真実への道◆LS20fpS0gY
「息は……あるみたいですね」
ひとまずディアーチェの生死を確認した光彦は、それでも困ったように頭をかいていた。
どういう事情かは分からないが、とにかく飛び立っていった人物とディアーチェには何らかの関係があり、そして意見が食い違ってしまったのは部外者である光彦から見ても明らかだった。
しかしその事情や関係はもちろん、彼女達が使う「魔法」すら光彦にはいったい何なのかさっぱり分からない。今の彼にできることは倒れたディアーチェの無事を確かめることくらいである。
「えぇっと、怪我は……」
とりあえずランタンの光を頼りに出血してないか確かめた後――もちろん男として許される範囲でだが――ようやく安心したように一息つく。
今までさんざん殺人事件に首を突っ込んできたとはいえ、やはり殺人が起きた後に推理するよりはそれを防げるほうがよっぽどいい。とは言え、仮に怪我をしていたとしても光彦にできるのはコナンに教えてもらった捻挫の手当くらいだが。
もちろん、まだ完全に安心できるわけではない。ここにディアーチェを寝かせておけば危険人物が来た時どうしようもないのは容易に想像できる。
「あの人の話を聞く限り、たぶんディアーチェさんを殺すつもりはないんですよね……
何をしたのかはよく分かりませんけど、上手く手加減してくれた事を祈るしか」
どうするにせよ、確固たる「事実」を推理するには材料が少なすぎる。ディアーチェの腹部にあった炎弾がどんなものか(それどころか炎弾ということすら)光彦には分からないのだ。
ひとまずどこか物陰にディアーチェを運ぼうとした光彦は、向こうから誰かが走ってくることに気付いた。
まずい、と光彦は周りを見渡す。
少し離れたところにはラセツ族アジトなるものがあるらしいが、この周辺は何の障害物もない平原だ。武器も無ければ助けてくれる仲間も居ない。
もしあの相手にいきなり襲い掛かられれば完全に詰んでしまう。光彦の背中に冷たいものが走る。
「た、助けてー!」
だから、走ってきた少年がそう叫んだ時は不謹慎ながら安堵した。
■
「た、助けてー!」
「大丈夫ですか!? その怪我は……」
そんな言葉が返ってきて、走ってきた少年――藤木は色んな意味で安堵した。
怖い人を誘導するよりは普通の人のほうが楽だとか、ご主人様から自分を守ってくれないかとか、様々な考えがごちゃ混ぜに浮かんでいく。
助けてと叫びながら走ったのも、「こう言えばうまく騙せるかもしれない」という嘘と「ご主人様から助けてほしい」という本音が入り混じった叫びだった。
「ぼ、僕、すごく怖い人に襲われて……」
「落ち着いて下さい。今、追いかけてきている人はいません。
下手に叫んで目立つほうが危険ですよ」
「あ……う、うん」
「誰に襲われたか、どんな相手だったか分かりますか?」
そうして藤木は出会った相手が自分より年下の少年らしいことに気づき、そしてその少年がやけに冷静なことに気付いた。
藤木はクラスでもっとも背が高く、一方で出会った少年――光彦は小学一年生。体格は明らかに藤木のほうが大きいが、事態への対応力は全く逆だった。
なんとなく劣等感を抱きながら、藤木は襲撃者の名前を言おうとして……
「え、えっと……」
言うわけにはいかない事を今更ながら思い出した。
本心としては言いたいのだが、今も見張られているのではないかと思うたびに喉が震え、声が詰まる。
結局、藤木は適当にごまかしてお茶を濁すしかできなかった。
「ご、ごめん……どんな相手かわからないうちに襲われて……名前も言われなかったし」
「まあ、犯人がわざわざ名前を言うはずはありませんからね……
特徴が分からないということは、飛び道具で遠くから襲われたんでしょうか?」
「ううん、押し倒されて刺されて」
「? 間近にいたってことですか?」
「い、いきなり襲われたんだし、近くにいたのに分からなくても
仕方ないじゃないか」
細かいところを指摘され、しどろもどろになりながらごまかす藤木。もっとも光彦の方も深く突っ込む気はないらしく、再度周りを見渡して安全を確認している。
「とりあえず、飛び道具じゃないのなら今ここで遠くから襲われることはなさそうですね……
