【不思議少女シルバームーン第七話 第三章「永遠と契約した少年」】
作戦開始から十分後。
「……というわけで終わったよ。シンクちゃんが全部片付けちゃった。
子供達もちゃあんと確保したから安心してね。」
「了解。」
子供達もちゃあんと確保したから安心してね。」
「了解。」
同志ルル=ベルと上田明尊からの連絡が入った。
狙いであった“都市伝説の力を埋めこまれた子供たち”を確保したらしい。
彼らに非人道的な改造を施した研究者は明尊が警備兵ごと皆殺しにしたそうだ。
人間を、人間が、当たり前のように。
巫山戯るな、なんでそんなことができるんだ?
怖くないのか?
痛くないのか?
震えないのか?
俺は怖かった。
俺は痛かった。
俺は震えた。
奴は外側こそ完全に人間だが結局は凶暴で残忍なネフィリムに過ぎない。
ましてやあの上田明也の長子だ。
世界有数の都市伝説発生地点学校町でまったくの0から己の才覚のみで独自勢力を築き、
組織をはじめとした様々な勢力に対し独自のパイプを持つ怪人だ。
俺がネバーランドを結成した当初、あいつの手でルル=ベル以外の仲間を皆殺されたのだ。
だから俺は次の作戦に当たってその息子である明尊を裏切りのリスク覚悟で受け入れ上田明也への睨みを効かせ、
世界中で大戦争を起こすことで「組織」やその他の都市伝説集団に属する強者の注意を世界中に分散させた。
そして俺は学校町で俺の“本当の目的”を果たす。
その目的実行の囮のために“都市伝説の力を埋めこまれた子供達”の存在がある程度重要になるのだ。
しかし今のところ上田明尊は俺の本当の目的に気づいていない。
裏切るとしても世界同時多発テロの妨害しかできない。
ならば戦力として有効に使うだけ。
他の同志と同じ扱いでいい。
むしろ、他の同志と全く同じだ。
俺の本来の目的を理解している奴などいなくて良いのだ。
何時か全ての人が知るところとなるのだから。
狙いであった“都市伝説の力を埋めこまれた子供たち”を確保したらしい。
彼らに非人道的な改造を施した研究者は明尊が警備兵ごと皆殺しにしたそうだ。
人間を、人間が、当たり前のように。
巫山戯るな、なんでそんなことができるんだ?
怖くないのか?
痛くないのか?
震えないのか?
俺は怖かった。
俺は痛かった。
俺は震えた。
奴は外側こそ完全に人間だが結局は凶暴で残忍なネフィリムに過ぎない。
ましてやあの上田明也の長子だ。
世界有数の都市伝説発生地点学校町でまったくの0から己の才覚のみで独自勢力を築き、
組織をはじめとした様々な勢力に対し独自のパイプを持つ怪人だ。
俺がネバーランドを結成した当初、あいつの手でルル=ベル以外の仲間を皆殺されたのだ。
だから俺は次の作戦に当たってその息子である明尊を裏切りのリスク覚悟で受け入れ上田明也への睨みを効かせ、
世界中で大戦争を起こすことで「組織」やその他の都市伝説集団に属する強者の注意を世界中に分散させた。
そして俺は学校町で俺の“本当の目的”を果たす。
その目的実行の囮のために“都市伝説の力を埋めこまれた子供達”の存在がある程度重要になるのだ。
しかし今のところ上田明尊は俺の本当の目的に気づいていない。
裏切るとしても世界同時多発テロの妨害しかできない。
ならば戦力として有効に使うだけ。
他の同志と同じ扱いでいい。
むしろ、他の同志と全く同じだ。
俺の本来の目的を理解している奴などいなくて良いのだ。
何時か全ての人が知るところとなるのだから。
「俺の怒りに触れたのだ、この程度当然だ。」
「ありがとうシンク。」
「ありがとうシンク。」
正直、元人間である俺はこの凶暴性が恐ろしくてしょうがない。
ベルは果たして恐ろしくないのだろうか?
無理もないか、ベルは忘れてしまっている。
目の前で自らの兄を八つ裂きにした男の息子に好意を寄せていると知れば彼女の心は容易く壊れる。
ベルは果たして恐ろしくないのだろうか?
