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  • ろりしょたばとるろわいある@ うぃき
  • Alisa in Wonderland

ろりしょたばとるろわいある@ うぃき

Alisa in Wonderland

最終更新:2010年10月20日 18:02

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だれでも歓迎! 編集

Alisa in Wonderland ◆2kGkudiwr6氏



「ベギラマ!」

相手の掌から、閃光のような炎の帯が噴射される。
宙を舞い、なんとか寸前で回避したものの、あくまで「寸前」。
アリス・イン・ワンダーワールドで距離感は狂わせているはずなのに……その割には攻撃が正確だ。
こういった幻惑攻撃を知っているのか、受けたことがあるのか……
どの道、それほど効果を発揮していないことには変わりない。

シェルターから出て南下した私が最初に遭遇したのが今戦っている相手だ。
元々、情報を交換したらすぐに攻撃を仕掛け、殺すつもりだった。
……が、どうやら相手も同じ考えだったらしい。
話が終わると同時にお互いに攻撃を仕掛けあい、今に至っている。

「……強い」

思わず舌打ちする。紙一重のものが多いとは言え、確かに相手の攻撃は当たっていない。
だが、こちらの攻撃がそれほど効果を発揮していないのも事実。
薔薇の花弁による攻撃は易々と切り払われている。明らかに火力が足りない。
この支給品も真正面からの戦闘向きではない。それに、無駄に力を消耗するのは下策。

「……他の参加者に戦ってもらうのが一番ね」

そう呟いて、私は北のほうを見やった。
同時に……霧で生み出す「不思議の国」を広げて。

■

あたしは腹を立てながら歩いていた。例の刀――贄殿遮那をその手に持って。
普通、あたしの筋力だったらこんな大太刀を平気で持ち歩くなんてできっこない。
だけど、今のあたしはそれを軽々と持ち歩けている。それを説明できる理由はただ一つ。
どうやらこの杖――カレイドステッキの力は本物みたいだ。ムカツクことに。

『どうですかアリサさん、剣の達人になれたお気持ちは』
「うっさい。だいたい仕込み箒の達人でしょうが」

そしてこの杖に宿る精霊、マジカルルビーはもっとムカツク。
今のあたしは、和服の上に割烹着着用という変な格好だった。
いい加減元の服を着たいけど、ルビーは服を戻した瞬間能力まで戻すのだ。
実際、服を戻された瞬間あたしは刀を床に落としていた。普段のあたしじゃこの刀は扱えない。
逆に言えば、服さえ我慢すれば何かしらの能力が得られる……
でも自衛のためにはいっつも、何かしらのコスプレをしていないと駄目だってことだけど。
そんなあたしの考えを見抜いたのか。ルビーがからかうような調子で言ってきた。

『ふふ、元の服に戻してもいいんですよ~? 自力で戦えるなら』
「……はあ」

頭が痛くなってくる。なんて嫌な奴。
ただ溜め息を吐きながら歩き続けて、しばらく後のこと。
いきなり、目の前に異様な光景が広がった。

「……霧?」

思わず足が止まる。目の前に、いきなり濃い霧が広がっていたからだ。
かろうじて前に何か大きい建物があるって分かるだけ、それくらいの濃霧。

『アリサさん……気を付けた方がいいです』
「え?」
『これ、普通の霧じゃありません。所々に金属の粒子が混ざってます』

耳に入ったのは、聞いたことのない真面目なルビーの声だった。
今までわざとおちゃらけていたのか、それともルビーでさえ警戒しないといけないってことだろうか。
明らかに怪しい場所に突き進む趣味は無いけど、結果的にそうせざるを得なくなった。
簡単な話。霧が突風に吹かれたかのように広がって、あたしまで覆ったのだ。

『人為的なものかもしれません。退いた方が……』
「分かってる」

言うと同時に、そのまま霧から逃げるように後ろへ走った。
ひたすら走って、走って、走って……それでもなお、霧が途切れる様子はない。
さすがにこうまでされると、どうしようもなく立ち止まるしかなかった。
明らかにおかしい。ただ走るだけじゃ、ここから逃げられないと思うくらいに。

