夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

ケイジ&アサシン

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もはや慣れさえも覚えてしまった、ループする日常。



死して目覚めることを繰り返し、幾度となく多くの経験を積んできた日々。



血反吐を吐き内蔵をぶちまけ、いつ終わるとも知れない戦場を彷徨い続けてきた。



そして今―――数え始めてから実に157回目―――もまた、脱出する事は叶わずに新たなループに突入しようとしていた。




――――――くそ、またか……だがこれで覚えた。




――――――これなら……次のループで、きっと突破できる。




――――――今度こそ……!!






しかし……何度も願ったその文字通りの意味で命賭けの望みは、皮肉にも思わぬ形で実ることになった。


死に覚えという『やり直し』を望む願望と、それに相反する『やり直しからの脱出』という願望を併せ持っていたがために……






◆◇◆






「……聖杯、戦争……?」


目覚めた時に見えた天井は、いつもの宿舎とは違っていた。
己が手には、目覚めの度に記してきたループの回数を示す数字の代わりに、赤い文様が浮かんでいた。
そして、脳内には今までにない知識が流れ込んでいた。

聖杯戦争。
サーヴァントを用いて戦い、生き残った者には万能の願望器が与えられるという儀式。
その参加者に、自分は選ばれ招かれた。

何もかもが、今までのループとは違っていた。
全く異質すぎるその状況に、彼―――キリヤ・ケイジは、ただただ戸惑うしかなかった。


(……ループを抜け出せた……けど、この状況は……)


変わらぬ繰り返しにより精神をすり減らしてきた毎日。
その耐え難き苦痛から脱出出来た事自体は、喜ぶべきなのかもしれない。
だが、そこに至るまでの過程が想像を超えすぎていた。
ギタイに打ち勝ち戦いに勝利し、その上で新たな日々を迎える。
それこそがケイジの考えていた最善であり、望んでいたものであった。
故にこの状況ではどうしても喜ぶよりも前に驚愕が出てきてしまうが、これを驚くなという方が無理という話だろう。


(……とにかく動こう。
 ここでじっとしているわけにはいかない)


とは言え、いつまでも惚けている訳にはいかない。
頭に流れ込んできた情報どおりならば、これは正真正銘の殺し合いだ。
何でも望みが叶うというのは胡散臭い話ではあるが、ケイジも時間のループという通常では考えられない経験をしている。
そしてなにより、この聖杯戦争によってループを脱する事が出来たのだ。
ならば真実として信じる他なく……いつ誰が襲って来るかも分からないのだから、兎に角集中しなくてはならない。
不意打ちや奇襲の類で死ぬことは、これまでのループで嫌なほど体験しているのだから。


(……聖杯……何でも願いが叶う願望器か。
 それがあれば……ギタイどもを地球から一匹残らず抹殺する事も……)


同時に、聖杯へと託す望みもまた胸中に浮かんできた。
圧倒的な力と物量で地球を侵略しようとする忌まわしきギタイども。
聖杯があれば、その全てを消し去ることができるかもしれない。
ギタイの驚異から人類を救い出せる……そんな希望が、ケイジの中に湧いてきたのだ。


(……その為には、他の参加者を殺さなくちゃならない。
そして、多分……ここで死んだら僕は本当に死ぬことになる……)


だが、その願いを叶えるには他の参加者に勝つ……つまりその命を奪う必要がある。
人類の為に倒すべきギタイではなく、守るべき人類に刃を向けねばならないのだ。
まさかここで死んだ者がループしてまた復活するなんて事はありえないだろう……無論、自分も含めてだ。
ならば、どうすればいい。
今までと違って、死んでやり直すことはもうできない。


どの道、開始から一週間が過ぎてしまえば死ぬしかなくなる。
ギタイを地球から消し去らねばより多くの命が消える。
だから、戦場に勝ち残る道を選ぶべきか。

それとも、ギリギリまで他の道を模索するべきか。
罪のない命を奪いたくないという思いに従うべきか。
これまでのループでもそうしてきた様に、絶望的な状況下での希望を探し求めるべきか。

それはケイジが158回目にしてようやく掴んだ、本当に取り返しのつかない重すぎる選択だった。




――――ガタッ。


「…………!!」


その時だった。
不意に背後から聞こえてきた物音に、ケイジは反射的に振り返った。
まさかもう、他の参加者が近づいてきたのだろうか。
警戒心を剥き出しに、物音の方向へと視線を向けると……そこには、一人の男が立っていた。
金髪のオールバックをした、警官服を身に纏う白人男性。
その容姿だけを見ればどこにでもいそうなただの警官だが、しかしその瞳にはあまりにも冷たい眼光が宿っていた。
例えるなら、抜き身の刀のような……人間らしさがまるで感じられない能面の様なものであった。


(他のマスターか、サーヴァント……!?
まずい、こっちも応戦の準備を……僕のサーヴァントは……!!)


