連載 - モンスの天使-16 - 「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

「え～と………あれ…？」
「どうかしたの？」

　「組織」本部、とある資料室にて
　なにやら資料を探していた最中の黒服Ｃが首を傾げた様子に、黒服Ｏは声をかけた
　えと、とＣは顔をあげる

「あの…ここ、少しおかしくないですか？」
「え？」
「ここの、棚…少し、不自然なような」

　…言われてみれば
　資料がギッシリと詰まっているはずの、その棚
　だが、何だか…そこだけ、少し余裕があるのだ
　ぱらぱらと、Ｏはその棚の資料を確認し始める
　……やがて
　Ｏは、眉を潜め、呟く

「…ここにあったはずの資料が、一部、なくなってる」
「え…えっと、持ち出された、とかじゃなくて？」
「ここの資料は、原則持ち出し厳禁。それに、もし特別許可が出て持ち出されていたとしても……こんな、「ここから資料を持ち出した事を隠すような」跡が残ると、思えない」

　誰かが
　ここから、無断で資料を持ち出したのだ
　それを隠蔽した跡が、残っていたのだろう

「ここに収められている資料は…「組織」構成員の、任務記録、ですよね？」
「えぇ…少し待って。確か、このデータは「組織」のデータベースにも記録されているはずだから」

　何だか、気になって
　Ｏは、資料室に置かれているパソコンの前に座った
　すぐにデータベースを呼び出し、抜けている記録が何なのか調べようとした

　…しかし

「…あら？」
「ど、どうしたんですか？」
「……データが……ない？」

　該当するはずのデータが、ない
　まるで、そこだけデータが消失しているかのように
　ぽっかりと…空白が、できていた

　「組織」構成員の任務記録など、さほど重要な資料ではない
　だが、だからと言って、その記録がデータベース上から消されるなど「ありえない」
　……何者かが、意図的にデータを消失させたのならば、ともかく

「それじゃあ、なくなってるのがどの資料かは…」
「…確認できないわね。時間をかければ、データの復元は可能かもしれないけれど…」

　だが、もし完全にデータを抹消されていたら、それも不可能
　残念ながら、ＯとＣでは、データが復元可能な状態か否か、そこまでは即座に判断できない
　もし……この資料室に収められている資料の詳細を、全て記憶している者がいたならば、別だが
　今、持ち出された資料がどんな資料なのか、確認する手段は……ない

「念のため、報告しておきましょうか」
「は、はい」

　データベースのデータまで、消されているのだ
　…まるで、初めから、そのデータが存在していた事を隠そうとしているかのような、事実
　それは誰かにとって、不都合なデータだったのだろうか？

「……」

　Ｃを伴いながら資料室を出る途中
　ちらり、Ｏは、資料が抜き出されていた棚に視線をやった

　「組織」構成員の任務記録が収められた棚
　……抜き出された資料が収められていた段に収まっている、他の資料は…

　HNoを持つ者達の、任務記録

　その中の、ただ一人の任務記録が消えていた

　それが、一体、どのHNoの任務記録なのか

　…彼女達には、まだ、わからない

to be … ?