三面鏡の少女 27
「ひやっ!?」
ぞわり、と背中を走る悪寒に、三面鏡の少女は変な声を上げて身を震わせる
「な、なんかものっそい寒気がっ!? 変な妄想の材料にされたような!?」
巫女のアルバイトが集まる年末年始、境内には初詣客とは微妙に違うカメラ持ちの人がちらほらと見受けられる
アルバイト巫女の面々の対応も、ポーズを決める、スルー、注意、鉄拳制裁など様々だった
「ん、どったのカナちん」
「あーいや、ちょっと知り合いに迷子について聞かれちゃって」
「あはは、この町の子供は迷子でも平然と屋台回ってたりするからね。迷子って空気出さないでしっかり遊んでるかもよ?」
「そんなもんですかねー」
「そんなもんよー? てかさっきの黒い人は何だね、彼氏?」
「違いますよー、別のバイト……うん、バイトかな? そっちの上司っていうか先輩の人で、すっごい美人で声の綺麗な人と仲が良いんですよー」
適当に誤魔化す事にしたのだが、概ね嘘は言ってない
「ふーん……で、どんなバイト?」
間合いを取ったつもりが即座に詰められる
「あーいや実はあたしはあんまり戦力になってないもんで、具体的な内容はー」
「いやさー、あの男の人? なんていうか……どう表現したもんかなー」
先輩巫女は色々首を捻りながらあれこれ言葉を探っているのだが
「……まあいいや。とりあえず初見の印象だから気にしないでね?」
その瞳から、表情から、一瞬だけ熱がすぅっと引いていく、そんな印象の顔で発した、抑揚も変化も何も無い直球の一言
「気をつけてね」
「ふぇ? いや、確かにちょっと変な人だけど、良い人ですから大丈夫ですよ」
それに気付いたのか気付かないのか、いつもの調子の笑顔で手をぱたぱたと振る少女
「んー、まあ気にしないで。私にはちょっと胡散臭く見えたもんだから。水商売系の元締めとかそんな感じ」
「あ、あはは、大丈夫ですって、健全なお仕事ですからー」
たまに命の危険なんかはありますが
そんな言葉はぐっと飲み込み、接客用の笑顔を浮かべる
「それじゃ、売り場の方戻りますねー」
「あーい、頑張れー」
明るい笑顔で売り場に出る少女を、のんびりした調子で送り出す先輩巫女
「ん~……なーんかあんまり良い印象無いっていうか」
ちろり、とその舌先が蠢き唇を湿らせる
「迷子の事とかは本当なんだろうけどなー、なんていうか……嘘吐きのにおいがすんのよねー」
ぞわり、と背中を走る悪寒に、三面鏡の少女は変な声を上げて身を震わせる
「な、なんかものっそい寒気がっ!? 変な妄想の材料にされたような!?」
巫女のアルバイトが集まる年末年始、境内には初詣客とは微妙に違うカメラ持ちの人がちらほらと見受けられる
アルバイト巫女の面々の対応も、ポーズを決める、スルー、注意、鉄拳制裁など様々だった
「ん、どったのカナちん」
「あーいや、ちょっと知り合いに迷子について聞かれちゃって」
「あはは、この町の子供は迷子でも平然と屋台回ってたりするからね。迷子って空気出さないでしっかり遊んでるかもよ?」
「そんなもんですかねー」
「そんなもんよー? てかさっきの黒い人は何だね、彼氏?」
「違いますよー、別のバイト……うん、バイトかな? そっちの上司っていうか先輩の人で、すっごい美人で声の綺麗な人と仲が良いんですよー」
適当に誤魔化す事にしたのだが、概ね嘘は言ってない
「ふーん……で、どんなバイト?」
間合いを取ったつもりが即座に詰められる
「あーいや実はあたしはあんまり戦力になってないもんで、具体的な内容はー」
「いやさー、あの男の人? なんていうか……どう表現したもんかなー」
先輩巫女は色々首を捻りながらあれこれ言葉を探っているのだが
「……まあいいや。とりあえず初見の印象だから気にしないでね?」
その瞳から、表情から、一瞬だけ熱がすぅっと引いていく、そんな印象の顔で発した、抑揚も変化も何も無い直球の一言
「気をつけてね」
「ふぇ? いや、確かにちょっと変な人だけど、良い人ですから大丈夫ですよ」
それに気付いたのか気付かないのか、いつもの調子の笑顔で手をぱたぱたと振る少女
「んー、まあ気にしないで。私にはちょっと胡散臭く見えたもんだから。水商売系の元締めとかそんな感じ」
「あ、あはは、大丈夫ですって、健全なお仕事ですからー」
たまに命の危険なんかはありますが
そんな言葉はぐっと飲み込み、接客用の笑顔を浮かべる
「それじゃ、売り場の方戻りますねー」
「あーい、頑張れー」
明るい笑顔で売り場に出る少女を、のんびりした調子で送り出す先輩巫女
「ん~……なーんかあんまり良い印象無いっていうか」
ちろり、とその舌先が蠢き唇を湿らせる
「迷子の事とかは本当なんだろうけどなー、なんていうか……嘘吐きのにおいがすんのよねー」
※
先輩巫女
ここ何年かアルバイト巫女としてよく働いている女子大生
特に都市伝説と契約もしておらず存在も知らないが嘘に対して敏感
好奇心で殺される猫タイプ
ここ何年かアルバイト巫女としてよく働いている女子大生
特に都市伝説と契約もしておらず存在も知らないが嘘に対して敏感
好奇心で殺される猫タイプ
カナちん
三面鏡の少女の事
本名は逢瀬佳奈美(おうせ・かなみ)
三面鏡の少女の事
本名は逢瀬佳奈美(おうせ・かなみ)