僕の名前は円谷光彦です。名前を教えて下さい」
「ふ、藤木……藤木茂」
「分かりました。今は安全とはいえ、こうやって立っているだけじゃ危険です。
最低限の情報交換をして、すぐにここを離れたほうがいいと思います」
「移動?」
「はい。僕達だけならともかくそこの……ええっと、ディアーチェさんが倒れたままですし。
仮に殺す気のある人がここにやってきたら、眠っている彼女はまず助かりません」
同時に、近くの草むらを身振りで示す。そこを見れば確かに、一人の少女がうつ伏せで倒れているのが見える。要するに、彼女を隠す場所を探そうということか。そこで藤木はふと閃いた。
166 名前: 名無しさん [sage] 投稿日: 2014/04/06(日) 10:46:37 /gxcIHNk0
(それなら、そこにご主人様を連れてくれば……)
あらためて光彦を見つめる。体格はやはり藤木より小さい上に、武器らしいものも持っていないように感じた。
下手をすれば今襲いかかっても勝てるのではないだろうか?そんな考えが頭に浮かび、劣等感は優越感に裏返った。
「……どうしたんですか? その傷が痛むとか」
「あ……い、痛いけどそうじゃなくて、言い忘れてたんだけど、襲われてた時、助けてくれた人がいるんだ」
「本当ですか?」
どうやら藤木は知らず知らずのうちに変な表情をしていたらしい。
光彦から声をかけられ、慌てて会話を続けた。自分にとって都合のいい話題を振った上で。
「うん。名前は……聞いてないけど、近くに建物に集まるって約束なんだよ」
「ラセツ族アジトですか?」
「そ、そう。それ」
藤木は光彦のフォローに内心でほくそ笑む。別にラセツ族アジトでも無くとも近くの建物ならどこでもよかった。
言うまでもなく建物に誘い込んだ後にメルトリリスを呼び寄せよう、という腹づもりである。相手は藤木より小さな少年と眠っている少女の二人、メルトリリスどころか武器さえあれば藤木でも勝てそうだ。
(連れて来いって、卑怯な真似をしろって言ったのはご主人様だ。
殺すのも僕じゃなくてご主人のほうなんだしさ)
心中で藤木はそう呟く。一方で、一気に2人を差し出したとなればいい武器がご褒美として貰えるんじゃないかと期待しながら。
そんな藤木を他所に、光彦は話を続けていく。
「なるほど……でも、アジトへ向かう前に他に出会った人がいれば教えてください。あと、助けてくれた人の特徴もできれば。
途中で誰か見かけるかもしれませんしね」
「あ……う、うん、助けてくれた人は……」
問いに答えようとして、またしても藤木は口ごもる。
出会った相手の話を聞かせてくれと向こうから言ってきた時は命令をこなせると思ったものの、助けてくれた相手の特徴をどう言えばいいかさっぱり分からない。なにせ、そんな相手はいないのだから。
メルトリリスのことを言おうかと思ったが、彼女を「助けてくれた人」として述べるのはなんとなく抵抗感があった。
「確か、前に突っ張った髪型で――」
結局、藤木が述べたのはスネ夫の特徴だった。もう死んでいるのだからいくらでもごまかせると判断したのだ。
持っていた道具やその時の状況を適当にでっち上げた後、さっと切り上げてメルトリリスに伝えろと言われた事へと話題を移す。
「それで、他に出会った人は……メラグっていう、『氷の剣』を名乗る青い髪の女の人で、
そいつは他人を安心させた後、変身して人を襲う化物だから、気を付けないと。
あと、永沢くんっていう、タマネギ頭の男の子……も、危ない、やつだよ」
そうして、藤木は本来不必要なはずの情報も述べた。なぜこんな事を言ってしまうのか、やはり藤木は自分でも分からなかった。
「分かりました、ありがとうございます」
「そういう君は、誰かと出会っていないの?」
「すみません、ディアーチェさん以外とは誰とも出会っていません」
「そう」
まあその辺りはどうでもいい、と藤木は思った。
どうせメルトリリスに言われた命令はこなしたのだし、後はメルトリリスがやることだ。自分がやらなきゃいけない事はやりきったと、安心しきっていた。
そんな藤木に構うことなく、光彦は相変わらず丁寧な口調で話を続ける。
「すみませんが、先にアジトへ行って助けてくれた人と合流してくれませんか?