無理もないか、ベルは忘れてしまっている。
目の前で自らの兄を八つ裂きにした男の息子に好意を寄せていると知れば彼女の心は容易く壊れる。
「それじゃあ急いで来てくれ。」
怒りに震えている冷たい声。
俺は忘れない、何も忘れない。
俺は忘れない、何も忘れない。
始めて殺した人のぬくもりも
唯一の親友スバルに施された実験も
死にかけた俺に悪魔が笑ったことも
この“吸血鬼”の力も
この“死神”の力も
上田明也の手で死にかけたときに手に入れた究極の力“死の河”も
全て覚えている
待っていてくれスバル
“僕”は君を取り戻す
「それじゃあ行こうか。」
「やっと出番?」
「待ちに待ったぜ。」
「まずはライディーンからお願い。」
「やっと出番?」
「待ちに待ったぜ。」
「まずはライディーンからお願い。」
ライディーンは鳥の姿に変身し、ふわりと宙に浮かぶ。
「じゃあお先!」
「私はまだかね?」
「僕の後に続いて。」
「じゃあ私は新婚さんを迎えに行くわ。」
「頼んだよ縁ちゃん。」
「私はまだかね?」
「僕の後に続いて。」
「じゃあ私は新婚さんを迎えに行くわ。」
「頼んだよ縁ちゃん。」
縁が二人を迎えに行ったのを確認してから一歩、一歩と足を踏み出す。
両手に提げるのはMG42グロフクス
第二次大戦中の1942年に、MG34の後継としてドイツ軍に制式採用された軽機関銃。
先代のMG34も優れた軽機関銃だったが、ほとんどの部品が削り出しであり、構造も複雑で生産効率が悪く、非常に高コストなのが難点だった。さらに部品のクリアランスがタイトで、泥や埃にまみれる戦場では信頼性にも難があった。
そこでドイツのグロスフス社が、MG34のコンセプトはそのままに、プレス加工を多用して構造の単純化と生産効率の向上を図ったものが、MG42である。
内部構造は大きくアレンジされ、MG34がロータリーロックボルトによるショートリコイルであるのに対し、本銃はローラーロックボルトによるショートリコイルとなった。この機構はポーランド人設計者のパテントを元に設計された。
両手に提げるのはMG42グロフクス
第二次大戦中の1942年に、MG34の後継としてドイツ軍に制式採用された軽機関銃。
先代のMG34も優れた軽機関銃だったが、ほとんどの部品が削り出しであり、構造も複雑で生産効率が悪く、非常に高コストなのが難点だった。さらに部品のクリアランスがタイトで、泥や埃にまみれる戦場では信頼性にも難があった。
そこでドイツのグロスフス社が、MG34のコンセプトはそのままに、プレス加工を多用して構造の単純化と生産効率の向上を図ったものが、MG42である。
内部構造は大きくアレンジされ、MG34がロータリーロックボルトによるショートリコイルであるのに対し、本銃はローラーロックボルトによるショートリコイルとなった。この機構はポーランド人設計者のパテントを元に設計された。
まず実戦テストとしてアフリカ戦線に投入されたMG42は、砂塵の中でも作動不良をおこすことなく、兵士たちの評判も上々であった。
その後、主製造元をマウザー社(ラインメタル社説あり)に移したMG42は正式にMG34の後継として採用され、1945年の敗戦までに約42万挺が生産され各地の戦線に投入された。
他国の軽機関銃に比べ、毎分1200発の発射速度はずば抜けており、まともに食らった兵士がまっぷたつに引き裂かれたこともあったという。その威力と独特の発射音から、連合軍兵士は『ヒトラーの電気ノコギリ(バズソー)』の異名でMG42を恐れた。
その発射音も凄まじく、射撃手はよく難聴になったという。
またMG34同様、専用のドラムマガジンを装着することで、一人で移動・射撃可能な攻撃型マシンガンとして使用することも可能である。現代の分隊支援火器やコンバットマシンガンのはしりとも言える運用法で、戦後型MG1~3でもドラムマガジンを使用する設計は継承された。
この点でも本銃は時代を大きく先行していた。
その後、主製造元をマウザー社(ラインメタル社説あり)に移したMG42は正式にMG34の後継として採用され、1945年の敗戦までに約42万挺が生産され各地の戦線に投入された。
他国の軽機関銃に比べ、毎分1200発の発射速度はずば抜けており、まともに食らった兵士がまっぷたつに引き裂かれたこともあったという。その威力と独特の発射音から、連合軍兵士は『ヒトラーの電気ノコギリ(バズソー)』の異名でMG42を恐れた。
