の情報もなく敵陣に向かっても危険なだけです!ここは一旦学園都市に戻って頂けませんか」
「そんなの聞きいれられる訳ないだろ!インデックスはどうなるんだよ!」
「あの子の事は任せて下さい。絶対に守って見せます。だからこちらの情報が集まるまで待ってくれませんか」



(インデックスの事を何よりも考えてる神裂の言葉だからこそあの時は従ってこっちに戻ってきたけど)
「流石にもう我慢の限界だ。何かしらアシを確保してロシアに向かうしか…」
(今もインデックスがどうなってるかもわからねえ、かといって誰かに頼るのも巻き込んじまう、どうしたものか)
「くそっあの時そのまま向かうべきだった」
あの時の行動を悔やみ上条は小さく愚痴をこぼす。

(悔やんでも仕方ねえ。どうにかロシアに向かう方法考えねーと。って…ん?)
考え込んでいたところに学生服が引っ張られる感じがしてそちらを振り向く。
(常盤台の制服?俯いてるから顔わかんないけど御坂…だよな)
「えっ…と、御坂だよな?」
(とりあえず普段通り振舞わないと)

◆         ◇         ◆         ◇         ◆


御坂美琴はイギリスのクーデターが上条が関連していた事を知り、不審に思い『上条当麻』についてを調べていた。
(まさか、絶対能力進化の実験は初めからあの馬鹿が止めに来る事が確定していたなんて…)
そう『上条当麻』があるプランの重要人物であるという事が調べているうちにわかってしまった。
それまでのプランの内容も。そしてそのプランを知らず問題に飛び込んでいることも。解決して救った人々も予定された作られた出来事だということも。

自分が傷ついても誰かを救う。
上条当麻というのはそんな人物だった。
そしてそれが上条当麻を支える芯だった
(まさかそれが作られた偽りの物だなんて…)
あまりの酷い現実に美琴は何も考えられなくなっていた。

ふらふらと外を歩いていると先に見知ったツンツン頭が見える。
先ほどまで考えていた事もあり、正直顔を合わせ辛い。
(でも、久しぶりに会ったし声も話したいな…って何考えてんのよ私!)
声かけようかかけまいか葛藤していると声が聞こえた

「くそっあの時そのまま向かうべきだった」
何の事かわからないけれど、その少年の顔はかなり真剣な表情をしていた。
また問題を抱えているのかとか力になるって言ったのに何も相談してくれないんだとか憤りもあったが

それ以上に何よりその少年がそのままいなくなってしまいそうな、そんな恐怖に駆られる。

そして気づけばその少年の学生服を掴んでいた。

「えっ…と、御坂だよな?」
「久しぶりだな。あん時はありがとな、助かったよ」
上条は先ほどまでの事がまるでなかったように振舞う。

いつも通りの反応が嬉しいと思う反面、何で隠すのかと憤りを覚える。
「なんで何も言ってくれないのよ」
「え、と。何の事だ?」
「しらばっくれてもわかるわよ。クーデターの時だってやっぱりアンタ関わってたんでしょ?」
本当の事を聞かれて上条は顔が強張る。

「そして、また何かしらの問題を抱えて立ち向かおうとしてる。違う?」
何もかも知っている癖に相手にわざわざ答えを言わせようとしている自分に嫌気がさす。
しかし上条はその事に気づいていて言わないのか気づいてないのかわからないが答える。
「あ、ああ、でも今回は大した事ないし。御坂も関係ないから心配しなくていいぞ」
大したことないという心配させまいとついた嘘が逆に辛いのもあったが関係ないと言われてズキンと胸が痛む。

「関係なく、ないわよ」
「え?」
「関係なくなんかないわよ」
理性がこの先は言うなと警告を出す。
しかし関係ないと言われた事がその警告を無視し、今まで溜めていた感情を吐き出す。

「私、アンタが好きなの。どうしようもないくらいに。好きな相手の事を心配するのは当たり前でしょ…!」

言ってしまったと美琴は今の言葉を思い出し一気に真っ赤になる。
そして上条が意を決したように答える。

「悪ぃ、御坂」

◆         ◇         ◆         ◇         ◆


「私、アンタが好きなの。どうしようもないくらいに。好きな相手の事を心配するのは当たり前でしょ…!」
いきなり告白されて思考がストップする。
(え?こいつが俺の事を?好き?え?)
突然の出来事に混乱する、しかし今自分には抱えた大きな問題がある事が上条を冷静にさせた。
(告白は正直嬉しい。でも俺は…)
頭の中を整理しそして答える。

「悪ぃ、御坂」
「俺記憶喪失なのは知ってるよな?だから、とは言わないけど好きっていうのが未だによくわかんないんだ」
美琴は黙って上条の言葉を聞いている。

「今この感情が友達として好きなのか、一人の女性として好きなのかとか。」
「さっき御坂が言った通り今問題抱えてる。だからそれが終わるまでに必ず答えを出すからそれまで待っててくんねーかな。」
自分勝手で悪いけど付け足しながら上条は答える。

