Scarlett butterfly ◆GhVXYZeedQ
目が覚めたら見知らぬ場所に居て。
「殺し合いをしろ」と言われたと思ったら、また見知らぬ場所に居た。
ほんの少し思考し、このわけのわからない状況を打開するため、
偵察も兼ねて、この建物の中を散策することに決めた。
暗がりで考え事をしていたら後ろからズガン! なんて冗談でもごめんだ。
これからすることを決めるのは、戦力を見極めた後でも遅くはない。
「殺し合いをしろ」と言われたと思ったら、また見知らぬ場所に居た。
ほんの少し思考し、このわけのわからない状況を打開するため、
偵察も兼ねて、この建物の中を散策することに決めた。
暗がりで考え事をしていたら後ろからズガン! なんて冗談でもごめんだ。
これからすることを決めるのは、戦力を見極めた後でも遅くはない。
十数分の探索の成果は、ここがエリアH-5とかいうところにあるシェルターだということ、その一点。
得られた情報は非常に少ないが、付近に他の人間が居ないことが確認できただけでもよしとする。
周辺の偵察は行った。次にするべきことは戦力の確認。
まずはあの男の言っていた、支給品とやらを確認することにしよう。
不安と期待の入り混じった感情を胸に、私はランドセルに手を入れた。
得られた情報は非常に少ないが、付近に他の人間が居ないことが確認できただけでもよしとする。
周辺の偵察は行った。次にするべきことは戦力の確認。
まずはあの男の言っていた、支給品とやらを確認することにしよう。
不安と期待の入り混じった感情を胸に、私はランドセルに手を入れた。
「蝶の……仮面?」
思わず声に出してしまったとおり、一つ目の支給品は蝶々仮面。
いいデザインをしているが、殺し合いの役には立ちそうにない。
しかし、放置しておくのももったいないので、装着してみる。
(中々、お洒落なのだわ)
……しばらくつけておくことにしよう。
いいデザインをしているが、殺し合いの役には立ちそうにない。
しかし、放置しておくのももったいないので、装着してみる。
(中々、お洒落なのだわ)
……しばらくつけておくことにしよう。
「……次」
二つ目の支給品は、八角形の金属塊。
金属塊と蝶々仮面で戦わされるのかと思ったが、私の運はそこまで悪くはなかった。
説明書によればこの金属塊――核金と言うらしい――は、現代科学をはるかに超えた力を持つ武装錬金という代物らしい。
不思議の国のアリス
名前は、アリス・イン・ワンダーランド。
能力は一定の範囲にいる生物の方向感覚と距離感をマヒさせること、それに加えて幻覚の創造。
名前に反してすることはえげつないが、攻撃にも防御にも利用できるそれは、万能と呼ぶにふさわしい。
蝶々仮面を“ハズレ”と呼ぶならば、核金は銃など比べ物にならないような“大当たり”だ。
金属塊と蝶々仮面で戦わされるのかと思ったが、私の運はそこまで悪くはなかった。
説明書によればこの金属塊――核金と言うらしい――は、現代科学をはるかに超えた力を持つ武装錬金という代物らしい。
不思議の国のアリス
名前は、アリス・イン・ワンダーランド。
能力は一定の範囲にいる生物の方向感覚と距離感をマヒさせること、それに加えて幻覚の創造。
名前に反してすることはえげつないが、攻撃にも防御にも利用できるそれは、万能と呼ぶにふさわしい。
蝶々仮面を“ハズレ”と呼ぶならば、核金は銃など比べ物にならないような“大当たり”だ。
他に特別な支給品がないことを確認し、私は名簿を確認することにした。
名簿に載っていた知り合いは、金糸雀、翠星石と蒼星石、そして雛苺の四人。
この私――真紅を入れれば五人のローゼンメイデンがこの殺し合いに集められている、ということになる。
そう、五人の。
六人目――水銀燈の名は、そこになかった。
