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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 魔法少女銀河-10

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匿名ユーザー

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【不思議少女シルバームーン~第六話 第二章「一人」~】

朔夜が引き篭もるようになってしまってからすぐに僕は一人で出歩くことが多くなった。
最初は都市伝説を見つけては気を引きながら逃げまわり組織に通報、
慣れてきたら相手の弱点を突ける場合はそれを突きながら可能なかぎり弱らせる、
そしてヨツバさんからあの携帯電話を貰ってからはあれを使って出来る限り自力で都市伝説を倒していた。

「……あ、霙ちゃん。」
「…………スバルくんどうしたのこんな所で?」

明りの消えた街角で、僕は偶然にも霙と出会った。
彼女は朔夜が居ないことを確認してから僕の言葉に返事した。

「人を襲う悪い都市伝説を倒していたのさ。」
「え?」
「たとえば……。」

“切り裂きジャック”が曲がり角の向こうからノコノコ現れる。
咄嗟に携帯を取り出して開閉ボタンを押し、親指で携帯の上側を変形させて銃器のような形にする。
押すべきコードは103、昔使わされた銃器よりも扱いやすくて助かる。
僕は携帯電話にヨツバさんが込めた魔力を光線にして撃ち出した。
威嚇の為に撃った二発の光線だけで切り裂きジャックは一瞬で灰になる。
良かった、射撃の腕は鈍っていないらしい。

「こんな感じで。」

ヨツバさんの魔力は夜中の方がより強力だ。
真夜中であれば有るほど彼女は力が増すらしい。
だから僕も狩りはできるだけ夜中にやっていた。

「……戦えないと思っていたわ。」

霙は今の切り裂きジャックに気づいていなかった。
そもそも僕の動きを眼で追えていなかった。

「でもなんで、朔夜ちゃんが何もしなくなっちゃったのに貴方は戦っているの?」
「ああ、あいつが戻ってきた時にもし誰かが都市伝説のせいで傷ついていたらさ。
あいつはきっと自分が何もしなかったせいだって自分を責めるだろ?
そうならないように頑張っているだけだよ。」

まだ敵は居るかも知れない。
もっと、もっと戦わなくてはいけない。
もっと戦って実戦の勘を取り戻し、ジャックが何か妙なことをした時の為に備えなくてはいけない。
おそらくネバーランド絡みで何かあれば僕と関わりの深い朔夜が真っ先に狙われる。
そうなった時、僕は彼女をしっかりと守らなくてはいけないんだ。
その為に今は少しでも昔の強さを取り戻さなくてはいけない。
霙に今かまっている暇はない。彼女を守る人は居る。
そう思って僕は再び歩き始める。

「待って!」
「なに?」

僕の声は冷たく聞こえた。
そんな気はないのに。
心が削れていっているのだろうか。

「私を……責めないの?」

馬鹿な、君はヨツバさんの被害者なのに。

「君は君のやるべき事をやっただけだ。
それで勝手にあいつが傷ついただけ。
霙ちゃんは何一つ悪いことしてないじゃん。」

ヨツバさんの為にそのことは言わないけれど。
僕はヨツバさんが好きだから。

「…………。」
「じゃあ僕は行くぜ。」
「……ごめんなさい。」

「あやまることなんて」

なるべくしてなったんだ。

「謝ることなんて無いよ。」

そう言って僕は長い夜の中に身を投じる。
僕は闇に近づいていく。







「…………ああ」

行ってしまった。
せめて謝ろうと橙さんに居場所まで教えてもらったのに。

「私は、私一人の我儘で……!」
「私はまた皆を不幸にして!」
「私の周りの人たちはこんなにも優しいのに……。」

その好意につけ込んで、私は皆の幸せを壊していく。
私はなんて嫌な女なんだ。
でも、でもだからこそ、たった一つ求めた幸せだけは譲れない。
誰を不幸にしてでも、震えるほど嫌なのに、何を犠牲にしてでも彼を手放したりはできない。
親も、友も、恩人も、全て捨てて私はあの人の為に……。

「浅ましいわ。」

自然と笑いがこぼれてくる。
涙が混じって自分でも訳がわからない。
そうだ、帰ろう。
あの人のところに帰ろう。
かえってあの人の面倒を見なきゃ。
壊れかけた心をつないで私は元来た方向に向けて歩き始める。

