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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 魔法少女銀河-23

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【不思議少女シルバームーン第九話 第二章「薫風」】

「やるじゃない、人間にしてはそこそこ頑張った方だわ。」
「はぁ、はぁ、化物め!」
「名前は……紅瀬だったかしら?覚えておいてあげる。」

 スバルが去った後、紅瀬とヨツバは激闘を続けていた。
 大量の使い魔を以て物量作戦で攻めるヨツバに対して、
 能力で劣る紅瀬縁は現代兵器を駆使して対抗していた。
 だがその戦力差は圧倒的、ものの数分で紅瀬は彼女に追い詰められていた。

「奢るな化物!」

 紅瀬は懐から拳銃を取り出してヨツバに向けて引き金を引く。
 弾丸はヨツバを守る大量の使い魔を貫通してヨツバの目の前まで届くが……

「白紙の呪詛(ホワイト・アルバム)」

 空中で静止する。

「動け!動け!動けよ!今動けなきゃ何のために力を得たのか解らない!
 動いてよ私の身体!まだ終わるわけにはいかないのよ!」
「美しいわねえ……。必死であがき、生にしがみつく人の姿は。
 使い魔共に食わせるのも勿体無いわ。」
「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「氷漬けにして葬ってあげる……。」

 ヨツバは使い魔を左右に引かせて、右手を冷気で輝かせながら紅瀬の元に歩み寄る。

「痛みは無いわ、せめてもの慈悲よ。」
「魔女に慈悲があるなんてね。」
「命乞いでもしてみたら?もしかしたら私が気まぐれを起こすかも。」

 手を伸ばせば届く距離までヨツバが迫る。
 彼女の持っている杖が紅瀬の首筋に触れた。
 勝利を確信してヨツバは微笑む。

「遠慮するわ、魔女の慈悲には人間の悪意で報いることにしているの。」

 だがしかし、紅瀬もまたこの瞬間勝利を確信していた。
 ヨツバが最後の瞬間見たのは紅瀬の右手に握られたスイッチ。

「―――――――スイッチ、オン」

 それと同時に彼らの視界は真っ赤に染まった。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――




 遠のきかけていた意識。
 その中でも誰かが彼女を呼んでいる。

「おい!おいあんた!大丈夫か!」
「あんたって何よ!この方は業界でも有名な魔女なのよ!
 いくら貴方でもそんなあんただなんて気安く……。」

 聞こえてきた声にヨツバは目を開ける。

「あら、明也くんじゃないの?それにカイトちゃん。」
「え?なんで……」
「ヨツバさん、この人は明尊くんって言って上田さんの息子さんだそうです。」

 常人であれば肺を焼かれる温度にまで熱せられたフロア。
 半人半魔の明尊はこの程度なんのダメージもないし、カイトもまた然りである。
 彼らは迷うこと無くこの階に突入し、そこでヨツバを見つけた。
 紅瀬の捨て身の自爆によってヨツバは瀕死の重傷を負っていた。

「あらそう……、貴方がね。お父様に似て中々いい男だこと。
 でもちょっと可愛らしすぎるわね、ワイルドなタイプの男が好みなの。」
「ヨツバさん!あまり喋ると怪我に障ります。
 お腹に穴あいてますし……頭以外ほとんど火傷でひどいことになってます!」
「顔は女の命ですもの、咄嗟の魔法で最低限守ったわよ。」
「もう……とにかく薬を!」
「薬は良いわ、貴方達が使いなさい。」
「でも!」
「死にはしないわ。それよりも私より先に一人上に行った子が居るの。
 彼を助けてあげて。」
「怪我は治すから!貴方が行ってください!」
「駄目よ、こんなみっともない姿、恥ずかしくて見せられないわ。」
「でも……!」
「カイト、行こう。」
「物分りが良いわね、偉いわ。」
「よく言われる。魔女とやら、後で俺の親父との関係を聞かせろ。」
「あら傲慢ね、考えておくわ。」

 礼を言う、と短く答えてから明尊は振り返らずに階段を登り始めた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――




「貴方の話を聞いた限りでは、今の義兄さんの装備が戦いに耐えうるとは思えません。」
「そうよね、明尊ちゃんったらお父さんから預かった刀しか持ってない筈なのよ。」
「都市伝説だそうですけどあの人と武器系の都市伝説の適合率は低かった筈ですよ。」
「らしいわね。」
「そんな装備でジャックと戦えるとは思えません……。」

 無線でルルと会話する霙。
 彼女はエレベーターが通る穴をゆっくりと登っていた。
 このルートならば簡単に最上階まで到達できるのである。

「ハローおまえら。」
「橙さん何やってるんですか。」
「東南アジアの空の下で優雅にバカンスだ。」
「あ、そっち制圧終わったんですか。」
「うん、ゲリラ戦なんて優秀な探知系が敵にいれば各個撃破の餌を提供するみたいなもんだからな。」
「それで、どうしたんです?」
「いやそれがなあ……F-No.の都市伝説保管庫から貴重な都市伝説が無くなっているんだ。」
「え?」
「監視カメラに明尊がバッチリ写っていてだなあ……。」
「後でこってり叱られる感じじゃないですか。」
「実は私が手引きしていてだなあ……」
「減給何ヶ月ですか。」
「数えたくない。」
「またお前も昔は真面目な娘だったのに!とか所長が泣くんだ。」
「兎にも角にもオペレーションは私がまたやるよ。ルル、お前のやるべきことは解っているな!」
「解ってますよ、つまり……どういうことだってばよ。」
「このすっとこどっこい!お前も今からアジト行って霙とかと合流しろ!」
「はーい。」
「え、ルルさんもこっち来るんですか。」
「きちゃいかんのか。」
「いえ、むしろ歓迎したいんですけど……」
「安心しろ、こいつだって戦闘機能は有る。」
「有ったの私に!?」
「霙、最上階まであと何キロォ?」
「えーっと、0.01キロくらいです。」
「意外と近いな。」
「ええ。」
「―――――――――じゃあ、そろそろか。」

 橙は不敵に笑う。

「え?」

 その瞬間、霙の真下から一陣の風が吹き上がってきた。

「まずはお前らに任せる、霙には最終兵器を持たせて行くからそれまで時間を稼いでいろ。」

 風の正体を視認して霙は顔を輝かせる。

「任せてください!」

 風は霙の手をとってエレベーターのドアをぶちやぶり最上階へと降り立った。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――





「まだ……まだ終わる訳にはいかない。」

 黒く焦げた肉片のようなものが這いずっている。
 ギリギリ、人の形を保っていると言えなくもない。

「私には……まだやることがある。」

 崩れ落ちるようにしながら階段を降りてそれはとある場所へ向かう。

「あと少し……。」

 それが向かう先は彼女の部屋。

「確か、引き出しに……。」

 一枚の写真。
 それを手で握って植物へと変える。
 花の名は蒲公英。
 その綿毛を絶えかけた息で吹き飛ばす。

「……花、咲けばいいなあ」

 そう行って、それはその場に崩れ落ちた。

【不思議少女シルバームーン第九話 第二章「薫風」】

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