さくらとドルベと仮面の男 ◆vztATaSfKk



クラウスは刹那を置き去ると暫くバイクを走らせ、アメストリス軍中央司令部へと向かった。
目的の場所へ到着したクラウスはバイクを止め、ランドセルに仕舞う様子も見せずに放置すると司令部へと侵入する。
本来ならば、この時点で屈強な軍人が何かしら声を掛けて来るのだろうが、この場にはその様な大人は存在しない。
堂々と正面から入り、複雑な内部構造をまるで知っているかのように慣れた足取りで屋上へと進んでいく。
数分もしない内に屋上へと出たクラウス。そこで初めて、クラウスは自身のランドセルを開いた。
中から取り出したのは拡声器。読んで字の如く、声を拡げるための機械だ。

さて、拡声器を使用する場面は多々あるが、今回は殺し合いという限定的な環境において如何な使用方法が存在するか。
先ず思いつくのは、参加者への呼びかけだ。元々大勢の人間に同時に言葉を伝える為に生まれた機械なのだから当然だ。
しかし、先述したようにここは殺し合いである。大勢に声を聞かれるということは、また大勢にその存在を知られる事となる。
喋る内容によっては、その声に惹かれ集まり、新たな仲間となる者も多く居るだろう。だが、全員が殺し合いに否定的な善良な者達ではない。
中には殺し合いの優勝を画策する邪悪な者達も居る。いわば諸刃の剣。使えば相応の見返りが得られるかもしれない代わりに、莫大なリスクを払う必要がある。

だが、クラウスは決して仲間を集めようなどという目的で、拡声器を使うつもりではない。
これには、もう一つの使い方があるのだ。
クラウスは手持ちのランドセルなどを使い拡声器がより音を広げそうな位置に上手く固定する。
その後、雷を降らせ落雷音を拡声器で轟かせる。司令部は一瞬にして建物の半分が焼失し、その際に発生した轟音が落雷音に続いて拡声器によって広がった。

これで良い。生半可な安っぽく疑う余地のある演説よりもこの方が真実味が出る。
強者ならば、この音を聞き正義感が強ければ間違いなくノコノコと現れる。
『誰かが襲われて、今にも殺されかけている。助けなければ』とありもしない想像を働かせてしまう者は少なくないからだ。
逆に殺し合いに積極的な者達は『人が居る。殺人を行う好機』と見て近づいてくる可能性が高い。
そして、これに恐れるような弱者ならば直々に出向いて適当に殺しまわれば済む話。
クラウスは、島の中心に近いこの場所で今、血に塗れた殺戮劇を引き起こそうとしている。

「この辺りだったが……何だこれは!?」

早速、来訪者だ。
屋上から跳躍し地面へと華麗な着地を決める。来訪者達は驚いた様子を見せたが、クラウスは意にも介さず視線を向けた。







―――――――



ハートランドに着いたドルベ達は手当たり次第に建物へ入る中を物色していた。
最初はある程度、首輪解析の道具を調達する目処を立てていたのだが予想以上に使える物が少ない。
そう便利なものが、簡単に手に入る訳が無いとは思っていたものの身をもって認識してしまうと、少し焦りも出てくる。

「その、どうですか? 良い道具とかありましたか?」

桜が心配そうに話しかけてくる。
良い報告をしたいところだが現実はその真逆。

「すまない」

少なくともドルベから見て、使えるような物は存在しなかった。
どう見ても、ガラクタに見えるような物しかない。これらを用い首輪の解析など不可能に近い。

「無駄足を踏ませてしまったみたいだ……」
「それはどうかな?」

落胆するドルベと表に出さないながらも少し落ち込んでいた桜と違い響はガラクタと言える物に目を通していく。

「確かに一見ガラクタだけど、使いようによってはポーキーの鼻を明かせるかも知れない……。
 私達艦娘もそう。一人じゃ弱くても、力を合わせてどんな窮地も乗り越えてきたんだ」

例え一枚一枚では何の力も持たないカードであろうと。それらの組み合わせにより無限の力を発揮する。
それはデュエルモンスターズにだけ当て嵌まる事じゃない。
この意味の無いガラクタも、他の者なら最大限有効活用するかもしれない。そこには、ドルベの予想の付かないような未知の組み合わせが存在するのだろう。
そう、例え一人では困難な道も二人なら、三人ならば、仲間が居れば乗り越えることが出来る。
かつてそれを、ある決闘者は結束の力と呼んだ。

