とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

Part50

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匿名ユーザー

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ぱぱ


昼間だろうが、闇は存在する。
例えば、地下、閉鎖された工場や研究所、トラックの荷台。
いや、そんなものはなくとも、高い建物に囲まれた路地裏には、日光が届かず闇が蠢く。

「なぁ、頼むよ~。俺達金ねーのよ~」

スキルアウトとも呼べないような不良が、誰かを囲んでいた。

「ちょっと借りるだけだってー。……500年後に返すって」

ギャハハハハと汚なく笑う集団の中に、とある少年は入り込んでいく。

「どーもー、連れがお世話になりましたー」

囲まれていた人の手を掴み、
ハハハハと笑いながらツンツン頭の少年、
上条当麻はそのまま逃げようとしたのだが、

「ん? 君は誰だ?」

「は?」

時間が、止まる。

「ちょっとアンタ!! 知り合いのフリして連れ出す作戦が台無しじゃねぇか!!」

「ん? なんだ、そうだったのか。悪かったなはっはっは!!」

「はっはっはじゃねーよ!!……あ」

ふと気づくと
しばらく傍観していた不良達が、機嫌悪そうに近づいてきた。

「ぐっ……」

上条はちょんちょん、と肩を指でつつかれる。
助けようとした男が耳元でささやいた。

「右の痩せた男だ」

そして、

「ぬぐぁ!!」

上条とその男は同時に痩せた不良にタックルし、そのまま囲みを突破。
不良達はあわてて低レベルながらも、攻撃を繰り出す。

「おお、流石学園都市」

「余裕か!!? ぬぅぉおおお!! 髪が少し焦げた!!」

「鉄砲玉の嵐よりはだいぶマシだからなー」

「なんでオレが知り合う連中はどいつもこいつも平和な世界にいきてないのよもーー!!」


ベランダにタオルがはためく。

「ふふふん、ふっふふん、ふっふっふーん♪ ……よし、完了!!」

洗濯は一段落ついたようである。
最初はわたわたしていた上条の洗濯物にも慣れた。

「さて、今日こそ気絶せずに当麻の分も洗うぞ!! エイエイオーー!!」

嘘じゃないんです、慣れてこれなんです。
部屋に戻るとインデックスがケロヨンとピョン子で遊んでいた

「どーだゃぁぶ、どぅっでーだよー!!」

オモチャのテーブルと椅子もあるし、おままごとかな?

「だう!! だぁ!!ぢゃるぶい!! ぶぶぶぶぶぶ!!」

ん?

「ぱーん!! ぶっぶーよ!!だぅだ!!」

(な、なんか叫んだピョン子がなにかをぶぶぶって出して、ケロヨンがそれを打ち消したように見えたけど……)

ケンカはインデックスの見てないとこで今度からやろう。
そこで、ピンポーンと玄関のベルが鳴った。


眼鏡をクイッと上げる。
寮監は、もう一度ベルを押した。
後ろには、佐天と初春が着いてきている。
あ、いや、白井もいるけど、意識がない。
初春よ、もう少し優しくひきずってやってはくれまいか?

「で、出ませんね?」

「い、いないんじゃないですか?」

「ふむ、白井が吐いてくれたらよかったんだがな」

最後まで彼女はこの場所を寮監に教えなかった。
しぶしぶ学校まで戻って住所録を確認するはめになったのである。
上条と美琴の不幸もしくは上条と美琴の幸福、
白井が寮監に言うかどうかが分かれ道だったが、血の涙を流しながら美琴の幸福を選んだ。

「見事だ、白井」

「えーと、なんで私たちも行動をともにしてるんでしょう?」

こくこくと、佐天も頷く。

「こういうものは奇襲……もとい抜き打ちであることに意味がある。君たちが彼女に報告してしまっては台無しだ」

あ、よまれてーら。
悔し涙を流す。

「すまんが、もうしばらく付き合ってくれ。後程お詫びになにかご馳走しよう」

「「やったーーー!!」」

変わり身はえーな!!
そんな時、隣のドアが開いた。
絶賛ニート芳川さん登場。

「あら? 確か、初春さんと佐天さん、だったかしら?」

「えーっと、よし、かわさん?」

「御坂さんはついさっき出かけたけど?」

芳川が先日の写真を届けにお邪魔したとき、
届いたメールを見てドタバタと出て行ったらしい。

「そうですか、すみませんが、ここには御坂の他に誰か住んでいませんか?」

見知らぬ女性のその問いに、キョトンとする芳川だが、
問いを放った女性の後ろで、必死にジェスチャーする中2女子×2の思いを汲み取ると微笑んだ。

「ごめんなさい、少なくとも私が見たのは御坂さんだけ。他にいたとしても、ここ防音がしっかりされてるからわからないわ」

「そうですか、ありがとうございます」

そういって、彼女達は去っていった。

「……ふぅ、私って本当に甘いわね」


上条はレストランにいた。
ちょっとカタギじゃないっぽい男性を助けたら、お礼に食事に誘われた。
美琴には経緯をメールしたので、昼食を余分に準備することもないだろう。

「なんかすみません」

「いやいや、こっちも巻き込んで悪かった」

彼、御坂旅掛の目的を考えればとんでもない状況なのだが、

((ん~、自己紹介のタイミングを逃した))

互いに相手の正体にきづいていない。

「わざわざ学園都市になにしに来たんです?」

「ん? 実はな、娘がオレの知らない男と同棲しているらしい」

「な、なんですと?」

『パパ、ごめん、実はもうステイルと同棲してるんだよ』

『もうこの子が帰る場所はお前のところじゃないよ』

「それは、許せませんな!!」

「だろ!! 潰してやりたいと思っても仕方ないだろ!!」

「はい!! 上半身と下半身に離婚してもらいましょうや!!」

いや、それってフレn……
っつーか自分の体のことでっせカミやん?

「しかし、どうして君はそんなに熱くなってくれるんだ?」

「あー、実は女の子の赤ちゃんを預かってまして」

「感情移入したのか。しかし、1人で育児とは大変だな」

「いや、成り行きで、その、知り合いの女の子とも同居してまして」

「おっ!! 恋人か!!?」

「あ、いや、最初はそんなつもりなかったんですけど、一緒に暮らしていくうちにーですね」

「だんだん惹かれていった、と。手は出したの?」

いや、アンタの娘でっせ?

「そ、そんなの無理ッス!!」

「はぁ、シャイだねぇ、男はガンガンいかないとさぁ。ま、応援してるよ」

いや、え? いいの?

「オレも応援してます。娘さんをたぶらかしたやつをギッタンギッタンにしちゃってください!!」

いや、え? いいの?

「もちろんだ!! あー、いいなぁ、君みたいな男の子も欲しかったなぁー」

応援し続けたらできまっせ?

「へたしたら娘をたぶらかしたバカ野郎が息子になりますよ。なんとか娘さんの目を覚まさせないと!!」

そうだねバカ野郎。

「よし、戦の前の腹ごなしだな!!」

「「いっただっきまーす」」


「ごちそうさまでした」

「ごちゃしゃまーた!!」

美琴はとあるレストランを出る。
この前買ったゲコ太カーにインデックスを乗せ歩いていた。

「当麻が人助けして食事に誘われたんだってさ、インデックス」

「あい!!」

「きっと、また、女よ」

「う?」

「昼御飯がわりに100万アンペア食らわしたるわ!!」

1時間前の決意はどこへやら、
怒れる雷神が降臨した。










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