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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 魔法少女銀河-25

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匿名ユーザー

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【不思議少女シルバームーン 第九話 第四章「黄昏」】

「って話さ。」
「ほうほう、俺が倒れた後にそんなことが有ったのか。」
「ああ、結局ジャックの奴の死体は確認されなくて……
 って、この話はあんたも知ってるか。」
「おう、そういえば百回くらいは殺したんだけど死ななかったなあ、あいつ。」
「なんだよそれ、俺が来るまでに何が有ったんだよ。
 ていうかあんたマジで何者なんだよ。」

 いつも通り彼誰飯店で事件のあらましを話す俺。
 いつも通りにそれを聞く店長。
 何時もと違うのは俺が戦う準備をしているってことくらいで。

「俺の正体かぁ?」
「ああ、聞かせてほしいね。」
「そうだなあ……今日は偶然貸切の予約が入っていて……
 客もしばらく来ないしまあそれも悪くは無いな。」

 店長は火の点いた煙草を取り出して吸う。
 甘いフルーツのような香りが漂う。
 大麻か?昼間からそんな妙な物を吸うなんて随分良い身分じゃないか。

「安心したまえ、煙草じゃあない。南国産のフルーティーな香りのする嗜好品だ。」
「へえ……」

 やっぱり大麻じゃないか。

「健康に害は無いんだぜ?」
「ええ、適量を守れば……ですけどね。」
「それはどんなものでも一緒だよ。
 全ての物には秩序が必要で、全ての悲劇も全ての喜劇もその秩序の中で起きる。
 君の旧友はその秩序から踏み出して……帰って来れなかった。」
「で、貴方の正体は?」
「ちぇっ、ごまかせないか。
 俺の正体は笛吹丁、この街で探偵業を営んでいる。」
「笛吹探偵事務所……ああ、名前は聞いているよ。」
「誰から?」
「都市伝説に関わったことがあれば話は聞くだろうさ。」
「そっか。」
「あんたもジャックも同じ悪人だったじゃないか。
 何故あいつだけは討伐されたんだかね。」
「弱かった。庇護してくれる人間も居ない。天性のバトルセンスも無い。」
「…………そう。」
「お前が俺の所に来たのはそれだけじゃないだろう。
 お前はすべき質問があるはずだ。」
「じゃあ聞くぜ。」
「おう。」
「霙を差し向けたのはあんただろう?」
「おう。」
「なんでだ?」
「正義の味方、ってのが気に入らん。
 ありもしない神を信じる連中と一緒だ。」
「気に入らないから倒そうとしたのか?」
「ああ、霙くらい徹底的に仕込んだ刺客を送れば惨めに負けてくれると思ったのだよ。
 更に言えば……そう、朔夜が正義の味方なんていうものを諦めてくれると思ったんだ。
 仲良くなられるとは思わなかった、流石だよ。仲良くなるのが最強の対処法だもんな。」
「随分ご執心だね。年下の女の子が好きとか?」
「それは否定しない……が、俺が奴に執着するのはそういう理由ではない。」
「へぇ……。」
「あいつはな……俺の娘なんだ。」

 えっ

 いやいやいやいや……え?

 …………おい!

「少年漫画じゃないんだぞおい!」
「まったくもってだな。」
「あれ、今……。」
「出てる出てる、めっちゃ声に出てた。
 本当に霙から聞いた通りだな。」
「おぉう……。」

