誘導法・推進法は対空用の『魔法の槍』を拡大発展したもの。陸上とは異なり生命反応が皆無に近い洋上で、あれだけの『生命反応』を発している帝國の艦船ならば、誘導は容易(闇夜の松明みたいなものだ)だし、速度・飛距離も魔力をつぎ込めば出来ないことは無い。

あの爆発力(帝國の500キロ爆弾以上、おそらく250キロ爆弾3発分以上)も、純度の高い魔法結晶をふんだんに使っての事だろう。全く贅沢な兵器だ。

信管代わりに複雑高度な術式を使用し、弾頭は結晶化され安定化した高純度の大重量魔法弾、推進は高速・長射程の特製魔力推進装置。

あれ一発に、幾らかかるだろうか?

魔法兵器は高価極まりない。例えば1の重量のものを飛ばすのに金貨1枚かかったからといって、10の重量を飛ばすのに金貨10枚で飛ばせる訳ではないのだ。最低でも金貨100枚、場合によっては数百枚、1000枚以上かかる。(転移世界の物価で小さな市の年間予算に匹敵する金額)だからこそ、誰もが『アレ』の開発に二の足を踏んだのだ。アイデアとしては、以前から存在していた。だが、飛竜に通常爆弾抱えさせた方が遥かに安上がりのため、誰からも相手にされなかったのだ。

完全自動式で旧版 ワイバーン並の図体、射程は50キロ前後、
飛行経路は、高度2000メートルを『足柄』目掛けて速力500キロ・時以上で直進、その後『足柄』手前から急降下、最終突入速度は、自前の速力に重力が加算され、時速600キロ/時近くにまで達している。旧版 ワイバーン・ロードを上回るが、機動性は大きく劣る。そして何より、回避行動が取れない!

これは致命的だ。そして回避行動を補う大量運用は困難(というより破産する)である。恐ろしく扱いにくい兵器といえよう。

しかし、帝國の無敵艦隊に一矢報いるというなら話は別なのだろう。
コスト度外視のこの兵器は列強ほどの大国でなければ作れないが、それでも命中2発で帝國の重巡洋艦を、転移世界では初めて大破にまで追い込んだのだ。

製作に要した技術は『枯れた』技術ばかりです。ただしこれだけ大規模になると、資金の他にそれ相応の技術力が要求されます。そしてこれら個別の技術をすり合わせて、一つのシステムとして完成させるのには更に高度な技術・経験が不可欠です。国家、それも列強レヴェルの国家が総力を挙げたからこそ、短期間のうちに成功したのでしょう。
…その影にはどれだけの失敗作があるやら。
ツーロンでの事件に使用したものはきっと、最も良好な試作品ばかりを選んで持ち込んだものと思われる。

また重量自体も相当な重さがあり、加えて法外な値段で、どの国にも見向きもされなかった。ツーロン事件の初期型は分解して持ち込み、現地で組み立てた。

またツーロン事件後の対策会議で
特務砲術科指令吉良少将とのやり取りで推測された今後現れるであろう量産型の性能は
弾頭の魔法結晶を500キロ爆弾相当ではなく250キロ爆弾相当に減らす
射程を20~30キロ
必要とされる能力の縮小による全体のサイズの小型化
その事による初期型の3~4割減による迎撃難度の上昇ならびに元の2割程度のコスト低減
低コスト化によって初期型の1発の値段で5発程度の運用
速度向上と小型化については、いかな列強といえど一朝一夕に出来るものでは無く、莫大な開発資金と、それなりの期間、少なくとも年単位の歳月を必要になるというものだった。

ローレシア王国旧版 ワイバーン・ロードⅢ型に搭載予定の対艦用魔法の槍は、
弾頭部のみになる予定で推進力、誘導はワイバーン・ロードⅢ型が行うものである。
つまり、航空機搭載の対艦ミサイルではなく無誘導の爆弾というべき存在。

ワイバーン・ロードに搭載できる重量で帝國艦船にダメージを与えられる爆発力を得るには高価な魔法結晶しかないからではないかと思われる。

帝國側の呼称はツーロン事件後間もない為海軍では「対艦誘導弾」、陸軍では「飛翔誘導爆弾」等と統一されていない

-

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年02月26日 10:25