Forest評(776) - Forest wiki

Forest評(776)

Forestは救済の物語だ。

そもそも、森に呼ばれる前の5人は、表面的にはそうでなくとも、みな破滅的。
雨森は社会不適合者で、灰流はロリコンのチンピラで、黛と刈谷はそれぞれ教授と彼に囚われて、九月は新宿ジャンキー。
このなかに、悲劇的な終わりを逃れられる人間がいるだろうか？
森はその破滅の構図をひとつの物語として提示する。それがすなわちリドルである。
それはつまり、リドルを乗り越えられれば現実でも破滅を回避できるということでもある。

さて、未プレイの人がForestをありがちな"困難とハッピーエンド"の物語だと思うといけないので言っておこう。
Forestは確かにハッピーエンドで終わる。しかし実際はそれは皮肉なのだ。でなかろうか？
ハッピーエンドを素直に受け入れられるのは子供だけだ。あの5人のひねくれた5人、その中でも特に灰流なら嘲笑うはずのものだ。
しかし、結局灰流はハッピーエンドを自分から選ぶ。しかも、デウスエクスマキナという最悪の手段を使って。

Forestは教訓を想定した、いわゆる寓話ではない。しかし、見つけさえすればどんなことにでも教訓はあるものだ。
そしてForestの教訓の一つは"どうようもないこともある"だ。

森はあらゆるものを変えた。だが雨森はそれでもビルから飛び降りた。
現実を越えた森の力を持ってしても、雨森はアマモリだった。
それを考えると、Forestの順当なエンディングは何だったのか理解できる。
刈谷と黛は成功を掴み、九月と雨森は死に、灰流は老いる。それ以上になにを望めるだろう？

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