その発射音も凄まじく、射撃手はよく難聴になったという。
またMG34同様、専用のドラムマガジンを装着することで、一人で移動・射撃可能な攻撃型マシンガンとして使用することも可能である。現代の分隊支援火器やコンバットマシンガンのはしりとも言える運用法で、戦後型MG1~3でもドラムマガジンを使用する設計は継承された。
この点でも本銃は時代を大きく先行していた。
連合軍に鹵獲されたMG42は、その優れた設計から研究素材となり、その後の軽機関銃・汎用機関銃開発に大きな影響を与えた。本銃自体も、ラインメタル社によって7.62mmNATO弾仕様へと改められて戦後も使われ続けることとなり、
当時の西ドイツ軍をはじめ、ヨーロッパ各国の制式装備に加えられた。
現ドイツ連邦軍では改良の進んだMG3となって現役である。またユーゴスラヴィア軍は戦後賠償として獲得した生産設備を用い、7.92mm口径のままでM53として採用された。このM53はユーゴでロケを行った戦争映画での出番も多い。
当時の西ドイツ軍をはじめ、ヨーロッパ各国の制式装備に加えられた。
現ドイツ連邦軍では改良の進んだMG3となって現役である。またユーゴスラヴィア軍は戦後賠償として獲得した生産設備を用い、7.92mm口径のままでM53として採用された。このM53はユーゴでロケを行った戦争映画での出番も多い。
バレルの交換の際に耐熱グローブが必要であったり、マズルブラストが激しいなど、さすがに今の目で見ると物足りない面もなくはないが(対空用としては期待できないため、発射速度を実用的な800発程度に落しているものも多い)、
元の完成度の高さから今現在も、歩兵用、車載用として、ドイツ連邦他、各国の第一線で使用され続けている。
元の完成度の高さから今現在も、歩兵用、車載用として、ドイツ連邦他、各国の第一線で使用され続けている。
余談ではあるが、アニメや漫画に登場するMG34やMG42は薬莢が横向きに飛ぶことが多いが、実銃では真下に排莢される。
森を抜けるとそこには巨大な研究所があった。
警報が鳴っている。
明尊達はもう見つかってしまったらしい。
だが問題はない。
警報が鳴っている。
明尊達はもう見つかってしまったらしい。
だが問題はない。
「お前は何者だ!」
「動くな撃つぞ!」
「動くな撃つぞ!」
何人かの男が俺を取り囲む。
気づいていないらしい。
というより解っていないらしい。
俺が両手に提げるこれがなんなのか理解出来ていないらしい。
俺はグロフクスの引き金を引いた。
銃声というよりはすでに爆音とでも言うべき発砲音。
掠るだけでウエハースのように砕ける鉄筋コンクリート。
言わずもがなはじけ飛ぶ人肉人肉人骨内蔵脳漿骨髄精液眼球。
気づいていないらしい。
というより解っていないらしい。
俺が両手に提げるこれがなんなのか理解出来ていないらしい。
俺はグロフクスの引き金を引いた。
銃声というよりはすでに爆音とでも言うべき発砲音。
掠るだけでウエハースのように砕ける鉄筋コンクリート。
言わずもがなはじけ飛ぶ人肉人肉人骨内蔵脳漿骨髄精液眼球。
「ああ、夜は明けて ユラユラ歩を合わせ」
引き金を引く、人が死ぬ。
「近づくのは14、15、16の少女の屍だ」
引く、死ぬ。
「さあ銃を構えろ 銃爪を」
死ぬ
「髪の毛も指も」
暴力的な弾丸の雨
「思い出も骨も」
誰も聞いてはいない歌
「くだけよもう一度闇に返してやれ」
火薬の香り
「恋人見つけても心凍らせろ」
もう何も感じない
「目を伏せるな」
殺す
「あのね、あたしたち好きな人に もう一度会うため歩いただけよ」
死ね
「ほらいつものように」
撃ちまくる
「ほら町へ逃がすな」
逃げる奴にも後ろから
「撃ちまくれ死者に悲しみはないから」
こいつにも家族は居ただろうに
「撃ちまくれ罪の意識は一時だ」
そんなもの……
「気の迷いさ」
笑う
「あのね、私たち好きな人の肌に触れるため歩いただけよ」
空を裂いて一筋の矢が俺の肩に突き刺さる。
俺は銃を取り落とし、力なく崩れ落ちる。
俺は銃を取り落とし、力なく崩れ落ちる。
「き、貴様!よくも先生が来ている時に!こんな時に来やがって!」
顔を蒼くした研究者。
ここの責任者といったところか。
ここの責任者といったところか。
「実験台も逃げ出しているし研究者も居なくなっているし!
