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  • ろりしょたばとるろわいある@ うぃき
  • ノーザンクロス -epilogue-

ろりしょたばとるろわいある@ うぃき

ノーザンクロス -epilogue-

最終更新:2008年09月30日 10:41

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だれでも歓迎! 編集

ノーザンクロス -epilogue- ◆wlyXYPQOyA



「……小太郎、君」

蒼星石が森へと消えていって、痛いほど静かになった中で私は名を呼んだ。
小太郎君は暗い声で「…………責めるなら責めろ。許す」と答える。
向けた顔は気力を失ったかのような浮かないものだった。
きっと私の言葉を待ってくれているんだろう。受け止めようとしてくれているんだろう。
でも、違う。私はそんなことをしたいんじゃない。

「最後……私を止めないでいてくれて、ありがとう」
「止めても無駄やって思ったしな……」

小太郎君は私のお礼に一言返す。そして、暗い面持ちで「恨んどるか?」と聞いた。
ああ、不安なんだ。私が蒼星石に仲間かと尋ねたときの様だ。今の私にはわかる。
答えは一つだ。私は恨んでなんかいない。それを伝える為に、小さく首を振った。

「だって、知ってるもん……小太郎君が、私に意地悪をしたくてやったんじゃないって……」

小太郎君は、私が無理してるとわかったからこんな事をした。だから私は小太郎君を恨むことなんて出来ないし、しない。
蒼星石も私にあんな事を言ったけど、悪いのは私。だから私は恨んでないし、蒼星石と仲直りしたいって言った。
小太郎君はやりかたを間違えたのかもしれない。私もこんな手荒な方法は嫌だった。
でもあの小太郎君がこんな事をしたのは、私が馬鹿だったから……だから恨むのはきっと筋違い。

「二人とも、私の事を考えてくれてた……バルディッシュも、そう」

けれど、だからこそ衝突が起きてしまった。何もかもが砕けてしまった。
最初から私が正直に生きていれば、こんな事にはならなかったのに。

「だから、凄く辛い……私の所為で……こんな……」
『――Sir.』

バルディッシュが声を漏らした。小太郎君はやりきれないと言う表情を浮かべている。
蒼星石はどうしているだろう。今、ここに蒼星石がいたらどんな顔をしていたのかな。
けれど蒼星石はもういない。どこか遠くへ、ずっと遠くに行ってしまった。
きっと今探しても見つからない。それに、今すぐ再会したところで私に何が出来るだろう。
だから時間を置いて、落ち着けたときに再会したい。また一緒にお話がしたい。
そう、いつか……出会ったら……。

「蒼星石と……いつかまた会えるよね?」
「……ああ」
「また、お話できるよね……? また、仲間に、なれるよね?」
『Yes.』

不安が押し寄せてきて、私は尋ねる。小太郎君とバルディッシュは、答えてくれた。
私が不安なのがわかってるんだろう。私の質問の意味がわかるんだろう。

「でも……でも、もし……」

駄目だ、また泣きそう。枯れるほど泣いたのに、どうして……。

「もし、また……"仲間じゃない"って、言われたらどうしよう!
 怖いの……凄く、怖い……だって私……もしかしたらもう……っ!」
「タバサ!」
『Sir!』

どうしようもないほど涙が流れて、私はまたしゃくりあげる。
最悪の可能性がどうしても拭いきれず、言葉にしてしまう。
枯れたはずの涙はまた止まらなくなってしまった。
けれど、それでも小太郎君達は私の名前を呼んでくれた。

「大丈夫や! ……心配すんな。やから、大丈夫。今は……気の済むまで泣いとけ」
『進むのはそれからでも問題はありません。これからの道に支障は起きません』

二つの優しい声と言葉。私を責め立てない、温かい言葉。
その言葉の嬉しさと、蒼星石が消えてしまった悲しさが混ざりに混ざる。
――――堪え切れず、私は小太郎君に縋って……初めて声を上げて泣いた。