 笛吹はカラカラと笑う。

「ああそうそう、お前たしか霙のパンツの色聞いてなかったっけ?」
「ああ、黒ですよね。黒以外認めませんよむしろ。」
「馬鹿者が、白に決まっているだろう。」
「何故だ!」
「それが分からないから馬鹿者だと言うのだよこのウスバカゲロウ!
 良いか、何故黒いパンツが良いかと云えばそれはヒップやら腿の肉をスリムに見せるためだ!
 故に少し身体のたるんで来てしまいながらもむせかえるような色気を放つ大人の女が着けてこそ真価を発揮するのだ!
 黒いパンティを穿いたからイイってもんじゃねえぞ!
 霙みたいにちょっとエロい雰囲気があるからってすぐに黒を選ぶのは誤りなんだよ!」
「解ってねえ!お前何も解ってねえ!黒っていうのはな!黒っていうのは宇宙なんだよ!
 女性の神秘を極限まで高める変身アイテムなんだよ!」
「女に神秘なんてねえよっばーか!それよりも純粋で清潔なイメージを損なわない白をあの子には着せるべきなんだ!
 そもそも美しい女性に変身なんて不要だ!ありのままの魅力を受け入れろ!」
「んだと!?ならなおのことあの子の白い肌には黒い下着が最高なんだよ!」
「貴様にあの娘の下着の何が解る!」
「え?」
「あの下着は俺がデザインしたんだぞ!」
「マジ何者なの店長?」
「探偵だ。」
「待てよ……デザインしたってことは……。」
「その通り!お前らの通う塾のマドンナの下着は俺の意のままなのさ!
 偶に洗濯もしているね!」
「あんたって人はああああああああああああああああああ!」

 俺と笛吹は同時に立ち上がる。
 この男だけは許してはいけない。
 この男は、俺たち男子小学生に“大抵同世代のかわいい女の子って年上の男にアレされる”っていうトラウマを植えつける気だ!
 この男だけは!俺が此処で倒す!

「やるか!てめえの大好きなお友達をぶっ飛ばしたのは俺だぜ!」
「うるせえとっくに予想ついてたわ!娘なんてのは知らなかったがな!」
「表出ろ!」
「よしきた!」

 と、その時だった。

「店長居るかーい。」
「笛吹さん、来ましたよ。」
「ふん、偉大なる俺まで呼び出されることになるとは思わなかったぞ。」
「ここがスバルの行きつけの店?屋台じゃない。」
「上田さん、友美さん達連れてきましたよー。」

 見覚えのある顔がゾロゾロと店に入ってくる。
 笛吹いてた頭から煙だす女の子に、明尊に、カイトさんに、霙に、……朔夜まで。
 そして一番最後に顔を知らない綺麗な、背の高いお姉さんが入ってくる。

「あ、あんたは!?」
「―――――うわお前!?」

 朔夜が店長の姿を見るなり昏倒する。
 やっぱりまだ苦手なんだろうか。

「はいはい皆席ついてー」
「「「「はーい」」」」
「気絶した朔夜ちゃんはどうするの?」
「そこらへんに座らせといて。」
「笛吹さーん、良いよ、やっちゃって。」

 店長が指を鳴らす。
 するとあっという間に屋台だった場所が会議室に変化する。

「スバル、貴様との喧嘩は後だ。
 そちらのセクシーなお姉様から少しお前らに話があるそうだ。」
「な、これは……!?」
「所長の時空間転移能力です。」
「さて、俺は席を外すぞ。面倒なことになるのは御免だ。」

 そういって笛吹はドアを開けて何処かに消える。

「はい注目、私の名前は新島友美、この街を守りたいと思っている人間だ。
 今回貴方達はこの町に起きた騒動の源であるジャック・ジョーカーを見事討伐したわけだよ。
 そのことは実はこの街のニュースになってたりします。」
「組織による隠蔽は?」
「その件だがなあ偉大なるわが友スバルよ、今回は隠蔽作業が“何故か”行われていないのだよ。
 俺もその件について説明を受けるためにここに来た訳だ。」
「何時から俺たちは友達になったんですか。」
「何を言っている、この上田明尊を不意討ちとはいえ一度退けたのだ。
 そのうえ貴様一人で俺たちが来るまで戦っていたんだろう?
 誇れ、貴様を我が友と認めてやろう。」
「あ、どうもスバルくんはじめまして。私はネバーランドの元メンバーのルル=ベルです。
 諸事情有ってジャックの元を離れたんですけどね。
 今は笛吹さんの事務所でお茶くみしてます。」
「あ、どうもどうも……。なんか共通の知り合い居るみたいですしこれからよろしくお願いします。」
「ほら皆話聞いてー」
「はーい。」