『アリサさん……』
「うん、絶対おかしいわよこれ……」

コンパスを取り出してみれば、ずっとぐるぐる回っているだけ。
背筋に怖気が走る。明らかに何かされている。魔法を知らないあたしにもそう理解できた。

『しばらく待っててください。私が正しい方角を確認して……』
「……少し黙って、ルビー。誰か来た」

私の言葉に、今回はルビーも素直に従ってくれた。どうやら危険な状況だと真面目になってくれるらしい。
ひとまずカレイドステッキは着物の帯に挟んで、贄殿遮那を構える。
普通ならここまで警戒しないけど……この霧の中で始めて会う相手だ。
この霧を生み出した元凶の可能性がある。
しばらくして現れたのは、変な格好をした金髪の男の子。
青い服に青いマント。なんというか……昔の物語にいそうな、どこかの国の勇者様って感じだ。

「えっと……僕はレックスって言うんだけど、赤い服の人形を見なかった?」

露骨に警戒されているからだろうか。おずおずとした様子で声を掛けてきた。
ただそんなことよりも、問題は質問の内容だ。
なぜに、人形?

「人形って……?」
「空飛ぶ人形だよ。変な蝶々のマスクを付けた」
「そんなのも参加させられてるわけ?」
「うん、この霧はそいつの仕業みたいなんだ。さっきも襲われたばっかりで」
「ふ~ん」

よく分からないけど……もし真実だとしたら、世の中にはそういう変な人形もいることになる。
これも魔法絡みだろうか……またなのは達に聞かなくちゃいけないことが増えた。
ともかく、嘘にしてはおかしな内容だ。人形が霧を作ってる、なんて言われて普通信じない。
あたしも魔法とかそういったことを知らなかったら、信じる気になんてなれなかったと思う。
嘘にしては信憑性が無さ過ぎる、ってことは……逆に嘘じゃないのかもしれない。

「あたしはアリサ」
「アリサ……かあ。
 他にもタバサって子を探してるんだ。短い金髪の女の子なんだけど……」
「どんな関係なの?」
「……妹なんだ」

そう言うレックスの表情は暗い。
……同情する。まさか家族までこんな馬鹿げた場所に連れてこられるなんて。

「悪いけど、今まで誰にも会ってないわよ」
「……そう」

どこか陰のある表情だ。よっぽどその子が心配だからだろうか。
きっと妹思いのいいお兄ちゃんなんだろう。そうあたしは解釈した。
ともかく、次はこっちが質問しないと。なのは達を探すためにも。

「じゃあ、次はあたしの……!?」

「友達を知らない?」――と、言葉を紡ぐ余裕は与えられなかった。
いきなり目の前に、レックスが迫っていたから。
とんでもない速さで移動したんだ、そう理解するより先に腕が動いていた。
振り下ろされた杖を受け止めるために。

「なん、で……!?」

答えはない。ただ一瞬、表情を歪めただけ。
今のあたしに、その表情の意味を考える余裕なんてない。
あっちは杖――つまり鈍器なのに、刀で受けただけで腕が痛くなっていた。
まともにぶつけられれば、ただじゃすまない。下手な刃物より危険だ。
とっさに後ろに跳んで逃げようとして……再び、鈍い音。
あっさり追いつかれて杖を叩きつけられていた。
あたしの目の前で、刀と杖が再び火花を散らす。衝撃で靴が数ミリ地面に食い込む。
その後も攻撃が休まる様子はない。なら当然、こっちも防ぎ続けるしかない。
ただ必死に刀を振るう。そうやって防ぎ続けて……気付いた。

(……防げ、てる?)

そう。あたしは完璧に素人なのに、相手の攻撃は普通の子供のものじゃないのに、防げてる。
頭の中に勝手に体の動かし方が浮かんで、それに基づいて杖を受けている。
まるであたしの知らない知識が、あたしの体を動かしてるみたいに。
それに、受けると言うよりは攻撃を繰り出して相殺するという方が正しい。
今のあたしの太刀筋はそんな太刀筋で……明らかに普通の剣術のものじゃない。
だけど、考え事はここで終わりになった。させられた。

『理屈なんて考えてる場合じゃないです!』

ルビーからの警告があたしの意識を引き戻す。
確かにそう通り。これはあたしの力じゃないけど、今はあたしの力……自分が持っている力だ。
それを活かして生き残るしかない。

(……武器さえ奪えば!)