       ◇       ◇       ◇


「……というわけや」
「何が"というわけや"よ。何も得ていない最悪の結果だわ」
「すまん、なんかもう……ホンマ、すまん」

どれくらい待っただろうか。しばらくして、小太郎達は私達の元に返ってきた。
「いい加減遅すぎる」と文句を言おうと思ったが、何か様子がおかしい。
見送ったはずのタバサを連れて戻ってきており、その少女の片頬には紅い線が通っている。
小太郎は嫌に暗い顔をしているし、更に何故か蒼星石だけがいない。ついでに棺桶も無い。
グラーフアイゼンにどういう状況か理解できるかと尋ねるが、当然答えは『Nein』だ。
仕方が無いので説明を求めようとしたら、考えを組んでくれたのか小太郎が「話すわ」と名乗りを上げた。
そういうわけで、私は彼らを家に上げて情報交換の時の様にちゃぶ台を囲み、話を聞いたのだった。

「大体、もっと方法があったはずよ。それなのに喧嘩して帰ってくるなんて……」
「いやもうホンマ仰るとおりで……いやな、ここまで激しくなるって思ってへんかったんや。
 あくまでそれとなく伝えて、冷静に事を済ませたかったんやけど……俺には無理やったわ」
「頭を使いなさいよ……急に"別れてくれ"って言って別れる人なんか居ないわよ。
 いっそここで私とグラーフアイゼン込みで話した方が良かったんじゃないかと思うけど?」
「蒼星石に見られんようにタバサと二人きりで話しといてから、ってのが前提やったんやもん……あれか、シャワー突撃せぇってか」

気分が落ち込んでいるどころか"墜ち込んでいる"レベルの小太郎を叩く私。
だが反論は無い。本人も過ちを理解しているだろうし、そんな気力も無いのだろう。
タバサはというと、私に対して「あの、小太郎君は私の所為で……」と言っている。
私は「解ってるわ。私は今、彼じゃなくて彼の取った方法を罵ってるの」と答え、
少しばかり心配性な彼女を安心させておいた。小太郎も「ええから」とそれに続く。

「本当は普通なのね。安心したわ」

だがこれ以上小太郎を叩いても何も生まれない。変わって私はタバサに抱いた正直な感想を漏らした。
話に聞く限り彼女が求める結果は得られなかったものの、小太郎達の最後のアシストが良かったのだろう。
挙動不審とも思えた彼女の行動も今は消え失せている。そういえば、無理して笑っていたとも言っていたか。
しかしそれも今は無い。ああ、別に言われるまで気付かなかったとかそういうわけじゃないんだから。勘違いしないで。

「さて、じゃあ……これからはどうしたい訳?」

そういえば大事なことを忘れていた。私はちゃんとここで話しておかなければならない。
私は当初は小太郎に付いて行ってシャナを探すつもりだった。
その為にグラーフアイゼンも小太郎に渡し、そしてタバサと蒼星石とは別れる手はずだった。
それなのに小太郎はタバサと行動するらしい。シャナに関してはどうするのだろうか。
詳細を聞いておきたいし、場合によってはいくつか変更もしなければならない。

「とりあえず、タバサと行動してシャナより先にこいつの兄貴探すわ」
「私は?」
「すまん、正直考えてなかった。もうここで別れるか、俺らと行動するか……選ぶんはお前や」
「まぁ、シャナを探さない以上は私は邪魔者だろうし…………どうするべきかしら」

やっぱりか。彼はまずタバサを優先したいようだ。まぁ仕方が無いだろう、納得は出来る。
だがそうなると困るのは自分だ。独りで行動する事になるのなら、せめてデバイスの一つは欲しい。
どうにか交渉するか。大丈夫だ、グラーフアイゼンも自分を嫌っていたわけじゃない。

「じゃあ、グラーフアイゼンを私に渡して欲しいんだけど」

早速願望を提示してみた。小太郎はタバサへと振り向き、何か尋ねている。
だがそのやり取りは短い。すぐに視線を私に戻すと、頷いてくれた。
そして小太郎が「金槌君はええんか?」と尋ねると、『Ja』という返事が聞こえた。
よし、交渉成立。正直これは受諾されなければこの先やってられなかった。
しかしここまですんなりと行くと、あの話し合いはなんだったのかと思うばかりだ。
まぁ元々小太郎はデバイスの所持に意欲的ではなかった。そのおかげではある、か。
ともまく、これで私の方向性は変わらずに済んだ。デバイスで守りを固め、死なないようにシャナを探す。
魔法が使えなくとも、ソナー的な役割を果たしてくれるこのハンマーは有難い。
後はここで休んで体力だけでも回復しておけば、どうにかなる。はず。
この特殊な状況下、自分の体を完全に回復出来る施設があるとは思えないが。

