とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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幻想殺しの新たな能力




「幻想殺し」
それは上条当麻の右手に宿る、原理も正体も不明な能力。
その効果は、魔術であろうと超能力であろうと、
それが異能の力であれば問答無用で打ち消してしまう。
だがそれ故に、身体検査でも確認ができないという特質性を持つ。
しかし実は幻想殺しには、それ以外にも隠された力があるという事を、皆さんはご存知だろうか。
第七位の能力が良い例だが、最先端の科学技術が結集しているここ学園都市でも、
未だ全貌を解明できていない能力というのは存在するのだ。
今からご覧頂くのは、そんな幻想殺しによる新たな力の発現の可能性である。
実験体となる御坂美琴協力の下、観測を始めたいと思う。


 ◇

 ◇

 ◇


放課後、共に歩いて下校する男女が二人。
一人は高校生。一人は中学生。上条当麻と御坂美琴は、学年も通う学校も違うし、
特別付き合っている訳でもない
(もっとも、美琴の方は
 「将来的にはそうなりたいな~…って! そそそ、そんな事全然考えてないんだけどねっ!!?」
 などとメンドクサイ事を思ってはいるが)
が、何だかんだと一緒に帰宅する事が多い。
『偶然』にも途中で会ってしまうのだから、仕方が無い。

「ねぇアンタ、今日はスーパー行かないの?」

美琴が話しかける。

「んー…昨日の買い置きがあったと思うし……
 あっ、でもインデックスがいるから冷蔵庫の食材だけじゃ足んないかもな」

上条は「冷蔵庫の残り-インデックスの食欲=食べ足りずに頭を噛まれる」という方程式を、
瞬時に演算する。手馴れた物である。

「だったら今日は、お刺身が安かったと思うわよ」
「おー、刺身かー! しばらく食ってないし手軽だし、安いんならたまにはいいかもな」

常盤台生である美琴にとって、スーパーのチラシに載っている特売品など本来は興味の対象外だが、
最近は上条の為に小まめにチェックしていたりするのだ。

「けどよく覚えてたな。サンキュー美琴、えらいえらい」

そう言うと上条は、からかい半分で美琴の頭をワシワシと撫でた。
対して美琴は、顔を真っ赤にさせて一言。

「こっ、こここ、子ども扱いすんじゃないわよっ!!!」


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その1 『頭を撫でる』
効果 : 御坂美琴を赤面させられる
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と、乱暴に頭を撫でた事で、美琴の髪の毛が一本抜け落ち、そのまま耳の裏に引っかかった。

「っとと! 悪ぃ悪ぃ!」

と言いながら、上条は慌ててそれを取った。優しく、美琴の耳に触れて。

「ひゃんっ!!?」

敏感な部分に触れたのか、美琴は思わず変な声を上げてしまった。
何かもう色々と、感じてしまったらしい。
耳が弱点だったのか、それとも相手が上条だったからなのか。
あるいはその両方とも原因なのかも知れない。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その2 『耳に触れる』
効果 : 御坂美琴を感じさせられる
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「……え? 『ひゃん』?」
「な、なな、なん、何でもないからっ! 気にしないでっ!」
「そ、そうか? ならいいけど…」

と言いつつも、明らかに何でもなさそうな美琴が気になる上条。
妙に顔が赤いので、もしかしたら風邪でもひいているのではないかと心配する。
なので上条は、左手を自分の額に当て、右手は美琴の額に当てる。

「ん~…? やっぱ、ちょっと熱がないか?」
「んにゃあああ!!!」

熱があるとしたら、それは風邪のせいではないだろう。
と言うか、今の上条の行動で更に悪化させているという事に、上条自身は全く気付く様子がない。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その3 『額に手を当てる』
効果 : 御坂美琴を体温を上昇させられる
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と、そこで上条がふと前を見ると、
対抗方向から自転車がこちらに向かってくるのを確認した。
自転車側【あちら】も避けてはくれるだろうが、万が一の事があってはいけないと、
上条は美琴の肩を抱き、グッと引き寄せる。

