人生の迷い子 ◆1Udq39SlSU



「痛い!」
「だ、大丈夫ヴィクトリカちゃん?」

赤座あかりとヴィクトリカ・ド・ブロワは今現在全力疾走でトキワの森を駆け抜けていた。
道中、というか今も何度かヴィクトリカがすっ転んだりしているが。
先ず何故二人が、あまり得意そうでもないマラソンに興じているのか、そこから説明しなければいけない。
事の発端は、ヴィクトリカがスマートフォンの使い方をあかりに聞いた後から始まった。
実に聡明な頭脳で、淡々とスマートフォンの扱いを理解したヴィクトリカは、試しにスマートフォンのカメラ機能を試してみたくなった。
だが、紅魔館の中は暗く明かりが灯してあるとはいえ、写真を撮るのには適さない。
そこで月明かりに照らされたベランダへと出てみることにした。
流石は自然の月光というべきか、多少なりともカメラ写りは良くなり、早速シャッターを切ろうとしたその時だった。

「……あかり逃げるぞ」

即座にベランダから離れ、あかりの手を引き疾走。
途中何度も転んだが、ヴィクトリカとしては珍しく痛いと喚きながらも走り続ける。

ヴィクトリカは見てしまったのだ。
黒い少女が二人の少年と少女を暗殺した場面を偶々ベランダで。
幸いだったのは、下手人は紅魔館から見える範囲に居る距離とはいえ離れており、こちらには気付いていないこと。
もう一つはヴィクトリカ本人は知らない事だが、少女、黒のアサシンの気配遮断がその時だけは解けていたこと。
獲物を屠った事への安堵の為か、少なくともヴィクトリカはしっかりと黒のアサシンを視認し、ついでに写真も撮っておいた。
後は逃げるだけだ。はっきり言って、まともにやり合って勝てる相手じゃない。逃げるが勝ちだ。

「はぁ……はぁ……やっと森を、抜けたか……」

汗と土に塗れながら息を何度も大きく吐きヴィクトリカは座り込む。
元々、彼女は安楽椅子探偵だ。体力を使う仕事は専門外。
だというのに、早速こんなに走る羽目になるとは。

『おや、森の中からゴシックドレスを着た女の子が駆け抜けてくるなんて、随分とファンシーですね~』

聞き覚えのない声で我に返る。
一難去ってまた一難か。これ以上の面倒は御免だったが、対応しないわけにはいかない。

「なんだね、君達は?」
「あーえーと。その何ていうか……魔法少女です」
「は?」

ヴィクトリカの金髪は対照的な銀髪の少女。
その横にはまだ幼い幼児。
雰囲気や明らかに足手纏いにしかならない幼児を連れていることから、ヴィクトリカは相手が殺し合いには乗っていないと判断。
ヴィクトリカなりに友好的に接することにした。

「―――間違いない。私達を襲ってきた女の子だ」




ヴィクトリカのスマートフォンに収まっている写真を見てイリヤは唇を噛んだ。
あの時の少女が、更なる殺人を犯しているという事実に怒り、悔しさ、恐れなど様々なものが湧き上がる。

(ねえルビー……)
(止めた方が良いですよイリヤさん。次は……多分引き分けどころか死にますよ)
(……! でも)
(ここで死んだら、タツヤくんはどうなるんです? ヴィクトリカさんだって戦う力を持ってるとは思えません)

溜まらず拳を握り締める。
あの時、撤退していく少女に追い討ちを掛ければ。
写真に写っていた、二人の男の子と女の子は死ぬことは無かったのではないか。
そう思うだけでイリヤは自負の念に押しつぶされそうになる。

「おねえちゃん?」
「君、黙りたまえ」

思索を巡らせるヴィクトリカにタツヤがしつこく絡んでくる。
いい加減鬱陶しいので、何とかイリヤに押し付けたいがイリヤはイリヤでまた思索しているようだ。
どうにも押し付けづらい。