「そういえばタバサは、何故敢えて目的地を城にしていたの?」
「…………そういや、なんでや? 兄貴がおる言う根拠でもあったんか?」

そういえば「方向性」という観点から見て少し気になることがあった。
そう、タバサの決めた目的地についてだ。蒼星石がいたときに彼女が「城に行く」と言った理由が気になる。
「滞在」「捜索」「拠点化」など、こういった選択肢を聞けば自分の行動も多少決めやすくなるからだ。
捜索したいだけなら私も彼女に付いていけるし、しばらく滞在するなら私は別行動を取る手もある。
そしてもしこの先城を拠点として行動をするのなら、様々な場所を探索して人探しをしたい私とは行動理念が正反対となるわけで。
いくらシャナを探すといっても、その方法はいくらでもあるのだ。ここである程度指針は決定したい。だから理由を聞く。
そういえばタバサとその兄レックスは王族だったか……まさかとは思うが、これだけで決めたのだろうか。
それでいて中身の無い方針だったと言われると正直困るのだけれど…………どうなの?

「……ごめんなさい。見たことあるような場所にならレックスがいるかと思っただけなの」

ああ、なるほど。だが多分蒼星石に「きちんと方針も決めているワタシ」を見せるための発言でもあったのだろう。
やはりその理由に深いものは無かった。ならばまた話し合いをしなくてはならないだろう。
幸運なことに今は襲撃者の気配も無い。チャンスだ、ここまでゆっくり出来る機会はそうは無い。

「じゃあ……お腹も空いただろうし、パンでも食べながら決めましょうか。
 今は互いに目的を明かした状態……次はその為にどこに行きたいか、よ」

私の言葉に二人が頷いたのを確認すると、私はランドセルからパンと水、そして地図を取り出す。
二人が続いてガチャガチャとランドセルを開けているのをBGMにして、一足先に齧った。
うん、美味しくない。

「マズ……んで、トリエラは決めとんのか?」

正直な感想を呟いたのを合図にするように、小太郎は私に尋ねた。
問題ない。私は既に決めてある。

「ここから真っ直ぐ南下するつもりよ。この地図で言う南のゾーンには行った事が無いから」

私は地図を卓袱台に広げ、街から真下へと線を引くように指でなぞった。

「南……そういや俺も行った事無いな。廃墟やいう事しか知らんし」
「小太郎君もそうなんだっけ。私もずっと森の中だったから、東の海岸沿いもまだ見てないわ」
「まぁ目ぼしい物も無いから当然よね。シェルターや洞窟がある東海岸はともかくとして、
 南の目立った所は病院だけだし……そんな寂しい場所だけど、だからこそ行ってみる価値はあるはず」

南は私どころかタバサと小太郎、バルディッシュにグラーフアイゼン……ついでに蒼星石にとっても未開の地。
話に聞いた私達全員の今までの行動範囲と照らし合わせれば、おのずとそれは見えてくる。
更に言えば南西も未確認だ。タワーが禁止エリアになった事以外は情報も何も無い。
問題はシャナがいるのかいないのか。そしてレックスがいるのかいないのか。
とりあえず一番シャナの事をよく知っているであろう小太郎に、予想を尋ねてみた。

「すまん、さっぱりわからん……案外自分のルールで行動する奴やしなぁ。それに俺がおらん間に豹変してんねやろ?
 強いて言うなら……そうやな、どっかにヤマ張って適当に動いてるか、人の集まりそうなトコに適当に行ってるかやな」
「つまり、わからないって事ね」
「だから言うてるやん。さっぱりやー、て」

だがシャナがアクティブに動く性分だというのはわかった。これで余計に捜索は困難か。
やはり未開の地に可能性を託すしかないだろう。私の目的地は南。これで決定。
ならば次は二人の目的地だ。城に行くならいく、行かないなら行かないと言って欲しい。

