すてーる
炎の魔術師、ステイル=マグヌス。
イギリス清教屈指の魔術師であり、ルーンを使うことを得意とする。
14歳にして天才の名をほしいままにする彼の怒りに触れれば、骨も残らず焼き尽くされる。
イギリス清教屈指の魔術師であり、ルーンを使うことを得意とする。
14歳にして天才の名をほしいままにする彼の怒りに触れれば、骨も残らず焼き尽くされる。
そう、恐るべき人物だ。
そのはずなのだが。
そのはずなのだが。
《すてーる》
ここは上条と美琴の家。
上条当麻、御坂美琴、そしてステイル=マグヌスの3人は、
フローリングの床になぜか正座していた。
上条の右隣が美琴、正面にステイルが座る。
どこかからか、ししおどしのかこーんという音が聞こえた。
フローリングの床になぜか正座していた。
上条の右隣が美琴、正面にステイルが座る。
どこかからか、ししおどしのかこーんという音が聞こえた。
「……以上が伝達事項だ」
「つまり、さっぱりわからないと」
「ああ、遠隔制御霊装を、ん? 修理すれば、いいと、仮定して……どこやったかな」
「あ、ごめん、インデックスもいるし、タバコは遠慮できない?」
「お、それもそうか、仕方ないね」
「……修理できなかった、ってことか?」
「いや、修理はできたはずなんだが、彼女が元に戻らない」
「どうして?」
「こっちがききたいくふぁいふぁほ」
「こら、インデックス、ステイルのほっぺ引っ張ったらダメだろ、こっち来なさい」
そう言って上条はインデックスを膝の上に乗せる。
「だぁ、すてー?」
「ステイルさんよ、インデックス。じゃあ、きちんと直ってないとか?」
「その可能性もあると思って、オルソラやシェリーが調査しているところだが、芳しくないね」
「あの二人か」
「あの二人でもわからないなんて」
「あう?」
「……じゃあ、僕は帰るよ」
「まぁ、待てよ……御坂、ちょっとインデックス頼む」
「え? うん。よしよーしインデックス」
「まーま!!」
「……なんだい?」
「この前は、魔術師を撃退してくれたらしいじゃん。ありがとな」
「……で?」
「……だからって、オレの部屋で戦わなくてもいいだろーが!!!」
「この子が狙いだったらあそこに罠を仕掛けるのが順当だ」
「神裂いたならいらねーだろ!!」
「……つい、かっとなってやってしまったんだ。悪気しかない」
まあ、部屋を焼いたのはついでだ。神裂は不本意だったみたいだけど
とかいう不良神父にとびかかろうとする上条を、
美琴は苦笑しながらまぁまぁと腰に抱き着いてなだめるのだった。
とかいう不良神父にとびかかろうとする上条を、
美琴は苦笑しながらまぁまぁと腰に抱き着いてなだめるのだった。
その時電話が鳴った。
二人同時に。
二人同時に。
「もしもしママ? どうしたの?」
「なんだよ、土御門、今お前の同僚を1人減らそうとしていたとこなん……」
「へ? わたしの力が必要な実験の協力依頼を伝えるの忘れてた!!?」
「あたー、補習か、たしか数日だけあったなぁ、いつだっけ?」
「「……今から?」」
「は、はぁ!! 今からとか、ムリムリムリ!!!!」
「や、やっべえ!! すっかり忘れてた!!」
「な、なんとか別の日に……ま、ママ直々に迎えに来る!!? 必要ない!! い、行きます。行かせていただきます!!」
「きょ、今日はさぼ……留年ですか!! いやいや、悪事を許さない上条さんが、さぼりとかするわけがないジャーン、親友よ、ちょっとだけ遅れると、先生にうまーく伝えてくれ」
そして2人同時に電話を切り、
「「何勝手なこと言ってんの!!!」」
2人同時に理不尽に怒鳴った。
「わたしがLevel5だからそういう実験を断れないの知ってんでしょーが!!」
「こちらだって、補修がまだあるってのは、勉強見てくれた美琴さんが一番ご存知でしょーが!! 下手したらオレより!!」
「すてー」
「すふぇいふは……ほっへふぁふぁふぃへふふぇふぁいふぁい?」
「つ、土御門は……「だめだ、舞華が空くのは、今日は午後からだ」ノーー!!」
「うーーーん…………はっ!!!!」
その時、上条に電流が走る!!
「わ、わたしのせいじゃないわよ!!?」
「もう帰っていいかい? 上条当麻、御坂美琴」
「すてー」
「……ステイルだ」
「解決策あったぞ美琴!!」
「どうすんの!!?」
「……ステイル、任せた!!」
「……なんだって?」
「え? でも「ステイルなら大丈夫だ!! じゃあ行ってきます!!」ちょっと!!