「わっ! わわっ!?」

突然密着させられて心の準備も間に合わず、美琴の心臓は飛び上がった。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その4 『肩を寄せる』
効果 : 御坂美琴を「ドキッ!」とさせられる
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肩を寄せた瞬間、淡く甘い香りが上条の鼻をくすぐった。
美琴と密着した事により、彼女の香りが漂ってきたのだ。
上条は肩を寄せたまま、今度は美琴の頭を顔にグッと寄せた。
更にそのまま、スンスンと鼻をひくつかせる。

「……美琴って、すげーいい匂いすんのな。シャンプーとか、いつも何使ってんの?」
「あ、や、その、あ、あの……」

質問された事に対して返事をしたいところだが、状況が状況だけに何も答えられない美琴。
この男は、これを無意識にやってのけているのだから恐ろしい。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その5 『頭を寄せて匂いを嗅ぐ』
効果 : 御坂美琴の「ドキドキ」を継続できる
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「…? まぁ、言いたくないなら別にいいけど」

美琴が口ごもったのを、勝手に「答えたくない」のだと勘違いした上条は、
そのまま深追いするのを止めた。
そして自転車も無事通り過ぎたので、上条は美琴の頭から手を離す。
美琴としては、「ホッとした2割:ちょっと…いや、かなり残念8割」と複雑な心境ではあったが、
ここで更なるサプライズである。

「…? へっ!!? ア、アアアアンタ!!! な、な、何で手とか握ってる訳!!?」

先程まで肩やら頭やらを支えていた上条の右手が、美琴の左手をしっかりと握り締めていたのである。
美琴のテンパり様とは対照的に、上条はさも当たり前の様にアッサリと答えた。

「ん? いやだって、またさっきみたいな事があったら危ないだろ?」
「だ…だからって…こんにゃ…こと……」

美琴は、自分の左手がじんわりと温かくなるのを感じていた。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その6 『手を繋ぐ』
効果 : 御坂美琴の手を温かくさせられる
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だがこんなほのぼのしたまま、あの上条が無事にスーパーへ辿り着ける訳がない。
インデックス曰く(上条はこの時の事を覚えていないが)、
神の加護なども打ち消しているらしい幻想殺しを持つ上条は、つまるところ運が悪いのだ。

「あっ」

と小さく叫んだ上条は、そのまま道の段差につまずいた。
手を繋いでいた、美琴も一緒に道連れにしながら。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの本来の能力 その1 『不幸体質』
効果 : よくつまずいて転ぶ
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美琴と手を繋いだまま地面にぶつかりそうになる刹那、上条の脳裏に浮かんだのは、
「美琴を巻き込む訳にはいかない!」だった。
なので上条は空中で美琴の背中に手を回し、ギュッ!と抱き締める。
せめて自分が美琴のクッションになろうとしての行動だったが、
正直、美琴はそれどころではない。

(にゃあああああああっ!!?)

色んな意味で目を回し、上条を下敷きにして床にぶつかり、その衝撃で二人はゴロンと半回転した。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その7 『抱き締める』
効果 : 御坂美琴の目を回させられる
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「いっつ~! すまん、美琴! 大丈夫…か…?」
「………へ…?」

直接地面とぶつかったのは上条だったが、
その直後に半回転した事によりマウントポジションが変わり、
上条は地面に手をつく形で馬乗りになっていた。美琴の頭にバチバチと帯電音が響きだす。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その8 『床ドン』
効果 : 御坂美琴を帯電させられる
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だが上条は、この危険な状態に、わざとかと思うほどのトドメを刺す。

「うわっ!? ホ、ホントにごめん!」

と慌てて立ち上がろうとしたのだが、地面から離した手は、
どんな物理現象が働いたのかは分からないが、何故か美琴の左胸に不時着した。
上条は死を覚悟したのだった。


◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆   ◇   ◆
幻想殺しの新たな能力 その9 『胸を揉む』
効果 : 御坂美琴を ――― させられる
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その後はまぁ、美琴がいつもの「ふにゃー【アレ】」を盛大にぶちかました。
当然ながら、この後にスーパーに寄れる余裕など無く、冷蔵庫に残った食材で夕ご飯を作ったのだが、
やっぱりインデックスの腹を満たす事はできなかった為、結局は噛み付かれたのだった。


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幻想殺しの本来の能力 その2 『異能を打ち消す』
効果 : 御坂美琴の「ふにゃー」を無効化できる
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上条当麻の天然の能力 『フラグ強化』
効果 : 御坂美琴をいつも「ふにゃー」させる
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