「まろか……まろかだ!」
「なんと愚かな子供なのだろう……」

まろかとは、一体誰の事を指しているのだろうか。
幼少期の子供は見えない友達と戯れるというが、このまろかもそうなのか。

(いや一応まどかという名は名簿にあったが、まろかとはまどかを上手く発言できていないのか?
 仮にそうだとして、何故私がまどかなんだ……。名前からして日本人の者が私と似てるなど考えづらいが、国籍だけが日本人なのだろうか。
 ……待て、私は何を考えている。もっと別の事を考えていた筈だ)
「まろか……まろか!!」
「頼む、静かにしてくれ!」

そうだ何を考えていたのだったか。
……思い出せない。何か重大な事を考えていた気がするのだが。

『それにしてもお人形みたいですね。ヴィクトリカさん!』

お人形……玩具……そうだ思い出した。

「何故、星型の玩具が喋っている?」

この疑問を解消したかったのだ。
忘れていた事を思い出せて清々した。



【F-4/黎明】

イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner PRISMA ILLYA プリズマ☆イリヤ】
[状態]:疲労(大)、内臓にダメージ(中(回復中))
[装備]:マジカルルビー@Fate/kaleid liner PRISMA ILLYA プリズマ☆イリヤ
[道具]:基本支給品一式、クラスカード・セイバー(2時間使用不可)@Fate/kaleid liner PRISMA ILLYA プリズマ☆イリヤ、ランダム支給品0~2(武器はない)
[思考・行動]
基本方針:殺し合いには絶対に乗らない
0:ヴィクトリカにルビーの事を話す。
1:あの娘(黒のアサシン)は止めないと……
2:タツヤを姉(鹿目まどか?)に会わせる
3:美遊、クロを探す
※ドライ開始直前からの参戦です

【鹿目タツヤ@魔法少女まどか☆マギカシリーズ】
[状態]:目、喉、肌に痛み
[装備]:防塵ゴーグル@ポケットモンスター
[道具]:無し
[思考・行動]
基本方針:帰りたい
1:イリヤおねえちゃんといっしょにいく
2:おねえちゃん(まどか)にあいたい
3:このおねえちゃん(ヴィクトリカ)こえがおねえちゃんみたい。おばあちゃんっぽいけど
※参戦時期は不明ですが、まどかのことを覚えています
※タツヤのランドセル(基本支給品一式、ランダム支給品0~2)がE-3のトキワの森内に落ちています

【ヴィクトリカ・ド・ブロワ@GOSICK】
[状態]:疲労(中)、右膝にばんそうこう
[装備]:パイプ@GOSICK
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~2
[思考・行動]
基本方針:殺し合いという〈混沌(カオス)〉を解決して、聖マルグリッド学園に帰る。
0:忘れていた事を思い出せてすっきりした
1:この星型の玩具は?
2:〈混沌(カオス)の欠片〉を集める
3:黒のアサシンを警戒
※参戦時期は、『仮面舞踏会の夜』編(1924年、秋)以降です。
※スマホの扱いをマスターしました
※スマホ内に黒のアサシンが小狼、真帆を殺害した現場の写真が収められています














ヴィクトリカ・ド・ブロワは珍しく推理を外していた。
ルビーの人形から本人は玩具と連想したが、実は本当の意味は別にあったのだ。
そう人形とはヴィクトリカが最初に他参加者に比喩された事であり。
彼女が考えていた事、それは―――






「ヴィクトリカちゃん何処ーーー!!?」








【F-3 トキワの森/黎明】


【赤座あかり@ゆるゆり】
[状態]:空気
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・行動]
基本方針:殺し合いをせずに、家に帰る
1:ヴィクトリカちゃん何処なの……?
※ヴィクトリカのことを、幼い女の子だと思っています
※名簿に知り合いの名前が無かったので、知り合いが参加している可能性を想像していません。


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最終更新:2014年04月06日 22:05