情報交換(大嘘)◆lip1g.SKtc


「うーん」

夢の中だとはいえ、やはり歩き続けるのはとても辛い。
てゐからは情報はあらかた聞いたので広げるネタはないし、かといって自分の情報といえば僕自身のことだけなのでこれも話のネタにはならない。
世間話はどうだろうか。夢の中とはいえ、摩訶不思議な設定を持つ彼女だ。きっと面白い話が聞けるに違いない。
と考えたのだが、夢が考えた設定を延々と聞かされるのはげんなりとするので、これはパス。
そうなると手立てはない。はてどうしたものやら。

「ねえ」
「何?」

考えていると、てゐから助け舟を出してくれた。

「あそこに人、いるわよ」

てゐが指を指した方向を見ると、妙な髪形の少年とこれまた宙に浮いた黒髪の少女だった。
夢の中では女の子は空を飛ぶ能力でも持っているのだろうか。
やはり漫画の読みすぎかもしれない。しばらく漫画を読むのは、止めにしたほうがいいだろう。

「話しかけてくるね」
「分かったわ」

とりあえず自分が申し出て、話しかけることに。
てゐは自分の少し後ろをついてくる。

「あのー……」

二人の近くに寄って、一声をかける。
男の人は声に気がついたらしく、自分がいる場所に顔を向けた。
近くで見ると、やはり髪型は姉さんと引けをとらないぐらいに変だった。
髪色も毒々しい紫色で、目つきも悪いし不良の類かな、とカツオは判断した。

「なんだ?」
「僕、磯野カツオっていいます。殺し合いには乗っていません」

ホールドアップをしてアピール。
半分は嘘で半分は本当のことだ。今は、殺し合いには乗っていない。
不良(仮)は僕をチラリと見ると、後ろの方へと視線をまわした。

「そこのウサギは、どうなんだ?」

てゐは僕が相手にして見せたように、ホールドアップをして首を左右に振った。
再び視線は、僕の方へと向く。

「それで、何の用だ?」
「はい、情報交換をしたいな……って思って」
「……俺は情報をあまり持っていない。誰かに会ったのはお前等が始めてだからな」
「はあ、そうですか……」

いや、それも立派な情報の一つだ。
つまりこの不良が通った場所には人っ子一人もいないということで、行く意味が無いと知らせてくれたのだ。

「先にコチラから聞いいていいか?」
「いいですよ。なんでしょう?」
木之本桜を知っているか?」


□□□

心の中でカツオに不良呼ばわりされた男――神代凌牙は、頭を抱えため息を吐いていた。
隣には、先ほど情報交換をしたいと申し出た少年。
空中には、ナッシングとてゐが浮遊していた。

(後少しの辛抱だな……)

情報交換の後に、カツオが切り出したのは「街に行くんですか?」という問いだった。
これに対して俺の返事は肯定。それを聞いたカツオは「途中まで一緒して良いですか?」と返した。
寄りたい場所があるのか、と場所を聞くと磯野家と答えた。
カツオの名字は磯野、つまり彼が住んでいた場所だろう。
行きたい場所の直線状に磯野家は存在していたので、凌牙は受け入れたのであった。

(まあ俺も、行きたい場所があったしな)

マップを見ていると、気になる場所――というか知っている場所が一つあったのだ。
ハートランド、自分達が暮らすハートランドシティの中心部に存在する遊園地。
マップを見て遊馬や璃緒がここに来るかもしれないと踏んだのだ。

(いなかったら……どこにいるのかはお手上げだな)

ここから遠い場所に飛ばされたのかもしれないし、或いはここに来るつもりは無いのかもしれない。
とりあえずは行ってみる。街だし、誰かしらは見つかるであろう。

(――ベクターがいなけりゃいいが)

ベクターではなくとも、殺し合いに乗っている奴がいれば戦わなくてはならない。
自分の武器はどうやらこのデッキらしく、モンスターを現実に召喚して攻撃を行うというもの。
つまりデュエルで殺しあえということだ。

(いざとなりゃ、やるしかないか)

妹や遊馬と再開していないのに、むざむざと死ぬわけにはいかない。
ベクターをぶちのめしていないのに、まだ死ぬわけにはいかない。

(それに、ナッシングのこともあるからな)

ナッシングの友達探しもそうだし、もし俺が死んでコイツが自由の身になれば何をしでかすか分かったものではない。
友達を探すことを邪魔をする者は容赦なく攻撃するだろう。現に自分が――そういうつもりではなかったが――そうだった。
黒い球体を生み出し、威力はそこにあった地面を抉る程だから、人間が受けたらひとたまりもない。
回避に失敗すれば、死にはしなくとも身体の欠損は免れない。

「……あ、僕たちはここまでですね」

考え事をしている内に、どうやらカツオ達のほうは目的地に到着したらしい。
指をさした方向には、自分達が住んでいる世界では見ることのない、おそろしく古めかしい建物だった。

「それじゃあ、僕たちはここで」
「ああ、死ぬんじゃねえぞ」

カツオ達が家へ入っていくのを見届けると、凌牙もハートランドを目指して歩き出す。
歩き出すついでに、中断した思考を再開させる。

(そのためにもさっさと、木之本桜を探さないといけないんだが……)