「とりあえず俺らまで廃墟に行くかはともかく、東の海岸沿いを見てみるのも悪うないかもしれんな」
「うん。洞窟やシェルターも気になるし……あ、それとやっぱり最後はお城には行ってみたい」

なるほど、二人は大きい施設から固めて行こうという作戦か。悪くは無い。
それに私の予定した行動範囲に近い。これはもしかしたら儲けものだ。
それならば、と私はふと思いついた案を二人に出してみることにした。

「一つ提案があるわ。互いに損はしないはずだけれど」

先程言っていた小太郎達と私の方針と目的地を照らし合わせると、一つの事実が浮かび上がる。
そうシェルターが非常に都合の良い場所に設置されているという事だ。
廃墟や東海岸、中央の森に城、その丁度近くに位置しているそれは、とても好都合。
ムシが良すぎるのである意味怪しいが、それはともかくとして。

「良い? 朝になったら、私達は三人で東の海岸沿いを進む。その途中で洞窟に寄る。
 レックスやシャナが見つかれば万々歳。見つからなければ、次に私達はシェルターに向かう」

先程もそうしたように私は地図に人差し指を置くとそれを下へ移動させる。現在地から南へ、南へ。
途中のG-4は朝起きたときには既に禁止エリアである、と説明を付け加えてそこは回避。
指が丁度シェルターに辿り付いた時、タバサが「ちょっと待って」と声を上げた。
なんとなく言いたい事はわかる。

「このシェルター、便利そうだけど周りに人が集まりそうなところばっかりあるわ。
 危険な人がいる可能性もあるんじゃない? この市街地だって、大変だったらしいし……」
「可能性はあるでしょうね。でもそこは"彼ら"に力を貸してもらうわ」
『彼ら?』
『シェルターに知り合いでも?』
「……あなた達のことよ。索敵が出来るんでしょう?」
『『――なるほど』』

まさかわざとすっとぼけたんじゃないでしょうね? ……まさかね。
とにかく、デバイス二機がかりで索敵を行い、かつ警戒を怠らねば問題は無いはずだ。
その状況で落ち着ける環境であると判明したなら、後は単純。

「もしもこれでシェルターの中に誰もいなければしめたもの。ここを一時的に私の拠点にする。
 そこで私達はお別れ。私はグラーフアイゼンと一緒に南の廃墟に。小太郎達は城に向かって結構よ」

どう? と最後に同意を求める。
すると小太郎とタバサには好印象の作戦だったらしく、小刻みに頷いていた。
ただ、一部に少し納得が行かないのか何か考え込むような表情を浮かべている。

「まぁ作戦自体はええわ。ただこれ、途中で敵に襲われたらかなわんよな。
 洞窟とかは策敵して貰うにしても、東の海岸は川や堀に囲まれとるから逃げ辛い」
「ええ。だからそれを撃退する体力と気力、魔力を取り戻す為にも今は休憩しましょう、って事よ」
「撃退……出来なかったら? 私の魔法だって、万能じゃないし」
「そうなったら逃げるしかないわね。私はアイゼン、小太郎はタバサ達とで正反対に別れる、とかね」

まぁその時は各自、ベストを尽くすしかないわね……と付け加える。
確かに危険人物に出会うと多少は厳しいかもしれないが、そこはどうにかするしかない。
ああ、それと……最後にこの作戦の締めを飾る為の道具を紹介しなくては。
ランドセルを漁り、私が取り出したのは携帯電話だ。

「この携帯電話はこの世界でも通話が出来るわ。だから別れた後、あなた達にお願いをしたい」
「ケイタイ……デン、ワ?」
「……知らないの? じゃあタバサには電話についても後で解説するわ」

私のお願い。それは、これから先も定期的に連絡をして欲しいという事だ。
シャナやレックスが見つかったり、または結果的に何も得られなくても連絡は欲しい。
また、私自身も廃墟や病院内で何かあれば報告をしておきたい。
それにもしレックスが見つかったら、状況次第で私達が再会するのも悪くは無いはず。
そうやって現在の状況を一つ一つ確認していけば、自分の見解や行動に誤差が生じる可能性は減るはずだ。
大体の大きな施設の中に電話が備え付けられているのが有難い。本当なら携帯電話がもう一つあれば助かったのだが。

