1!2!1!2!
「位置について!!」
上条と美琴は急遽二人三脚をすることになった。
とはいえ、両片想い、思春期真っ只中の純情まっしぐらな2人である。
肩を組むだけでいっぱいいっぱいだ。
とはいえ、両片想い、思春期真っ只中の純情まっしぐらな2人である。
肩を組むだけでいっぱいいっぱいだ。
(ぎ、ぎゃ~~~!! 抱いてる!! 当麻がわたしの肩を抱いてる!! なにこれ幸せ!! ど、どうしよう!!? わたし汗臭くない?? 顔赤くない?? ドキドキ震えてるのばれてない!!??)
(ぎ、ぎゃ~~~!! み、美琴柔らかい!! び、微妙に脇にあ、当たって……!! だ、大丈夫か?? 汗臭くないか??心臓の音聞こえたり、顔が赤いのバレてないよな??)
こんな感じで。
「よーい……!!」
頬が赤い。
体が熱い。
呼吸ができない。
心臓がうるさい。
頭が回らない。
足に力が入らない。
隣の、ぬくもりが、ここちよい。
体が熱い。
呼吸ができない。
心臓がうるさい。
頭が回らない。
足に力が入らない。
隣の、ぬくもりが、ここちよい。
「ドン!!」
敵の白組が3組、味方の赤組が2組、
自分たちの横から一斉に飛び出す。
自分たちの横から一斉に飛び出す。
「な、なにやってるぜよ!! 早く走れ!!」
「お、お、お姉さまがあんなふにゃふにゃな顔に!!…………あの類人猿がぁぁぁあああああ!!」
「…………当麻さん…………」
「美琴ちゃん!! 当麻くん!! がんばれー!!」
「こら!! さっさと走れ!!上条!!」
応援なのか、ヤジなのかわからない言葉が耳に入る。
「なんでや!! なんでカミやんばっかりいい思いしてんねん!!?」
「御坂さん!! 転んで!! そんで上条さんにジコチューしてください!!」
「…………当麻…………」
勘弁して欲しい。
心臓は現在オーバーワークなのだ。
労働基準法違反なんです。
ドキドキバクバクいってて、これ以上動かないのよ!!
心臓は現在オーバーワークなのだ。
労働基準法違反なんです。
ドキドキバクバクいってて、これ以上動かないのよ!!
「上条くんと。御坂さんが。仲良く。二人っきりで。うぅ。グスッ」
「はっはっはっ!! 上条くん!! もう少ししっかり娘をエスコートしてくれ!!」
「御坂さん!! 上条さん!!頑張ってくださーーい!!」
2人には全然聞こえていない。
もういっぱいいっぱいだってばよ。
上条はアウアウ言い出したし、
美琴はふにゃふにゃ変な声で鳴き始めた。
もういっぱいいっぱいだってばよ。
上条はアウアウ言い出したし、
美琴はふにゃふにゃ変な声で鳴き始めた。
(……みょ、みょう、だめぇ)
しかし、
「いーー!! にーー!! いーー!! にーー!!」
そのたどたどしい声が、
「まぁま!!ぱぁぱ!! がんがれぇぇぇえええええ!!!!!」
美琴の耳に、届いた。
熱が冷める。
視界が広がる
一方で雑音が消える。
視界が広がる
一方で雑音が消える。
(あの子が……)
全身に力が入る。
隣を見ると、
隣を見ると、
(わたしたちを見てる!!)
上条の視線が、
力強く、
微笑んでいた。
力強く、
微笑んでいた。
(あの子の前で……)
手でがっしり上条の背を掴む。
上条の手が肩を掴んだのがわかる。
なんの掛け声もなく、
上条の手が肩を掴んだのがわかる。
なんの掛け声もなく、
(情けない姿をさらせるかぁぁぁあああああ!!)
