きゅうしょくのキムラ ◆.6msC4hQo6
クラウスはポーキーから派遣された内通者、いわゆるジョーカーである。
だが、彼は支給品で優遇されているわけではない。そのアドバンテージは情報だ。
隠し施設やトラップに関する情報を数多く所持している。
当面の課題は先の戦いで受けた怪我の手当と疲労回復である。
後者の遂行には、吸血鬼の飛び回る戦場を横切らなくてはいけない。
そこで前者を優先、ふたば幼稚園で救急セットを拝借し、職員室を後にする。
彼は主人の忠実な操り人形であり、自我は完全に失われてしまった。
過去の記憶はないし、善のココロも悪のココロも持ってはいない。
だから、何も感じない。響達との敗北に思うところはなく、
木之本桜の覚醒にも、ドルべの自己犠牲に動かされることもない。
リュカとの戦いに悲しむことも、その涙の叫びに応えることも、
―**どに ふたりも こど*を さず*るな**ね。
―ひ**じゃ できない**も **りなら で*そうね。
―*っぱ* け*かもす**ろうな。
―たす**ったりも *そう。
―クラ*スと **カ・・・。
脳内に唐突なノイズ。彼にはその意味を理解できない。
ただひとつ分かるのは、それがポーキーの命令には邪魔なもの、あってはならぬものだということ。
目を強く瞑り、両耳を抑え、頭痛が過ぎ去るのを待つ。
そのことが、彼らの接近を許す原因となった。
白昼夢から覚めた時、目の前に棒を振り上げる少年がいた。
クラウスは反射的に剣の柄を握る。
「うわっ、起きてた」
丸刈りの少年は驚きの声を上げ、武器を落としそうになる。
その腰は引けており、膝も笑っている。事前の情報通り、
磯野カツオは戦いの素人だ。
彼はとてもいいぼうを構えたまま語り掛けてくる。
「あのぅ、つかぬことをお伺いしますが。ポーキーの部下だったりします?」
クラウスは質問を無視して状況把握に努める。
まず、カツオの装備しているゴキブリ帽子。あれは逃げ足と回避能力を飛躍的に高くする。
今のコンディションで、彼を剣で殺し切るのは難しいだろう。
「ええと、僕たちはポーキーさんの計画を邪魔するつもりはないんで」
そして、彼から少し離れた位置にいるウサギの妖怪。スペルカード発動の備えを見せている。
仮に超能力でカツオを潰しても、そこで精神力が尽きて、てゐの弾幕を防ぎ切れない。
先に彼女を仕留めるのも無理だ。この距離では喰らいボムのカウンターを受けるだけだ。
厄介な状況である。だが、カツオにクラウスを殺せるわけでもない。
彼らが殺意を持って戦術を組んでいれば、手早く満身創痍の相手を殺せたのではないか。
「何か役に立つものを貰えれば、見逃してあげてもいいかなあと」
カツオの口調は少し棒読みで、天に向けて語っているようだった。
実は真相に近づいた訳ではなく、戦わない理由をでっち上げ、運営者に言い訳しているだけである。
要するに、ふたりは殺しに乗ったフリをしているのだ。まるで遊びのように、ただし全力で。
クラウスはそれを知ろうが知るまいが、一方的に損をする交渉に応じる気はない。
だから、予定通りの計画を遂行する。
「あのー、もしかして日本語通じていませんか。ゆー、きゃん、じゃぱにーず?」
クラウスは背後のドアを二回ノックした。
◆ ◆ ◆
≪きゅうきょくキマイラ≫
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職員トイレの壁をぶち破り、姿を現したのはヒグマ以上の巨躯だった。
肌は赤紫で、蝙蝠の翼と矢じりの尻尾を持っており、身体の半分以上が裂けた口で出来ていた。
なぜか、頭に可愛らしいヒヨコの玩具を乗せている。
カツオは驚愕で口が開いたままになる。これはいったい、なんなのだろう。
敢えて言えば、テーマパークのアトラクションに出てくるファンキーなクリーチャーである。