 友美さんとやらがコツコツとホワイトボードを叩く。

「まず説明すべきは今回何故隠蔽措置が行われなかったか、だよね。
 組織は少なくとも学校町に限って言えば都市伝説に関する情報の隠蔽をやめることにしたわ。
 なぜかっていえばもう大量発生しすぎて隠し通せなくなってるから。
 で、町の人々の不安を和らげる為に隠蔽以外の策を講じることになったの。」
「そんなこと可能なんですか?」
「ええ、今回の計画は国すら巻き込んでいるわ。」
「へぇ……」
「ふむ、エーテル師の仕事が減るわけか。素晴らしい。」
「で、友美さんとやらその策ってなんなんですか?」
「あ、私所長から聞きました!」
「霙ちゃんは少し黙ってなさい。」
「はーい。」
「私の計画ってのはヒーローをこの町に作ること。
 どんな恐怖が有ったとしても誰かが助けてくれるとわかっていればそれほど怖くないでしょう?」
「しかし母さん、それなら組織で十分だと思われますが。」
「そこが違うんだよ明尊くん。」
「んむ?」
「今まで人々から都市伝説を隠蔽していた組織じゃなくて。
 人々に馴染みやすい新しいヒーローの組織を作るべきなんだよ。」
「組織が信用ならないと言うのですか?いくら母さんとはいえそれは……」
「なんだい?」

 友美さんが明尊を一瞥する。

「いえ、なんでもありません。」
「なら良い。
 で、君たちにはやってもらいたいことがある。」
「……ここはどこ!?私誰!?」

 とまあタイミングよく朔夜が目覚める。

「あ、朔夜ちゃん起きた?」
「み、霙!さっき私何か名状しがたい物を……!」
「うふふ、気のせいだよ。」
「あ、起きたか今回のスーパースター。」
「あ、どうもどうもサインなら幾らでも……」
「もう起きたんだ。
 サインは後で貰っておくから君の手元の資料に目を通しながら私の話聞いててね。」
「はー……い」

 ものすごい勢いで資料らしき分厚い紙束に目を通す朔夜。

「すごい!私たちヒーローになっちゃうんですか!?
 何この計画、上の上じゃないですか!」
「あ、ありがとう……。」

 勘違いされがちだが朔夜は馬鹿じゃない。
 むしろ演算能力や情報処理能力などは高い。
 単に天然ボケなだけだ。

「えっと、ざっくり説明しちゃうと貴方達に正体を隠しながら町のヒーローになってもらいたいの。」
「私はオッケーよ!前から魔法少女やってたしね!」
「堂々と朔夜ちゃんと一緒に戦えるので私も喜んでやらせて頂きますね。」
「私はちょっと組織の仕事が……」
「俺もだ、組織の仕事を優先するに決まっている。」
「私は明尊ちゃんについていく……と言いたいんだけど笛吹探偵事務所預かりだから強制参加……。」
「カイトくん、明尊くん、大丈夫だよ。」
「え?」
「どういうことです?」
「二人分の辞表出してきたから!」
「はあああああああああああああ!?」
「えええええええええええええええええええ!!」
「どどどどどどういうことですか!」
「カイトくんはサンジェルマンから直々にメッセージ預かってるよ。」

 サンジェルマン、懐かしい名前だ。
 今回のことには奴も関わっているのか。
 友美さんはテレビデオを取り出してスイッチをつける。

「どうもカイトさーん!貴方首!」
「えええええええええええええ!?」
「再就職先って訳じゃないですけどミスカトニック大学の魔術学部西洋魔術専攻科に留学できるようにしておきましたから!
 もっともっと実力をつけてテンプル騎士団の一員として恥ずかしくない実力を蓄えてくださいね!」
「……じゃあ良いか。」

 友美さんはテレビデオの電源をオフにする。

「俺は!俺はどうなっているんだ!中学生の貴重なバイト先!」
「えっとねえ……。」

 友美さんは再びテレビデオの電源をオンにする。
 今度は誠実そうな瞳をした白人の男性が画面に映る。

「明尊、見てるか?
「エーテルさん!」
「お前しばらく休職処分。」
「え?」
「勝手にF-No.の倉庫から都市伝説持ち出したら駄目だろうが……。
 日数の修繕は終わったから後で火尖槍も混天綾も乾坤圏も返しに来なさい。
 とりあえずこの辞表は俺があずかっておくぞ。」
「あー……忘れてた。ごめんなさい。」
「というわけだよ、ヒーロー組織に所属しないと貴方はフリーの契約者扱いだね!」
「くそっ…………。」
「笛吹さんみたく一人でやっていく才覚があるならチャンスだよ!」
「……無理です。」

 なっさけねええええええええ!
 この馬鹿あのどさくさに紛れてなにやってんだよおおおおお!
 戦争は事後処理が大事なんだよおおおおおおお! 

