とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

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匿名ユーザー

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第二十三話 だってチューしたいんだもん

編注:「前回」は存在しません。



前回までのあらすじ



土御門「カミやん、第三位と付き合ってもう半年だろ? キスくらいしたらどうかにゃー?」
食蜂「ぷークスクス! 御坂さん、上条さんから倦怠力満載で飽きられてるんじゃなぁい?」
婚后「こここ恋のお悩みならば、ひゃ、ひゃ百戦錬磨の婚后光子にお任せくださいなっ!」
一方通行「クソ、どォなってやンだァ!? テメェは俺が殺した筈だろォがよ木原ァァァ!」
小萌「いいですか、上条ちゃん。女性に恥をかかせるものではありませんよ?」
インデックス「とうまはやっぱりとうまだから仕方ないと思うんだよ」
上条「美琴…ちょっと目を瞑っててくれないか…?」
美琴「えっ? こ、こうかしら…? …………っ!!!??!?!!?」
佐天「って、それ思いっきりキスされてるじゃないですかっ!」
吹寄「主文。被告人・上条当麻を死刑に処す」


 ◇


「はぁ~…」

美琴は自分のベッドの上で横になりながら、先日のデートを思い出していた。
デートの帰り際、ふいに上条に呼び止められ、彼に言われるがままに目を瞑った。
そして次の瞬間に美琴が唇に感じたあの柔らかい感触が、今でもまだ残っているのである。
美琴は指でスッと唇をなぞり、ウットリと天井を見つめたまま、一言漏らす。

「やっぱり…キス、しちゃったのよね………って、うわああああぁぁぁぁ~~~!!!」

自分で確認しておきながら、改めて自覚すると恥ずかしくなってしまい、
美琴はフカフカ枕をギュッと抱き締めると、そのままゴロゴロと転がり始めた。
こんな姿、今は風紀委員の仕事で部屋を留守にしているが、
ルームメイトの白井には見せられないだろう。
ただでさえ彼女は、美琴と上条が付き合い始めてから真っ白になっているというのに。

「はぁ…」

ひとしきり転がった【あばれた】美琴は、再び横になって上を見上げる。
そして再び唇を指でなぞりながら、こんな事を思っていた。

(また…キスしたいなぁ…)

一度しただけで相当ハマってしまったようである。どんだけ気持ち良かったのか。
そんな事を考えつつ何気なくテレビに目を向けると、
つけっ放しだったワイドショー番組は、いつの間にか古い洋画に変わっていた。
どうやら前の番組【ワイドショー】が終わって次の番組【えいが】が始まった事にも気付かない程、
真剣にゴロゴロ(?)していたらしい。

(映画とか途中から観てもアレだし、チャンネル変えよ)

美琴は横になったまま、テレビに向かって能力を行使しようとする。
ちなみにリモコンを使わず能力でテレビに干渉するのは、単純にリモコンが手の届く所になく、
尚且つ今の美琴は家ダラモードになっている為、動くのが面倒だからだ。
しかし結局、美琴は能力を使ってチャンネルを変える事はなかった。
変えようした次の瞬間に流れてきた、映画のワンシーンに釘付けになってしまったのだ。

(っ!!! しゅ、しゅごい…きゃも!)

それは洋画によくある、「ここ本当に必要か?」と思うくらいの激しいベッドシーンだった。
家族だんらん中に流れると急激に気まずくなる、アレである。
今まではこんなシーン観ても何ともなかった美琴だが、なまじキスの味を覚えてしまったが為に、
その濃厚なディープキスに心ときめいてしまったのだ。一回しかキスしてないクセに。

(こんな、キス……も、もも、もしアイツとしちゃったら…
 わ、わ、私どうなっちゃうの!? ねぇ、どうなっちゃうのっ!!?)

知らんがな。


 ◇


その日、美琴がデート中ずっと気持ちがうわの空だった事に、
上条は思う所があるのか、じっとりと嫌な汗をかいていた。
恋人繋ぎしている右手にも、思わずギュッと力が入ってしまう。

(う~…! やっぱ、この前キスしたこと怒ってるんですかね!?
 いや、まぁ確かに急だったけど、何かいい雰囲気だったし
 上条さんだってお年頃な訳で、そろそろかな~とか色々と考えてですね!)

言い訳なのに何故か心の中で済ませようとする上条。
念話能力者でもあるまいし、美琴に伝わってほしいのかほしくないのか。
とまぁ上条がそんな事を考えている一方で、うわの空だった当の本人【みこと】はと言えば。

(たいチューしたいチューしたいチューしたいチューしたいチューしたいチューしたいチュ)

先日に観た映画のベッドシーンを、頭の中で何度も再生させていた。
映画の中の男優と女優を、ご丁寧にも上条と自分で置き換えながら。
しかしツンデレ時代が長かった美琴は、
無事に好きな人【かみじょう】とお付き合いが出来るようになった現在でも、
その頃【ツンデレ】のクセは抜けきっておらず、思いっきり葛藤してしまう。

(でででも、私から『チューして?』なんて言うのは…は…恥ずかしいし!
 それに当麻にエッチな女の子だって思われたくないし……あぁでもチューしたい~!)