おぞましくも憎めない外見だが、ノコギリの歯に噛み砕かれたらひとたまりもなさそうだ。
怪物の巨大なあぎとは開かれ、鼓膜破れんばかりの咆哮を放つ。
大気は震え、大地は震撼し、カツオは尻持ちをついてしまう。
これは現実ではなく夢のはず。だが、覚めて欲しい最低の悪夢だ。
「てゐ、君だけでも早く……てっ、うぇ、そりゃないよー」
振り返ると、相方は既に逃げ去った後だった。
無事を祈る気持ちと、見捨てられた悔しさがないまぜになる。
この場に残っているのはカツオ、怪物、そして、仮面の男だけだ。
彼は怪物のぎらついた視線に怯むことなく、不動の姿勢で向かい合っている。
正体不明のキャラが巨大な怪物を一刀両断するのはお約束の展開だ。
カツオは自分が襲おうとした相手だということを忘れ、彼に一縷の望みを託す。
おおきなかいぶつは、みえないはやさで、かめんのおとこをぱくりとのんだ。
希望は一瞬で砕かれた。夢のジャンルはオサレヒーローではなく、シュールホラーだったらしい。
カツオは肌が粟立ち、身体の至るところから体液が漏れるのを感じていた。
だが、今の彼にとって、そんなことは些事でしかなかった。
狩るものと狩られるものの絶対的な格差。確実に迫る己の死。
カツオは必死に起き上がろうとするも、腰が抜けて力が入らない。
怪物は食事を終えると、その双眼を残された獲物に向けてくる。
頭の中が真っ白になり、意味不明な叫びを上げた。
その時、生への執着にゴキブリ帽が反応した。
手足の筋肉に電気刺激を与え、這う姿勢のまま逃走を開始する。
あの秘密道具は本来、両足を素早く動かすだけだが、これに両手も加わり速度も二倍。
生き延びるため、二足歩行と人の尊厳を捨てて、虫のように走り出す。
◆ ◆ ◆
神代凌牙は幼き少女と共に夜空を見上げていた。
地上にいかなる喧騒が起ころうと、天空の星々は静かに瞬いている。
空気が澄んでいるせいだろうか、照明の多い市街地でも北斗七星ははっきりと見えていた。
彼は7つの星の中で、特におおぐま座イータ星、別名ベネトナシュが好きだった。
あの青白い輝きを見ていると、なぜかとても懐かしい気持ちに駆られるのだ。
「ちっ、星空だけじゃ、北半球ってことしか分からねえな」
「ここは日本でもイギリスでもないわ」
「おい、この島が何処か分かるのか?」
ナッシングは首を左右に振る。確かに、彼女は人より夜目が利く上、
創造主たるクロウリードから占星術の基礎知識、つまり世界各地の星図を授かっている。
だが、今の星空はどこにもないと言う。
もしかすると、この島は地球とは別の星なのだろうか。
それとも、サルガッソのような次元の狭間にあるのだろうか。
少し気になったのは、少女の語る地名が自分の知るものとは微妙に違うこと。
間違って覚えているのか、そもそも来た世界が違うのか、言葉足らずの情報でははっきりしない。
「なんだ、あの馬鹿げた窓は」
あれこれ頭を捻っていると、4メートルほど上空にシンプルな小窓が現れた。
間をおかずにガラスがスライドし、中から男の子が放り出される。
凌牙は全力で走り、落下する少年の重みを両腕で受け止める。気を失っているようだ。
「お姫様抱っこね」
「ナッシング、下らんことを言うな」
彼を静かに降ろし、その頬を叩く。
「きゅ、きゅうきょくキマイラ……」
うわ言のように呟いた後、意識を取り戻した。名前はリュカと言うそうだ。
彼はふたば幼稚園から雄叫びがするのを聞き、要未来と一緒に探索していたらしい。
だが、きゅうきょくキマイラの奇襲を受け、仲間は反撃する間もなく呑み込まれてしまった。
リュカは必死に抵抗したものの歯が立たず、同じく餌食になってしまった。
「それで、気がついたらここに放り出されていたと」
「うん、僕の話、信じてくれる?」
リュカは相手の顔をじっと見上げて、次の言葉を待っている。
