小ネタ million films
「ママー、この本なに?」
ある日、娘が一冊の本を持って来た。表紙には、『20XX~20XX』と書かれている。棚にしまって置いたアルバムを娘が引っ張り出してきたのだろう。
「あぁ、これね。ママとパパが若い時に撮った写真よ。」
娘が持って来たアルバムをパラパラとめくる。私達が付き合ってからの沢山の思い出が詰まっていた。
「ママー私にも見せて。」
「はいどうぞ。大切に見てね。」
娘にせかされアルバムを渡す。
「ありがとーママ。これってパパとママ?」
その場でアルバムを開き中の写真に指をさした。それは一番最初に撮った写真である。
まだ付き合って間もなくに撮ったので笑顔もぎこちなく二人とも無理に笑おうとしている姿がなんだか初々しくて微笑ましい。
(懐かしいな。あの時は確か・・・・・)
~~~~~~~~
「美琴、もっと寄れ。フレームに入りきらない。」
「え?う、うん。」
「これでよしっと!美琴、恥ずかしがるなよ?そんな顔されたら上条さんも恥ずかしくなってきますよ。」
「だ、だって。二人で撮るの久しぶりだし・・・ね?」
「はあ?。もうやけだ。美琴笑え、笑うんだ。」
「あ、ちょっと!そんなに引っ張るなー」
「はいはい、それじゃあ。はいチーズ」
~~~~~~~~~~
あの時は、私が恥ずかしがって当麻に無理に撮られたんだっけ。
昔の事を思い出し、御坂は顔を赤くする。
「ママ?大丈夫?顔真っ赤だよ?」
娘が母親の顔色に気づいたのか、心配して声をかけてくれた。
「大丈夫よ?昔の事を思い出してちょっと恥ずかしくなったのよ。」
「ふ~ん。あのさ、ママ。パパって昔はどうだったの?」
「あ~見えてね、パパは昔凄いかっこよかったんだよ。私の王子様って感じかしら?」
王子様?と娘。そうよ、と美琴は頷いた。当麻は、何があっても助けに来た。私の為に傷つく事を恐れずに助けに来てくれた。
「パパが王子様!パパってかっこよかったんだね?」
「そうね。でも、今もカッコイイわよ。そうゆうこと言ったらパパショック受けるからいっちゃ駄目よ。」
はーいと言う娘の頭を撫でていると玄関からガチャっと言う音がした。
「ただいまー。」
「お帰りなさいパパ~。」
帰ってきた当麻の足に娘が抱き着く。
「相変わらず麻子はお父さんっこだな。美琴ただいま。」
「お帰りなさい。本当よ。私当麻にヤキモチ妬いちゃうかも?」
「ははは。それは困った。美琴、ちょっとこっち来れるか?」
うんと言って美琴が当麻の近くに行く。当麻は、美琴の肩をつかんで軽いキスをした。
「これで許してくれるかな?美琴?」
「もう、いいわよ。許してあげる。」
「パパとママがラブラブだー。私もー私もー。」
居間にあるアルバムが風で開く。沢山の思い出が詰まったアルバム。いつかこれが何十冊いや、何百冊になるように思い出を作っていこう。
大切な物を残しておく為に・・・。