相手の攻撃を受け流し、素早く踏み込んで刀を振るう。
綺麗にまっすぐじゃないけれど……寸分違わずに狙った場所、腕を狙う。
思いっきり邪道な太刀筋は、剣士というよりは暗殺者のそれ。確かに仕込み箒の技術だ。
だけど、それを相手は……力ずくで跳ね返してみせた。

「…………っ!」

痺れを堪え、跳ね上がった刀を戻す。男の子と女の子の力の差っていうレベルじゃない。
休む間もなくあたしの体を粉砕しようとした杖を受け、同時に切り返す。
やっぱり結果は同じ。あっさりと叩き返される。
圧倒的な力の差がそこにはある。逆に攻撃したこっちの腕がおかしくなりそう。
……下手に攻めれば、返り討ちに遭うだけだ。
だから、取るべき戦法はただ一つ。上手く攻撃を防ぎながら、隙を見て杖を叩き落す。それしかない。

「く……ぅ!」

横からの薙ぎを弾くと共に刀を戻し、1秒も経たずに繰り出される返しを止め。
悲鳴を上げる腕を無理やり押さえ込んで、三段目の攻撃――正眼からの突きを防ぐ。
その衝撃を流しながらバックステップ。同時に腕を目掛けて振り下ろすはずだった刀は、目の前に迫っていた杖に対処するためその軌道を変えることを強制される。
思わず歯を噛み締めていた。相手に隙なんてほとんどない。
そして何より問題なのは、防ぐことでさえ腕に負担が掛かること。
単純な馬鹿力に、おかしいくらいの杖の固さ。どっちもまともに受け続けられるものじゃない。
結果としては、ただあたしの体力が削られていくだけ。
かと言って攻めれば防ぐ以上の圧力で刀を弾き返される。だから、いつか破綻すると分かっていても守りに徹するしかない。
そんな攻防を数分近く繰り返して……突然相手が呟いた。

「……苦しめたくなんかない。諦めて」

悲しげな表情で、彼は言う。
そこには相当な悲哀や苦しみとか、そういったものがあるのかもしれない。
本当は人殺しなんてしたくないとか思ってるかもしれない。
何か事情があるのかもしれない。
……だけど。

「……だったら始めから、人を殺そうなんてするんじゃないわよ!」

同情だの疑問だの、殺される当人のあたしが感じられるはずがない。
怒りと共に刀を叩きつける。でも結果は同じだ。またも、あっさりと防がれただけ。
あたしが何回刀を振るっても相手は涼しい顔。
でもあたしが相手の杖を受け止めるのには全力全開でやらないといけない。
息なんてとっくにあがっていた。スタミナ切れなのか、それともカレイドステッキの力を借り続けているからなのか。
なのにレックスは汗さえ浮かんでない……不公平にも程がある。強すぎだ。
そんなことを考える間にも、相手は杖を振ってきた。狙いは頭。
痛みさえ感じさせないで即死させようとでも言うんだろうか。
だけど付き合う義理はない……そもそも死んでやるのなんて御免だ。
とっさに頭を伏せようとして……

『駄目です、刀で受けて下さい!』

悪寒が走る。
ルビーに言われなくたって、あたしのものじゃない知識が教えてくれた。これじゃ避けられないって。
素早く刀で受ける。相手の力に腕が痺れ、おまけに衝撃で数m近く吹っ飛ばされた。
……でも、生きてるし刀もこの手にある。しっかりと。

『アリサさん、あくまでダウンロードしてる技術は仕込み箒のだけです!
 今のアリサさんは剣術こそ達人級ですけど……!』
「分かってる……身を以って、理解したわ」

返答は、冷や汗と一緒だった。
相手の実力は全ての面であたしより上だ。何より、根本的に力が違う。
今のあたしは剣の上手い扱い方が勝手に浮かんでくるし、運動神経だってすずか以上にある。
だけど、相手はそんな程度で勝てる相手じゃない。相手は多分、なのは達みたいな「本物」。
そして、あたしはあくまで他人の力を使って戦ってるだけの一般人なのだ。
……つまんない意地を張ってる場合じゃない。

「ルビー」
『Ja』

呼びかけと共に、例の魔女としか思えない格好へ服装が変わる。
距離を詰めて追撃される前に、素早くアンバーミサイルこと火炎瓶を取り出した。
着火は一瞬、投擲は正確。
もっとも当たるとは思ってないし、痛そうだから当たってほしくない。
投げつけられたものを防ごうとすれば、回避すれば当然動きが止まる。
その間に逃げる。単純かつ明快な作戦だ。
でも、相手は防ごうとも回避しようともしなかった。ただ掌をむけただけ。
そう――したのは、反撃。