どうしてくれる!」
どうしてくれる!」
知ったことじゃない。
銀の矢を力任せに引きぬき、男を睨みつける。
そして、口角をわずかに上げた。
銀の矢を力任せに引きぬき、男を睨みつける。
そして、口角をわずかに上げた。
「おい、笑えよ。」
「巫山戯るな!これで俺の人生もお終いだ!」
「いいじゃねえか、死ね。」
「化物がああああああああああああ!」
「そして!地獄を楽しみな!」
「巫山戯るな!これで俺の人生もお終いだ!」
「いいじゃねえか、死ね。」
「化物がああああああああああああ!」
「そして!地獄を楽しみな!」
「終わった……。」
「しっかし明尊ちゃん、何もここまでやるこたぁ無い気がするぜ。」
「しっかし明尊ちゃん、何もここまでやるこたぁ無い気がするぜ。」
チクタクチクタク
頭を潰された男の懐中時計が時を刻んでいる。
虚ろな目をした子供達が彼の周囲を取り囲んでいた。
虚ろな笑顔で。
頭を潰された男の懐中時計が時を刻んでいる。
虚ろな目をした子供達が彼の周囲を取り囲んでいた。
虚ろな笑顔で。
「これが……ここに居た子供達の怒りだ。」
赤かった筈の鎧は黒く染まっている。
これではまるで……悪魔だ。
これではまるで……悪魔だ。
「もう怖がるな、お前たちをいじめる大人はもう此処には居ない。」
「ヨロイのおにーちゃん……」
「おにーちゃんアリガトウ……」
「ヨロイのおにーちゃん……」
「おにーちゃんアリガトウ……」
チクタクチクタク
頭の中で機械音が鳴り止まない。
不思議と恐怖は感じなかった。
何といえばいいのだろうか。
むしろ安心な気さえした。
この力が私を守ってくれるならばきっと大丈夫だと確信できた。
頭の中で機械音が鳴り止まない。
不思議と恐怖は感じなかった。
何といえばいいのだろうか。
むしろ安心な気さえした。
この力が私を守ってくれるならばきっと大丈夫だと確信できた。
「付いてこいチビ共、脱出経路はすでに確保している。」
明尊ちゃんが扉を開く。
「はっはっはっはっは!」
開けた扉の反対側の扉から聞こえる大きな笑い声。
そこに立っていたのは碧眼金髪の男。
そこに立っていたのは碧眼金髪の男。
「流石!流石ですよ流石貴方の曽祖父……ではないな、その父上田明利に連なる家系!
貴方もやはり猛禽類、食らう側の人間だったのですね!
父を前にうろたえる貴方の姿を見ている間はずっと心配だったのですよ!
上田明尊さん!」
「F-No.0オオオオオオオオオオオオオオオオ!
貴様がこれを指示していたのかああああああああああ!」
貴方もやはり猛禽類、食らう側の人間だったのですね!
父を前にうろたえる貴方の姿を見ている間はずっと心配だったのですよ!
上田明尊さん!」
「F-No.0オオオオオオオオオオオオオオオオ!
貴様がこれを指示していたのかああああああああああ!」
どす黒く染まった鎧がガチガチと音を鳴らし地面が低く唸りを上げる。
「これだ!この眼だ!明邦と!明利と!明也と同じ!黒く淀んで濁った瞳!
雛鳥で居続けることはやめてくれたみたいですね!
今の貴方は立派に強者だ!肉食獣すら食らう生態系の王者だ!」
「サンジェルマアアアアアアアアアアアアアン!
親父とつるんでいる貴様の姿が不快でしょうがなかったぞおおおおお!」
「ならばどうする!
私が邪魔ならば暴力で排除してみれば良い!
テイウカアナタジブンヲトリアゲタイシャニタイシテソコマデイウノカキズツクジャナイカ!」
雛鳥で居続けることはやめてくれたみたいですね!
今の貴方は立派に強者だ!肉食獣すら食らう生態系の王者だ!」
「サンジェルマアアアアアアアアアアアアアン!
親父とつるんでいる貴様の姿が不快でしょうがなかったぞおおおおお!」
「ならばどうする!
私が邪魔ならば暴力で排除してみれば良い!
テイウカアナタジブンヲトリアゲタイシャニタイシテソコマデイウノカキズツクジャナイカ!」
なんか小声で言っていたが聞き取れなかった。
「……チビ共逃げな、ここから先は見られたくない。」
子供を逃がした後、明尊ちゃんが男に向けて殴りかかる。
先ほど明尊ちゃんは男をF-No.0と呼んでいた。
もしや組織のナンバーゼロの一人なのか?
だとしたら不味い、急いでここから逃げないと!
私は急いでラプラスの悪魔を使った予知を開始する。
……が、何故か見えない。
ノイズが走って未来が計算できないのだ。
銃声、私の両腕と右足に直撃する。
痛みは無い、そういう体質なのだ。
まるで機械みたいに、即死でさえなければ不思議と身体は動いてくれる。
先ほど明尊ちゃんは男をF-No.0と呼んでいた。
もしや組織のナンバーゼロの一人なのか?
だとしたら不味い、急いでここから逃げないと!
