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ワドルディの悪夢

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ワドルディの悪夢



「僕はワドルディだよ。君はだあれ?」
「こんにちは、僕はワドルディです」
「僕はワドルディなの。さようなら」
「よろしく、僕はワドルディ」
無数のワドルディがひしめき合う夢だった。
それはどれも同じ顔をしていて、皆が一様に『ワドルディ』を名乗った。

「誰を捜しているの?」
「ワドルディ?」
「それは僕?」
「それとも僕?」
「違いなんてないよ」
「みんなワドルディだよ」
「僕はワドルディ」
「僕もワドルディ」
「君は違うんだ」
「個性があるっていいね」
「僕はみんな同じ」
「僕は僕でも『ワドルディ』」
「僕と僕は違っていても『ワドルディ』」
「個性がないから誰でも同じ」
「いっしょくたにしか見てくれないの」
「僕はワドルディ」
「僕はワドルディ」
「僕はワドルディ」

うごめくワドルディたちの話は、あてになりそうもない。
しかたなくカービィは夢の中を歩き始める。
どこを見回してもワドルディしかいない。
みんな同じ顔で、皆が一様に『ワドルディ』を名乗る。
そのときカービィはふと気付いた。
無数のワドルディの中でただ一人、動かないワドルディがいることに。
彼は大木の下にぼんやりとたたずんでいる。
カービィはなんとかそこまで行こうとするが。無数のワドルディが邪魔でなかなかたどりつけない。
やっとの思いで辿り着くと、大木の下のワドルディは

「こんにちは」

と小さく言った。
「僕はワドルディ」
そしてやはりそう名乗った。
「他のみんなと同じ『ワドルディ』だよ」
カービィはふるふると首を横に振る。
「違うというの? じゃあ、僕は誰?」
カービィは彼の名を呼んだ。
種族名ではなく、彼個人の名を呼んだ。

「……ありがとう」

彼はそう言って微笑んだ。
「ちゃんとした名前があるのにね。城下町に住んでいるワドルディじゃない連中は、僕も他の子も、みんな一緒くたに『ワドルディ』って呼ぶんだ。僕は僕でみんなじゃないのに」
そう言って大木の下のワドルディはカービィに頭を下げる。
「ありがとう、なんだか気持ちがすっきりしたよ」
カービィは手足をぴょこぴょこさせて訴える。
「え? ここは僕の夢の中なの? 僕は覚めない夢に閉じ込められているの?」
カービィはうなずいた。そしてそのままワドルディの手を引く。
そのとき、上から彼らを見下ろしていた大木がざわり、と動いた。





Waddle Dee's Wildernessをなんとなく妄想。
いつもいつも『ワドルディ』として一緒くたに扱われるが故に、個々を喪失したという悪夢。
夢の主のワドルディは彼の個人名(夢のどこかに落っことしている)を教える事で覚醒する。
……と、ここまで考えたはいいけど、序盤にするにはいささか不気味かもしれない。
この後、ウィスピーウッズ戦です。

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