ノーと言ったらショックで立ち直れなくなるのでは、という程の期待に満ちていた。
「悪いな。オレはお前の苦労話に興味はない。
それより、お前は何をして貰いたいんだ。それは俺にとってどんなメリットがある」
だが、凌牙は敢えて突き放し、ドライな言動を取る。
殺し合いの場で安易な馴れ合いは身を滅ぼすと考えているからだ。
彼自身にとってもリュカにとっても。
「あの、僕と一緒にきゅうきょくキマイラと戦ってください。お礼は後でなんでもするから」
少年は逆風に構わず、まっすぐな声で頼み込んでくる。
「凌牙、何でもしてくれるらしいよ。私が決めてもいいかな?」
「いいから、お前は黙ってろ。話が終わったら、また相手してやるから、な」
凌牙はナッシングの背中を優しく押して、会話の輪から遠ざける。
彼女は頬を膨らませながらも、空を飛んで街路樹の枝に腰掛けた。
この欲望に忠実過ぎる少女にビジネスライクな関係は無理である。
「リュカ、そういう約束は気軽に口にするもんじゃねえ。
それに怪物に挑んでどうするつもりだ。要未来のためと思っているなら無意味だぞ』
彼女はリュカと同じく、どこかに飛ばされただけだろう。仇討ちする必要はない。
それに幼稚園に近づくことを警戒するだろうから、そこに戻っても再開は難しい。
凌牙はそう諌めようとする。だが、リュカの意図は少し別のところにあった。
「僕も早く、未来と合流したいよ。
でも、それよりまず、キマイラを退治しないと何も知らない参加者がやられちゃう」
「こりゃ参ったぜ。お人好しなだけでなく責任感も強いのか」
凌牙は呆れたように肩をすくめる。抑えのアストラルがいない分、遊馬よりも面倒かもしれない。
放置したら、ひとりで危険なところに突っ込んで勝手に死んでしまうのではないか。
「アイツの弱点を知っているのは多分僕だけだから、僕にしかできない仕事だから」
リュカは自分に言い聞かせるように呟く。そこで凌牙は直観する。
この少年は深い悲しみを紛らわすため、皆に尽くそうとしているのではないか。
恐らく、未来との別離よりももっと大きなことを背負い込んでいる。
凌牙は詮索するつもりはない。だが、彼のもっとも大切な親友、どんな苦境の中でも
他人のことばかり気に掛ける少年を思い出してしまい、いつの間にか口を開いていた。
「お前は、前からきゅうきょくキマイラを知っていたようだな」
「うん、ポーキーが部下に研究所で作らせた電脳キマイラだよ」
きゅうきょくキマイラはゼロから作られた無敵のロボットだった。
研究員でも制御しきれず、暴走の限りを尽くしていた。
だが、リュカの仲間に弱点を突かれ、やっと機能停止したらしい。
「そうか、化け物はポーキーの部下か。だったら話は別だ。
丁度オレも、俺達を弄んだブタ野郎に一泡吹かしたいところだったからな」
リュカは部下という単語に反応して、少しだけ顔を曇らせる。
だが、すぐに笑顔に花を咲かせ、握手を求めてきた。
「ありがとう。この借りは絶対に返すよ」
「勘違いするな。俺がてめえを利用するだけで、お節介を焼いたつもりはねえ」
クールな関係を築くつもりが、結局お守り役になってしまった。自分も大甘だなと自嘲する。
その時、ナッシングが凌牙の服の裾を引っ張り、会話に割り込んできた。
「ダメ、私の約束が先」
「あんたのお友だちの方はまだ居場所が分かってねえだろう」
「あっちから、声が聞こえたの。急がないと遠くに行っちゃう」
彼女の小さく白い手は湾岸の方向を指さした。
【D-1 市街地 /早朝】
【神代凌牙@遊戯王ZEXAL】
[状態]:健康
[装備]:デッキ(神代凌牙)@遊戯王ZEXAL、デュエルディスク@遊戯王ZEXAL
[道具]:基本支給品一式
[思考・行動]
基本方針:殺し合いをぶっ潰す
1:悪人(?)の木之本桜を探しに湾岸へ向かう?