「そうだな……私とした事が少し弱気になっていたようだ」

ドルベの顔に僅かながら明るさが戻る。
まだ諦めるには早い。ゲームは始まったばかり、付け入る隙はまだあると再認識出来た。

「桜、響。悪いが私の技術では今のところはまだ首輪の解析は出来そうにない」
「鎮守府なら、もう少しマシな物があるんじゃないかな? 一応、軍事施設だしね」
「それなら、ついでにアメストリス軍中央司令部ってどうでしょう? ここもそういう施設だと思うんですけど」

桜がスマートフォンを弄り地図を出し指を指す。
見れば丁度、鎮守府とハートランドの間にあり回り道をする必要も無い。

「なるほど。では先にアメストリス軍中央司令部に向かってから響の言う鎮守府に行ってみるか。
 良いかな響?」
「私はさっきも言ったけど、ドルベに任せるよ」

意見も纏まり、ハートランドを発とうとした時だ。
三人の耳を轟音が響き鳴らす。

「な、何?」
「司令部の方向みたいだけど……。私の見立てだと多分戦闘音じゃないかな。
 自然に発生するような音じゃないと思う」
「だとすれば、誰かが戦っているのか!?」

ドルベは舌打ちする。
司令部を避けるにしても鎮守府への回り道になってしまう上に、万が一司令部で誰かが暴れていて貴重な機材が破壊されたとしたら目も当てられない。
それに戦ってる者達も気になる。殺し合いに乗った者同士が潰し合うのなら良いが、もしもどちらかが襲われていてそれが殺し合いに否定する者だとしたら。
いや、最早戦いにすらならない、強者から弱者への一方的な蹂躙かもしれない。
そっと隣の桜の様子をドルベは窺う。響はともかく、桜は明らかに動揺している。証拠に体が震えていた。


(行かせる訳にはいかないか……)

無理も無い。特殊なカードを扱えるとはいえ、ただの小学生として暮らしてきたのだ。
だからこそ、血で血を洗う戦場へと向かわせる訳にはいかない。
ドルベは敢えて自分が血に塗れようと考える。このような戦いに出向くのは一人で十分なのだ。

「二人共、私が一人で確認してくる。君達は回り道をして「駄目ですそんなの!」なっ?」

ドルベの言葉を遮り桜が強引に話を進める。

「待て、あそこは危険だ。この場で行くなら私が一番適任だ」
「それを言うなら私も」
「……響、君は桜の側に居てやってくれ。私は一人で……」
「だったら、私が一人で行きます! 二人は回り道して鎮守府に行ってください」

ドルベの反論に桜は食って掛かる。
そのまま話が纏まらないまま、水掛け論になり延々と口論が続く。

「分かった二人共。なら、三人で行こうか?」
「響?」
「一人よりは二人、二人よりは三人の方が良い。
 これなら、二人の主張も取り入れてると思う。桜もドルベもこれなら納得してくれるかな?」
「私は、それで良いです」
「はぁ……」

溜息を付いてドルベは呆れてしまった。
結局こうなってしまうのかと。だが、心の何処かでは悪くない気分だったかも知れない。

「良いだろう。白き盾は伊達じゃない。
 君達二人。命に代えても必ず守りきってみせよう」
「それは聞き逃せないな。命に代えてもなんて……私はもう人が死ぬところは見たくないんだ。
 だから、皆死なないでくれ」
「……ドルベさん、大丈夫です。皆生きて帰れる、絶対大丈夫だよ」
「絶対、大丈夫……。まったく、その根拠の無い理屈は何処から来るんだ?」
「そ、それはその……」
「だが信じてみるのも、悪くないかもしれないな」
「ドルベさん」

まったく呆れを通り越して馬鹿と言える。
けれども、そんな存在が頼もしく見える。不思議で懐かしい感覚だ。

「だが皆約束してくれ。必ず無茶はしないこと。良いか?」
「分かってる」
「分かりました」

三人は最低限の打ち合わせを済ませるとアメストリス軍中央司令部へ向かっていった。




―――――




強い。
一目で、ドルベは響は桜は直感した。
目の前で対峙している仮面を着けた少年クラウス。仮面もそうだが、雰囲気からして人間味を感じさせない。ロボットのような印象を受ける。
更に半焼したアメストリス軍中央司令部。それを引き起こしたのは、このクラウスと見て間違いない。