「なるほど、ようわかったわ」
「私も。後はそのケイタイっていうのを教えてくれれば……」
「ええ、わかったわ」

とりあえず二人の賛成は得られた。これで一安心だ。
とにかく今は休息して、朝には出発だ。そして道中に危険が無いことを祈るしかない――――


『Caution!』 『Vorsicht!』


そんなことを考えていた矢先、突如二つの声が重なった。
タバサの前に置かれていたバルディッシュが、私の隣で立てかけられていたグラーフアイゼンが吼えている。
何があったのか。いつもは冷静沈着(だと、少なくとも私はそう思っている)なデバイスが、何故。

『魔力を帯びた何者かが飛行して接近中です!』
『推定航路は西、数は2! 到着予定地不明!』

何者かがこちらに向かっているらしい。しまった、まさかレミリアか!?
「ここはその航路に重なっているの!?」と聞くと、二機は『Yes!』『Ja!』と答えてくれた。元気良くてなにより。
やはり派手な戦闘が終わったとは言っても、警戒は怠るべきではなかった。仮にレミリアでなくても危険人物なら拙い!

「電気消せ! 早う!」
「か、カーテン! カーテンもきちんと!」
「わかってる!」

電気を消し、カーテンも消し、じっと身を潜めるとこの家の音は殆ど消え去った。
聞こえるのはバルディッシュとグラーフアイゼンのカウントダウン。
数字が若くなっていく毎に、その距離が近づいていくことが解る。

「あまりに近くなったら、両方とも黙ること。いいわね?」

私の指示にデバイスは肯定したのか、驚くことにすぐに黙ってしまった。
まさか、もうそんなに近いということ? 何か言いなさい、とも言えず必死に息を殺した。

「一体ここに、何が来ているというの……?」


       ◇       ◇       ◇


雛苺と桜は今、「桜」の近くにいた。
舞い散る花びらはバラ科。色は鮮やか。夜の闇に似つかわしくない明るさ。
それを二人は眺めているのだった。

事の始まりは、遊び相手の捜索が滞ってからだった。
雛苺は時間をかけ、逃がした相手を一心不乱に探していた。
逃がした魚は大きい。遊びがいのある相手だったらと思うと惜しい。
けれど、見つからない。デパートの内部をくまなく探したつもりだが、見つからない。

つまらない。と雛苺は退屈に駆られていた。

雛苺は今や狂気の塊というべき存在だ。様々な相手をその手にかけた。
だが彼女はそれ以前に少女だ。とても幼い無垢な存在、それが雛苺だ。
故に彼女には遂に「飽き」が来た。相手のいないかくれんぼなど、はっきり言ってつまらない。
結果、彼女は桜と共に下僕の人形、ジャコの背に乗るとそれを操り空を飛んだ。
近くにいないなら遠くにいる。雛苺の脳裏に浮かんだのはそんな短絡的な答え。

街を超え、どこかに行けばまたきっと新しい遊び相手が見つかるはずだ。
そうだ、もう一度森に行ってみよう。もしかしたら今度は違う遊び相手がいるかもしれない。
それはまるで公園に遊びに行く少女のような、ただ単純な考え。
遊びたいから、人の集まりそうな場所に行く。一人では遊べないから、人を求める。
人がいなければ別の場所に行く。いたらそこに留まる。ただ、それだけ。
それだけで彼女は西へと向かい、飛翔する。そうしてたどり着いたのがこの桜の木だったのだ。


――――そんな自分達の事を警戒して、トリエラ達が民家に潜んでいた事には気付かなかった。


「きれいなのー! ね、ね、桜もそう思う?」
質問をするが、答える暇も与えずに自分はジャコから飛び降りる。
木の下へ移動。下からの視線。木は様々な形の枝を伸ばし、花を咲かせているとわかる。
花はまるで血の色。雛苺が求めている、暖かい水の色だ。

「ん? あー、これ丁度いいの!」

ふと視線を他所にやると、地面が盛り上がっている箇所を発見した。
まるで何か――例えるなら人間のサイズのもの――を埋めているかのような隆起が三つ。
近くには大きな空箱が抛られており、少々奇妙だ。だが中身に興味は無い。