「ベギラマ」
「え!?」
『……アリサさん横へ!』

火炎瓶の爆発を炎が飲み込むのと、私が右に跳んだのはほぼ同時。
だけど、問題なのは。そういった動きに関しては、身体能力だけで技術はないこと。
さっき気付いたばかりのことだ。でも、他にどうしようもない。
とっさに顔を庇ったけど、手遅れ。
避け切れなかった余波が服を燃やして……

『多元転身!』
「……え!?」

その服ごと、火が消えた。代わりに着ているのは割烹着。
戸惑うあたしを尻目に、ルビーが呑気そうに言葉を告げる。

『変わり身の術、って感じですか。
 服なら代えはそれこそ無限にありますから』
「……そう、ありがと」

とりあえず命の恩人(杖?)だし、礼を言っておいた。
まさか、こんなバカらしい仕組みに助けられるとは思わなかったけど。
すぐに体中の火傷を我慢して走り出した。逃げるなら今しかない。
幸い、右手だけは運よく無傷だったから刀を持つことに問題は無かった。
相手は追ってこない。追ってこないで、腕を空へ向けて掲げている。ただそれだけ。

――嫌な、予感がした。

「――ライ」

その言葉と共に、雷雲が巻き起こる。
紡がれるのは、正真正銘の魔法。

「デイーン!」

■

「……粘るわね」

濃霧の中で繰り広げられる激戦。
男の子の方は元より、女の子の方も普通の人間じゃないらしい。
ただ、それでも優劣は明らかだ。
接近戦でさえ女の子は押されがち。そして、遠距離では完全に圧倒されている。
だが……勝ち目がないわけではないようだ。
それはただ一つ……たった今見せたあの刀の特性。
少なくとも、上手く逃げ切る程度のことは可能かもしれない。
いや……それはないか。

「逃れられないからこその、ワンダーランドだもの」

■

「……な?」
「うそ……」

場に静寂が満ちる。
確かに、雷は落ちた。周囲には余波が残ってる。

なのに、あたしは無事だった。

呆然としているのは、あたしも相手も同じだ。
違うとすれば、あたしには思い当たることがたった一つだけあったこと。
あの時、とっさに両手で頭を抱えてた。
別に防げると思ったわけじゃない。むしろ、ただの反射的な行動だ。
だけど、その手にはこの刀があった。そして雷はこの刀に落ち……
何事も無かったかのように、消えた。

ふと思った。
あの火炎を受けて右手が無事だったのは、偶然じゃなかったってことかもしれない……と。

「……ベギラマ!」

気を取り直したらしいレックスの掌から、再び炎の帯が放たれる。
だけど、避ける必要なんてない。あたしの予想が正しければ……
逃げることも無く怯えることもなく、迫る炎へ向き直る。
構えは刹那、逡巡は無し。呼吸を整え一足踏み込み、刀を走らせ。

「え!?」

綺麗に、炎を斬った。
両断された炎の向こうにあるのは、唖然とした表情。
その隙に再び火炎瓶をバラ撒く――ただし、相手に当てるのが目的じゃない。
一気に二個、地面を目掛けて投げつける。作り出すのは、煙幕!
ただでさえ、この周辺には霧が広がってる。その上で火炎瓶の爆発を起こせば視界を覆える。
……そう、逃げるのは十分すぎるほどに!
結果も見ないで背中を向けて走り出す。
少なくともレックスは、魔法は言葉を口に出さないと使えないみたいだ。
何か聞こえたら、振り向いて対処すればいい。
そう決めていたから、声を聞いてすぐに対処できた。

「……ライ」

呪文はさっき聞いたもの。掌も同じく真上に向いている。
もうコツはつかんだ。さっきと同じように、刀で頭を庇えばいいだけだ。
そう判断して……すぐに、それが間違いだと知った。

(真上じゃない……!?)

雷雲が生まれた場所は、さっきと違う。
これならあたしには……贄殿遮那には当たらない。
……雷、自体は。

(まさか!?)

