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*夏至の夜の改賊
#contents(fromhere)
*夏至の晩
一年の中で昼が一番長くなる日。北欧州では、キリスト教以前からの伝統として、夏至を盛大に祝う慣習がある。
また、夏至は魔力が強まる時と考えられており、この日には魔女が祝宴を開いたり妖精が闊歩したり、また薬草の効能が高まったりするとも。
シェークスピアの「真夏の夜の夢」も原題は「A Midsummer Night's Dream」なので、夏至を指している。
厳密には祝祭が開かれるのは夏至の前夜なので、2004年のカレンダー準拠だと6月20日(日)ということになりそう。
(オベロンに出会う場面で雨森がジャージ姿で新宿をうろついているのは、会社が休みの日だからなのかも)
*妖精の輪(フェアリーリング)
草原で一夜にして円形に草が枯れたり、明るい緑の輪ができたりする現象のこと。これをイギリスでは妖精が輪になって踊った跡だとして妖精の輪と呼ぶ。
本作での妖精の輪は、新宿警察署裏交差点にある「西新宿サインリング」のこと。
交差点をぐるりと一周する構造物に信号と街路灯が取り付けてあり、歩道から見ると巨大な円環が浮いているように見える。
構造物を支える四本の支柱にも照明が取り付けられているので、夜中に見ると大きな冠のようにも見える。
*グロリアーナ
出典はエドマンド・スペンサーの「神仙女王」。エリザベス一世がモデルとされる。のちには同名のオペラが作られた。
ここでは「真夏の夜の夢」における妖精王オベロンの妻であるタイターニアと同一視されている。
*影
>それでは汝に貸してつかわす。
>唯一無二、最上等案内人。
>オベロンその人の、影を!
>#right(){グロリアーナ『Forest』}
「[[ピーターパン>出典辞典#id_c4715c50]]」序盤のエピソードにて、ピーターパンが、うっかり影を置き忘れ、あとでウェンディに縫いつけてもらうシーンがある。
*ネバーランド
>ついていったらそれっきり
>シャレになんない イタズラばっかり
>#right(){『Forest』}
海賊も子供達、そして妖精も決して不死身というわけではないし、年をとらないわけでもない。だから死ぬときはあっさりと死ぬ。原作ではピーターパンは勇敢な英雄というより、善悪の区別のつかない身勝手な子供として描かれていて、平気で人が死ぬような遊びに明け暮れている。
*はじまりからふたつめの星
原作でピーターパンが教えたネバーランドへの道のり。実はこれはピーターパンが適当に思い付いたことを言っただけで、実際にこの指示にしたがってもネバーランドへは行けない。そもそも、ネバーランドへの道筋なんてものはなく、ネバーランドにたどり着くにはネバーランドに見つけてもらうしかないのだ。
*スタバ
>「見えたわ!
> スタバね!
> その先は、朝までまっすぐ!」
>#right(){雨森望『Forest』}
このスタバとは無論、アメリカ・シアトル発祥の喫茶チェーン店「スターバックス・コーヒー」のことである。
さて、数ある[[新宿スタバ>http://web.archive.org/web/20051218003222/]]の、どの店舗が「はじまりからふたつめ」なのか? 新宿で2番目に開店したという基準なら「新宿サザンテラス店」だが…。
ちなみに、背景をよく見ると、新宿通りの伊勢丹付近で雨森とオベロンが出会って、新宿駅東南口/東口を経由して飛んで行っているように見える。そうすると、新宿サザンテラス店というのは方角的には合っている。加えて、サザンテラスから朝の方角(東?)にまっすぐ飛んでいくと、新宿御苑上空に到達する。
*100年前の限界
>何言ってんの ふざけないで
>百年前の限界かしら?
>ママはこの世で一番偉い
>文句があるなら食っちゃうよ!