当然のことだ。
彼女は私がジャンクにしてしまったのだから。
けれどこの非現時的な状況下なら、もしかしたら水銀燈が居るかもしれない。
彼女をジャンクにしてしまったことを謝れるかもしれない。
頭のどこかで、私はそんな希望的観測をしていた。
何を馬鹿な。
彼女を殺したのはお前のくせに、どこまで自分に都合のいい妄想をすれば気が済むんだ。
思考の渦の中で私はふと、あの男――ジェダの言葉を思い出した。
名簿に載っていた知り合いは、金糸雀、翠星石と蒼星石、そして雛苺の四人。
この私――真紅を入れれば五人のローゼンメイデンがこの殺し合いに集められている、ということになる。
そう、五人の。
六人目――水銀燈の名は、そこになかった。
当然のことだ。
彼女は私がジャンクにしてしまったのだから。
けれどこの非現時的な状況下なら、もしかしたら水銀燈が居るかもしれない。
彼女をジャンクにしてしまったことを謝れるかもしれない。
頭のどこかで、私はそんな希望的観測をしていた。
何を馬鹿な。
彼女を殺したのはお前のくせに、どこまで自分に都合のいい妄想をすれば気が済むんだ。
思考の渦の中で私はふと、あの男――ジェダの言葉を思い出した。
『最後まで生き残った者の願いを叶える』
確か彼はそんなことを言っていた。
私が最後の一人となり、願いを叶えれば――水銀燈達と平和に暮らせるのではないか。
アリスゲームをやめて、皆と一緒に平和に暮らせるのなら、他人の命をとることにためらいなどない。
けれど。
薔薇乙女一の頭脳派……と本人は思っている、どこか憎めない金糸雀。
口は悪いけれど本当は姉妹の仲で一番やさしい翠星石。
真面目で落ち着きがあり、いつも私達を諭してくれる蒼星石。
普段は甘えん坊だけど、実は人一倍勇気を持っている雛苺。
願いの為に、彼女達を壊してしまえるのだろうか。
彼女達を水銀燈と同じ、ジャンクにしてしまうことができるのだろうか。
水銀燈一人を壊してこんなにおびえているこの私に――。
いや……何を迷う必要がある。
これはもう二度とないかもしれない水銀燈に会うことのできるチャンスなのだ。
アリスゲームを止めて、皆で平和に暮らせるかもしれないチャンスなのだ。
そのチャンスを自分から捨ててしまって良いのか?
仮にあの男を倒して、姉妹全員で元の世界に帰ったとしても、水銀燈は居ない。
みすみす水銀燈と会えるかもしれない機会を逃がしてしまって本当にいいのか?
否。
姉妹全員と、平和に暮らす。
それが実現できるチャンスが目の前にあり、私の手にはは強力な武器がある。
擬似的な閉鎖空間を生み出し、圧倒的に有利な状況下で闘うことのできる武器が。
私が最後の一人となり、願いを叶えれば――水銀燈達と平和に暮らせるのではないか。
アリスゲームをやめて、皆と一緒に平和に暮らせるのなら、他人の命をとることにためらいなどない。
けれど。
薔薇乙女一の頭脳派……と本人は思っている、どこか憎めない金糸雀。
口は悪いけれど本当は姉妹の仲で一番やさしい翠星石。
真面目で落ち着きがあり、いつも私達を諭してくれる蒼星石。
普段は甘えん坊だけど、実は人一倍勇気を持っている雛苺。
願いの為に、彼女達を壊してしまえるのだろうか。
彼女達を水銀燈と同じ、ジャンクにしてしまうことができるのだろうか。
水銀燈一人を壊してこんなにおびえているこの私に――。
いや……何を迷う必要がある。
これはもう二度とないかもしれない水銀燈に会うことのできるチャンスなのだ。
アリスゲームを止めて、皆で平和に暮らせるかもしれないチャンスなのだ。
そのチャンスを自分から捨ててしまって良いのか?
仮にあの男を倒して、姉妹全員で元の世界に帰ったとしても、水銀燈は居ない。
みすみす水銀燈と会えるかもしれない機会を逃がしてしまって本当にいいのか?