「桜、知ってる? お花見は座って"えんかい"するのよ!」

丁度良い椅子程度に雛苺は考えていた。小さな隆起に座って大いにはしゃぐ。
桜は付いていく気力も無いのかジャコに乗ったままだ。
それを無視し、雛苺はひらひらと落ちてくる花びらを掴もうと手を伸ばして笑っていた……が。

「……うゅー……」

突如、気分が盛り下がったのか雛苺はその動きを止めた。
そして一寸の間も待たず、腰掛けていた隆起物をベッドに見立てるように倒れこんだ。

「眠いのー……」

しつこい様だが、彼女は殺人鬼である前に一人の幼い少女だ。
一度の休息も無く、狂気に導かれるままに歩き、殺戮を繰り返していた。
過度の興奮状態は彼女へ欲求の信号を怠らせる。
遠足前日の子供の様に、先への期待に震え眠らない。否、眠れないまま。
そんな状態で行動をしてきたものの、やはり疲労は誤魔化しきれはしない。

「さくら……みはっててなのー……おやすみ」

寝言のようなはっきりとしない言葉を最後に、雛苺は気持ち良さそうに寝息をたて始めた。
同時に、宙に浮かんでいたジャコの体が力を失いくず折れる。
当然上に載っていた桜も体勢を崩す。地面に投げ出されてしたたかに腰を打った。

「…………」

突然のことで受身も取れず、さぞ痛みが襲い掛かったであろう。
だが桜は文句一つ言わず――いや、文句一つ言えずに立ち上がる。
そして声も無く樹木に凭れかかると、暗い暗い夜の空を呆けた様に眺め始めた。
まるで感情を持たない機械の様に、何も言わず立ち尽くしている。

見張りをしなくてはいけない。

雛苺は眠っている。だが桜は逃げようともしない。否、逃げられない。
逃げたが最後。自身を支配する無垢な人形は、彼女の身を――――!

「どうして……」

小さな問いは誰も答えてくれない。
ただただ夜の闇に溶けていくだけだった。


       ◇       ◇       ◇


『――飛行物体、離脱確認』
『西へと遠ざかりました』

デバイス達の言葉に、私を始め全員が大きくため息をついた。
心なしか今回のMVPである二機すらもそれに続いたように思えた。

「……うっわー、怖いわー」

緊張感の無い声を出し、小太郎がちゃぶ台に溶けるように項垂れた。
タバサの方は私の視界から消えた。そのまま背中からぱたりと倒れたらしい。
私も胸を撫で下ろし、再び頬杖を付く。デバイスの言葉を信じるなら安心は出来るはずだ。

「……そういえば、棺桶はどうしたの?」

と、懸念材料も失せて安心した所為か、私は突如こんな事を尋ねてしまった。
するとタバサはがばりと起き上がり、何かを思い出したのか少し表情が暗くなってしまう。
しまった、また空気が重くなったか。これは士気に関わることかもしれない。
そう言えばまだ携帯電話についても教えていないのに。
私が少し焦っていると、小太郎はゆっくりと顔を上げた。

「入れてた道具は回収して……そんで、俺らが埋めてきた」

棺の行方、そしてその中に入っていた骸の行方を小太郎はようやく語ってくれた。
曰く、もはや棺桶を連れる意味も無くなったことを痛感した二人は棺桶自体を放置してきたらしい。
中の遺体は「どうせなら綺麗な場所に」という事で、協力して桜の木の近くに埋めたそうだ。
埋めるためのスペース自体は、タバサの「イオ」という呪文で簡単に作り上げることが出来た。
比較的魔力を負担せずに小さな爆破を起こす呪文のおかげで、埋葬自体は簡単に完了したらしい。

「ちゃっちぃモンやけどな。木の近くに小っちゃい土の山が三つ並んで、砂風呂かっちゅうねん」
「そう……まぁそれでも良かったじゃない。彼らも少しは報われたわ。
 どんな形であれ土に帰ることが出来たなら……それは良い事なのよ、きっと」