>#right(){雨森 『Forest』}
戯曲「[[ピーターパン>出典辞典#id_c4715c50]]」の初演は1904年。
*ピーターパン
→[[ピーターパン>出典辞典#id_c4715c50]]。ピーターパンは生後7日目で「人になることから逃げ出した」存在で、それから決して年をとらなくなった。ただし、その代償として、成熟する機会を永遠に失うことにもなったのだが。
ピーターパンは、誰もが子供のころに経験する「空想の世界」のモチーフである。実際に、原作でもネバーランドの体験は、ウェンディ、ウェンディの娘のジェーン、孫のマーガレットと引き継がれていく。
*オベロン
妖精王。シェイクスピアの戯曲「真夏の夜の夢」に登場することで有名。
初出は13世紀にフランスで書かれた武勲詩「ユオン・ド・ボルドー」。これが15世紀に「ボルドーのユーオン」として英訳され、「オベロン」は妖精王の名として広く知られることとなる。
「夏至の夜の改賊」ではこの妖精王オベロンとピーターパンが同一視されている。
「ボルドーのユーオン」で、オベロンは三歳の頃に呪いをかけられて成長しなくなった、というエピソードがあるためか。そもそも、ピーターパンのモデルがオベロンである、とする説もある。
*ティンク
「[[ピーターパン>出典辞典#id_c4715c50]]」に登場する妖精ティンカーベル。鈴のなるような妖精の言葉は、人間には(ピーターパンをのぞいて)理解できない。
*ウェンディ
「[[ピーターパン>出典辞典#id_c4715c50]]」に登場するヒロイン。
ダーリング家の長女で、正しくは「ウェンディ・モイラ・アンジェラ・ダーリング」という名前。
*人魚
>あなたは人魚
>いたずら人魚。
>所詮名もない 脇役ね!
>#right(){アマモリ『Forest』}
人魚はピーターパンの友達であり、彼にしか打ち解けない。名前はなくても存在感はある。
*タイガーリリー
元ネタは「[[ピーターパン>出典辞典#id_c4715c50]]」。ネバーランドに住むインディアン、ピカニニ族の酋長の娘。フック船長につかまるが、ピーターパンに助けられる。
*ナナ
>さぁナナ、あんたは 出ていくの!
>ネバーランドに 呼ばれなかったわ
>役目を果たせず 子供を守れず
>さみしく鳴いてる 犬っころ!
>#right(){アマモリ『Forest』}
ウィンディーたちの乳母のニューファウンドランド犬。ケンジントン公園で拾われた。少し考え方は古いが、乳母のカガミである。ナナがピーターパンの影を捕まえたことから、ウェンディたちはピーターパンと仲良くなりネバーランドに行くことになる。
*キャプテンフック
>フックは黒ヒゲの甲板長だった。奴は海賊の中でも最悪だよ。あのバーベキューが唯一恐れていた男なんだ。
>#right(){「ピーターパンとウェンディ」第四章}
フック船長。ピーターパンの宿敵。右腕をチクタクワニに喰われている。
ただ映像作品だと右腕と左腕が入れ替わっていることがよくあり、本作も映像版準拠で左腕がフックになっている。
*ヨーホー
船乗りたちの囃言葉。海賊歌には大抵入っている。
>死んだやつの衣装箱に15人
>ヨーホー、ヨーホー、ラム酒を1本!
>#right(){katokt訳『宝島』}
*ウサギ
>そういやウサギに出くわした
>遅れた遅れた 時計を見ながら言っていた
>#right(){黛 『Forest』}
もちろん[[不思議の国のアリス>出典辞典#id_91f48df0]]に出てくるあのウサギのこと。
黛が(ギフトと関係なく)ティンクの言葉を理解できていることに注目。登場シーンで穴から落ちてきたように、彼女は、ここでは物語の登場人物としてのアリスであり、永遠の少女なのだ。だから妖精の言葉を聞くこともできる。「かつて少女であった」雨森でもなく、「少女の記号」としての黒いアリスでもない。ストーリーの中で「少女」として生きるキャラクターなのだ。
*君ってちょっぴり似てるかも
>ウェンディは、ティンカーベルが私に会ってうれしがるかしら? とあんまり期待しないできくと、ピーターは「ティンカーベルってだれ?」と聞くのでした。
>「あら、ピーター」ウェンディはショックをうけました。でもウェンディが説明しても、ピーターは思い出せません。
>「妖精なんてたくさんいるからね、」ピーターは言いました。「たぶん彼女はもういないと思うな」