私は急いでラプラスの悪魔を使った予知を開始する。
……が、何故か見えない。
ノイズが走って未来が計算できないのだ。
銃声、私の両腕と右足に直撃する。
痛みは無い、そういう体質なのだ。
まるで機械みたいに、即死でさえなければ不思議と身体は動いてくれる。
「この研究所はサンジェルマンの昔の弟子が建てたものだ。
才能が無いからサンジェルマンには見限られていたのだが……」
才能が無いからサンジェルマンには見限られていたのだが……」
気配、私とそっくりな気配。
「まあ廃棄物はしっかり処分せねばなるまいしな。」
誰だ、この人はだれなんだ?
「名乗り遅れたな、私の名前は橙。
F-No.s最精鋭部隊fourcardのダイヤのスートを担当している。
お前がくだらない宣戦布告に使った霧雲霙の……親代わりだ。」
F-No.s最精鋭部隊fourcardのダイヤのスートを担当している。
お前がくだらない宣戦布告に使った霧雲霙の……親代わりだ。」
親……、霙……?
検索してみる、ああ、私はその霧雲霙とかいう娘を撃ったんだ。
宣戦布告のついでに、明尊ちゃんに嫌な思いをさせている子だからって。
検索してみる、ああ、私はその霧雲霙とかいう娘を撃ったんだ。
宣戦布告のついでに、明尊ちゃんに嫌な思いをさせている子だからって。
「まずそれは霙の分。」
細い細い糸が体に巻きつく。
強く強く縛られる。
強く強く縛られる。
「ここから先は私の分だ。」
少しずつ体が引きちぎられていく。
明尊ちゃんはサンジェルマンと殴り合っている。
彼のほうが若干優勢らしい。
私のピンチに気づいた明尊ちゃんが猛牛のように橙さんと私の間を駆け抜けた。
明尊ちゃんはサンジェルマンと殴り合っている。
彼のほうが若干優勢らしい。
私のピンチに気づいた明尊ちゃんが猛牛のように橙さんと私の間を駆け抜けた。
「橙さん、貴方もやはりF-No.につくか。」
「勘違いするな、事務所の方がバイトだ。」
「貴方は彼方さんにその姿を見せられるのか?」
「恩人の息子とはいえ、これ以上囀るなら容赦しないぞ。」
「勘違いするな、事務所の方がバイトだ。」
「貴方は彼方さんにその姿を見せられるのか?」
「恩人の息子とはいえ、これ以上囀るなら容赦しないぞ。」
二人とも明尊ちゃんの知り合いか。
仲は険悪……演技ではないらしい。
仲は険悪……演技ではないらしい。
「お前は霙を傷つけた。」
「んなもん知るか!」
「んなもん知るか!」
余談だが私は霙を撃ったことを明尊ちゃんに言っていない。
で、あるからして恐らく二人の間にはかなり重大な認識の齟齬が有る。
で、あるからして恐らく二人の間にはかなり重大な認識の齟齬が有る。
「知るか……?」
これでは明尊ちゃんが悪役である。
とはいえ今更下手なことは言えないし……。
とはいえ今更下手なことは言えないし……。
「お前みたいな我儘な馬鹿ガキには分からないだろうなあ彼女の痛みが!
お前は知らないだろうがな……お前は知らないだろうが!
眼を覚ましたあいつは……お前を許すと言ったんだよ!
サンジェルマン下がってろ!所長の代わりに私がケリをつける!」
お前は知らないだろうがな……お前は知らないだろうが!
眼を覚ましたあいつは……お前を許すと言ったんだよ!
サンジェルマン下がってろ!所長の代わりに私がケリをつける!」
私は糸による拘束が解けたので立ち上がる。
明尊ちゃんの後ろに隠れて橙という女性に睨みつける。
明尊ちゃんの後ろに隠れて橙という女性に睨みつける。
「女が絡むと暴走し始める辺りはそっくりだな……。
まあ良い、馬鹿ガキも、木偶人形も私が全部処理してやる!」
「木偶人形?どういうこと?」
「それは私が説明しましょう!」
まあ良い、馬鹿ガキも、木偶人形も私が全部処理してやる!」
「木偶人形?どういうこと?」
「それは私が説明しましょう!」
サンジェルマンという男が目を輝かせて喋り始める。
なにか、すごく嫌な予感がする。
なにか、すごく嫌な予感がする。
「ルル=ベル、貴方は機械なんですよ。
私が設計したアンドロイドなんだ。」
私が設計したアンドロイドなんだ。」
え?