呪文が紡がれる。
そう、相手が狙っているのは直撃ではなく。

「デインッ!」

余波による、衝撃。
雷は寸分違わずあたしの脇に落ちた。当然刀に落ちることはなく、雷が掻き消えることもない。
受け身を取る余裕も無かった。衝撃で吹き飛ばされて、そのまま地面に叩きつけられる。
……すごく、痛い。思わず泣きたいくらいに。見れば腕から血が出てる。
だけど……

「……平気よ、これくらい!」

歯を噛み締めて、立ち上がった。
それに吹き飛ばされた分、更に距離が離れたんだから……むしろこれは運がいい。
……そう自分に言い聞かせて、涙を堪えた。
だいたい、なのはだったらこれくらいで泣いたりなんてしない!
そのまま走り出そうとした足は、動くまでに止まった。

『駄目です、そっちは! そのまま左へ!』
「!?」

ルビーの警告が縫い止める。
あたしが理由を聞く前にルビーは説明してくれた。単純明快なその理由を。

『多分、普通に走ればさっきの子の所に戻されます。
 私の案内に従ってください』

言葉を聞いて思い出した。
最初のときも、真っ直ぐ後ろに歩いたはずなのに霧から出れなかった。
なら確かに……普通にやっても逃げ切れないかもしれない。

「……でも、あんたは大丈夫なの?」
『大丈夫。私のルビーアイがまるっとお見通しです!』

自身ありげにルビーは言う……どこに目があるんだっての。
それはともかく、従うしかない。あたしの方向感覚じゃ事態を悪化させるだけと言うのは最初の時ので分かりきってる。
ルビーの指示に従って、ひたすら走る。
レックスの姿は見えなくなった……振り払えたのかもしれない。
だけど、すこしも霧は薄くならない。まるで誰かに見張られているような錯覚を覚える。
視界が狭くなってきているのは、多分霧だけのせいじゃない……さっきの戦いでいい加減体が限界になっているからだ。
疲労や酸欠からの眠気や脱力感に、白く染まった視界。まるで遭難でもしてるみたいだ。
しかもあたしを殺そうとしてる奴が側にいる。
……耐え切れない。

「ルビー、あの建物に入るわ」
『分かりました』

目指すのは前々からうっすらと見えていた建物。
ちゃんとした目標が……進めてるっていう証拠がないとどうにかなりそうだ。
多少不安だったものの、こっちはルビーの指示通りに走ればちゃんと辿り着けた。
……同じ所をずっと走り回っていた、というわけではないみたいだ。それとも。

……まさか、霧を作ってる張本人にずっと追いかけられている、とか。

慌てて首を振った。想像するだけで怖くなる。
ともかく、もう大丈夫だ。ここに隠れればなんとかなる。なるはずなんだ……
そう言い聞かせて、空きっぱなしの入り口に入ろうと瞬間……
背中に、何かが突き刺さった感覚がした。

「……あ」
『アリサさん!?』

頭の中がぐちゃぐちゃになる。何が起きたのか、突然すぎて分からない。
痛い、なんてものじゃない。痛すぎて……頭の中が真っ白になっていく。
流れる血液ごと意識を失いそうになる。当然、そうなれば真っ先におかしくなるのは足だ。
意識が薄れた頭は足に命令を伝えられず、折れかけた体は地面とぶつかり合う。

――寸前で、踏みとどまった。

「……っ!」

倒れかけた勢いでそのまま建物の中に入り込んだ。
視界が余計狭く白くなる。体が限界を訴えて、休息を求める。
それでもまだ安心できない。倒れ込むわけにもいかない。扉だ。せめて扉を閉めないと。
そうして手をかけた扉は……少しも動かない。
一瞬混乱しかけた頭を冷やしてくれたのは、ルビーだ。

『アリサさん、ここはシェルターです! ボタンを押して!』

ルビーの声は、どこか遠い。鈍くなった思考も、なんでボタンを押さないといけないのかすぐには分からなかった。
ともかく従おうとボタン探しても、狭い視界では簡単に見つかってはくれない。
それでも何とかボタンを見つけて、足をもつれさせながらボタンを押した。
扉がしっかりとしまって、あたしを外から隔絶してくれた。これで、やっと……

『寝ちゃ駄目です! 多元転身!』
「え……?」

閉じかけたあたしの意識を、ルビーの声がたたき起こした。
見れば、服装がナース服に変わっている。

『せめて手当てを!』

ルビーの声は悲鳴に近かった。そんなに今のあたしはやばいってことだろうか。
今流れ込んできた知識も、このまま寝れば大変なことになると告げている。
休息を求める体に鞭を打って起き上がる。そんなことでさえ、相当な労力が必要だった。
少しでも余計なことを考えれば倒れてしまう。
ともかく火傷をした場所には服の上から水をかけて、背中の切り傷や左腕の傷に即席の包帯を巻いて。
……それが、正真正銘の限界。
睡眠なのか気絶なのか分からない夢の中へ、あたしの意識は落ちた。