>#right(){katokt訳『ピーターパン』}
もちろん、黛自身のこと。黛もティンクも決して思いの通じることのない相手を慕っている。
ちなみに、原作ではティンクは愛情の実らぬまま終わりを迎えるが、ピーターパンは死んだ彼女のことをあっさりと忘れてしまう。
*チクタクワニ
かつて囓ったフック船長の右腕に味をしめ、いつも船長をつけねらうワニ。右手の時計を呑み込んでいるため、いつでもチクタク音を鳴らして現れる。過ぎ去る時間としての死の象徴であり、フック船長の大きなトラウマ。が、時計の音にさえ耳をすませば、死から逃れ続けられることでもある。
チクタクワニ=時計=死と同化したフック船長は、すなわち無敵である。
リアルでは、新宿パレットビル屋上にあるシチズン大時計。上下4個ずつのカリヨンが、正時/30分毎にメロディを奏でる。
参考:[[歴史の浪漫街道/孤高の時計塔・異色の時計塔>>http://www.gc-pc.com/fujisawa/page-7-3.html]]
[[新宿公式WEBサイト 新宿パレットビル>>http://www.shinjuku.or.jp/palette/index.html]]
*ジェントルマン
>キャプテン・フックの縄張りに転げ込むとは哀れなやつ。
>しかし我輩、ジェントルマンである
>#right(){フック 『Forest』}
フックはパブリックスクール出身のいわゆる名門出。実際に舞台版の最期ではイートンカレッジの「Floreat Etona」という標語を口にして海に消える。
作中では礼儀作法を重んじるあまり「内省」という病に悩まされる「大人の象徴」として描かれている。
*毒のワイン
>「もし信じてるなら、手をたたいて。ティンクを見殺しにしないで」ピーターはコドモ達に大声でいいました。
>#right(){katokt訳『ピーターパン』}
原作参照。毒入りの薬を飲もうとするピーターパンを止めるため、ティンクは代わりにコップの中身を飲んで死ぬ。そして、子供たちの拍手を受けてもう一度生き返る。
*倒壊した高層ビル
2004年夏に建築中の建物といえば、西新宿の「シティタワー新宿新都心」(地上36階/130m)か。
もちろん現実には倒壊することなく無事に完成しているのだが。。。
*参考書籍
-妖精の女王(エドマンド・スペンサー)
-真夏の夜の夢(ウィリアム・シェイクスピア)
-[[ピーターパンとウェンディ>出典辞典#id_c4715c50]](J・M・バリ,1912)
-[[不思議の国のアリス>出典辞典#id_91f48df0]](ルイス・キャロル,1865)
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*夏至の夜の改賊
#contents(fromhere)
*夏至の晩
一年の中で昼が一番長くなる日。北欧州では、キリスト教以前からの伝統として、夏至を盛大に祝う慣習がある。
また、夏至は魔力が強まる時と考えられており、この日には魔女が祝宴を開いたり妖精が闊歩したり、また薬草の効能が高まったりするとも。
シェークスピアの「真夏の夜の夢」も原題は「A Midsummer Night's Dream」なので、夏至を指している。
厳密には祝祭が開かれるのは夏至の前夜なので、2004年のカレンダー準拠だと6月20日(日)ということになりそう。
(オベロンに出会う場面で雨森がジャージ姿で新宿をうろついているのは、会社が休みの日だからなのかも)
*妖精の輪(フェアリーリング)
草原で一夜にして円形に草が枯れたり、明るい緑の輪ができたりする現象のこと。これをイギリスでは妖精が輪になって踊った跡だとして妖精の輪と呼ぶ。
本作での妖精の輪は、新宿警察署裏交差点にある「西新宿サインリング」のこと。
交差点をぐるりと一周する構造物に信号と街路灯が取り付けてあり、歩道から見ると巨大な円環が浮いているように見える。
構造物を支える四本の支柱にも照明が取り付けられているので、夜中に見ると大きな冠のようにも見える。
*グロリアーナ
出典はエドマンド・スペンサーの「神仙女王」。エリザベス一世がモデルとされる。のちには同名のオペラが作られた。
ここでは「真夏の夜の夢」における妖精王オベロンの妻であるタイターニアと同一視されている。
*影
>それでは汝に貸してつかわす。
>唯一無二、最上等案内人。
>オベロンその人の、影を!