知らんがな。
ちなみに美琴は普段、上条の事を『アンタ』だの『あの馬鹿』だと呼んでいるが、
心の中ではしっかりと『当麻』と言っていたりする。これは恋人となって一番の大きな変化である。
あくまでも美琴の心の中では、であるが。
だがそんな事になっているとは露知らぬ上条は、意を決してキスしてしまった事を謝ろうとする。

「あ…あのさ、美琴……こ…この前その、キ、キスし―――」
「はっ! ひゃひゃひゃひゃいっ!!!」

『キス』という単語を聞いただけで、過剰に反応してしまう美琴。
内心では「もう一回しようとかそんな流れっ!!?」と小躍りしている所だろう。
しかし次に上条の口から出てきた言葉は、美琴が望んでいるそれとは180度違うものだった。

「―――キ、キスしちまった、だろ…?
 えっと…美琴が嫌…だったんなら、もうしない…からさ。き、機嫌を直」
「イヤっ!!!」

再び食い気味に割って入ってくる美琴。
この流れは、恥ずかしいから言えないとか言っている場合ではない感じだ。

「あ、ああ、うん。だから嫌ならもうしないから」
「違うそっちの意味じゃないっ!!!
 もう馬鹿っ!!! 全然私の事分かってくれてないじゃないっ!!!」

美琴は思わず声を荒げてしまった。このまますれ違ってしまうなんて耐えられなかったのだ。
…何だか妙にシリアス風味な空気を醸し出してはいるが、
要はキスするしないでケンカしてるだけなので、いっそ爆発してしまえばいいと思う。


「私はね! アンタとキッ! ……キ…ス…した時! すっごい気持ち良かったんだから!
 むしろいっぱいしてほしいと思ってるし! 何だったら!
 も、もももっと激しいヤツとかしてくれちゃっても全然いいかもくらいに思ってんのよ!」

大声で何を言っているのかこの娘は。
美琴は気付けば内に秘めていた思いの丈を、存分に吐き出し、そしてぶつけてしまっていた。
勢い余ってツンデレを凌駕してしまったとかそんな感じっぽいけどどうなんだろうこれ。
そしてその思いを知ってしまった上条は、顔を真っ赤にしながら聞き返す。

「も…もっと激しいヤツって…?」
「だっ! だからあのアレよ! そ、その……つつ、つまり…ベ…ベロチュ……ってのを…」

勢いで言ってしまった美琴だったが、改めて確認されるとやはり恥ずかしくなってくる。
上条と同様、顔が真っ赤になってしまった。
もっとも美琴は付き合う以前から、しょっちゅう赤面していたけども。
しかし女の子にここまでさせて、肝心の上条が何もしないでは男が廃る。
上条は握ったままの手(ここまでずっと恋人繋ぎを持続させていたらしい)をグイッと引っ張り、
何か表情をキリッとさせて、自分で考えられる一番のイケメン顔を作り出す。

「……い…いいんだな…? 上条さんだって男だって事…分かってて言ってるんだよな?」

すると美琴は、赤くしたままの顔で小さく頷く。
そのサインを合図に、上条は美琴の腕を引っ張ったまま、ひと気の無い路地裏へと連れ出した。


 ◇


人通りの無い路地裏で、卑猥な音と艶かしい声が響いている。
そこにいるのは二人の男女…いや、これはもう雄と雌と言った方が正しいだろうか。
クチュクチュと音を立てながら激しく舌を絡ませ、お互いの唾液が混ざらせ、
口から溢れた唾液が滴り落ち、ハァハァと熱い吐息が漏れ、抱き締め合っているその姿は、
発情した獣その物のようだった。

「ずぢゅ、んくちゅくちゅ♡ は、あぁ、んっぶ♡ にゅぶぶ、ちゅぷ♡ ぺちゃぺちゃ♡
 んっ、ぁむっ♡ ふー、ふー♡ れおれお、ぢゅりゅっ♡ にゅちゅ、ぷちゅるる♡」

生まれて初めて男の味を知ってしまった美琴の舌は、
それを喜ぶかのように上条の口内をうごめき、その快感は容赦なく美琴の脳を破壊していった。
上条とキスすること以外、何も考えられなくなってしまう程に。
キスだけでこんな事になってしまったら、
『それ以上』の事をしたら、それこそ一体どうなってしまうのだろうか―――


 ◇


次回予告



美琴「ねぇ、当麻…このまま………シよ…?」
上条「もう後には引けないからな! ここまでさせた美琴が悪いんだぞ!?」
刀夜「とととと当麻っ!? せ、せせ、責任はどどどうするんだ!!?」
初春「ぬふぇ~~~~~~~~~!!!」
建宮「教皇代理として総員に告ぐ! 今すぐ五和の半径100㎞圏内から離れるのよー!」
一方通行「つまりありゃァ木原のクローンって訳かよ! めンどくせェもン作りやがって!」
舞夏「お…おおぉ…そ、そうかー。まぁ、ヤっちゃった物は仕方ないんじゃないかー?」
オティヌス「……それが貴様の選んだ答えなのだろう?」
白井「オホホホホ類人猿さん。少々お聞きしたい事がありますので面をお貸しくださいな?」
美鈴「つまりね美琴ちゃん。いっその事、お嫁さんになっちゃえばいいのよ」










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