(バリアルフォーゼしてきて正解だったな)

万一に備えドルベだけではなく、全員戦闘の準備はしてきている。
特にドルベは普段と違い、バリアルフォーゼに負担が掛かり響達への説明にも手こずったが、それでも人間態のままで速攻で殺されるよりはマシだ。
そう思わせるほど、この相手は底が知れない。

「先攻は貰う!」
「風よ!戒めの鎖となれ!」

ドルベと桜が同時にカードを構える。それ見たクラウスが駆け出す。
天才的な運動神経を持つ桜、バリアンの動体視力をもってしても見切れない速度。
二人だけならば、確実に死んでいただろう。

「遅いよ」

だが、もう一人居る。決闘者でもなければ、カードキャプターでもない。
しかし、夜戦において無類の強さを誇る駆逐艦その人が。
クラウスですら驚く程の精密さ、速度で響は水平二連式散弾銃の引き金を引く。
前方へと駆け出した足を今度はバックさせ、距離を取り放たれた散弾の軌道を見極め、クラウスは安全な位置へと移動する。
その間、一秒も無く容易く、やりとげたクラウスは異常と言えるだろう。

「――風(ウインディ)!!」
「――光天使ウィングスを召喚!」

次の瞬間、予めクラウスが避難する場所を予測したいたのか、クラウスへ向け桜は風を放つ。
桜の星の杖に突かれたカードから風が巻き起こり、女性の姿を形作るとそれはクラウスを抱きしめるような形で覆い拘束していく。
クラウスは身動きを封じられ、ただその場に佇む。

(連携が上手く行ったな。この様子ならば、グローリアス・ヘイローを召喚する必要も無いか?)

ドルベの切り札であるNo.102 光天使グローリアス・ヘイロー。
ナンバーズの例に漏れず強力な力を持っているが、その分この場では一度使えば、二度と使用不可になるという制約がついている。
可能であるならば、終盤に温存しておきたいカードだ。この場で使う必要が無いのなら、それに越した事は無い。
念の為にモンスターを一体召喚したが、それも無駄に終わってしまいそうだ。

「え?」

その時だった。
風は消し飛ぶ。風の力を超えた雷が、クラウスの周りに降り注いだからだ。
ドルベは収めかけてたカードを再び携えデュエルを再開する。
すぐさま桜も新たなカードを取り出すが、それよりも早くクラウスが電撃を撃つ。


「盾(シールド)!」

その電撃は桜の盾に遮られ消滅していく。この隙を逃さないドルベではない。

「行くぞ。光天使ウィングスの召喚により、手札から光天使ブックスを特殊召喚!
 更に光天使ブックスのモンスター効果を発動する。
 魔法カードを墓地に送り、手札から光天使ソードを特殊召喚する!」

油断のならない相手だ。温存などと言っている場合ではない。
速攻で尚且つ、確実にエクシーズ召喚への布石、三体のモンスターを並べていく。
クラウスにデュエルモンスターズは分からない。けれども、目の前で行われている事が厄介であることは直感出来る。
即座に阻止し消すべきだろう。だが眼前には、それを遮る盾が存在する。

「桜、もう少し……もう少しだけ耐えてくれ!」
「分かりました」

いくら電撃をぶつけようが、攻撃を叩きつけようがビクともしない。
まさに鉄壁というに相応しい。
少なくとも、並大抵の攻撃では突破は不可能だろう。

「無駄だね」

更にリロードを終えた響も迫り、状況は着実に悪くなってきている。ならば、こちらも切り札を切るしかない。
まさか、二回も連続で使用する羽目になるとは思わなかったが。

「レベル4の光天使ウィングス、光天使ブックス、光天使ソードでオーバーレイ!」
「PKLOVE―――」

三体のモンスターが光となり一体のモンスターを構築する。
対するクラウスは周りの空間が歪み始め。まるで何らかの不吉の前兆のようだった。

「出でよ!  No.102 光天使グローリアス・ヘイロー!」
「Ω」

No.102 光天使グローリアス・ヘイローの光臨と、PKLOVEΩが桜の盾を飲み込んだのはほぼ同時であった。
瞬間、クラウスは自らが放ったPKLOVEΩに違和感を覚える。
先ほどのリュカ達との戦闘に比べ、明らかに威力が落ちている。これでは盾は破れても桜達に止めはさせない。
二度に渡る使用の負担で威力が落ちたのか、あるいは制限によるものか。
自らの起こった疑問を胸に仕舞いながらも、クラウスは剣を強く握り、オフェアップαを使用し自らの筋力を上げる。
そのまま、響が発砲してきた散弾を今度は剣で全て弾き落とし、桜へと肉薄した。