ナッシングの目的はお友達――クロウカードを返してもらうこと。
問題なのは所有者である木之本桜、彼女のスタンスがどちらかによる。
名前と性別しか情報が無い為に、凌牙は彼女に関する情報が欲しかった。
809 名前: 情報交換(大嘘)  ◆lip1g.SKtc [sage] 投稿日: 2014/03/09(日) 20:05:15 1/0TJsnU0

(まさか一発で手に入るとはな……)

初めて出会った人間、磯野カツオ。
彼は木之本桜についてこんなことを言っていた。

『てゐが彼女に襲われたらしいんです。仲間も引き連れていたとか』

てゐ曰く、最初は良い人かと思ったら突然襲い掛かってきたのだそうだ。
どんな服装をしていたかと聞いてみたが、あまり思い出したくないらしい。体が震えているのを見ては聞く気にもなれない。
まとめると木之本桜は危険人物で、しかも同じ方針の奴と同盟を組んでいるらしい。

(チッ……面倒なことになりやがった……)

凌牙は気を引き締め、思考を打ち切った。

【D-4 市街地 /黎明】
【神代凌牙@遊戯王ZEXAL】
[状態]:健康
[装備]:デッキ(神代凌牙)@遊戯王ZEXAL、デュエルディスク@遊戯王ZEXAL
[道具]:基本支給品一式
[思考・行動]
基本方針:殺し合いをぶっ潰す
1:遊馬、璃緒、木之本桜を探す
2:ベクターを見かけたら、ぶちのめす
3:木之本桜は悪人の可能性が高い……?
4:ナッシングの力を警戒
※参戦時期は、真月零がベクターだと判明してからナッシュの記憶を思い出すまでです。

【『無』@カードキャプターさくら(アニメ)】
[状態]:魔力消費(小)
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考・行動]
基本方針:お友達(さくらカード)を返してもらう
1:木之本桜を探す
2:お友達を探すのを邪魔するものは消す
※制限については、後の書き手の方にお任せします。


□□□

ピシャリと戸を閉めた後にカツオは、居間へと向かった。
ランドセルを自分の近くに置き、いつもの定位置に座る。
てゐもランドセルを置いて、カツオの隣に座る。そこはワカメが座る位置だった。

「私の演技はどうだったかしら?」
「バッチリ。服装に関しては一切情報が無かったから、有難かったよ」
「そう、それなら良かったわ」

ランドセルから取り出したのは、パッケージに『間宮羊羹』と表示された棒状の物。
中身は勿論羊羹であった。
爪楊枝が無いので、仕方なく手で掴んで一口。
程よい甘みが口の中に広がっていく。

「てゐも一口どう?」
「人の手づかみで、人の食った後なんて食いたくないわ」
「それもそうだね」

少々配慮が足りなかった。これは反省すべき点だろう。
羊羹を口に放り、租借して飲み込む。

「さて、次の手を考えたいなあ。ここら辺人多そうだし」
「その分危険な奴がいる確立が上がったけどね」
「うん。フランドールと、凌牙さんが言うに真月零も危険らしいし」
「それで、どうするの?」
「確か僕の支給品はあと一つあるから、それを確認したらここを出よう」

カツオは自分のランドセルを膝元まで持っていき、中身を漁る。
出てきたのは、棒だった。

「何これ……ただの棒じゃない」
「――いや、これ普通の棒とは段違いだ」

傍から見ればただの棒に見えるが、触ってみれば全く違うのが分かる。
材質、手触り、ただのぼうっきれの基準を遥かに超えたこの棒は、『とてもいいぼう』と呼ばれる棒であった。

「ただの棒にしか見えないけど……」
「まあ、無いよりはマシってね」

棒を片手に、カツオはむくりと立ち上がる。

「それじゃあ、行こうか」

【D-4 磯野家 /黎明】
【磯野カツオ@サザエさん】
[状態]:健康
[装備]:ゴキブリ帽子@ドラえもん、とてもいいぼう@MOTHER3
[道具]:基本支給品一式
[思考・行動]
基本方針:あらゆる手段で生き延びる
1:殺しに乗ったフリをする。ただし、いざとなったら本当に殺す
2:偽りの情報で他の参加者をかく乱する
※これを夢だと思い込んでいる、もしくは自己暗示をかけています
※てゐを非力な年下で力のない妖怪と思い込んでいます
※神代凌牙から真月零の情報を聞きました

因幡てゐ@東方Project】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、毒殺ティーセット@名探偵コナン、カツオと交換した支給品
[思考・行動]
基本方針:あらゆる手段で生き延びる
1:殺しに乗ったフリをする。ただし、いざとなったら本当に殺す
2:偽りの情報で他の参加者をかく乱する
※ゴキブリ帽子とカツオの何かの支給品と交換しました
※『人間を幸運にする程度の能力』の制限を一部確認しました。自分には使えないようです。
  そのほかの制限は他の書き手にお任せします。


【間宮羊羹@艦隊これくしょん】
補給艦間宮が持つ籠の中にある羊羹

【とてもいいぼう@MOTHER3】
ざいしつがよくてになじむぼう。オフェンスが34上昇する効果がある



≪044:卑怯なお人形 時系列順に読む 046:ブラコンと面倒臭さは感染する
≪044:卑怯なお人形 投下順に読む 046:ブラコンと面倒臭さは感染する
≪039:カードキャプターしゃーく 神代凌牙の登場SSを読む
≪037:夢のENDはいつも目覚し! 磯野カツオの登場SSを読む
≪037:夢のENDはいつも目覚し! 因幡てゐの登場SSを読む

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最終更新:2014年03月14日 10:20