※開発未満1※

潮時翌朝の時系列のククゼシ



はじめて身体を重ねてから数度目の夜。
荷物の整理をし、そろそろシャワーでも浴びようかとゼシカが腰を上げた時だった。
「…っ!」
突如後ろからはがいじめにされ硬直する。もちろん犯人は、恋に狂った色ボケ僧侶、ククールしかいない。
「ゼシカー」
「っ、な、なによ、はなして」
「ゼシカーしようぜー」
「ッ!!」
恥じらいもムードも何もない誘い文句と、うなじに這わされた口唇の感触に一気に体温が上がる。
否定も肯定もできずわなないていると、返事も待たずさっそく胸を弄り始めた指にハッと我に返る。
「あっ…アンタ…ッ…なんで、そんな、…毎日毎日…ッ」
必死に胸をガードしようとするがあっさりと払いのけられ、
「なんでかって言うとゼシカが可愛いから。以上」
「ちょっ…ん!!」
正面を向かされながら反論を封じるようにキスされる。
それでもゼシカは反抗しない。嫌だやめてとは言えない。セックスがしたいからじゃなく、
臆面もなく嬉しげに自分を抱きたいと言ってくる、このバカな男が好きだからだ。
だから、衣服の上から優しく胸を揉まれても、拒めない。ニヤける彼の顔を睨みつけながらも、許容する。
ゼシカは吹っ飛びそうな思考の中、徐々に襲い来るその慣れない感覚に目をつぶり、身体を固くした。

この行為で、まず襲い来るのは羞恥。そしてゆるやかな快感。
どちらにも、未だに慣れない。とにかく堪えてやり過ごすしか すべがない。
そうしていればそのうちククールが勝手に好き放題しはじめ、気付けば自分も快楽の波に
浚われていて、その時にはすでに羞恥という概念も吹き飛んでいる。
だから、どうせなら一刻も早くそこまで行きつきたいのだ。そこに至るまでのいたたまれない恥ずかしさ。
誰かに裸を見せるということ。身体に触れられるということ。自分ですら見たことのない場所まで晒し、
触れさせて、あまつさえ口付けられて。はしたない声を出し、制御できず乱れる身体。その全てを
見届けながら「かわいい」と慈しまれることまで…その全てがあまりにも恥ずかしく、言葉にできない。
ゼシカにとって快楽は、「耐えること」だった。それはまるで苦行のよう。
セックスはやはりどこか恥ずべきもの。密かにこっそりと行うこと。求めることははしたないこと。
箱入りお嬢様であり根が純情なゼシカには、そんな考え方がどうしても拭えないのだ。
身体が性感を快楽と感じても、それを素直に求めるなんて禁忌にすら思えた。
だから、与えられる感覚を「気持ちいい」と感じ、それどころかさらなる快感を無意識に
求めている自分がどうしようもなく罪深く思えて、その自責と羞恥にさらに身悶えるのだ。
そんな姿がククールをこの上なく興奮させていることには、露ほども気づかずに。




ベッドのふちに2人で腰掛け、久方ぶりに離された口唇の合間に、ツ、と唾液の糸が光って消えた。
ゼシカはククールによって無理やりに引きずり出された舌をしまうことも忘れ、はぁはぁ、と
乱れる息のまま虚ろな目でククールを見上げる。行き場をなくし差し出されるかのような
赤く小さな舌は、それだけで十分すぎるほどククールを煽った。
ククールは自身も荒くなる息を抑えつつ、唾液に濡れたゼシカの口唇を親指でなぞり、
「…、…ゼシカ…キスして」
「…ぇ?」
「ゼシカからキスして。ちゃんと、舌使って」
そう言った途端、ゼシカの顔がカアッと染まる。ただ口唇を合わせるだけのキスしか知らなかったゼシカは、
はじめて舌を忍ばせてキスをした時、凄まじい拒絶反応を見せた。異常な行為に思えたのだろう、
しかしその時には当然2人ともかなり盛り上がってきていた段階だったので、そんなことで
行為を中断されるのにイラッときたククールは、嫌がるゼシカに強引にディープキスをしかけた。
しつこく時間をかけて懐柔し、ゼシカが体の力を失って動けなくなってから傲慢に言ったものだ。
「舌入れんのなんか好き同士ならやって当たり前だ。オレのこと好きならこの程度で今さら嫌がるな」…と。
それ以来、ゼシカはどことなく深い口付けを恥じる。当たり前だと言われたからこそ恥ずかしいのか。
ククールの舌が誘っても、ゼシカの舌はなかなか応えない。委縮してしまって、動かない。
可愛いと思いながらも、物足りなかったのも事実。いい機会なので、今夜それをブチ壊す。