>#right(){グロリアーナ『Forest』}
「[[ピーターパン>出典辞典#id_c4715c50]]」序盤のエピソードにて、ピーターパンが、うっかり影を置き忘れ、あとでウェンディに縫いつけてもらうシーンがある。
*ネバーランド
>ついていったらそれっきり
>シャレになんない イタズラばっかり
>#right(){『Forest』}
海賊も子供達、そして妖精も決して不死身というわけではないし、年をとらないわけでもない。だから死ぬときはあっさりと死ぬ。原作ではピーターパンは勇敢な英雄というより、善悪の区別のつかない身勝手な子供として描かれていて、平気で人が死ぬような遊びに明け暮れている。
*はじまりからふたつめの星
原作でピーターパンが教えたネバーランドへの道のり。実はこれはピーターパンが適当に思い付いたことを言っただけで、実際にこの指示にしたがってもネバーランドへは行けない。そもそも、ネバーランドへの道筋なんてものはなく、ネバーランドにたどり着くにはネバーランドに見つけてもらうしかないのだ。
*スタバ
>「見えたわ!
> スタバね!
> その先は、朝までまっすぐ!」
>#right(){雨森望『Forest』}
このスタバとは無論、アメリカ・シアトル発祥の喫茶チェーン店「スターバックス・コーヒー」のことである。
さて、数ある[[新宿スタバ>http://web.archive.org/web/20051218003222/]]の、どの店舗が「はじまりからふたつめ」なのか? 新宿で2番目に開店したという基準なら「新宿サザンテラス店」だが…。
ちなみに、背景をよく見ると、新宿通りの伊勢丹付近で雨森とオベロンが出会って、新宿駅東南口/東口を経由して飛んで行っているように見える。そうすると、新宿サザンテラス店というのは方角的には合っている。加えて、サザンテラスから朝の方角(東?)にまっすぐ飛んでいくと、新宿御苑上空に到達する。
追記。2004年のファンクラブ会報13号掲載の新宿地図イラストで、サザンテラス店が「右から2番目の星」として記されてました。
*100年前の限界
>何言ってんの ふざけないで
>百年前の限界かしら?
>ママはこの世で一番偉い
>文句があるなら食っちゃうよ!
>#right(){雨森 『Forest』}
戯曲「[[ピーターパン>出典辞典#id_c4715c50]]」の初演は1904年。
*ピーターパン
→[[ピーターパン>出典辞典#id_c4715c50]]。ピーターパンは生後7日目で「人になることから逃げ出した」存在で、それから決して年をとらなくなった。ただし、その代償として、成熟する機会を永遠に失うことにもなったのだが。
ピーターパンは、誰もが子供のころに経験する「空想の世界」のモチーフである。実際に、原作でもネバーランドの体験は、ウェンディ、ウェンディの娘のジェーン、孫のマーガレットと引き継がれていく。
*オベロン
妖精王。シェイクスピアの戯曲「真夏の夜の夢」に登場することで有名。
初出は13世紀にフランスで書かれた武勲詩「ユオン・ド・ボルドー」。これが15世紀に「ボルドーのユーオン」として英訳され、「オベロン」は妖精王の名として広く知られることとなる。
「夏至の夜の改賊」ではこの妖精王オベロンとピーターパンが同一視されている。
「ボルドーのユーオン」で、オベロンは三歳の頃に呪いをかけられて成長しなくなった、というエピソードがあるためか。そもそも、ピーターパンのモデルがオベロンである、とする説もある。
*ティンク
「[[ピーターパン>出典辞典#id_c4715c50]]」に登場する妖精ティンカーベル。鈴のなるような妖精の言葉は、人間には(ピーターパンをのぞいて)理解できない。
*ウェンディ
「[[ピーターパン>出典辞典#id_c4715c50]]」に登場するヒロイン。
ダーリング家の長女で、正しくは「ウェンディ・モイラ・アンジェラ・ダーリング」という名前。
*人魚
>あなたは人魚
>いたずら人魚。
>所詮名もない 脇役ね!
>#right(){アマモリ『Forest』}
人魚はピーターパンの友達であり、彼にしか打ち解けない。名前はなくても存在感はある。
*タイガーリリー
元ネタは「[[ピーターパン>出典辞典#id_c4715c50]]」。ネバーランドに住むインディアン、ピカニニ族の酋長の娘。フック船長につかまるが、ピーターパンに助けられる。
*ナナ
>さぁナナ、あんたは 出ていくの!
>ネバーランドに 呼ばれなかったわ
>役目を果たせず 子供を守れず
>さみしく鳴いてる 犬っころ!