2人は同時に大地を蹴る。
会場から音が、消えた。
周囲の表情が驚きに染まる。
しばらく、歓声もかき消される。
それほど、
周囲の表情が驚きに染まる。
しばらく、歓声もかき消される。
それほど、
2人は、
速い。
「まぁま!! ぱぁぱ!! がんがれーー!!」
味方の赤組を追い抜く。
ギョッとしていたが、知ったことではない。
ようやく先頭を走る白組3チームが後方の異常に気付いた。
あわてて能力を使って妨害を試みる。
が、
ギョッとしていたが、知ったことではない。
ようやく先頭を走る白組3チームが後方の異常に気付いた。
あわてて能力を使って妨害を試みる。
が、
「「無駄!!!!!!!!!!」」
幻想殺し、超電磁砲の前に、
時間稼ぎにすらならなかった。
時間稼ぎにすらならなかった。
あっけにとられていた解説が慌てて叫ぶ。
「ゴーーーーール!!!」
スタートで半分以上あった差が、
覆されると誰も思ってなかった。
覆されると誰も思ってなかった。
「美琴」
息を調える美琴に声をかけたのは、
もちろん共に走ったパートナー。
奴はもう息が切れていない。
少し悔しいが、さすがだなという感情が先立つ。
よくよく見ると、彼は片手を挙げていた。
微笑み、
もちろん共に走ったパートナー。
奴はもう息が切れていない。
少し悔しいが、さすがだなという感情が先立つ。
よくよく見ると、彼は片手を挙げていた。
微笑み、
パァンと自分の手のひらをぶつけ、音をならす。
そのとき、可愛く声がかけられた。
「まぁま!! ぱぁぱ!!」
振り返ると、先程まで一緒にいたみんながいた。
美琴達はインデックス以外が呆然としていることに気付いていない。
周りを無視してインデックスを抱っこした。
美琴達はインデックス以外が呆然としていることに気付いていない。
周りを無視してインデックスを抱っこした。
「インデックス!! ママ頑張ったよー!!」
「まぁま、ぱぁぱ、ごーう!!」
「そうそう!! 一番でゴールしたの!!」
「いーば!! ごーう!!」
「ぱぱも頑張ったんだけど?」
「ぱぁぱ!! りこー」
「ありがとなインデックス。なんか適当に褒められた気もするけど」
「次は当麻の綱引きだっけ? 頑張って」
「おう、任せとけ‼」
その後は怒涛の快進撃だった。
上条と美琴が前線に立ち、皆を引っ張る。
2人のどちらかが出る競技では必ず赤組が勝利。
上条の高校はいままでで一番の好成績を残し、
常磐台は長点上機、霧ヶ丘等を下して頂点に立った。
美琴は中学3年で有終の美を飾ったのである。
上条と美琴が前線に立ち、皆を引っ張る。
2人のどちらかが出る競技では必ず赤組が勝利。
上条の高校はいままでで一番の好成績を残し、
常磐台は長点上機、霧ヶ丘等を下して頂点に立った。
美琴は中学3年で有終の美を飾ったのである。
その成功の背景として、
2人の競技では、必ず言葉足らずな応援があったことは、一部にしか知られていない。
2人の競技では、必ず言葉足らずな応援があったことは、一部にしか知られていない。
そして、
「もう!! どこ行ったんですか!!? 御坂さん!!」
「フォークダンス始まっちゃいますよ!!?」
「せっかくフォークダンスの後のデートコースをピックアッ…………いたぁ!!」
「さすがです佐天さ「何をやっておりますの?」え? 白井さ」シュン
「初春ーーー!! …………あー白井さん、 初春をどこにやったんですか?」
「どこって、問題ありませんの。ちょっとここでは言えない場所に飛ばしただけですわ」
「どこが問題な…………し、白井さん、そこまで御坂さんと上条さんの邪魔をしたいんですか!!?」
「…………今回に限っては逆ですの」
「逆??…………あ、ちょストッ」シュン
「ふぅ」
白井はため息をつき、
振り返ると、
そっと微笑んで消えた。
振り返ると、
そっと微笑んで消えた。
別の場所で刀夜は詩菜の手を握る。
「……………………刀夜さん……」
「大丈夫だよ、母さん」
「そうですよ!! 上条さん」
「うちの娘とアンタ達の息子の息はぴったりだったじゃないか。心配しなくてもあの2人なら大丈夫だ」
その背後、屋台をまわる影が4つ。
「次は。あの焼きそばパン」
「ひ、姫神、ちょっと待ってほしいぜい」