いい、インデックス!! わたしたちがいいって言わないと、魔術使ったらだめだからね!!」
いい、インデックス!! わたしたちがいいって言わないと、魔術使ったらだめだからね!!」
「あーい!!」
「おい、まだ僕はいいとは一言も「ドタバタバタン」……おいこら!!」
もう二人ともいなかった。
まさに神速である
まさに神速である
「すてー!!」
「ステイルだ……どうしろというんだ?」
かこーん、というししおどしの音が響いた。
ステイルに何もかも放り投げた十分後、上条は補修を受けていた。
しかし、教材がないどころか筆記用具も鞄すら持ってきていないのだった。
しかし、教材がないどころか筆記用具も鞄すら持ってきていないのだった。
「ちょっ!!? やる気がないどころの騒ぎじゃないんですが!! 上条ちゃんはいったい何しに来たのですか!!?」
「なんてことを!!? やる気満々ですとも!! とりあえず今日は留年を逃れるために出席だけしに来ました!!」
「やる気が微塵もねーーーー!!」
ひとまず担任を泣かせて親友2人に殴られた上条は、机で青空を見上げる。
思考は授業ではなく、プールの後から頭を離れない美琴の事に向かった。
彼女が見せる照れた顔、怒った顔、泣いている顔、焦った顔、笑った顔、そして、インデックスに時折見せる母としての顔。
気がつくとそれらが無限ループのように上条の頭をめぐる。
そして否応なく、異性と共同生活をしているのだと自覚させられるのだった。
思考は授業ではなく、プールの後から頭を離れない美琴の事に向かった。
彼女が見せる照れた顔、怒った顔、泣いている顔、焦った顔、笑った顔、そして、インデックスに時折見せる母としての顔。
気がつくとそれらが無限ループのように上条の頭をめぐる。
そして否応なく、異性と共同生活をしているのだと自覚させられるのだった。
(……しかし、他の女性と美琴、なんか違うんだよなー)
なにがちがうんだろ? と無い頭で鈍感なりに考える上条の頭にチョークが当たる。
「いてっ」
「いい加減にしてください!! ちゃんと授業を聞いてほしいのです!!」
これじゃあ何のための補修かわからないじゃないですかー、と拗ねる担任を見て、
上条はしばらく熟考した後、質問してみることにした。
上条はしばらく熟考した後、質問してみることにした。
「せんせーい!! 質問というか、確認したいことがあるんですけど!!!」
「……きちゅうの水素と酸……おお、ようやくやる気になりましたか、なんです?」
「先生って、女ですよね!!!?」
もちろんいろいろと大混乱になり、予定より補修は長引いたのだった。
いっぽう美琴も実験に間に合っていた。
速攻で終わりはしたのだが、
速攻で終わりはしたのだが、
(まさか、ママが研究所の外で待ち伏せしてたとは。
一緒に食事することにもなっちゃったし、
アイツは携帯に出ないし、インデックスは大丈夫かな?
まぁ、お昼にはアイツも補修終わるとか言ってたから大丈夫とは思うんだけど、
ステイルさんにも迷惑かけちゃったし、
まてよ、アイツの事だから、なんかの不幸のせいでお昼に間に合わないかも、
いや、そもそも、補修自体が長引いたりして、
そういえばアイツの担任ってあのちっちゃい人よね?
しかも黄泉川先生より年上って噂あるし、訳わかんない。
ん? アイツは年上の人が好みだとかどっかで聞いたことあるわね?
ま、まさか補修にかこつけていろいろやってたりして!!
例えば、アイツが
『先生、二人っきりですね』
そんでもって担任の方が
『な、何ですか急に!!?』
そして、
『実は、こうして二人きりになるためにわざと成績悪くしたんです』
さらに
『そんなこと、されてもうれしくありません!!』
『オレ、本気なんです』
『でも、上条ちゃんと先生は生徒と教師で、年齢の差も……』
『そんなの、卒業したら関係は変わりますし、オレは年上好きなんです!!』
『……上条、ちゃん……』
『先生、これからずっと、オレの隣で補修してくれませんか?』
こうして二人は手に手を取って、
自分達の子供で作った学級で家庭内熱血学園ドキュメンタリードラマ!!!?」
自分達の子供で作った学級で家庭内熱血学園ドキュメンタリードラマ!!!?」
「……美琴ちゃん、ママもそろそろついていけないんだけど?
それに、気になるワードてんこ盛りだったから、いろいろ教えて貰うわよ?」
それに、気になるワードてんこ盛りだったから、いろいろ教えて貰うわよ?」
もちろん、大幅に時間はかかったのだった。