ディアーチェさんを運ばないといけないんですが、藤木さんはその腕ですから」
「うん」
ツイてる、と内心で喜びながら提案を承諾する藤木。
向こうへ勝手に連れて行ってくれるというのならそれに越したことはないし、何よりこの隙にメルトリリスと合流してアジトへ呼び寄せることもできるだろう。
「では、アジトで落ちあいましょう」
「うん、ありがとう」
本心から礼を言いながら、藤木はその場から走り去るのであった。
――光彦の嘘にも、気付かずに。
■
■
■
「……なるほど? そういう約束をして私をここまで連れてきたと」
「は、はい!」
「それなら、その二人はここにいるはずよね?」
「そ、そうです。そう!」
「なぜ、このアジトには人の気配が全くしないのかしら」
カン、とメルトリリスの具足が金属音を鳴らす。藤木は倒れこんだまま、目の前に立つ「ご主人様」を見上げることしかできなかった。
ここはラセツ族のアジト。光彦が誘い込まれた「はず」の場所。少なくとも藤木はそう思っていたし、メルトリリスにもそう伝えた上で連れてきた。
だが、その光彦が見当たらない。どこかに隠れているのかと思ったが、そんな気配はまったくない。ただ誰かが少し荒らしていったような形跡が残っているだけだ。
藤木にとっては不可解極まりない事態なのだが、そんな事は知ったことではないと言わんばかりにメルトリリスの足が藤木へと向けられる。
「どうしてこんなことになったのか、考えてみましょうか?
可能性その1……フジキ、貴方は私に嘘を吐いた」
「そ、そそそそんなことないです!」
目の前に迫る剣先に、藤木は慌てて首を振る。だが、メルトリリスは足を戻した。
「その2、光彦とかいう子はここにたどり着く途中で誰かに襲われて死んだ」
「そ、そうです、きっとそ」
「その3……貴方の嘘が下手すぎて見抜かれた」
「ひっ!」
それこそ触れ合いそうなくらい、間近に迫ってくる冷たい美貌。
状況が違えば男にとって最高のシチュエーションだろうが、今の藤木には命の危険しか感じない。
「ぼ、僕は変なこと言ってないです、ちゃんとやりました!」
「そうねぇ、相手の頭がよかっただけ、相手が悪かったって可能性もあるわね」
「は、はい、たぶんそっああああああああああああああぁっ!?」
「でも許さない」
発信機を埋め込まれた傷のすぐ傍に、メルトリリスの具足が突き刺さる。
痛みに悶えようとする藤木の体はしかし、もう片方の足で無理やり押さえつけられた。
「あんまり暴れないほうがいいわよフジキ?
せっかく致命傷にならないよう、重要な血管や筋を外してあげているんだもの。
でもあんまり貴方が暴れたり、もしくは貴方が愚図すぎて私がイライラすると……
『うっかり』足先が狂うかも」
「ひぃぃぃっ……!」
その言葉を聞いて、もはや藤木は吐息を漏らすことしかできない。
ただでさえ青い唇はいつも以上に青くなり、その体は痛みすら忘れたように硬直している。
その様子を見て、メルトリリスは熱い吐息を漏らした。
(あぁ、楽しい! 最っ高……!)