「せやせや、確かにみんなでなんか奢るって言ったけど、ちょっと、量が…………」
「姫神さん、そのー、食べ過ぎはあんまり体に、よくないんじゃないかしら?」
「きっと。失恋のストレスの方が体に悪い。その上。見せつけられたら。どうすればいいかわからないし。やけ食い。仕方ないとは思わない?」
…………。
「だにゃー」「やね」「そうね」
そして、彼らの視線の先。
3人はベンチに座っていた。
3人はベンチに座っていた。
「だう!!」
「ん? フォークダンスね」
「いーにー?」
美琴の膝の上で、
インデックスは一生懸命指をさす。
答えたのは上条。
インデックスは一生懸命指をさす。
答えたのは上条。
「ん? あぁ、あれも1、2だな」
「いーにーいーにー♪」
「お気に入りですね」
美琴はインデックスの足を動かす。
「1、2、1、2」
「うー……あい!!」
「ゴール!! インデックス選手1番でゴールしました!!」
ばんざいをしたインデックスを、
拍手する美琴。
急に膝が軽くなる。
拍手する美琴。
急に膝が軽くなる。
「1番でゴールしたインデックス選手はパパが高い高いでお祝いでーす!!」
上条がいつのまにか立ち上がり、
インデックスを高い高いする。
きゃいきゃいはしゃぐインデックスを見て、
美琴は、やさしく微笑んだ。
インデックスを高い高いする。
きゃいきゃいはしゃぐインデックスを見て、
美琴は、やさしく微笑んだ。
「まぁま!!!!!」
目が覚めた。
ソファーで眠ってしまっていたようだ。
隣に座っていた上条も同様のようである。
ごしごしと目をこすってあくびしていた。
ソファーで眠ってしまっていたようだ。
隣に座っていた上条も同様のようである。
ごしごしと目をこすってあくびしていた。
キョロキョロと自分を呼ぶ声の主を探す。
少し離れたところにその姿を捉え、
少し離れたところにその姿を捉え、
眠気が一瞬で消えた。
インデックスが、なんにも掴まらずに立っている。
足はプルプル震え、今にも倒れそうだ。
足はプルプル震え、今にも倒れそうだ。
息が、止まった。
上条と美琴は慌てて駆け寄ろうとする。
しかし、途中で2人は動けなくなった。
しかし、途中で2人は動けなくなった。
「ぱ、ぱぁぱ。まぁ……ま……」
彼女のその小さな足が、1歩進んだように見えた。
「い、いー……に、にぃ……」
ぎこちない動きで、
その小さい足を前に出す。
1、2という声が口から漏れるたびに、
数㎝前に進む。
美琴はその場で膝をつき、手を広げた。
その小さい足を前に出す。
1、2という声が口から漏れるたびに、
数㎝前に進む。
美琴はその場で膝をつき、手を広げた。
それしか、できなかった。
少しずつ、少しずつインデックスが進む。
3分の1の距離を残して、
彼女は一度立ち止まった。
まま、ぱぱ、と呼び、
満面の笑みを浮かべる赤ちゃんに、美琴達はかける言葉を見つけられない。
3分の1の距離を残して、
彼女は一度立ち止まった。
まま、ぱぱ、と呼び、
満面の笑みを浮かべる赤ちゃんに、美琴達はかける言葉を見つけられない。
再び正面を向いた銀髪の少女は、
数秒かけて最後まで自力で歩ききり、
母の温もりに包まれた。
数秒かけて最後まで自力で歩ききり、
母の温もりに包まれた。
美琴は、ただ、抱きしめる。
ようやく、
ようやく、
「……インデックス」
とだけ、言葉が出た。
インデックスはその言葉に対し、
まぁまと笑顔で返す。
インデックスはその言葉に対し、
まぁまと笑顔で返す。
上条もまた、言葉を失っていた。
おずおずとその右手をインデックスの頭に伸ばす。
しかし、ぴくりと、手が震えて止まった。
おずおずとその右手をインデックスの頭に伸ばす。
しかし、ぴくりと、手が震えて止まった。
(…………)
何かにおびえた上条は、ふと視線を感じる。
あの子が、美琴の肩越しにこちらを見つめ、
ぱぁぱと自分を呼び、微笑んでいた。
その光に助けられて、
ようやく父は、少女の頭を撫でて、称えることができた。
あの子が、美琴の肩越しにこちらを見つめ、
ぱぁぱと自分を呼び、微笑んでいた。
その光に助けられて、
ようやく父は、少女の頭を撫でて、称えることができた。
しばらくそのまま上条達に言葉はなかった。
おまけ!!