「橙さんの脳をベースにした人工知能と私と私の同族から作った生体素材を使用した成長するアンドロイド。
身体の半分以上が機械ですから人造人間と言う気にはなれませんね。
まあともかくルル=ベル、貴方はそういう存在なのですよ。
何を思ったのか製作担当者が逃げ出したのでfourcardのジョーカーに殺してもらったのですが。
貴方には兄の記憶は有りませんか?
あれ、製作担当者が植え付けた偽物なんで破棄しちゃってくださいね。
頭の中でネジを巻いたような音がしませんか?
いかんせん未完成品ですからね……。
記憶もあまり長持ちしないでしょう?
偽物とはいえラプラスの悪魔の悪魔との契約の為に回路に手を加えなくちゃいけなくて……」
身体の半分以上が機械ですから人造人間と言う気にはなれませんね。
まあともかくルル=ベル、貴方はそういう存在なのですよ。
何を思ったのか製作担当者が逃げ出したのでfourcardのジョーカーに殺してもらったのですが。
貴方には兄の記憶は有りませんか?
あれ、製作担当者が植え付けた偽物なんで破棄しちゃってくださいね。
頭の中でネジを巻いたような音がしませんか?
いかんせん未完成品ですからね……。
記憶もあまり長持ちしないでしょう?
偽物とはいえラプラスの悪魔の悪魔との契約の為に回路に手を加えなくちゃいけなくて……」
うそ……?
「出鱈目言うな!」
明尊ちゃんがサンジェルマンに殴りかかる。
しかしそれは見えない糸の壁であっさりと防がれる。
恐ろしくなるくらい躊躇いなく明尊ちゃんが橙に殴りかかる。
知り合いじゃないのか?
恐らく姉のような人じゃないのか?
違う、解ってる。
この人は解っていて、それでも私の為に拳を振るっているんだ……。
だったら、私はこの人の為に戦わなきゃ。
しかしそれは見えない糸の壁であっさりと防がれる。
恐ろしくなるくらい躊躇いなく明尊ちゃんが橙に殴りかかる。
知り合いじゃないのか?
恐らく姉のような人じゃないのか?
違う、解ってる。
この人は解っていて、それでも私の為に拳を振るっているんだ……。
だったら、私はこの人の為に戦わなきゃ。
「出任せでこいつを傷つけるな!」
拳が、目にも留まらぬ速さで拳が壁に叩きつけられる。
糸がブツッと切れて拳が橙に叩きつけられ……無い。
糸がブツッと切れて拳が橙に叩きつけられ……無い。
「おいおい、動きが読めてるじゃないか。」
橙は激流に身をまかせる木の葉のように明尊ちゃんの拳をヒラヒラと避ける。
そうだ、私がなんであれ私は明尊ちゃんの為に戦う。
明尊ちゃんが私のために戦ってくれるなら、私はなんであっても構わない。
私も彼女の為に戦うんだ!
動く先をラプラスの悪魔で予想、私は懐の拳銃で橙を撃った。
だがそれすらまったく意味を成さない。
橙という女性一人に子供みたいに弄ばれている。
そうだ、私がなんであれ私は明尊ちゃんの為に戦う。
明尊ちゃんが私のために戦ってくれるなら、私はなんであっても構わない。
私も彼女の為に戦うんだ!
動く先をラプラスの悪魔で予想、私は懐の拳銃で橙を撃った。
だがそれすらまったく意味を成さない。
橙という女性一人に子供みたいに弄ばれている。
「素晴らしいな!素晴らしいよあの機械がここまで人間らしくなるなんて!
私の娘と呼んでも良いくらいの素晴らしい出来映えだ!」
私の娘と呼んでも良いくらいの素晴らしい出来映えだ!」
サンジェルマンがにやりと笑う。
不味い、あの男、明尊ちゃんに……!
不味い、あの男、明尊ちゃんに……!
「それでは……テストしてみましょうか。
受け取りなさい、私の…………!」
受け取りなさい、私の…………!」
サンジェルマンが明尊ちゃんの背後で槍投げの姿勢をとっている。
あの男はあれで彼を突き刺すつもりだ。
あの男はあれで彼を突き刺すつもりだ。
「明尊ちゃん危ない!」
咄嗟に彼を突き飛ばす。
胸に走る鋭い痛み。
胸に走る鋭い痛み。
「ベル!?」
「…………素晴らしい!」
「…………素晴らしい!」
満面の笑み。
ああ、そうか。
理解した。
私がかばうかどうか実験したのか?
それに気づいたが
ああ、そうか。
理解した。
私がかばうかどうか実験したのか?