歓喜。
怯え惑う藤木の姿を見て、メルトリリスの胸中に快楽が満ちる。
このまま藤木の腕をぐりぐりと抉りたい衝動に駆られたが、さすがにそれは自重した。一気に殺してしまっては元も子もない。殺すのは使い道がないと判断してからだ。
火照る体を冷やしながら、腕に突き刺した具足を引き抜いた。
「次は上手くやることね、フジキ。
――もっとも、いつまで『次』があるかわからないけれど」
カクカクと藤木の頭が上下に揺れる。
彼は、何をどう言い訳したところでメルトリリスは意に介さないだろうという事に、ようやく気付いた。
【B-3 ラセツ族アジト/一日目 早朝】
【メルトリリス@Fate/EXTRA CCC】
[状態]:負傷(小)、疲労(小)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式×2、受信機@魔法少女リリカルなのはシリーズ、ランダム支給品×2
首輪(スネオ)、拳銃@現実、ふっかつのつえ@DQ5
[思考・行動]
基本方針:このゲームをクリアして、月の裏側に帰還する。
1:お人形さん(藤木茂)を餌に釣りを楽しむ。
2:メラグ(神代璃緒)に復讐。
3:まあ、タマネギ男(永沢君男)は見つけたら殺してあげる。
4:メルトウィルス、やっぱり使えないわね……。封印でもされてるのかしら。
※原作5章からの参戦です。
※クライムバレエとメルトウィルスの制限に気づいています。メルトウィルスは封印されていると思っています。
※メルトウィルスは少なくとも人間態の璃緒レベルの相手には使えません。
※一人生き残こることが、必ずしもゲームの勝利条件だとは考えていません。
※BBが主催者の背後にいると考えています。
【藤木茂@ちびまる子ちゃん】
[状態]:左腕負傷(小)
[装備]:発信機@魔法少女リリカルなのはシリーズ(左腕埋め込み)
[道具]:基本支給品一式、どくさいスイッチ@ドラえもん(使用済)
[思考・行動]
基本方針:仕方ないから殺し合いをする
1:参加者を見つけてメルトリリスのところに誘導する。
2:メルトリリスに従って参加者を減らす。
3:メルトリリスを出し抜く方法を考える。
4;でもあの人、綺麗だな……。
5:メラグ(神代璃緒)が危険人物だと流布する。
6:永沢君を……。けど、仕方ないよね……。
※銃が効かない化物クラスが参加者にいることを把握しました
ラセツ族アジトの南。木々がぽつりぽつりと生えるだけの原っぱで、人影が一つだけ動いていた。
「……さ、さすがに、疲れました」
ただし、そこにいるのは二人だが。
ディアーチェを背負って歩く光彦の額には、汗が滲んでいる。光彦は運動神経に優れ探索にも慣れているとは言え、ディアーチェの体格は小学三年生のそれに近い。男女の差を考慮しても、光彦よりは体格が大きいのだ。運ぶには文字通りの重荷であった。
それでも草原が途切れる辺りまで何とか歩いてきた光彦は、適当な木陰にディアーチェを降ろし自分も座り込んだ。
既に朝日が昇り始め、周辺は明るくなってきている。できればもう少し人目を避けられそうな場所で休みたかったが、やむを得なかった。
「追いかけてきていないといいんですけどね……」
息を切らしながら北を見る。その方角は彼が歩いてきた経路であり、ラセツ族アジトのある方向でもあった。つまり、光彦はラセツ族アジトと正反対の方向に歩いてきたことになる。
なぜ光彦はあのような会話をしながら、こちらへと歩いてきたのか。
「……でも、恐らくあんな話をするくらいなら追ってはきませんよね。
藤木さんは『誰かに助けられて』『ラセツ族のアジトで待ち合わせする予定なのに』僕の方へ助けを求めながら走ってきた。
そのまま受け取るには、明らかに不自然です」
理由は単純、推理したからだ。光彦はあの会話の中で、不審な点に気付いていた。
シュテルの存在を藤木に言わなかったのもそのためである。危険人物とはいえディアーチェの知り合いである以上、信頼できる相手以外には言わないほうがいいと判断したのだ。
「もちろん、助けてくれた人が今も戦っていて、それを助けるために走ってきたという可能性もあります。
だけどそれなら、アジトじゃなくて襲われた場所へ行くことを提案するはずです」
考えを整理するように光彦は自分の行なった推理を口に出し、見落としがないかトレースして確かめていく。
不安を真実で拭い去るため、ジグソーパズルのパーツを再度見直す。
「単純に迷子になってアジトへ向かう道を逸れたという可能性……
それなら先に行って欲しいと言った時に、一人で行けないはず。
――やっぱり僕をあそこを誘い込みたかった、というのが自然ですね。
誰かと組んでいるのか、罠があるのかは分かりませんけど。
でもわざわざ誘い出そうとするくらいなら、追ってくるまでには時間があるはずです」
そこまで来たところで、安心したように息を吐く。