「跳(ジャn―――」

遅い。桜が跳のカードを使い場の離脱を行うより、クラウスが桜を切り裂く方が速い。

「くっ迎撃しろグローリアス―――」
「うっ……」

ドルベのグローリアス・ヘイローも響の水平二連式散弾銃のリロードも間に合わない。




一瞬の筈なのに桜の目には全てが遅く見え、逆に思考は今までに無い速さで回転している。
脳裏を過ぎるのは知世、苺鈴といった学友の姿。他にも父や兄、ケルベロスや月(ユエ)。
上げていけばキリが無い。

―――――ごめんね。ドルベさん、響ちゃん、小狼君、皆……私死んじゃうみたい。

最後に何て言えば良いのか、これだけ頭が回っているのに思いつかない。
だから取りあえず謝った。

クラウスの剣が着々と桜へと向かってきている。
命を刈り取る処刑台のギロチンのように、桜の命もあと僅か数秒も無い。

(嫌だ……私、死にたく――)

少女の願いもむなしく、処刑は執行された。



「間に合ったか……」


しかし、切り裂かれたのは桜ではなく一人の異形。バリアン七皇、白き盾ドルベ。

「何で……庇って……」
「ドルベ!」
「すまないな。桜、響……カードの発動タイミングが、間に合いそうも無かったからな……。
 約束は守れそうに無い……」

クラウスはドルベから剣を引き抜こうとするが動かない。
ドルベが剣をクラウスは掴み、梃子でも動かないせいだ。

「だが、せめてこの男だけは……」
「ドルベさん……?」

グローリアス・ヘイローが手にした弓を槍状へ変化させドルベごとクラウスへと狙いを定める。

「嫌だ……駄目、ドルベさん!」
「危ない桜!」

ドルベは自分ごと、クラウスを道連れにするつもりだ。
そうする事で響と桜を守ろうとしている。桜が止めようと駆け寄ろうとするも、遅れて着いた響に掴まれ押さえ込まれてしまう。

「響、最後に迷惑を掛けた……。
 桜、絶対に大丈夫だ。必ず君達ならポーキーに打ち勝てる!」
「ドル――」

どうやらもう時間は無いらしい。
バリアン態であったお陰で、人間態よりは生命力が高いがそれも少し死期を伸ばしただけだ。
心残りがあるといえば嘘になるが、自分はもう既に一度消えた身。彼らならば大丈夫だ。

「グローリアス・ヘイロー、私とこの男にダイレクトアタック!」


―――ナッシュ、メラグ……後は頼んだ……








グローリアス・ヘイローは弓を構え、そして射ることは無かった。
主が死にその動きを止めた。

「え……」
「何が?」

クラウスはバリアン態から人間態に戻ったドルベの腕を無理やり引き千切り身動きを取り戻す。
そして剣を握りなおし、桜たちへと歩みよる。



(不味い……ショットガンだけじゃ……)

とても今の武装で倒せる相手とは思えない。
一応、魔弾とやらも響に支給されていたが、説明書を見た限りただの追尾弾。それがクラウスに通じるかも分からない。
せめて普段の武装さえあれば、だが無い物をねだっていても始まらない。
ここは撤退するしかない。それが響の判断だった。

「桜、逃げよう」

もっとも、クラウスもただで獲物を逃すような真似はしない。
十八番の雷を用い響か桜、悪くてもどちらかは確実に黒焦げの死体へと変えるつもりだった。




『クラウス』



その時、クラウスは確かに聞いた。
自分を呼ぶ声を。
この瞬間初めて、クラウスは殺戮を止めた。

幻(イリュージョン)。
相手が強く思う者や、場面の幻を見せるカード。
桜が最後に発動させた最後のカードだ。それがクラウスの望む物を見せただけ。
もっとも、クラウスに感情は殆ど無い。よって幻の効果も薄く、僅かな時間足止めをしたに過ぎない。
クラウスが我に返るのは早かった。