それに気づいたが
「明尊ちゃん、逃げて……。」
もうどうすることもできなかった。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
消え行く意識の最後に見たのは、黒から蒼へと色を変える鎧だった。
ああ素晴らしい。
使えないと思っていた物二つが出会って思わぬ化学反応を見せてくれた。
これだから凶科学者は、狂科学者はやめられない。
出来そこないの機械人形と理性の鎖に縛られたネフィリムと。
獣のように吠えたけった彼は一瞬だけ冷静に戻り冷たく響く声でつぶやいた。
使えないと思っていた物二つが出会って思わぬ化学反応を見せてくれた。
これだから凶科学者は、狂科学者はやめられない。
出来そこないの機械人形と理性の鎖に縛られたネフィリムと。
獣のように吠えたけった彼は一瞬だけ冷静に戻り冷たく響く声でつぶやいた。
「負けたよ……ドクター、よくこんな残酷な仕打ちを思いつくよ。
俺としたことがあの親父から離れている間に一瞬忘れちまってたぜ。
人は皆……悪魔だということを。」
俺としたことがあの親父から離れている間に一瞬忘れちまってたぜ。
人は皆……悪魔だということを。」
そうだ、その眼だ。やはり貴方も出来るのですね。
その獲物を狩る猛禽の瞳、自らの群れを守る獣の眼!
その目をできるようになれば君は問題ない。
戦える。
戦っていける。
そして私は、この目をしている人間に勝った試しがない。
橙さんが危険を感じて私の前に立とうとしている。
駄目だ、ここで二人を傷つけ合わせるわけにはいかない。
その獲物を狩る猛禽の瞳、自らの群れを守る獣の眼!
その目をできるようになれば君は問題ない。
戦える。
戦っていける。
そして私は、この目をしている人間に勝った試しがない。
橙さんが危険を感じて私の前に立とうとしている。
駄目だ、ここで二人を傷つけ合わせるわけにはいかない。
「橙さん、後ろに下がって。」
「しかし……!」
「良いから。」
「しかし……!」
「良いから。」
上田明尊の拳が私の顔面に直撃する。
空気との摩擦で炎が拳に纏わりついていた。
完全燃焼の蒼い炎。
私の肉が徐々に徐々に焦げていく。
完璧だ。
骨が見える。
残虐性。
骨が折れる。
凶暴性。
目が潰れる。
攻撃性。
そしてなにより……
空気との摩擦で炎が拳に纏わりついていた。
完全燃焼の蒼い炎。
私の肉が徐々に徐々に焦げていく。
完璧だ。
骨が見える。
残虐性。
骨が折れる。
凶暴性。
目が潰れる。
攻撃性。
そしてなにより……
「良くも!良くも!俺のをおおおおおおおおお!
悪魔のような残虐性と天使のような慈愛の二つを保ち、
自分より遙か格上の相手に立ち向かおうとする意志を貫く。
人道を踏破せんばかりのその心のあり方が……
自分より遙か格上の相手に立ち向かおうとする意志を貫く。
人道を踏破せんばかりのその心のあり方が……
「嫌いじゃない……ですね。」
やれやれ、死ぬか。
既に塵となっていたサンジェルマンを俺は何度も踏みつけていた。
「動くな上田明尊」
振り返る
「橙さん……。」
迂闊だった。
怒りにかられて完全に暴走していた。
怒りにかられて完全に暴走していた。
「動けばこの娘も只では済まないぞ。」
ルル=ベルが、虫の息のルル=ベルが橙さんに捕まっていた。
「息がある味方を優先すべきだったな。」
「屑が……!」
「屑ねえ。私の絞りカスみたいなこの娘に言ってやってくれ。」
「屑が……!」
「屑ねえ。私の絞りカスみたいなこの娘に言ってやってくれ。」
殺す
「怒りに飲まれたか。」
俺を守っていた都市伝説“日数”がはじけ飛ぶ。
流し込まれる心の力の量に耐え切れなくなったか。
それとも俺の心の質が変わったのか。
鎧が、卵の殻が、はじけ飛ぶ。
その間に橙の糸で腕が二本ほど飛んだが気にする必要はない。
俺は……飛べる。
流し込まれる心の力の量に耐え切れなくなったか。
それとも俺の心の質が変わったのか。
鎧が、卵の殻が、はじけ飛ぶ。
その間に橙の糸で腕が二本ほど飛んだが気にする必要はない。
俺は……飛べる。
「があああああああああああ!」
ルルを突き飛ばして橙が咄嗟に逃げ出そうとする。
しかしそれよりも早く、俺は彼女の首筋に噛み付いた……つもりだった。
違う
俺は何時の間にかルルの腕に噛みついていた。
しかしそれよりも早く、俺は彼女の首筋に噛み付いた……つもりだった。
違う
俺は何時の間にかルルの腕に噛みついていた。
「待って明尊ちゃん……。」
「―――――――!?」
「―――――――!?」
生きている。
ルルが生きている。
というよりピンピンしている。
ルルが生きている。
というよりピンピンしている。
「止めなよそんな顔、それじゃあまるで悪魔みたいだよ?