「じゃーシンデ」
「え?」

銃弾が一発、二発、三発、手足に突き刺さる。

「あーダメなことハ殺すコトだたネ」
「私ッテば本当にワスレっぽいヤ」

鈴のような声、稚拙な日本語、外国人だということは解る。
だが分からないのは何故今私が襲われているかだ。
そうなるなら前もって橙さんが教えてくれる筈なのに。

「ムダムダ。ラプラスの悪魔は私にツーヨウしなイ。」
「――――――――!?」
「私ノ名前はルル=ベル、ネバーランドの一員。ラプラスの悪魔の契約者。」
「そんな馬鹿な!?」
「コマルコトは貴方がそのボロボロの姿で生きて事務所に戻ってもらわないこと。
私のノズムコトハ私の友達を不幸にした貴方をシマツスルコと
でも今は……」

反撃のために動かそうとした腕を思い切り踏みつけられる。
顔を上げると声の主は人形のような姿の、渡しより少しだけ年上らしい女の子だった。
彼女はカンペのような物を取り出すとそれを読み上げる。

「ネバーランドは笛吹探偵事務所に宣戦布告する。
一週間後に行われる全世界的な我々の革命活動、その学校町における作戦に並行して貴方達を叩き潰す。
…………だそうヨ。
それじゃあね。」

動けない私を無視して彼女は夜の闇の中に溶けていく。
体中が痛い。
焼けるように熱い。
やっぱり恨まれていたのか。
私が人を不幸にし続けてきたから。
でもね、でも生まれつき、やりたくもないのに人を不幸にしてしまって、
それで自分の罪の意識で勝手に傷ついて更に恨まれて傷つけられて…………。
友達を裏切っちゃった報いかな?

「君、どうしてこんなところで……おい大丈夫か!?」

青いジープが私のところまで来て停まる。
あ、恋路さんだ。
都合よく良い人が来て助かった……。
これからも私はこうやって人の好意に支えられながら無意識の悪意を振りまくのかな。
嫌だな、死にたい、死ねない、死にたい、でもあの人に会いたい。
こうして私は一人闇に囚われる。






真夜中だというのに私は水晶玉を見つめていた。
普段なら見たいものが見える水晶玉には何も映らない。
魔法が使えない。
それだけで私の中の大事な何かが壊れてしまったような気がして。

「もう、魔法に関わること自体やめたら?」
「ううん、それは駄目だよお母さん。私が魔法を使えることはきっと素敵なことなの。」

だから今、魔法を使えない魔法少女である私は、私はどうしていいのか分からない。
只の少女にもなれず、無論魔法使いであるはずもなく。
正義の味方はもうやめてしまった。
だから分からない。
私は何者なのか分からない。
半人前の半端者の偽善者だ。

「小さいころ、朔夜はママに教えてくれたわよね。
心優しい良い魔女になるって。
シンデレラにカボチャの馬車を準備するような心優しい魔法使いになるって。」
「うん。」
「だったら貴方が魔法をやめられてないってことは、人助けもやめられないってことなんじゃないかな。」
「…………。」
「おばあちゃんは自分の好きなように使うのが魔法だと言うけどさ。
魔女の数だけ魔法のあり方があっていいじゃない。」
「ママ……。」
「まあ私は途中で修行を逃げた半端者だから偉そうなことは言えないけどね。」
「…………でも」
「なあに?」
「でもまだ戦うのが怖いの。」
「良いんじゃない?」

ママはベッドに体を投げ出しながら呟く。

「貴方が戦えないあいだはきっと誰かが戦ってくれるわよ。
ママの代わりに貴方が苦労しちゃっているみたいにね。
だからせめて……辛いことがあったらママができるだけ助けてあげるから。
パパだってなんだかんだ言いながら意外と近くであなたのことを見守ってるわよ?」
「そうなの?」
「恥ずかしがって出てこないけどね。」

私は何も言わずにママを抱きしめた。
暖かかった。
……ところで親子なのになんでこんなにプロポーションが違うの?
ねえなんで?

「貴方が本当にピンチな時は絶対にきてくれるわ。」

ママが割と聖母のような顔しているのにも気づかず私はわりとどうでもいいことを真剣に悩んでいた。

 

【不思議少女シルバームーン~第六話 第二章「一人」~】

 

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