>#right(){アマモリ『Forest』}
ウィンディーたちの乳母のニューファウンドランド犬。ケンジントン公園で拾われた。少し考え方は古いが、乳母のカガミである。ナナがピーターパンの影を捕まえたことから、ウェンディたちはピーターパンと仲良くなりネバーランドに行くことになる。
*キャプテンフック
>フックは黒ヒゲの甲板長だった。奴は海賊の中でも最悪だよ。あのバーベキューが唯一恐れていた男なんだ。
>#right(){「ピーターパンとウェンディ」第四章}
フック船長。ピーターパンの宿敵。右腕をチクタクワニに喰われている。
ただ映像作品だと右腕と左腕が入れ替わっていることがよくあり、本作も立ち絵を見ると映像版準拠で左腕がフックになっている。
*ヨーホー
船乗りたちの囃言葉。海賊歌には大抵入っている。
>死んだやつの衣装箱に15人
>ヨーホー、ヨーホー、ラム酒を1本!
>#right(){katokt訳『宝島』}
*ウサギ
>そういやウサギに出くわした
>遅れた遅れた 時計を見ながら言っていた
>#right(){黛 『Forest』}
もちろん[[不思議の国のアリス>出典辞典#id_91f48df0]]に出てくるあのウサギのこと。
黛が(ギフトと関係なく)ティンクの言葉を理解できていることに注目。登場シーンで穴から落ちてきたように、彼女は、ここでは物語の登場人物としてのアリスであり、永遠の少女なのだ。だから妖精の言葉を聞くこともできる。「かつて少女であった」雨森でもなく、「少女の記号」としての黒いアリスでもない。ストーリーの中で「少女」として生きるキャラクターなのだ。
*君ってちょっぴり似てるかも
>ウェンディは、ティンカーベルが私に会ってうれしがるかしら? とあんまり期待しないできくと、ピーターは「ティンカーベルってだれ?」と聞くのでした。
>「あら、ピーター」ウェンディはショックをうけました。でもウェンディが説明しても、ピーターは思い出せません。
>「妖精なんてたくさんいるからね、」ピーターは言いました。「たぶん彼女はもういないと思うな」
>#right(){katokt訳『ピーターパン』}
もちろん、黛自身のこと。黛もティンクも決して思いの通じることのない相手を慕っている。
ちなみに、原作ではティンクは愛情の実らぬまま終わりを迎えるが、ピーターパンは死んだ彼女のことをあっさりと忘れてしまう。
*チクタクワニ
かつて囓ったフック船長の右腕に味をしめ、いつも船長をつけねらうワニ。右手の時計を呑み込んでいるため、いつでもチクタク音を鳴らして現れる。過ぎ去る時間としての死の象徴であり、フック船長の大きなトラウマ。が、時計の音にさえ耳をすませば、死から逃れ続けられることでもある。
チクタクワニ=時計=死と同化したフック船長は、すなわち無敵である。
リアルでは、新宿パレットビル屋上にあるシチズン大時計。上下4個ずつのカリヨンが、正時/30分毎にメロディを奏でる。
参考:[[新宿公式WEBサイト 新宿パレットビル>>http://www.shinjuku.or.jp/palette/index.html]]
*ジェントルマン
>キャプテン・フックの縄張りに転げ込むとは哀れなやつ。
>しかし我輩、ジェントルマンである
>#right(){フック 『Forest』}
フックはパブリックスクール出身のいわゆる名門出。舞台版のラストではイートン校の「Floreat Etona」という標語を口にして海に消える。
作中では礼儀作法を重んじるあまり「内省」という病に悩まされる「大人の象徴」として描かれている。
*毒のワイン
>「もし信じてるなら、手をたたいて。ティンクを見殺しにしないで」ピーターはコドモ達に大声でいいました。
>#right(){katokt訳『ピーターパン』}
原作参照。毒入りの薬を飲もうとするピーターパンを止めるため、ティンクは代わりにコップの中身を飲んで死ぬ。そして、子供たちの拍手を受けてもう一度生き返る。
*倒壊した高層ビル
2004年夏に建築中の建物といえば、西新宿の「シティタワー新宿新都心」(地上36階/130m)か。
もちろん現実には倒壊することなく無事に完成しているのだが。。。
*参考書籍
-妖精の女王(エドマンド・スペンサー)
-真夏の夜の夢(ウィリアム・シェイクスピア)
-[[ピーターパンとウェンディ>出典辞典#id_c4715c50]](J・M・バリ,1912)
-[[不思議の国のアリス>出典辞典#id_91f48df0]](ルイス・キャロル,1865)
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