それが結論。限りなく「真実」まで近い所まで迫った、光彦の推理である。
元々、光彦は小学一年生としては破格の頭脳を持っている。さすがに
江戸川コナンには劣るものの、コナンの事情――特に実年齢――を考えれば本当の意味で小学生離れしているのは光彦のほうという見方も可能だろう。
事実、コナンの代わりに光彦が事件を解決したこともあるのだから。
「問題は、彼の言っていたことです。
単純に考えると、全て嘘と考えるべきなんですが……」
汗を拭きながら、光彦は次の思考に移る。藤木は怪しい人物だと判断したのだから、それで考えを打ち切るのもありだろう。しかし、光彦には少し気になる点があった。
「まず襲われた状況とか助けてくれた人は、間違いなく嘘として。
どうもひっかかるんですよね……メラグという人と永沢という人で、あの人の話し方が違ったような」
藤木の二人に対する微妙な感情の違いも、光彦は感じ取っていた。
実際、藤木がメラグ――神代璃緒と永沢を危険人物だと述べた理由はそれぞれ異なる。そして、その違いは藤木の口調にも現れていた。藤木に不審なものを感じた光彦が、それを気にしないわけが無かった。
元々の素質に加え、少年探偵団として数多の事件に関わってきた経験が光彦の推理に影響している。その頭脳は平凡な大人よりは上のレベルであり、状況と運に恵まれればコナンに匹敵する推理を行うことも可能だろう。
「恐らく、嘘は片方だけ。
そしてどちらかが嘘かと言えば、やはり永沢という人が危ないというのが嘘ですね!」
――ただしそれは、状況と運に恵まれれば、の話だ。
「メラグという人は名簿に載っていない、いるかどうかも不確かな存在……
恐らく、何らかの異名か偽名です。
仮に危ない人だと嘘をつくなら、名簿に載った名前のほうが効果があります」
少年探偵団としての経験は、ここに来て逆に作用した。
光彦の体験してきた事件は計画的な準備かその後の後始末、或いは両方が行われ綿密に隠蔽された犯行が多い。その場では発想すらできないような物もある。そして、光彦を誘い出そうとする藤木の行動はあきらかに計画的な犯行だった。そのため、藤木の嘘は全て計画的に考えられた上でのものと考えた。
結果、光彦は「その場で半ば衝動的に言ったかどうか」の違いではなく、嘘を吐いているかどうかによるものだと判断してしまったのである。
藤木の永沢に対する複雑な感情を知らない光彦は、メラグと永沢についての供述に違いがある事に気付いてもその理由を正確に推理することはできなかった。
実際のところ、藤木の話し方に差異があったのはメルトリリスに言われた部分と藤木が自分で考えた部分という区分が大きい。そもそも誘き出すという行動からして、メルトリリスの立てた策である。しかし、光彦はそこまで思い至らない。
これがコナンであれば、情報が少なすぎるとして結論を出すことを控えただろう。そもそも証言の食い違いではなく、単なる話し方の違いを証拠とするのはコナンでも難しい。だがいきなり殺し合いに放り込まれた不安が、見知らぬ「魔法」を見た混乱が、傍に気を失っている人物がいるという危機感が光彦を焦らせ、誤った推理へと導いてしまった。
そんな「真実」に気づく様子もなく、光彦はスマートフォンのメモ機能を使い自分の推理を記録した。藤木自身も知らないことであるが、結果的にメルトリリスに言われた仕事をある程度はこなしたと言える。
「とにかく、青い髪の女の人には気を付けたほうがいいですね」
そう肝に銘じる光彦。
真実への道は、未だ遠い。
【C-3/早朝】
【闇統べる王@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[状態]:気絶
[装備]:エルシニアクロイツ@魔法少女リリカルなのはシリーズ、紫天の書@魔法少女リリカルなのはシリーズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~2
[思考・行動]
基本方針:首輪を外し反抗する手段を探す、仇なす者には容赦せぬ!
0:……
1:島の全景の確認
2:シュテル、レヴィ……
※A’s PORTABLE -THE GEARS OF DESTINY-のSEQUENCE10、システムU-Dとの対決前からの参戦です。
※肉体の制限に気付きました。
【円谷光彦@名探偵コナン】
[状態]:疲労(中)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品0~2(光彦が見て武器になるものはなし)、全自動卵割り機@サザエさん
[思考・行動]
基本方針:殺し合いから脱出する
1:コナンとの合流
2:ディアーチェが目を覚ますまで面倒を見る
※メラグを危険人物、永沢を信頼できる人物と推理しました。
最終更新:2014年05月27日 23:17