肝心なのは、これ以上罪の無い人間が死なないこと。
時計は自らの回転に反することは無い。太陽は東へと沈みはしない。
過ぎた時間は戻りはしないのだから、過去は受け止めなければならない。

「ここからが正念場よ」

そう、ここからだ。ここから新たな道が広がる。
その道を安心して歩くためにも、今は休息を取り万全な状態を取り戻さなければ。

「ああ、でもそれはええんやけど……そう言えば俺ら、朝までどうするん?」
「え? 休息を取るに決まってるじゃない。私はそれが前提で作戦を話したんだけど」
「そうなんか……いや、でも待て。考えたらここって危ないんやないか?」
「ああ……」

だが、どうやら小太郎はここでの休憩に異議を唱えたらしい。
確かに先程は謎の飛行物体がここの上空を正々堂々と通過してきた。
今はもう詳細は知る由も無いが、殺人鬼だった可能性は大いにある。
北東での戦闘は終了したものの……まだ何者かが潜んでいる可能性は確かに考慮すべきだ。

「でも、私達にはデバイスがあるわ」

そう、デバイス達がいる。未確認飛行物体の存在を教えてくれた頼もしい二機だ。
何か異常事態があれば、または何かが接近するようであればこれらに教えてもらえば良い。
結局殺人鬼に出会う可能性はどこにいても殆ど同じものなのだ。
闇雲に移動するよりは「ただの民家」で警戒してもらいながら動かないほうが懸命な筈。
勿論デバイスの力を過信するわけにはいかない。自分達も警戒や覚悟をしておかなければならないのだが。

「まぁ確かにそうやな」
「でもバルディッシュ達、疲れないかな……?」
『精密機械故に物理的な酷使には敏感ですが、私に疲労という概念は存在しません』
『同意』

小太郎の賛成とタバサの心配に、デバイス達も答えを発する。
なるほど、ただの人間の様に疲弊しないのであればますますこの案は現実味を帯びる事となる。
それならば有難い。正直なところ今の私は、休息を取る間にボディーガードの二人や三人は欲しい。

「さて、じゃあここでの休息は決まりね」

私は手をパンと叩いて鳴らす。お母さんか、と少し笑ってしまう。
そしてどうにか無事に夜を過ごせそうだと安堵した私は休息の準備へと入る事にした。
縛っていた髪を解き、その場に背中から倒れこむ。ずっと緊張して張っていた体が緩んでいく。

「まぁ、とりあえず動くのは朝になってからよ……」
「おう」
「上手く行くと良いね……」
「本当、その通りね」

ついついとりとめの無い話をしはじめる。こうやって誰かとゆっくりと話すのが久々に思える。
ああ……ククリ達の時以来だったか。私が最後に見た、彼女の姿だ。
もう彼女はいない。もう明日からはあんな悲劇を繰り返すわけにはいかない。そう、必ずだ。

「ああ、そう言えば携帯電話の事忘れてたわ。タバサ、朝に改めてってことで良い?」
「…………」
「……タバサ? ねぇ、ちょっと?」
「あー、あかんわ。寝とる」
「早……」

緩い会話の中、疲れていたのかタバサはもう寝てしまっていたようだ。
卓袱台の向こうから「お兄ちゃん……蒼星石……」と寝言が聞こえる。
そして重なる『Sir――』というバルディッシュの声。遣る瀬無さが感じられる。
ああ、今はきっと夢の中で兄と再会しているのだろう。

「幸せ、なのかしらね?」
「せやけどそれはただの夢や。現実でどうにかせなな……!」

小太郎は決意を込めた言葉を口にしながら、卓袱台に突っ伏していたタバサを横たえさせる。
そうして小太郎もようやく横になり「ちょっと寝るわ。なんかあったらすぐ起きる」と付け加えた。
それから時間も経たず、すぐに小太郎の方からも寝息が聞こえ出す。こちらも眠ったらしい。
私もデバイス達に「何かあったら頼んだわよ」と言って、ゆっくりと瞼を閉じた。
近くで『Jawohl』という声が、タバサの方から『OK』という声が聞こえる。任せろという事か。
それなら、二人の様にすぐに眠れるかどうかは解らないがしばらくはこうしている方が良いだろう。


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