咄嗟に身構え、状況を冷静に確認する。
この男が他の参加者であれば、どうにかして迎え撃たなければならない。
しかしこの場には、いつもと違い機動ジャケットもバトルジャケットもない。
頼れる武器は唯一、自身に宛てがわれたサーヴァントのみなのだが……そこまで考えて、ケイジはある事に気づいた。
自分のサーヴァントは、一体どこにいるのか。
頭の中に流れてきた情報通りなら、サーヴァントはマスターのすぐ傍らに控え立っている筈である。
だが今、それらしき者の姿は見当たらない。
まさか自分には、サーヴァントがいないというのか。


「……いや、待て。
 まさか……お前が僕のサーヴァントなのか?」


否。
もしや傍らに立つこの男こそが、自分のサーヴァントではないのか。
状況からしてその可能性が高いと、ケイジはその男に問いかけたのだった。
無論、万が一ということもある……確認できるまでは、不用意に警戒心をとかない方がいいだろう。
出来ることなら、期待通りの答えが返ってきてほしい。
固唾を呑んで、彼はそう願ったのだが……



それは、最悪の形で裏切られることになった。



「なっ……!?」


問い掛けから数秒後。
男が無言のままに右手を前に出し……その手が、鈍く光る銀の刃へと変化したのだ。
そして、力強く床を踏み抜き疾走。
僅か一瞬で間合いを詰め、その刃と化した右手をケイジの喉もとめがけ突き出したのである。


「くっ!?」


警戒心を解いていなかった事が幸いした。
ケイジはギリギリのところでそれに反応し、横へと大きく転がってその一撃を回避することに成功した。
振り抜かれた右手は背後の壁をいとも容易く貫通し、大穴を開けている。
人間では考えられない所業。
戦場でギタイと出会った時に似ている。
この男は、紛れもない人外の存在……サーヴァントだ。


「…………」


男は左手も右手同様に刃へと変形させて、再びケイジに迫る。
またしても一瞬で詰まる距離。
男は左右から同時に刃を振り抜き、その首を狙う。
動きは一度目よりもさらに早く鋭い。
今度は……回避が、間に合わない。


「……やめろぉっ!!」


ようやくループからの脱出が叶ったというのに、これからどうするかも決めてないというのに、こんなところで死んでたまるものか。
逃れられぬ死の一撃を前に、ケイジはただ叫んだ。
そんなもので止まる筈がないのはわかっていたが、口にせずにはいられなかったのだ。


すると、そんな彼の渾身の願いに呼応するかのように……その手に宿る令呪が赤く輝き。


「ッ……!?」


男は、その手を止めた。
ケイジが発した令呪が、その動きを封じたのだ。



「……令呪が……やっぱりお前が、僕のサーヴァントか……
 けど、それならどうして僕を……?」


ケイジは安堵のため息をつく同時に、目の前のサーヴァントへと問いかけた。
他でもない自分のマスターを、それも召喚直後に殺そうとするなんてただ事ではない。
この異常な英霊は、一体何者なのか。
何をもってこの聖杯戦争に参加しているのか。
その真意を、確かめなければならない。
集中力と緊張感をそのままに、固唾を飲んでケイジはその答えを待った。



そして、返ってきた答えは……あまりにも残酷で、冷たい言葉だった。



「勝利のため、人類を抹殺する。
 それが我々の役目だからだ」


そのサーヴァントの名は、T-1000
人類が絶滅の危機を迎えている未来の世界より、時空を超えてあらわれた最悪の殺人ロボット―――ターミネーターである。
彼が機械軍の人工知能スカイネットに与えられた使命は、人類抵抗軍指導者ジョン・コナーを成長する前に抹殺する事。
そうする事で、機械軍の勝利を確かなものとする……人類に完全な滅びを与える事なのだ。