「混沌より生れしカードよ……」

声が聞こえた。今度は幻などではなく敵対者の声だ。
幻のカードの効果が薄いのは桜にも分かっていた。
感情の薄い者には効果は期待できないのは、他の誰でもない主である桜が良く知っている。
これは逃げる為じゃない。戦うための布石。
声の方をクラウスが振り向いた瞬間、水平二連式散弾銃から放たれた散弾がクラウスを襲う。

「古き姿を捨て生まれかわれ」

桜は今手元にあるさくらカードだけで、クラウスを倒せるとは思えなかった。
一度使えば数時間のインターバルがあり、盾すらも正面から打ち破る程の力を持つ少年。
剣(ソード)ならば可能性があったかもしれないが、かといって近接戦闘での勝ち目も薄い。
どうすれば良い。持てるカードを全て切っても、これで終わりだというのか。
いや、まだあった。
ドルベが残した最後のカード。今だ停止しているNo.102 光天使グローリアス・ヘイロー。
だが、桜は決闘者ではない。デュエルモンスターズをまともに扱えるかも分からない上に、ナンバーズはただのカードとは違う。
桜が使いこなすには無理がある。やはり、このカードも無駄に終わってしまうのか。


(諦めない……ドルベさんが最後に残してくれた物を絶対に活かして見せる!)

使えないカードがあるなら、書き換えれば良い。
真の決闘者のデュエルは全て必然。ドローカードすらも書き換える者も存在した。
ならば、桜も同じ事をするまでだ。使えぬカードならば、さくらカードへと書き換えてしまえばいい。
クラウスに焦りが見え始める。
グローリアス・ヘイローが再び起動しては勝ち目が薄くなる。
だが響が立ち塞がり、クラウスを遮る。

「新たな主」
「PKLOVEΩ」

桜の詠唱が終わるよりも早く。クラウスはこの場に来て、三度目のPKLOVEΩを使う。

「さくらの名の下に!」
「?」

発動しかけたPKLOVEΩが消滅していく。
グローリアス・ヘイローは自身を構成するオーバーレイユニットを一つ取り除き効果を発動させた。
それは『相手モンスター1体の効果を無効にし、その攻撃力を半分にする』
結果、クラウスのPKLOVEΩはキャンセルされ、自身を強化していたPSIも全て消え去りその攻撃力も半減。
かわりにグローリアス・ヘイローが沈黙を破る。
その姿は以前の物とは違う。かつての進化形、CNo.102 光堕天使アンホーリー・ライトニングノーブル・デーモンとはまた別の姿。
これは、異界の少女との交わりにより得た、新たな進化を果たしたNo.102 光天使グローリアス・ヘイローの姿。



「やっと捉えた」

響の水平二連式散弾銃の弾が始めたクラウスへと当たった。とはいえ、剣で急所はガードしたのは流石というべきか。
けれども衝撃までは殺しきれず、そのままクラウスは吹っ飛ばされ地面を転がる。

「お願い……グローリアス・ヘイロー」

主の命を聞きグローリアス・ヘイローは再びその弓を構える。
クラウスの闇を振り払うかのように、その輝きは増す。

『ライトニング・クラスター!』

最後に言葉を紡いだのは果たして桜だったのか、あるいは。
どちらにせよ、グローリアス・ヘイローはその責務を全うし消滅した。
一つ言えるのは桜達は勝利したという事だけだ。

「良か……った」
「桜!」

桜は力を使い果たし倒れ付した。
響が駆け寄り容態を見る。命に別状は無いが、疲労の蓄積が限界を超えたのだろう。

「お疲れ様」

一言、労わりの言葉を掛けそのまま眠らせておく事にする。
眠った桜を担ぎ上げると、周りを確認し響は歩みだした。
些かここでは暴れすぎた。
それに自分達以外にも、クラウスが鳴らした音を聞き集まってくるものも少なくない。
二連続の戦闘だけは避けたい。だから響は人が集まるであろうこの場からは早々に去る事を決めた。
本当ならば、ドルベの遺体も埋葬したかったが時間が無い。

