とある魔術の禁書目録 自作ss保管庫

8-722

最終更新:

NwQ12Pw0Fw

- view
だれでも歓迎! 編集

小ネタ 電話の相手は



「あれ、電話。こんな夜遅くに誰かしら? 黒子はもう寝てるし、初春さんか佐天さん?
 えーと、はいはいはいあなたはいったい誰です、か……え、これってアイツ!? どして! なんで! え! ……あ、ああごめんね黒子、騒いじゃって。ちょっとお母さんから電話なの。うん、別に大した用事じゃないと思うから。うんうん、じゃあちょっと席外すから。うん、おやすみ、また明日ね」



「さあ、洗面所に場所も変えたしこれでゆっくりと……あ、切れてる。そりゃそうよね、あれだけ待たせたんだもの。でももうちょっと頑張ってくれたっていいじゃない、あの馬鹿! また、電話してきてくれないかな?」

「あ、またかけてくれた! さ、さあ今度こそちゃんと出るわよ。でで、でもその前に第一声はなんて言えばいいのかしら? 緊張して失敗しないようにちょっと練習しとこう、うん」
「えっと『アンタが電話してくるなんて珍しいわね、こんな遅くに何の用なの? つまらない用事なら承知しないわよ』……ダメダメ、こんな事ばっかり言ってるから嫌われてるって勘違いされるのよ」
「もっとかわいく『なーに、当麻? 嬉しい! あなたがこんな夜遅くに私に電話してくれるなんて!』……ちょっとキャラ違いすぎるわね。それにいかにもアイツからの電話を待ちこがれてたみたいだし、そう思われるのも何か癪に障るわ……アイツが電話してくれたことは、本当嬉しいんだけど」
「理想としては、アイツの電話を素直に喜んで私のかわいさをアピールしつつ、主導権はあくまでこちらにある、そんな答えよね」
「それじゃあ『あら、どうしたのよ、こんな夜遅くに電話だなんて? 違う違う、怒ってるんじゃないの。そりゃ、消灯時間過ぎてるんだから本当はちょっと困るんだけどさ。で、も! アンタからの電話だから、特別に大目に見てあげる。で、何の用なの?』……これよ! 夜遅くに電話をかけてくることの失礼をやんわりとたしなめてこちらのペースに乗せつつ、アイツだから許してあげるという乙女心でさりげなくアピール。これでいくわよ、美琴!」

「……あ、また切れてる。練習に夢中になりすぎたかしら、やっぱり。さすがに、もう電話してきてくれない、わよねぇ」

「嘘、またかけてくれた! どうしたのよ、今日に限ってコイツが気の利いたことするなんて? ……そんなこと言ってる場合じゃないわね。さ、さあ出るわよ! 頑張れ、私!」

「あ、ありゅりゃぁあ! ど、どしたにょよ、きょ、こきょんな夜おしょくにで、電話だなんてぇ!」
「……え、変な声出してどうしたのかって? そ、その、緊張のあまり、声が裏返ったのよ……。あーもう、うるさいうるさい! 黙りなさい! で、でいったい何の用なのよ! 早く言いなさいよ!」
「……へ? 宿題やり過ぎで目がさえてしまって眠れなくて暇になった? で、なぜか寂しくなって、人の声が聞きたくなった? そ、それで、ど、どうせならむさ苦しい男連中なんかより、女の子の声がき、聞きたいから、とりあえず、私に電話した、ですってぇぇええ――!!」
「わ、た、し、は、アンタにとってとりあえずの女なのか!! 女なら誰でもいいってのアンタは!!」
「は? 違うって、何が違うのよ? ふうん、とりあえずっていうのは女の子の声を聞くために電話という手段を選んだことであって、その相手が私だっていうのはとりあえずで決めたとかじゃない? どういう事よ?」

「はあ、それ本当なの? 何よ、疑うに決まってるでしょ。だいたいね、青春真っ盛りの男子高校生の携帯がそんな寂しい状況だって言われてもそう簡単に信じられるわけないでしょう? それに相手はアンタ、伝説のフラグ男、上条当麻なのよ?」
「それでも本当だって言うの? 本当にアンタの携帯に登録されてる女の子は私しかいないから、私にしか電話しようがなかったって言うの?」 
「……ふん、やっぱり怪しいわね。だって、それじゃおかしいじゃない。何よ、気づかないの? あのね、アンタの言うことが本当なんだったら、アンタは女の子じゃなくて、わ、た、し、の、声が聞きたかったって事になるのよ。は? まだわからないの? つまりね、アンタの電話が繋がる女の子は私しかいないんだから、女の子の声が聞きたいから電話したって事は、イコール私の声が聞きたいから電話したって事になるでしょう。違う?」

「……ちょっと、なんで何も言わないのよ。何か言いなさいよ。それとも何? あ、アンタ、本当に寂しくなったから私の声が聞きたかったとでも言うの? ち、違うわよね、どうせアンタはそんなこと考えてないでしょ。そうよ、アンタがそんなこと考えるわけないのよ! ほら、やっぱりおかしいじゃない。適当なこと言ってごまかさないでよ!」
「は? それについてはひとまずおいといてくれ? それでもアンタの携帯に登録されてる女の子が私だけっていうのは本当の本当? 信じてくれ? 嘘だったら一生愛玩奴隷にでもなんでもなるから? じゃあ本当なの? 本当に誰もいないの? 一人も? クラスメートは? 誰にも教えてもらってないの? 女の子の知り合いいっぱいいるのに? そう、本当の本当の本当に、私だけなんだ……」
「フフ、そ、そうよね、アンタに携帯の番号を教えてくれるような心の広い女の子なんて、わ、私くらいのものだものね! ちゃんと考えればわかるわよね。そうよ、アンタは私の慈悲深さに感謝するべきなのよ! 仕方ないわね、失礼な電話をかけてきたことも特別に許してあげるわ。だから感謝の印にこれからは毎日私に電話をかけてきて、アンタの声を聞かせること、いいわね!」
「……ちょ、ちょっと、なんで切るのよ! 待ちなさいよ! せっかくかけてきたのにすぐ切ることないでしょ、もう少しだけなら相手してあげるから、何か話しなさいよ。え? 消灯時間が過ぎてるだろうって? そ、そりゃもう時間だけどそれくらいなんとかごまかせるし、私はアンタと話してる方が……ダメ? これ以上迷惑かけたくない? そ、そう、わかったわ。じゃあ、明日はもう少し早い時間に電話してきてよね、うん、待ってるから。それじゃ」

「通話時間、約十分、か。あーあ、結局少ししか話できなかったな。それにしても、ふふ、アイツのアドレス帳、女の子は私しかいないんだ。そうかそうか、そうなんだ。うん、いい傾向ね」
「ふぁーあ、それはそうとして、もう本当に結構遅い時間なんだ。寝よっかな」



「黒子に聞こえないように布団被って、と。着信履歴着信履歴っと。あは、ちゃんと三件ある。へへへ、アイツ、本当に私に電話かけてくれたんだよね。それになんかごまかそうとしてたけど、わ、私の声、きき聞きたかったん、だよねアイツ、へへへ」
「けどいい? わかってる? 上条当麻、アンタはこれからも私以外の女の子と連絡を取るようなことは一切ダメなんだからね。アンタが電話していいのは私だけ、いいわね。そ、その代わり、私の携帯にだって、アンタ以外の男なんて絶対登録しないんだから。絶対、絶対だからね! だからアンタもちゃんと私だけを見ててよね!」

「それから、明日、ちゃんと待ってるからね」



おしまい


ウィキ募集バナー