2:遊馬、璃緒を探す
3:ベクターを見かけたら、ぶちのめす
4:リュカのきゅうきょくキマイラ討伐に付き合う
5:ナッシングの力を警戒
※参戦時期は、真月零がベクターだと判明してからナッシュの記憶を思い出すまでです。
【『無』@カードキャプターさくら(アニメ)】
[状態]:魔力消費(小)
[装備]:無し
[道具]:無し
[思考・行動]
基本方針:お友達(さくらカード)を返してもらう
1:港湾に行って木之本桜を探したい
2:お友達を探すのを邪魔するものは消す
【リュカ@MOTHER3】
[状態]: PP消費中、疲労小
[装備]: 無し
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品0~2
[思考・行動]
基本方針:殺し合いには乗りたくない
1:凌牙と同行する
2:きゅうきょくキマイラを機能停止させる
3:要未来を探す
4:クラウス兄ちゃん……
※クラウスが仮面の少年であることに気づきました。
※支給品の『マジックタルト@MOTHER3』を食べて、少しだけPPを回復しました
【?? 消息不明 /早朝】
【要未来@真・女神転生デビルチルドレン(漫画版)】
[状態]: ――
[装備]: 未来のデビライザー
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品0~1
[思考・行動]
基本方針:――
※きゅうきょくキマイラによって、どこかに飛ばされました
アスモデウスも彼女のワープにより、一緒に強制転移させられています
基本的に、この島にいると想定していますが、
他の可能性も否定せず、後続の書き手にお任せします
◆ ◆ ◆
「うわっ、ゴキブ……じゃないわね。カツオ、無事だったのね!」
てゐの声で我に返る。いつの間にか、幼稚園から出てクローバー畑に入っていたようだ。
それでもカツオの緊張は収まらず、心臓は早鐘を打ち続けている。
「た、助かったのかな。僕は生きているんだよね、生きてるってことで良いんだよね?」
「幽霊には見えないわ。その代わり、顔が酷いことになってるけど。はい、チリ紙」
てゐは罪の意識を感じてるのか、バツの悪い表情でティッシュ箱を四葉の上に置く。
「じゃあ、ご好意に甘えて……これは花粉症の人のための高級ティッシュだね」
「職員室にあったから、魔理沙じゃないけど借りパクしちゃった」
カツオはしっとりやわらかな感触に安らぎを覚えつつ、鼻水と涙を綺麗にふき取る。
しばらくすると、気持ちが落ち着いてくる。よく見ると、自分の手に幾つものかすり傷がついている。
四つん這いで悪路を逃げた時のものだろう。興奮で痛覚が鈍っていたせいで気が付かなかった。
普段から野原を駆け回っているカツオにとっては、よくあるレベルの怪我だ。大したことはない。
それでも、手のひらの赤い筋は、彼の思考を真実の境界線に誘導する
実はこの傷口は夢想の存在ではなく、本物なのではないか。
いや、そんなはずがない。悪夢が現実だったなんて考えるだけで恐ろしい。
けれども生々しい光景は、夢と思えないほど鮮明に、彼の脳裏でリピートされる。
「カツオ、さっきから自分の手を見つめてどうしたの?」
「あ、えっと、嘘情報で誰かを怪物のところへ誘導したらいいんじゃないかなって」
「あれだけの目に遭って、もう新しい作戦を考えているの?