「ごめん、ドルベ」




【ドルベ@遊戯王ZEXAL】死亡

【D-3/一日目 黎明】

【響@艦隊これくしょん】
[状態]:疲労(中)
[装備]:水平二連式散弾銃@Fate/Apocrypha
[道具]:基本支給品一式、通常弾×4、魔弾@Fate/Apocrypha×2、ランダム支給品1
[思考・行動]
基本方針:殺し合いの打破。一人でも多くを生きて帰す
1:戦力を整える。
2:首輪の解析、解除を行う方法を探す。
3:鎮守府に行き、首輪の解析・解除に役立ちそうなものを探す。
4:雷、電と合流を目指す。
5:ベクターなる人物には注意。
6:暁がいないのは……ちょっと安心、かな。
7:この場から離れる。
※参加者達が時空の垣根を超えて集められているという仮説を聞きました。
※ドルベ、木之本桜のカード能力について知りました。


【木之本桜@カードキャプターさくら】
[状態]:気絶、疲労(大)
[装備]:星の杖@カードキャプターさくら
[道具]:基本支給品一式、さくらカード(14枚)(『風』『盾』『幻』1~2時間使用不可)、ランダム支給品1~2
[思考・行動]
基本方針:殺し合いはしない。誰も死なせずに帰りたい。
1:……
2:首輪の解析、解除を行う方法を探す。
3:ハートランドに行き、首輪の解析・解除に役立ちそうなものを探す。
4:小狼くんと合流したい。
5:残りのさくらカードを探したい。
※参加者達が時空の垣根を超えて集められているという仮説を聞きました。
※ドルベのカード能力について理解しました。
※No.102 光天使グローリアス・ヘイローをさくらカード化させましたが制限はDMカード通り使用不可です。
※さくらカード化は一度の使用で気絶するほどの魔力を消費します。









一つ響は懸念していた事がある。
最後のグローリアス・ヘイローのライトニング・クラスター。あれは不確定な目視だが響から見ると直撃していなかったように見えた。
証拠に死体も無い。ならば、やはりクラウスは生きているのではないか。
もっともそれを確認するつもりは無く、襲ってこないのならば深追いは命取りになる。
響はあえてクラウスの生死を確認しなかった。

「……」

そしてクラウスは生きていた。
体は傷だらけながらも、無効にされたPSIは既に復活した。
だが戦闘に至る程ではなく、クラウスですら今は休息を欲していた。

クラウスは重い足取りでバイクに跨る。
この場が戦場になる前に避難し、何処か体を休められる場所を探すつもりだ。
アクセルを踏み、クラウスはバイクを走らせた。


【D-3/一日目 黎明】

【クラウス@MOTHER3】
[状態]: 左手に火傷、PP消費(大)、ダメージ(大)
[装備]: クラウスの剣、刹那のバイク
[道具]: 拡声器、基本支給品一式
[思考・行動]
基本方針:殺戮
1:体を休める
※拡声器で流した音が何処まで響いたかは不明です。









【光天使ウィングス@遊戯王ZEXAL】
【光天使ブックス@遊戯王ZEXAL】
【光天使ソード@遊戯王ZEXAL】
No.102 光天使グローリアス・ヘイローのエクシーズ素材に使われた。
基本的にドルベのデュエルはこの三体を並べてから始まる。

【No.102 光天使グローリアス・ヘイロー@遊戯王ZEXAL】
エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/天使族/ATK 2500/DEF 2000
光属性レベル4モンスター×3
このカードは「No.」と名のつくモンスター以外との戦闘では破壊されない。
このカードのエクシーズ素材1つを取り除いて発動する事ができる。
相手モンスター1体の効果を無効にし、その攻撃力を半分にする。
このカードが戦闘またはカードの効果によって破壊される時、
このカードのエクシーズ素材全てを取り除いて発動する事ができる。
このカードはその戦闘及びカードの効果で破壊されない。
また、その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは半分になる。

現在はさくらカード化したが使用は出来ない。


【拡声器@現実】
ロワでは死亡フラグ。

≪046:黒い森 時系列順に読む 049:サイドチェンジ―逃げ場だって、あるかもよ―
≪046:黒い森 投下順に読む 048:
≪013:再壊 クラウスの登場SSを読む
≪033:カードとカード の登場SSを読む 031:白き盾のフェニーチェ
木之本桜の登場SSを読む
ドルベの登場SSを読む ざんねん!わたしのぼうけんはここでおわってしまった!

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最終更新:2014年03月28日 08:48