小ネタ 祝福と紙吹雪と水無月結婚(ジューンブライド)
<某年 6月 某月 昼間 学園都市内結婚式場の出入口前>
現在、この結婚式場では、上条当麻(22)と御さ…もとい、上条美琴(21)の結婚式・披露宴が執り行われている。
7年前のこの日に出逢って、その翌年から付き合い始めて、昨年婚約し、出逢った記念の日に披露宴である。
もうすぐ披露宴も終わって出入口の扉が開き、出席者が式場から続く赤絨毯の両サイドに列を成し、
そこを出席者からの祝いの言葉と紙吹雪が舞う中、新郎新婦が一緒に駐車場まで手を繋いで歩いて行…
おっと、扉が開き出席者が並びだした。もう披露宴が終わったようだ。
<数分後>
出席者全員が並び終わったところで、新郎新婦が登場。これより皆様にもその現場の声(の一部)をお伝えしよう。
「いよっ!お二人さんおめでとうございまーす♪」
「うん、佐天さんありがとう♪ 7年間色々助けてくれて…これからも時々相談するね」
「7年かぁ…懐かしいですなぁ~あの頃はいつも私からの指摘に可愛らしい慌て方を…」
「ちょ、、佐天さん、その話はまた今度にしてね////」
「おめでとう。上条君」
「サンキュー姫神。今度はお前の結婚式に出席させてもらえる日を楽しみにしてるぞ」
「………うん。頑張ってみる(…上条君以外の相手なんて。見つかるとは思えないけど)」
「おめでとうございます!御さ…じゃなくて上条さん♪」
「ドレス姿すごく綺麗なのー♪ とっても似合ってるのー♪」
「初春さん、春上さん、ありがとう♪ 褒めてもらえてすごく嬉しいわ」
「そのドレス姿見て、あまりに綺麗すぎてどこのお城の王妃様かと思っちゃいました!」
「私もどこの映画のシーンかと思ってしまったのー!」
(あはは…初春さん相変わらず乙女な例えね…春上さんもすっかり似たもの同士になってるし…)
「上条ちゃんおめでとうです♪ でも新婚生活に浮かれすぎちゃだめですよー?」
「小萌先生ありがとう♪ まぁそもそも新婚生活以前に美琴と付き合い始めてからずっと浮かれてますけどね」
「か、か、上条ちゃん!! ちゃんと仕事の普段の生活もしっかりしないといけませんよ!?」
「だーいじょーぶですよー♪ 心配し過ぎないでちゃんと見てて下さいって!」
「「おめでとうございます。そして、素敵な披露宴に御招待ありがとうございます」」
「湾内さん、泡浮さん、こちらこそ来てくれてありがとう♪」
「昨日、婚后さんから言伝を頂きました。予定の調整がつかず出席できなくて申し訳御座いません、と」
「それから、後日御祝い持参して御宅に伺いますとも言ってました」
「あらら…そんな気にしなくても良いのに…でも楽しみにしてるって婚后さんに伝えてちょうだいね」
「上条当麻!まさか貴様に先を越されるとは思ってなかったわ」
「あー…でも吹寄も何だかんだいって昔ほど性格キツくねーし、案外次はお前なんじゃねーか?」
「どうかしらね…私はしばらくそれどころじゃないでしょうし(吹っ切れるのってなかなか時間かかるものだし…)」
「そっか、よく分からんが頑張ってくれ。応援してる(何だろう…色々と忙しいのかな?吹寄のやつ)」
「お姉様、お義兄様、おめでとうございます。と、ミサカは1万人弱のミサカを代表して祝福します」
「あぁ、ありがとうな御坂妹…おっと、今日からは俺視点からも義妹(いもうと)だったな」
「そうですね、今後ともよろしくお願いします。と、ミサカは脳内で義妹の立場を利用し這い寄る計画を練り込みながら挨拶を…」
「ちょ!!それ脳内に収まってないから!ってかそんな事をしたら例えアンタでも手加減しないわよ!?」
「…冗談です。と、ミサカは依然としてからかい甲斐のあるお姉様を見てニヤリとします」
「「はぁ…まったくこの妹(義妹)は…」」
「とうま!みこと!2人ともおめでとうなんだよ!」
「ありがとうな、インデックス。わざわざ遠くイギリスから来てくれて」
「しかし…よく静かにしてくれたわね…以前なら私を見るや否や…」
「ん?私はあんな美味しいごちそうを目の前で大騒ぎするほど礼儀知らずじゃないだよ?」
「「あー、やっぱそっちが理由ですか」」
「固法先輩、ご出席ありがとうございます♪次は黒妻さんと固法先輩の披露宴楽しみにしてますね♪」
「今後は俺も警備員(アンチスキル)として先輩に当たりますし、これからも美琴ともども色々よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね♪……ところで、白井さん結局来なかったわね…」
「そうなのよね…私が両手合わせてお願いって言っても、一度も来るって言ってくれなくて…」
「マジかよ…美琴がそこまでしたのに来ないなんて…ん!?」
「え?どうしたのよ当麻…な、なにコレ!?」
「金と銀の紙吹雪…今日の出席者に渡された物じゃないわね…」
赤絨毯の終点、ちょうど車のすぐ近くの上空から、金と銀の紙吹雪がキラキラ輝きながら舞い降りてきた。
その美しい光景に感激する者も居たが、それより多かったのが「この紙吹雪が誰の仕業なのか」と騒ぐ声。
発射装置など置ける場所もなく、第一それらしき物は見当たらないし、出席者の手持ちの紙吹雪はもう無い。
いったい誰からなのか、わかる者は誰一人居な…否、タキシード姿のツンツン頭と白ヴェールを被った頭が向かい合い微笑んで
「サンキュー、白井」「ありがとう、黒子」
2人揃って、そう呟いた。
<同日同時刻 同式場裏手の駐車場>
「良いのか?白井。直接面と向かって祝わなくて」
「りょ、寮監様!?…どうしてここに!?」
「仕事上、次の移動時間が迫っていてな…一足早く御暇(おいとま)しただけだ」
「そうでしたの…相変わらずお仕事に熱心なのですね」
「…で、直接祝いの言葉をかけには行かんのか?」
「それは…遠慮致しますわ。今お姉様の前に出てしまうと、涙が止まらなくなってしまいますの」
「…そうか、祝いの席で涙は見せたくない、か…白井らしい気遣いだな」
「えぇ、ですので寮監様から、おめでとうございます、とお伝え下さいまし」
「承知した。あまり時間が取れないが、今週中にはあの2人に伝えておこう」
「よろしくお願い致しますの」
<再び、赤絨毯の最終地点>
「ったく…来てるなら来てるで面と向かって祝ってくれても良いのに」
「まぁ確かに俺もそう思うけど…でもコレはコレで白井らしくて良いと思うけどな」
「……うん、そうね。黒子って妙に強がりだから、涙見せたがらない方だし」
「そういう白井の祝い方としちゃあ、一番の祝い方なんだろうな」
「たぶん、そうでしょうね。…まったくあの子ったら」
「…に、しても。白井にまで祝ってもらえたとあっては、ますます気合入れなきゃでせうな」
「え?…何の気合よ?」
「そりゃぁ、もちろん―――
―――美琴と、その周りの幸せを、しっかり守っていく事の、さ」
「ふふっ、期待してるわよ。当麻」