ホント、あなたは転んでもタダじゃ起きないわね。こっちも負けちゃいられないわ」
そういう彼女に後ろめたさはなく、普段通りの表情に戻っていた。
ああそうだ、ここは夢なのだから、どんどん気持ちを切り替えるが正しい過ごし方だ。
皆がそれで楽しめるのなら、夢だと割り切って何が悪い。カツオはそう結論付ける。
だが、それは大きな勘違いだ。子供の火遊びであっても、建物も燃え移れば大参事になる。
彼は神代凌牙に付いた嘘がどのような影響を与えるか理解していない。
「んじゃ、そろそろいいわよね」
てゐはそう言うと、小走りで5メートルほど距離を取り、鼻を摘まむポーズをしてから、
「さっきから臭ってるんだけど、漏らしちゃった?」
「えーと、生き延びるためにあらゆるものを犠牲にしまして、面目ない」
「早く身体拭いて着替えてこないと、コンビ解散するわよ」
ランドセルからトイレットペーパーを放り投げてきた。
カツオはキャッチボールの要領で受け止める。
「これもどこかで拾ってきたのかい?」
「厠の京花紙はぜんぶ回収しているの。後からトイレに入った人が困ってくれるでしょ」
実は、この島での紙の調達は案外面倒である。
市街地には多くの家屋はあるものの、大部分は電灯がぽつんとあるだけのハズレ施設だ。
だから、参加者は地図上の『みまつや』や『野比家』で食料雑貨を集める必要が出てくる訳だ。
ちなみにカツオは磯野家で自分の衣服を調達している。
だから残念ながら、全国のコスプレショタ好きの紳士淑女の期待に沿う展開はない。
「うへぇ、地味に陰湿なイタズラだねえ。女の人にはかなりキツいんじゃないの」
「これはイタズラじゃないわ。ポーキーの殺し合いをスムーズにするための策略よ。
もし、紙の代わりに下着を使ってくれれば、防御力が落ちて『殺しに貢献』できるわ」
てゐは胸を張り子供っぽい笑みを浮かべ、
それからクルリと背を向けてカツオが着替えるのを待つ。
先の主値用が詭弁なのは彼女自身分かっている。これも単なるごっこ遊びだ。
彼女は初め、カツオを得体の知れない人物と警戒していた。
だが、交流している内に、単なる楽観的な享楽主義者だと評価を改めつつあった。
それでも彼を見捨てないのは、肉盾目的だけでなく、精神安定剤の役割を果たしているからだ。
彼女の住む迷いの竹林は、幻想郷に存在する。
そこでは、妖怪は人を食おうと襲い、人間は妖怪を恐れて退治する。実際、犠牲者も出る。
されど、幻想郷の結界を維持するためには、個体バランスは一定に保たれなくてはいけない。
そのため、両者に決定的な対立は存在せず、決闘も儀礼的な意味合いが強くなる。
象徴的なのはスペルカード
ルール。死の危険が少なく力量の差も出にくい弾幕ごっこである。
異変が起きた時も、住人達はてゐを含め、多くの場合はこれを使って解決する。
つまり、今の幻想郷は遊びによって成り立っている世界だ。少なくとも強者の視点では。
対して、この殺し合いの場には、遊びの余地は全く存在しない。
ついでに死んだら復活するどころか、冥界に行けるかどうかも疑わしい。
てゐは他人を欺き、貶め、踏み台にし、醜くも生き延びるつもりでいた。
でも、あの少年は非力な人間の癖に、この状況をまるでゲームのように楽しんでいる。
ならば、自分も幻想郷にいた時のように、もっと余裕を持っても良いのではないか。
慢心するつもりはない。自身の生存が最優先だ。けれど、気楽に過ごしていても、
誰かが勝手に問題を解決してくれるのではないか、そんな気がしていた。
「なかなか面白いアイディアだけど、ポーキーが納得してくれるかなあ。
……いや待てよ。僕らがトイレットペーパーを独占すれば、他の人との取引に使えるんじゃないか」
「あ、面白そうね、それ採用」
だから、てゐはカツオがゲームじみた提案をしても、咎めずにむしろ悪乗りをする。
彼がここを夢の世界と誤解し続けているのは、彼女の振る舞いも一因である。
だが、夢はいつか覚めるものである。現実が彼に何をもたらすのかは、まだ分からない。
【E-3 草原 /早朝】
【磯野カツオ@サザエさん】