一通り言い終えたのを待った美琴ははぁっとため息をつく。
「勘違いしないで欲しいんだけど」

◆         ◇         ◆         ◇         ◆


美琴は一通りの上条の言葉を聞いて思う。
(きっとこいつは直感でいずれ戦争の渦中に飛び込む事を理解してる)
優しすぎるから、巻き込まないように相手を傷つけずに突き放すだろうと言う事を美琴は予想していた。
(いつも通りの私で告白したらきっとここまで落ち着いていられなかったんだろうな)
先ほどの話しかける前の上条の姿が脳裏に浮かぶ。
(私は待ってる女になんかなりたくない、出来る事ならアイツとずっと一緒にいたい)
「勘違いしないで欲しいんだけど」

そう答えたのが間違いだったのか上条は別の意味で捉える
「ええー!まさかの上条当麻告白ドッキリ大作戦?純情な少年の心を弄ぶのって酷くないですか御坂さん」
予想だにしない返答に美琴もうろたえる
「ち、ちがっそっちじゃないわよ!」
(真剣に告白したのに冗談にされちゃたまんない!)
「さっきのこ、告白は本当よ。勘違いしないで欲しいってのはそっちの事じゃなくて…」
「?」
「待ってるなんて私には合わないの。前に言ったわよね」
落ち着く為に美琴は一呼吸する。

「今抱えてる問題はアンタ一人で抱え込まなきゃいけない事なの?アンタの信念はわかる。でも巻き込むのと頼りにするってのは別なんじゃないの?私はアンタに頼って欲しいの。それが大きい問題であればなおさら。」
上条は何か考えているのか無言で佇む。
「待ってるだけは嫌なの…私だって力になれる。アンタが私達を守ってくれたように、私もアンタを守りたいの」
「御坂…」
「前に言ってくれたよね。笑っていていいんだって。私は出来る事ならアンタとずっと一緒に笑っていたい」
美琴は上条に笑顔を見せる。でもとても悲しい笑顔。

「お前の言いたい事はわかった。でも…」
「でもなんて言葉は聞きたくない。迷惑だったら切り捨ててくれても構わない!」
「…本当にいいのか?関わらなければ苦しまず平和に暮らせるかもしんねーのに」
「何もせず後で辛い思いをするのは嫌なの。そんなのアンタが一番わかってるでしょ?」
「…後悔はしないのか?」
「全くしないっていったら嘘になるけどね。何もせずアンタが傷ついてるのを見る方が後悔する」

もう何を言っても無駄だと思ったのかため息をつき一言
「全く、お前には敵わねーよ」

◆         ◇         ◆         ◇         ◆


「出来る事ならアンタと一緒に笑っていたい」

きっとこの先争いが起きる時俺も飛び込む事を察知したのだろう。そしてもしかしたら無事では済まないだろうという事も。
(なんて顔…してんだよ。いや、そんな顔にさせたのは俺…か)

「何もせず後で辛い思いするのは嫌なの。そんなのアンタが一番わかってるでしょ?」
(そっか…こいつは俺と同じなんだ。困ってる人がいたら手を差し伸べずにはいられない)

だからわかっていて聞く。

「…後悔はしないのか?」
「全くしないっていったら嘘になるけどね。何もせずアンタが傷ついてるのを見る方が後悔する」

自分の事は良くわかる。だからこれ以上何もいう事は無いなとため息をつく。
「全く、お前には敵わねーよ」
本当にそう思う。
「やっと負けを認めたの?」
あまりのらしさに苦笑する。
(でもやっぱこれがこいつらしいかな)

「いつ勝負事になったんだよ」
いつの間にか重い空気は無くなっていた。
(こいつのおかげ、かな)
誰にも頼れないと思っていたのが自分を追いこんでいたのかもしれない。
上条は美琴を見やる。
真剣なものから穏やかな雰囲気になり美琴は恥ずかしくなってきたのかやたら早口で言い訳している。
(またいつものように馬鹿やって、馬鹿みたいな言い争いして、馬鹿みたいに笑いあえるような通常に戻りたい)

そして上条は決意する。
(だからこそ出来る限りはやくこの戦争(げんそう)を終わらせよう)

◆         ◇         ◆         ◇         ◆


いつものアイツの顔を見てほっとする。先ほどまでのあの真剣味を帯びたものではなくいつもの人を軽くあしらう様なそんな顔
「全く、お前には敵わねーよ」

そんないつも通りの態度に、反射的に答える。
「やっと負けを認めたの?」
「いつ勝負事になったんだよ」
いつものアイツに戻って平静になり一気に恥ずかしくなってきたのか美琴は真っ赤になって照れ隠しに色々言ってしまう。

全てを言いつくした美琴は拒絶されなかったことに安堵する。
(こいつは優しすぎるから…きっと誰かに利用されていても気づかない。あのプランだけは絶対にこいつに知られちゃいけない)

そして美琴は決意する。
(だから私はこいつを絶対守る。そしてあの計画(げんそう)を終わらせる!)


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