もっと人間らしい顔しなよ。貴方は人間なんだからさ。」
もっと人間らしい顔しなよ。貴方は人間なんだからさ。」
槍の突き刺さった胸がバチバチ言っているがどうみても元気だ。
本当に……機械なのか。
本当に……機械なのか。
「えへへ……私、生き物じゃなかったみたい。」
ルルはため息をつく。
「嫌いになっちゃった?」
「好きになった。」
「――――――――――!?」
「そこの腕をとってくれ。」
「これ……?」
「つけてくれ。」
「好きになった。」
「――――――――――!?」
「そこの腕をとってくれ。」
「これ……?」
「つけてくれ。」
ルルは俺の吹き飛んだ腕を切断面に当てる。
これだけで治ってしまう、便利な身体だ。
これだけで治ってしまう、便利な身体だ。
「ありがとう。」
「明尊ちゃんまだ戦うの……?」
「ああ。でも今度は……俺が守りたいものを守る為に闘う。
絶対に怒りにまかせては戦わない。」
「くそ……面倒なことになってしまったな。」
「明尊ちゃんまだ戦うの……?」
「ああ。でも今度は……俺が守りたいものを守る為に闘う。
絶対に怒りにまかせては戦わない。」
「くそ……面倒なことになってしまったな。」
まず目の前に居る女を仕留める。
方法は解る。
どこかから聞こえてくる。
誰かが教えてくれる。
方法は解る。
どこかから聞こえてくる。
誰かが教えてくれる。
「おいレモン、吐いた唾飲むなよ?」
俺はルルの胸に突き刺さったままの槍を引きぬいて構えた。
「本当に面倒だな」
困ったことになった。
明尊がネバーランドに信用されるために悪役をしなければならないのは解っていたが……
正直かなり心苦しい。
サンジェルマンの渡した槍はちゃんと受け取った。
両断した明尊の腕が一瞬で治癒した事実に私は恐怖をおぼえている。
明尊がネバーランドに信用されるために悪役をしなければならないのは解っていたが……
正直かなり心苦しい。
サンジェルマンの渡した槍はちゃんと受け取った。
両断した明尊の腕が一瞬で治癒した事実に私は恐怖をおぼえている。
「仕方ないね。」
事情は解っていたさ。
全部解っていた。
だから今となってはどちらにも怒ることはできないのだ。
少し戦闘不能になってもらって私はさっさと退散しよう。
全部解っていた。
だから今となってはどちらにも怒ることはできないのだ。
少し戦闘不能になってもらって私はさっさと退散しよう。
「あんたは俺が殴る。」
やめてくれ、当たったら死ぬ。
そんなノリノリで槍を振り回すな。
ああなんか虫取り棒みたいなデザインの槍だな。
あれ?
なんか見覚えがあるキーホルダー……あ!
あれは所長が無くしたって言ってた蜻蛉切!?
うわー時の流れ感じるわあ……。
世代交代だわあ……。
そんなノリノリで槍を振り回すな。
ああなんか虫取り棒みたいなデザインの槍だな。
あれ?
なんか見覚えがあるキーホルダー……あ!
あれは所長が無くしたって言ってた蜻蛉切!?
うわー時の流れ感じるわあ……。
世代交代だわあ……。
「それも面倒だ。私は退かせてもらうよ。」
「待てっ!」
「待てっ!」
サンジェルマンの死体……とすら言えない何かを残して私は逃げ出そうとした。
だが、その道の前には一人の少年が立っていた。
だが、その道の前には一人の少年が立っていた。
「そうだよ、少し待ちたまえF-No.6」
「――――――お前は!?」
「ラッキー、なんとか間に合ったみたいだね。」
「ジャック!」
「逃げ時を見誤ったか……。」
「――――――お前は!?」
「ラッキー、なんとか間に合ったみたいだね。」
「ジャック!」
「逃げ時を見誤ったか……。」
不覚、研究所の雑魚を掃討したジャック・ジョーカーが戦闘に乱入してきてしまった。
私としたことがらしくもない。
私としたことがらしくもない。
「二人とも下がっていてくれ、僕は彼女に少なからぬ因縁が有るんだ。
―――――こいつは僕が仕留める!」
―――――こいつは僕が仕留める!」
ジャックは腰のベルトからナイフを取り出すと私に飛びかかってきた。
【不思議少女シルバームーン第七話 第三章「永遠と契約した少年」】