[状態]:健康
[装備]:ゴキブリ帽子@ドラえもん、とてもいいぼう@MOTHER3
[道具]:基本支給品一式
[思考・行動]
基本方針:あらゆる手段で生き延びる
1:殺しに乗ったフリをする。ただし、いざとなったら本当に殺す
2:偽りの情報で他の参加者をかく乱する
3:生活用品を手当たり次第収拾、独占して交渉材料にする
※これを夢だと思い込んでいる、もしくは自己暗示をかけています
※てゐを非力な年下で力のない妖怪と思い込んでいます
※神代凌牙から真月零の情報を聞きました
【
因幡てゐ@東方Project】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、毒殺ティーセット@名探偵コナン、カツオと交換した支給品
[思考・行動]
基本方針:あらゆる手段で生き延びる
1:殺しに乗ったフリをする。ただし、いざとなったら本当に殺す
2:偽りの情報で他の参加者をかく乱する
3:生活用品を手当たり次第収拾、独占して交渉材料にする
※ゴキブリ帽子とカツオの何かの支給品と交換しました
※『人間を幸運にする程度の能力』の制限を一部確認しました。自分には使えないようです。
そのほかの制限は他の書き手にお任せします。
◆ ◆ ◆
201 名前: きゅうしょくのキムラ
◆.6msC4hQo6 [sage] 投稿日: 2014/04/11(金) 20:15:52 tzNTGOOc0
クラウスは東京タワーの特別展望台で、下界を見渡している。
既に応急手当は完了した。次は疲労回復のための休息が必要になる。
休息と言えば温泉、これはノーウェア島の住人には常識である。
そして、C-3の隠し施設に宝具で作られた温泉が存在する。
現在地はそこから大して離れていない。トラップを使った転移は成功だったといえる。
きゅうきょくキマイラは参加者ではなく、殺しを促進するための舞台装置である。
直接、参加者に手を下すのではなく、団結した反逆者達を強制分断するのが狙いだ。
腹には秘密道具のどこでも窓が埋め込まれており、食われたものはランダムにワープする。
彼はそのカラクリを知った上で、キマイラを利用したわけだ。
だが、今はまだ動くべき時ではない。暫くすれば、一回目の放送が始まる。
その内容に応じて、方針を多少軌道修正する可能性もあるからだ。
クラウスは死者発表にはさして興味はない。この身が続く限り、殺戮を進めるのみ。
仮面に隠れたリュカとそっくりの顔は、ただ無慈悲に時が流れるのを待っていた。
【C-4 東京タワー /早朝・放送直前】
【クラウス@MOTHER3】
[状態]: 左手に火傷(処置済み)、PP消費(大)、ダメージ大(処置済み)
[装備]: クラウスの剣、刹那のバイク
[道具]: 拡声器、救急セット、基本支給品一式
[思考・行動] 基本方針:殺戮
1:放送を待つ
2:C-3にある温泉に向かう
※温泉が穂群原学園の屋上にあるかは不明です。
【きゅうきょくキマイラ@MOTHER3】
ノーウェア島のキマイラ研究所で作られた電脳キマイラ。
原作では触れるだけでゲームオーバーになり、戦闘に持ち込むことさえできない。
このロワでは参加者の殺生をしないようにプログラムされており、呑み込まれると
どこでも窓@ドラえもんの力で、域外に飛ばされる(ワープする)スマブラX仕様である。
背中のスイッチを押すと機能静止するが、しばらくすると頭のヒヨコが再起動させてしまう。
あくまでトラップの扱いであるため、活動範囲はふたば幼稚園だけなのか、
外へ移動するのか、それとも散策して二度と出なくなるのかは後の書き手にお任せします。
【どこでも窓@ドラえもん】
どこでもドアの機能を持つ小窓。
ただし、組み込まれたきゅうきょくキマイラ@MOTHER3に
場所を指定する知能はないので、ランダムに飛ばされる。
【救急セット@現実】
一般家庭にあるような医薬や包帯など救急用具一式が入った箱。
使っても急にHPが回復したりはしない。
最終更新:2014年05月27日 23:16