「さて、後はスバル君の答えだけだね。」
「あー俺ですか。」

 友美さんが俺を見てニヤリと笑っている。

「うん。」
「スバル!あんたもやるでしょ!?また三人で戦いましょう!」
「スバルさんが居れば完璧ですよ!」
「あ、ごめん。俺はパス。」

 場の空気が凍りつく。

「いやあそれがですねえ……」
「おいスバル、お迎えが来てるぞ。」

 その時、部屋のドアを開けて包帯で顔をグルグル巻きにした笛吹さんが部屋に入ってくる。
 その後ろからヨツバさんが現れた。

「スバル!迎えに来たわよ!もう時間なんだから早くいかないと!」
「あ、すいません!」
「お父様!まだ怪我が治ってないの!?
 それにおばあちゃままで……いったいどうしたの?」
「朔夜……お祖母ちゃんスバルくんとちょっと世界一周旅行にいってくるわ。
 おみやげ楽しみにしていてね!
 旅行先から絵葉書とか送っちゃうから楽しみにしてて!
 今までデートを断っちゃった分たっぷり遊んであげないとね。」
「はああああああああああああ!?」
「我が娘よ、ヨツバさんも女性なんだ。そこらへんは理解して差し上げなさい。」
「お父様までそんなことを……」
「ちょ、笛吹さん!スバルくんに先約が入ってるなんて私聞いてない!」
「俺もついさっき聞いたんだよ!」
「え、笛吹?」
「お父様が笛吹……まさか。」
「ちょ、友美さんも所長もこれ隠すんじゃなかったんですか!?」
「霙、貴方何か知ってるのね。」
「ひいいいいい!私は命令されただけなのおおおお!
 所長に命令されただけなんだもん!私だって言いたかったんだけど!」
「うわやば……後は任せた!」
「おいこら待て親父!まだ妹が居たなんて聞いてねえぞ!」
「あら貴方が上田さんの息子さん?私、魔女の朝月ヨツバ。
 貴方のお父さん、魔術の天才でねえ……。」
「しらねえよそんなの!」
「とりあえず悪いのはあいつよ!」
「気が合うな朔夜!」
「そうね、あんたは気に入らなかったけど一時休戦よ!」
「「あいつ一遍殴る!」」

 二人が同時に立ち上がった。
 それを見て笛吹さんは全力で逃げる体勢に移る。

「待てバカ親父!てめえ今回ばかりは許さねえ!」
「お父様!私と同じ年の女の子に浮気ってどういうことなの!?
 っていうかお母様との関係はどうなってんのよ!
 お母様とは遊びだったっていうの!?」
「待て待て待てこれには深い理由がだなあ!」
「「お前から聞く話はねえ!」」
「あの家族本当にカオスねルルちゃん。」
「でも私は羨ましいんですよ、カイトさん。」
「あら、サンジェルマン……ていうかフェリシアさんや橙さんが貴方のことをずっと気にかけてたって聞いたけど。」

 こめかみがピクピクしてる明尊。
 父親と発覚し笛吹さんへの恐怖が無くなった朔夜。
 全力で遁走する笛吹さん。

「じゃ、行きましょうかスバルくん。」
「はい、二人きりの旅行ですしゆっくり世界を回ってきましょうね。」
「ええそうね、私も今から楽しみよ。」
「友美さん!帰ってきたらその話のお手伝いさせてくださいね!
 ピンチになったら颯爽と現れて皆を助けに来ますよ!」
「え、えぇと……待ってるよ。」

 俺は……いいや、僕は。
 ただの少年、普通の小学生である僕は。
 天野昴は大好きな女性である朝月ヨツバさんに手を引かれ部屋を出た。
 僕の人生はきっと、これからだ。
 退屈なんかじゃない、とっても刺激的で、愉快な僕の命が始まるんだ。
 空を見上げると気の早い夕暮れの月が僕を見てニヤリと笑っていた。

【不思議少女シルバームーン 第九話 第四章「黄昏」 to be continued】

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