とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

28-062

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匿名ユーザー

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小ネタ ハートにビリビリ❤




よくわかるあらすじ

上条さんがミコっちゃんの頭で下敷きをごしごしごしごししたら、
ミコっちゃんの髪がもわわんとして怒ってバリバリしてきたので、
上条さんが右手でぽすってやって、なおしなおししたら、
ミコっちゃんが顔を赤くしながら頭から煙を出してハートにビリビリ♡だった。


 ◇


「よし。髪、直ったかな」

髪型も整ったので、上条は美琴の頭から手を離す。
上条に頭をなでなでされていた美琴は、上条の手が離れた後も、
余韻が残っているのか「はわわわ」と言いながら小刻みに肩を震わせている。
しかし美琴のその様子を怒りで震えていると勘違いした上条は、

「…何だ、まだ怒ってんのか? 髪ならちゃんと直ったってば」

と鈍感力を遺憾なく発揮した言葉を口に出す。

「そ、そそ、そんにゃんじゃ、にゃい、けど……」

真っ赤になったままの美琴は何とか一言ひねり出すが、やはり顔の熱が引く事はなく、
相変わらず煙を出し続ける。
それが帯電に代わり、バチバチと音を立てるには時間がかからなかった。

「ちょー、御坂っ! またビリビリしそうですよ!?」

上条は慌てて、再び美琴の頭を右手で押さえる。
先程の静電気と違い今回は美琴の漏電【のうりょく】なので、髪が「もわっ」とする事はなかったが、
それはそれとして漏電の被害を広げる訳にはいかないので、幻想殺し【みぎて】で押さえたのだ。
だがそれは勿論、新たに美琴を赤面させる要因になるだけであり、
美琴は背筋をビクンと跳ねさせながら、「みにゃっ!!?」と可愛らしい悲鳴を上げる。

ここに、頭を触る事でビリビリの原因を作り、手を離せばビリビリする。
そしてビリビリを防ぐ為には右手で頭を触らなければならないという、
2828な悪循環が完成してしまった。
おかげで上条は、美琴の頭から手を離せなくなってしまったのだ。

「…はぁ…しゃあねぇな。ちょっとこのままでいるか」
「えっ………ええええええぇぇぇっ!!!?」

仕方がないので、その状態のままベンチに座る上条。
どうやら美琴が落ち着くまで、持久戦に持ち込むようだ。
対する美琴は、落ち着くなどとは程遠いと言わんばかりに大声を出す。
が、上条は気にせず雑談をし始めた。

「そう言えばさ、御坂の能力があれば静電気とか何とかなるもんなんじゃないのか?
 電気なら干渉できるだろ?」
「し、自然発生するものは…ど…どうしようも……にゃい…かりゃ……」
「ふ~ん。そんなもんなのか…」

冷静に受け答えしているつもりの美琴だが、言語中枢に明らかな異常が見られる。
美琴にとって、この状況【あたまなでなで】は、それ程までに破壊力があるという事なのだろう。

「じゃあこれからもコンビニの自動ドアに喋りかける生活を送る訳ですなぁ」
「そっ! その事は忘れてって言ったでしょ!?
 それにあんな事、何度もしてる訳じゃないんだからっ!!!
 あれが通常運転みたいに言わないでよ!!!」

この状況に加え、先程コンビニでやらかした自分の天然行動も掘り返され、羞恥心も2倍である。

「つーか御坂、さっきから顔が真っ赤だけど大丈夫なのか?
 冬なんだし、風邪とか気をつけなきゃダメだぞ」
「かっ、風邪とかじゃないからっ! これは…その……な、何でもないのっ!」

言えない。
「アンタとこんなに密着状態で、しかも頭とか触られてるから」なんて理由、言える訳がない。
だがそんな美琴の「何でもない」という言葉を聞いてか聞かずか、上条は美琴の顔をじっと見つめる。

「はにゃっ!? な、何よ…そんな真面目な顔しちゃって……」
「………」


上条は無言のまま、徐々に顔を近づけてくる。
しかもそれだけでなく、美琴の頭に触れている手をグッと引き寄せてもくるのだ。

「えっ!? えっ!? ちょ、まさか…えええっ!!?」
「……御坂…」
「~~~っ!!!」

上条が「御坂」と呟くのと同時に、美琴は『何か』の覚悟を決めたらしく、『何故か』目を瞑った。
心臓もバックバクである。が、次の瞬間、

「ん~……熱…は無いみたいだな」

上条は自分のおでこと美琴のおでこをくっ付けていた。まぁ、お約束であり様式美であり鉄板である。
普段ならこれでも充分な攻撃力があるのだが、『予想してた事』よりはランクが低い行為なので、
美琴もちょっぴりガッカリ―――

「にゃわわわっ!!! おおお、おでこ! ぴとって! おでこがぴとってええええ!!!」

―――でもなかったらしい。少ないご褒美で満足のできる、燃費の良い娘である。
美琴は自分のおでこに何か(とは言っても上条のおでこだが)が当たった感覚と同時に、
カッと目を見開く。するとそこには、当然ながら上条の顔が間近にある訳だ。
少し顔を動かせば、『予想してた事』ができる程の距離に。

「べあっ!!?」

美琴は目を回しながら、「ぼひゅんっ!」と音を立てて再び煙を出す。

「…おいおい、本当に大丈夫か?」
「……にゃに、よ…アンタが……紛らわしい事…する、から……じゃにゃい…」

その『紛らわしい事』を期待していたのは、どこの誰だと言うのか。
的外れな心配する上条に、美琴はボソボソと小声で返す。

「そ、そうよ…紛らわしいア…アンタが悪い、のよ……思えば春にも『あんな事』したし…」

美琴がここで言う『あんな事』とは、花見の時の事だ。
その場には上条と美琴、そしてインデックスの3名がいたのだが、
美琴の買ってきた桜もちを食べたインデックスが春の暖かい日差しの誘惑に負けてうたたねを始めた。
そして二人っきりになった瞬間に、上条が美琴の肩に顔を乗せてきたのだ。
「べべべ別にイヤってわけじゃあないんだけど、いきなりで心の準備」ができていなかった美琴は、
それはもう見事なまでに、てんやわんやしていた。
しかしながら結局は、上条もうたたねして寄りかかっただけというオチだったのだ。
まぁ、お約束であり様式美であり鉄板である。

「…? あんな事って、どんな事?」

だが勿論、上条はその事を覚えていない。何しろ、うたたねしていたのだから。
なので美琴は、

「っ! わ、分かんなきゃいいわよ…別に…」

と言いながら、プイッと顔を背ける事しかできなかった。
その様子を見て頭にクエスチョンマークを浮かび上がらせた上条だったが、
すぐに「ま、いっか」と切り替える。
もうちょっと長考しろ、と言いたくなるだろうが、考えた所で美琴の心情を察せる訳がない。
インデックスの言葉を借りれば、「だって、とうまはとうまだから」である。

「っと、そろそろ大丈夫かな?」

美琴も落ち着いたようなので、そっと手を離す上条。

「じゃあそろそろ俺、帰るわ。御坂も早めに帰れよ? 風邪が悪化すると良くないからさ」

上条はそう言ってベンチから立ち上がると、そのまま自分の寮へと帰っていった。
美琴は徐々に小さくなっていく上条の背中を見つめながら、

「……だから…風邪じゃないっつの…」

と呟くと、自分の髪をそっと触ってみる。
先程まで上条が優しく触れていたその部分は、じんわりと温かくなっており、
美琴は本日何度目かも分からない赤面をしながら、顔をにやけさせるのだった。

たまには静電気もいいかもね。









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