■

作戦は失敗。
自分の溜め息に、蝶々のマスクが揺れる。

「……逃げられた、か」

閉じたシェルターを見やりながら呟いたのは、そんな言葉。
薔薇の花弁では、一撃で殺すには足りなかったらしい。
もっとも、これは作戦外のこと。故にこれ以上追撃することはできなかった。
……まさか、アリス・イン・ワールドを脱出できるとは思わなかったのだ。
結果として、霧を展開しながら追いかけるという作戦を取らざるを得なかった。
幸い男の子は攻撃こそ正確だが、移動などにおいては幻惑の効果をしっかりと受けているようだ。
こちらの姿さえ見られなかれば、霧の外に出ないよう誘導するのも簡単だった。

――もっとも、それは自分の間近にあの子を誘導しているということも意味する。

「…………」

眼下にはさっきの男の子。それが何かを飲みながら周囲を見渡している。
こっちはまともに戦って勝てる相手ではない。
アリス・イン・ワンダーワールドは、距離感などを狂わせるだけで姿を消せる訳じゃない。霧はあくまで副次的な作用なのだ。
グズグズしていれば発見されてしまうだろう。だから、あの女の子を狙うと言う作戦は取れない。
そもそも自分の力では、シェルターをこじ開けられるかどうか。
ならば。

「……ひとまず彼を南下させて、取りこぼしを私が討つ。それが最善」

元々自分は南下するつもりだった。だから、彼にその斥候をしてもらう。
支給品の力で上手く南へ誘導し、戦わせる。南へ歩き出したら霧から脱出させるだけ。簡単だ。
私は彼より北で待ち構え、もし逃げ出した参加者がいればそれを討つ。
男の子は消耗したところで、私がとどめを刺す。
狡猾で外道。だがそれ故に有効な戦法。
そこまで考えて、思わず私は笑っていた。

「……私は相当に下劣ね」

浮かべたのはただ一つ、自嘲の笑みだけ。



【H-5 シェルター内 1日目 午前】
【アリサ・バニングス@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:全身に軽い火傷(右腕・顔は無事)、左腕から出血(打撲によるもの、軽度)、
   背中から出血(切り傷、深い)
   上記の怪我は全て応急処置済み
   かなり疲労、睡眠
[装備]:贄殿遮那@灼眼のシャナ カレイドステッキ@Fate/stay night
[道具]:支給品一式、マシカルアンバーミサイル×7@メルティブラッド
[服装]:ナース服
[思考・状況] 睡眠


【H-5 南端/一日目/午前】
【真紅@ローゼンメイデン】
[状態]: 健康
[装備]: パピヨンマスク@武装錬金、核金LXX70(アリス・イン・ワンダーランド)拡散状態@武装錬金
[道具]: 支給品一式
[思考・状況]
1: レックスを南下させ、戦闘させる
2: 参加者と接触し、情報を得た後殺害する
3: 最後の一人になる

【H-6 北端/一日目/午前】
【レックス@ドラゴンクエスト5】
[状態]:すこし疲労
[装備]:ドラゴンの杖@ドラゴンクエスト5 (ドラゴラム使用回数残り3回)
[道具]:基本支給品、エーテル×5@FINAL FANTASY4
[思考]
第一行動方針:真紅を警戒しながらアリサを探して殺す。見つからなかったら諦める。
第二行動方針:タバサの居場所を知るために、三人殺してご褒美を得る。
第三行動方針:タバサ以外の参加者を全て殺し、最後に自殺してタバサを優勝させる。
第四行動方針:もしタバサが死亡した場合、自分が優勝を目指し、タバサの蘇生を願う。
基本行動方針:兄妹どちらかの優勝(タバサ優先) できれば二人でグランバニアの両親の元に帰る。
参戦時期:エンディング直後
[備考] エンディング後なので、呪文は一通り習得済み

【エーテル@FINAL FANTASY4】
魔力を回復する薬。6個でレックスの最大MP×1.5倍くらいだと思う。
既に一本消費済み。

≪047:Like the best friend 時系列順に読む 055:誰のせい?≫
≪053:Dash!! 投下順に読む 055:誰のせい?≫
≪021:魔法少女?マジカルアリサ アリサの登場SSを読む 114-2:はやてのごとく!~at the doll's theater~(後編)≫
≪040:Scarlett butterfly 真紅の登場SSを読む 075:這い上がるくらいで丁度いい≫
≪036:父の力を手に レックスの登場SSを読む

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