笑顔を浮かべた、その首
自分が殺してしまった少女
自分が殺してしまった少女
「…佳奈美」
小さく、その少女の名を口にする
ズキリ、壊れたはずの心に痛みが走った
ズキリ、壊れたはずの心に痛みが走った
「……御免な」
それは、はたして、誰への謝罪だったのだろう
「約束……守れなかった、な…」
ごほごほと、咳き込みだす黒服
その手が、血で染められていく
その手が、血で染められていく
「…あぁ、畜生……結局…………俺は、化け物だった、って事か…」
約束を、護る事ができなかった
約束を守るということ
それは、彼という存在に、人間であると言うエッセンスを辛うじて与えていた
そして、それは……辛うじて、彼の存在を保たせていて
約束を守るということ
それは、彼という存在に、人間であると言うエッセンスを辛うじて与えていた
そして、それは……辛うじて、彼の存在を保たせていて
約束を、護る事ができなかった
それを、認識した瞬間……その、蜘蛛の糸よりも頼りなかったそれは、一瞬で崩壊した
それを、認識した瞬間……その、蜘蛛の糸よりも頼りなかったそれは、一瞬で崩壊した
がくり、膝をつく
少女の頭を抱えたまま、黒服は激しく咳き込み続けた
少女の頭を抱えたまま、黒服は激しく咳き込み続けた
体が、内部から崩壊していっている感覚
内臓系統が、ぐちゃぐちゃに壊れ、消滅していく
口から吐き出される血は、とっくの昔に致死量を超えていた
内臓系統が、ぐちゃぐちゃに壊れ、消滅していく
口から吐き出される血は、とっくの昔に致死量を超えていた
「かな……み………」
しっかり、しっかりと、少女の首を抱えて
黒服は、自嘲するように、笑った
黒服は、自嘲するように、笑った
「…大人になったら…いい女に、なったろうになぁ………御免、な……」
まるで、せめて、その首だけでも、護りきるかのように
しっかり抱え込み、笑って
しっかり抱え込み、笑って
「………お前の、婆ちゃんとの約束………破っちまって……御免、な………」
最後に、そう、呟く様に、口にして
黒服は、静かに目を閉じ………意識を、閉じた
黒服は、静かに目を閉じ………意識を、閉じた
「------っ!!」
あぁ
間に合わなかった
息を切らせ、そこに駆けつけた辰也が見たものは………消え行こうとしている、黒服だった
都市伝説は、死ねばその存在は消滅する
…もう、死んでしまっているのだ
間に合わなかった
息を切らせ、そこに駆けつけた辰也が見たものは………消え行こうとしている、黒服だった
都市伝説は、死ねばその存在は消滅する
…もう、死んでしまっているのだ
「…畜生が…!」
もう、投薬も間に合わない
救う手段など、存在しない
消え行くその存在を、この世に留める手段を、辰也は持っていない
救う手段など、存在しない
消え行くその存在を、この世に留める手段を、辰也は持っていない
「…この……馬鹿野郎が…「組織」の研究者連中、全員皆殺しにしてやるんじゃ、なかったのかよ…!」
自分達の復讐
それを、成し遂げるのでは、なかったのか?
それを、成し遂げるのでは、なかったのか?
辰也が毒づいている間にも、黒服の存在は、光の粒子に変わって消滅していって
後には、黒服が大切そうに抱えていた、少女の生首だけが
何かに護られ続けているかのように、そこにあり続けたのだった
何かに護られ続けているかのように、そこにあり続けたのだった
BAD END