俯きかけたゼシカの顎をククールが持ち上げ、逸らすことすら許さないとでも言うように目線を合わせる。
ゼシカは一瞬泣きそうな顔をしてから、ぎゅっと目をつぶると、勢いをつけてククールに口付けた。
その勢いに押されるように、ククールは背中からゆっくりと自らベッドに倒れる。もちろん身長差を考えて、
ゼシカがキスしやすいようにだ。ゼシカはククールの上に重なって、一生懸命に拙いキスをはじめた。
口唇で口唇をはさんで、そっと噛んで、舐めて。ぎごちなく角度を変え、薄く開かれた唇の間に
おそるおそる舌を滑り込ませ、中に潜むククールの舌に重ねて、控えめに絡ませる。
すべてククールが教えたやり方だ。いや、教えたつもりすらない。今ゼシカは、いつも自分がされている
キスを懸命に思い出しながら、幼く未熟な口づけをククールの望むとおりに施しているのだろう。
その羞恥に耐える必死な表情を、ククールは彼女を抱きしめながら薄目を開けてずっと見ていた。
「…ッ、んふ、んぅ…ッは、はぁッ……………ん…」
苦しそうに息を紡ぐその様子も、無駄に男を興奮させる。慣れていないため息継ぎがうまくできない。
唾もうまく飲み込めない。ククールの胸元を握る手は小さく震えている。
ククールは一切動かなかった。ゼシカはとにかく必死に、ククールの口腔を愛撫した。
いつまでやればいいのかということすら、思いつかなかった。
―――長い時間が過ぎたような気がしたころ、ふいにククールの方から顔の角度を変え、
ゼシカの舌に自ら絡みつき攻勢に出ると同時に、体制を入れ替えてゼシカを押し倒した。
「んっ!…ん、ふ、ん……ん…っ………ク、ク…?」
「……よくできました」
にっこり微笑むと、きょとんとしたあと、夢中になっていたことに気づいてゼシカは赤面する



そんな彼女をからかうこともなく、ククールはコルセットを外し、貞淑なブラウスのボタンを
一つずつ丁寧に片手で外しながら、もう片手は徐々にその中に忍ばせ、ブラジャーをかいくぐり
綺麗に弧を描く大きな乳房をしっかりと掴んだ。それだけでビクンとゼシカの身体が跳ねる。
「……ちょっとは慣れたか?」
「……ッ、……」
ゼシカはどちらとも言わず顔を背けて、ククールのからかうような視線から逃れた。
まともに答えられるわけがない。慣れた、と言えば、そりゃあ一番はじめのあの時に比べれば
多少は、だ。断じて「もう平気」と開き直れるほどの肝が据わったわけじゃない。
誰にも触れさせることはおろか見せることも絶対にしてこなかった「嫁入り前の身体」を
こんな風に無防備に曝け出して、躊躇なく触られて、恥ずかしいに決まっている。しかも、
「…マジで、最高だな。ゼシカの胸は。見てるだけでヤバいくらい興奮、する」
「ゃ、やめて…見ないでよ、バカ…!!」
こんな風に揶揄されるほど、羞恥に爆発しそうになる。
ゼシカが自分の胸を自慢してきたのは、とにかく「大きい胸は誇るべきこと」だからだ。
間違っても、誰かにマジマジと卑猥な視線で見られながら、それが男の雄を
どれほど刺激するものなのか、無理やり教え込まれたかったわけじゃない…
「んぁっ、…ぅ」
そして、ククールの指先が胸の先端を様々な角度でつねるたび、小さな声が漏れ身体が勝手に浮く。
これが、本当に恥ずかしい。仕方ないのだと言い聞かせても、抗うように口唇を噛んでしまう。
そしてククールはゼシカが快感を堪えることを許さない。だから、ゼシカが堪えれば堪えるほど、
それを許すまいとさらに濃厚な愛撫を仕掛け翻弄する。
「イヤッ」
「嫌じゃない」
「…ッア、あ、…ぅ、…んん…ッ!」
ゼシカの指がククールの髪に絡みついた。その行為は、もっと、とでも言うようにククールの口唇を
自らの胸に押し付けることにしかならない。ククールはゼシカの乳首を強く吸う。
「――あっ、ん、んぅっ、ぅうう…ッッ!!!」
ゼシカが首を左右に振る。舌でくすぐり湿った息を吹きかけながら指先でも弄り、
それを交互に繰り返すと、しばらくしてゼシカがようやく陥落した。
「あっ、あ、ん…ッ、…ッ、ァ、クク、や、やだぁ…っ」
声を抑えることを諦め唇をだらしなく開け放しながら、それでもなんとかやめさせようと、足掻く。
「やだ、もう、っあ、は…っ、…なんで…っ、なんで、なめ、るの…っ?それ、やだ…」
「なんでって。好きな女のおっぱいがそこにあったら吸いつくのは男の本能。
――それに、ゼシカにいっぱい感じてほしいから」
「ヤッ!…やだ!」
「ほんとに嫌?」
もう一度乳首を甘噛みしてやると、くぅ、と身悶えて、ゼシカが泣きそうな顔で訴えてきた。
「…わ、私ばっかり、こんな、変な…っ、変なの…やだよ…私ばっかり…」
「ばっかりじゃねぇよ。ゼシカが感じれば感じるほど、オレも感じるんだから」
「そ、そう、なの…?ど、…どうして、でも、…だって」
ゼシカは眉をひそめ困惑した。自分が今感じている快感がそのままククールに伝わるなんて、
いくら気持ちが繋がっていてもあり得ないだろうと。
ククールはにっこりと、世にも優しく笑う。それに関する詳しい説明は、このあとじっくりさせてもらおう。










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最終更新:2010年05月10日 03:24
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