否。
姉妹全員と、平和に暮らす。
それが実現できるチャンスが目の前にあり、私の手にはは強力な武器がある。
擬似的な閉鎖空間を生み出し、圧倒的に有利な状況下で闘うことのできる武器が。
「ごめんなさい。私はこの殺し合い……乗ることにするのだわ」
こんな私を見たら、蒼星石なら落ち着いて考え直せとでも言うだろう。
雛苺はきっと泣いて止めるし、翠星石は力ずくでも私を止めようとするに決まっている。
それがわかっていても、私は都合のいい未来を捨てることができなかった。
アリスになんてならなくてもいい。姉妹全員で平和に暮らしたい。
完璧な少女になるために作り出された人形がこんなことを考えるなんて、きっと私の歯車は狂ってしまったんだ。
けれど、それに対して不思議と不快感はない。
むしろ心地よい――蛹から蝶に羽化したような気分。
私は自分でも驚くほど冷静に、殺し合いの道具を展開した。
雛苺はきっと泣いて止めるし、翠星石は力ずくでも私を止めようとするに決まっている。
それがわかっていても、私は都合のいい未来を捨てることができなかった。
アリスになんてならなくてもいい。姉妹全員で平和に暮らしたい。
完璧な少女になるために作り出された人形がこんなことを考えるなんて、きっと私の歯車は狂ってしまったんだ。
けれど、それに対して不思議と不快感はない。
むしろ心地よい――蛹から蝶に羽化したような気分。
私は自分でも驚くほど冷静に、殺し合いの道具を展開した。
「武装、錬金」
狂気を秘めた真紅の蝶は、獲物を求めてひらひらと飛んでいった。
【H-5/シェルター内/一日目/朝】
【真紅@ローゼンメイデン】
[状態]: 健康 精神高揚
[装備]: パピヨンマスク@武装錬金、核金LXX70(アリス・イン・ワンダーランド)拡散状態@武装錬金
[道具]: 支給品一式
[思考・状況]
1: 南下しつつ、他の参加者を探す
2: 参加者と接触し、情報を得た後殺害する
3: 最後の一人になる
※参加時期はアニメ第一期終了後~トロイメント第一話のAパート辺りです。
【真紅@ローゼンメイデン】
[状態]: 健康 精神高揚
[装備]: パピヨンマスク@武装錬金、核金LXX70(アリス・イン・ワンダーランド)拡散状態@武装錬金
[道具]: 支給品一式
[思考・状況]
1: 南下しつつ、他の参加者を探す
2: 参加者と接触し、情報を得た後殺害する
3: 最後の一人になる
※参加時期はアニメ第一期終了後~トロイメント第一話のAパート辺りです。
【パピヨンマスク@武装錬金】
蝶々を模った仮面。
ご存知パピヨンの代名詞。
何もないよりはマシ程度の変装は行える……と思う。
蝶々を模った仮面。
ご存知パピヨンの代名詞。
何もないよりはマシ程度の変装は行える……と思う。
【アリス・イン・ワンダーランド@武装錬金】
チャフ(細かい金属片)の武装錬金。
大きく分けて密集と拡散の二つの形態を取る。
乱反射を利用した発光により、様々な錯覚を起こさせる。
(つまりこの光を遮ることができれば無効化できるが、瞼をも透過するのでそう簡単に打ち消せるものではない)
チャフ(細かい金属片)の武装錬金。
大きく分けて密集と拡散の二つの形態を取る。
乱反射を利用した発光により、様々な錯覚を起こさせる。
(つまりこの光を遮ることができれば無効化できるが、瞼をも透過するのでそう簡単に打ち消せるものではない)
- 拡散状態で人間の方向感覚、距離感をマヒ、
また電子機器等も狂わせ内部と外部の往来、連絡を遮断する。
つまり、対象範囲にいわゆる『迷いの森』のようなものを形成する。
つまり、対象範囲にいわゆる『迷いの森』のようなものを形成する。
- 密集状態では人間の脳にさらに強力に作用し、幻覚を作り出し精神を破壊する。
幻覚は相手の記憶から忌み嫌うランダムに選択し、発生する。
本ロワでの制限は以下に
- 最大有効範囲は半径100m
- 幻覚を作り出す能力は四時間に一度しか使用できない(一度使うとチャージが必要)
※但しそれ以外の能力はそのまま使用できる。
- 密集状態ではなぜか、強制的に蝶の形を取る。
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