ギタイを抹殺し人類を救うべく、未来を変えるために過去へのループを繰り返し続けたキリヤ・ケイジ。

人類を抹殺すべく指令を与えられ、未来を変えるために過去の世界へと送り込まれたT-1000。



近しい境遇を持ち、しかしその目的はあまりにも正反対すぎる二人。

はたして何の因果か……聖杯戦争は、この両者を主従として選んだのであった。



【クラス】
アサシン

【真名】
T-1000@ターミネーター2

【パラメーター】
筋力:D 耐久:A 敏捷:B 魔力:E 幸運:D 宝具:A

【属性】
中立・悪

【クラススキル】
気配遮断:D
 サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。

【保有スキル】
戦闘続行:B
 戦闘を続行する為の能力。
 決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の傷を負ってなお戦闘可能。 

【宝具】
『迫り来る流体の殺戮者(T-1000)』
 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:1
 T-1000の宝具にして、T-1000そのもの。
 流体多結晶合金製のその肉体は、基本となる人型を構成する状態から完全な液状、
 あるいは刃物のような高い硬度を持つ固体状態まで自在に変容することができる。
 その変化は完璧であり、人に擬態した場合はその容姿はもちろん声帯や感情パターンまでも忠実に再現できる。
 物体に変容する場合もその色や模様、質感までも元通りにコピーすることができるが、
 銃器や自動車の様な複雑な部品を有する物体や、火薬やガソリン、薬品などの化学反応を伴う物質には変身できない。
 その液体金属状の肉体故に外部からの衝撃によりダメージを負っても致命傷とはならずすぐに再生が可能。
 バラバラの破片に砕かれても結合し元通りになるなど、アサシンにあるまじき高い耐久はこの宝具による。
 しかし液体金属という性質上、極低温下においては肉体が凍結してしまうという弱点もある。
 また、あまりに強すぎる衝撃を一度に受けた場合は一時的に形態維持能力が混乱し、機能不全を起こし無防備な状態になる事もある。
 破壊するには、この状態でさらに修復不可能なほどのダメージを与えるか、
 それ以外では高熱や化学変化でT-1000の肉体そのものを完全に分解・溶解するしかない。

【weapon】
 変容させた自らの肉体そのもの。

【人物背景】
 人工知能スカイネット率いる機械軍が人類を絶滅まで追い込んだ破滅の未来で生み出されたターミネーター。
 従来のターミネーターよりも優れた耐久力とスピード、パワーを持って生み出された。
 人類抵抗軍の指導者であるジョン・コナーを抹殺するようスカイネットからプログラムされており、
 まだ彼が幼い子供の内に殺すべく過去へと送り込まれた。

【サーヴァントとしての願い】
 人類を抹殺する。
 ジョン・コナーの殺害を絶対とする。

【基本戦術、方針、運用法】
 目的達成のためならば手段は選ばない。
 何者であろうとも邪魔な人類は殺害するのみ。
 ケイジの令呪により動きを制限されている。



【マスター】
 キリヤ・ケイジ@All you need is kill

【マスターとしての願い】
 終わりのないループからの脱出。
 ギタイを地球上から一匹残らず抹殺し、人類を救う。

【weapon】
 軍人としての基本的な能力。

【能力・技能】
 157回にも及ぶループによって培われた集中力と状況判断力。
 幾度となく命を晒すことで身につけた戦闘技術。


【人物背景】
 近未来世界、異星より地球に襲来した異形の侵略者『ギタイ』を打倒すべく統合防疫軍に入隊した初年兵。
 初出撃でいきなり絶望的な戦場へと送り込まれ、そこで命を落とす。
 しかし意識を取り戻した瞬間、出撃前日の朝に戻るという現象に見舞われ、
 以後は死亡するか30時間が経過すると再びその朝に戻るというループする日常を繰り返すことになる。
 そんな生と死を繰り返す中でも己の記憶だけは積み重ねられると認識し、ギタイを打ち倒すために
 何度も死亡してはコツを掴むという死に覚えの経験を積み重ねてゆき、兵士として著しい成長を遂げていく。
 だがその精神は終わりの見えないループの中で磨り減っており、脱出を果たせない日々に苦しんでもいた。

【方針】
 ギタイを抹殺して人類を救いたい。
 しかし、その為に他の参加者を殺さなければならないのかという葛藤があり、どうすべきかに悩んでいる。



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参戦 キリヤ・ケイジ 000:黄金のホーリーグレイル-what a beautiful phantasm-
アサシン(T-1000)

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