かおり
「かーちゃき?」
「私ですか? かおり、と呼んでくれたらうれしいです」
「うー……かおり?」
「はい!! ……ふっ、私は一回でしたよ、ステイル」
インデックスを抱いている神裂がドヤ顔したのを、
上条は隣で眺める。
ここは、いつものスーパーからの帰り道だった。
上条は隣で眺める。
ここは、いつものスーパーからの帰り道だった。
だが、いつもとは違う、
隣に立つ人が変わるだけで、
世界が、全く違う物に見える。
隣に立つ人が変わるだけで、
世界が、全く違う物に見える。
「あう? う? かおり、まーま?」
「まんま? ご飯でしょうか? 帰ってからですよ、御坂へのお礼も兼ねて今日は豪勢にしましょう!!」
その単語が引っかかる。
御坂。
なぜだかわからない。
しかし、上条の足が、自然に、止まった。
しかし、上条の足が、自然に、止まった。
「? どうされました?」
「あ、か、神裂。悪い、忘れ物したみたいだ。先に行っててくれ」
「え? はい、わかりました」
上条は家路と逆に進む。
「……ぱーぱ?」
「ぱっぱ? 早く帰りたいと? わかりました、少し早歩きになりましょうか」
少しずつ、上条と神裂の距離は離れていった。
とあるおしゃれなレストランにて、
美琴は、それはもう不機嫌な顔をしていた。
美琴は、それはもう不機嫌な顔をしていた。
(あー腹が立つ!
なんに腹が立ってるのかわからないけど腹が立つ!
なんでわたしがインデックスや当麻と離れなくちゃいけないのよ!!
……まてまて、そもそもあの子はライバルだったはずでしょ?
情が移ったら……ってなんのライバルよ!
神裂さんは相も変わらずえろい格好だし、
なに? そんなに見せつけたいわけ??
そんなにおっきいのが好きかコラー―!!
そうよ! 当麻が全部悪いのよ!!
なによ神裂さんにでれでれしちゃって
どーせわたしがいなくてせーせーしてんでしょ
今頃当麻たちは、きっと楽しい時間をすごしてるんでしょーね!!
当麻なんか
『ようやく二人だけになれたね』
とかいって
『そうですね、寂しかったんですよ』
なーんて神裂さんも言って
『大丈夫、これからは離れないさ』
とか
『でも、御坂に悪いです』
とか言いつつも
『あんなぺったんこどうでもいいさ、俺には神裂がいる』
『うれしいです、上条当麻』
『神裂、いや……火織、見たこともないような表情だな、もっとオレだけにお前のいろいろな表情を見せてくれ』
『と、うま……』
こうして3人は中国を横断、神秘の泉で当麻のためだけの大和撫子七変化!!?」
「「……み、御坂様……」」
「……御坂さん、その、とんでもなく視線が集まっていまして、
もう少し、音量を下げていただけたら助かりますわ」
もう少し、音量を下げていただけたら助かりますわ」
テーブルマナーは家に忘れて来たらしい。
上条は来た道を戻る。
それは、スーパーへと続く道で、
最近、がらっと状況が変わった風景だった。
それは、スーパーへと続く道で、
最近、がらっと状況が変わった風景だった。
『いーじゃん、買い物にいくらつかっても。
いいもののほうが美味しいものつくれるしさー、インデックスもそう思うわよね?』
いいもののほうが美味しいものつくれるしさー、インデックスもそう思うわよね?』
『ぶー、だっ』
『あれ? 四面楚歌??』
例えばあそこのペットショップだ
『か、かわいーーー!!』
『おーい、もう時間ないぞー』
『かわいーーー!!』
『聞けよ』
『あぶー』
『……もちろん、インデックスもかわいいよ』
『あい!!』
『なんだそりゃ?』
だいたいそこで30分くらい時間を無駄にする。
しかし障害はそれだけじゃない。
しかし障害はそれだけじゃない。
『うー暑い』
『そんなことわかってらい、いちいちいうな』
『でもさー』
『うぶー』
『ほらー、インデックスも顔がデフォルメされちゃってるわよ』
『もとからだろうが。どうしようもないんだから我慢しなさい』
『あー! あんなところに偶然にアイス屋が!!』
『あーす!!』
『いつも通る道だから、あそこにあるのは知ってるだろ、無駄遣いは許しません』
『ケチ!!』
『ちー!!』
『ダメなものはダメ!!』
結局3回に1回は寄ることになる。
そして、最近まで気づかなかったが、オモチャ屋も道中にあった。
そして、最近まで気づかなかったが、オモチャ屋も道中にあった。
『どれがいい? インデックス?』
『こらこらあんまり甘やかすなよ』
『だってかわいいんだもん』
『……わからなくもないが』
『わかる!!? このくまちゃんのつぶらな瞳!!!』
『そっちかよ!!』
(だいたい、特売はギリギリの時間になるんだよな……)
上条の手にはその時のくまのぬいぐるみが握られていた。
「……今日は余裕で特売に間に合ったな」
暫く、そのぬいぐるみを握っていた上条。
彼は一瞬目をつぶると、棚にもど
そうと思ったが、その隣のぬいぐるみの山を見て上条は固まった。
見覚えのある青髪の顔がぬいぐるみの山の中にある。
体はぬいぐるみで埋まっているようだ。
目があってしまった。
ほっといてもいいのだろうが、
この後に誰かが酷い目にあうのはよろしくない。
しぶしぶ声をかける。
彼は一瞬目をつぶると、棚にもど
そうと思ったが、その隣のぬいぐるみの山を見て上条は固まった。
見覚えのある青髪の顔がぬいぐるみの山の中にある。
体はぬいぐるみで埋まっているようだ。
目があってしまった。
ほっといてもいいのだろうが、
この後に誰かが酷い目にあうのはよろしくない。
しぶしぶ声をかける。
「なにやってんだよ?」
「……カミやん、ちょっと離れてくれへん?
今、『きゃーかわいーーー!!』って言いながらボクを手に取る女の子を待ってんねん」
今、『きゃーかわいーーー!!』って言いながらボクを手に取る女の子を待ってんねん」
「……それは悪かった、そんな青春の無駄遣い方法知らなかったから」
できるだけ早めに距離を起きたい。
そうしないと
そうしないと
「なにやってんのよ、あんたたち」
こうやってひとくくりにされてしまうのだ。
「一緒にすんな!!」
「せやせや、カミやんと一緒にされるとは心外にもほどがあるで!!」
なにも語らず、拳を繰り出す上条と迎え撃つ青髪。
それを ふん!! という声を放ち、暴力で治めたのは、声をかけた少女だった。
それを ふん!! という声を放ち、暴力で治めたのは、声をかけた少女だった。
「いてて、なにすんだよ吹寄」
「あんたたちがお店に迷惑をかけそうだったから止めたんじゃない」
すぐ頭に血をのぼらせるのはカルシウム不足だから飲め、と押し付けられたヘンテコサプリを丁重に押し返す。
「まさか、夏休みでも吹寄から頭突きもらうとは思わんかったわ」
「まったくだ、なんでこんなとこいんだ?」
お前に全然似合わない場所だけど?
という上条の言葉にグーで答える吹寄。
きれいに顔面にはいった。
という上条の言葉にグーで答える吹寄。
きれいに顔面にはいった。
「私はたまたま合流したから着いてきただけ」
吹寄が肩越しに後ろを見る。
つられてそちらに目を向けると
そこに、見慣れた人がいた
つられてそちらに目を向けると
そこに、見慣れた人がいた
「お、姫神」
「何故。今まで気付かれない」