「うぉい!! オレたちの出番はどうなってんだ!!」
ふざけんじゃねーぞ作者!! と叫ぶのは、戦神トール。
あー、ごめんね、忘れ……いや、出番あったんだよ!! 描写されてないだけで。
あー、ごめんね、忘れ……いや、出番あったんだよ!! 描写されてないだけで。
「……今、記憶を植え付けられた気がするが、とにかく出番がなければ私たちライバル役も動けないだろうが」
「おーい、オティヌス、メタ発言やめろよ、やる気でないだろ」
そんなぼやきを呟きながら、視線を動かすと、
上条、美琴、インデックスの3人がトールの視界に入った。
上条、美琴、インデックスの3人がトールの視界に入った。
「よっしゃー!! 見つけたぞ!! ミコっちゃ「待て!!!」……なんだよ?」
「今までの過去を振り返ってみろ。おまけの前半部分の役割は何だ?」
「あん? うーん…………はっ!!? アウレオルス!!?」
「そうだ、奴をボコすことがこのテリトリーの役割だ」
「そ、それがなんだって……」
「ゆえに、ここで私たちが人間たちに声をかけようとすると、奴が邪魔に入る」
「それでアイツをオレたちがボコってオチか」
「私は当然それでは不服だ」
「じゃあどうすんだよ?」
「ゆえに先手を打っておく」
「先手?」
ちなみに、アウレオルスはこの前の競技中流れ弾に当たり瀕死の重体だ。
「……この一文を加える」
「おい、自由すぎだろ?」
「今まで忘れられていたんだ。これぐらいやれ、作者」
「……まぁ、いっか。では改めて、お~い!!!! ミコっちゃーーーーん!! 上条クーン!!!!!!」
ウオッ!!トールジャネーカ!! アトオティヌスモナニシテンノ?
ナッ!!オティヌス!! アトアイカワラズアンタハナレナレシイワネ!!
ダブ?
ナッ!!オティヌス!! アトアイカワラズアンタハナレナレシイワネ!!
ダブ?
ちなみに、アウレオルスはこの前の競技中流れ弾に当たり瀕死の重体だ。
「あ、唖然。な、なぜか、とんでもない、理不尽に、あった、気が、す、る」ガクッ
おまけ!!
月明かりの下、二人は帰っていた。
御坂家とは途中で別れた。
どこかで食事をするらしい。
御坂家とは途中で別れた。
どこかで食事をするらしい。
「……刀夜さん」
「……なんだい?」
「……親は無くとも子は育つのですね」
「母さん……」
刀夜は詩菜の手をやさしく掴んだ。
「大丈夫です。そんな意味で言っているのではないんですよ」
「…………」
「あの子を、学園都市に入れてよかった……」
妙に月明かりがきれいな夜だった。