マクロスFRONTIERでエロパロ まとめwiki

5-027

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
27 :新年のご挨拶(バサミレ+マクミリ):2009/01/04(日) 20:32:56 ID:GXp8ysOg

バサミレの人(と名乗っていいのだろうか)です。
何故か投稿出来ずに無茶苦茶焦りました。すいません。
ということで4-931の続きから以下投下したいと思います。
無駄に長くて何だか申し訳ない限りです。

――

 車を走らせ、とある豪邸にたどり着くと、マックスはゆったりとインターフォンを押した。
 ぱたぱたと走る音。
 がちゃりと大きな扉が開くと、緑色の髪がさらりと揺れてミリアの顔がひょっこりと出る。
 その顔を見ただけで、なぜか安心した。 画面越しで見るのと、直接見るのでは大きな違いがある。
 “おかえりなさい”という言葉一つを貰うだけで、どうしようもなく甘くとろけそうだ。

「ミリア」
「何? あなた」
「……愛してるよ」

 唐突の甘ったるい言葉。
 まるでハチミツそのもののような、恥ずかしくなるような言葉をマックスは笑顔で言いのける。
 いくら文化の違いから、理解が出来なかったとはいえ、ミリアは既にもう人間との共存生活が長く、母
親としても人としても成長している。
 唐突の甘い言葉に、まるで少女のように困惑したが、小さく深呼吸を一つすると、「どうしたの?」と
何事も無かったかのように尋ねた。

 それは、まるで若い夫婦のようなこと。
 ただいまのキスをして、ハグをして、かばんを預けてキッチンまでゆったりとした足取りで会話をしな
がら歩いていく。
 ただ、それだけのことだ。
 けれど、何もかもが新鮮に感じて、同時に懐かしさも感じる。 感情が色々重なり合い、奇妙な感情を
生み出す。
 マックスはそんな自分のもてあました感情に苦笑し、ミリアは自分の感情に内心戸惑う。

「シャンパンって言ってたから、フレンチにしちゃったけど、どう?」
「……こんなに用意したのかい?」

 テーブルの上には豪華に彩られた食事の数々。
 ミリアはマックスの質問に答えることなくテーブルに促すと、自分も彼の反対側に座り「久しぶりだか
ら、どうしたらいいのか迷って」と笑ってみせる。
 料理なんて最初は全く出来なかったものを、必死に覚えようとしていた新婚生活を髣髴と思い出させる
その表情にマックスは思わず胸の辺りに小さな痛みを覚えた。

「……君は変わらないね、ミリア」
「あら、そう?」

 嬉しいわ。 そうミリアは微笑する。
 男女の恋愛というものを知らなかったミリアとの出会い。一騎打ち、ゲームセンターでのゲーム。
 思い出せば思い出すほど、胸の痛みは増す。
 マックスはゆったりと目を閉じて、笑った。


「マックス? あなたどうかしたの?」
「いいや、少し――……そうだね、少し、センチメンタルになっているだけだ」

 センチメンタル?
 ミリアは復唱しながらシャンパングラスにシャンパンを注いでいく。
 ミレーヌの髪色と同じ色をした、高級シャンパンはパチパチと気泡をたて、光に反射させると思った以
上にキラキラ輝く。

 一夜の夢のような、幻想的な雰囲気。 泡の一粒一粒が、まるで思い出のようにはじけた。

「……マックス?」
「……」
「……馬鹿な人」

 心配そうにミリアはマックスを見つめていたが、ゆったりと椅子から立ち上がり、後ろに回ると彼を背
中から抱きしめた。

 ほのかに香る香水の香り。
 長いこと忘れていた、忘れさせようとしていた思い出がよみがえり、胸を打つ。
 散っていった仲間達、ミリアとの出会い、コミリアに初めてであった日。

 ミレーヌがFIRE BOMBERとして機体を乗り回し、歌い続けた日々。
 ……それらはまるで、泡のようにはじけて、夢のように溶ける。

「……ミリア」
「何かしら?」
「私はね、時々どうしようもなく――不安になるんだ」


 弱く、呟いたマックスにミリアはまわしていた手を、更に強くこめた。
 何を言おうと、彼を放すことはもうしないと、そうミリア自身が決めたことだ。
 だからこそ、そう簡単には離れないという気持ちを込めて、力を込める。

 やきもちを焼く自分が馬鹿みたいだとも思うが、それでも矢張り彼が好きだから、嫉妬もする。
 浮気じゃないかとかんぐった日もあったが、それもまた、ミリアが「人と共に生きる」軌跡だから。
 だから、ミリアはマックスから、もう目を背けない。


「……実はまだ星間戦争の途中で、長い夢を見ているんじゃないか、とかね」
「……あなたね」
「余りに都合のいい話は、夢じゃないかと思うのが人間の性だよ、ミリア」
「分かってるわ」


 天才と褒め称えられても、彼は天才だと言う自覚なんてものを持っていない。
 “天才の考えは常人に理解し難い”
 マックスはその【天才】そのものだ。 けれど、彼もまた人の子で、人間だ。
 人が持ち合わせる感情だって、持っている。

 例えばミリアが好きで、愛していて、けれど夫婦間が冷え切ってしまったことへどうしたら元に戻るか
ということ。

 例えば、愛娘たちが自立しとびだって行く中での何ともいえない父親の心境だとか。
 例えば、自分の知っている人間がもしかしたら自分の義理の息子になるかもしれないという父親の心境
だとか。

 結局、マックスは天才であっても無感情というわけではない、ということだ。

 ミリアはまわしていた手をそっと離してマックスの頬を撫ぜた。
 五十代とは思えない白い肌。 眼鏡ごしに見える穏やかな瞳。吸い付きたくなるような唇。

 憎悪と愛情は紙一重と言うが、まさにミリアにとってマックスはそのものだ。
 憎悪、復讐から始った恋なんて、まるで馬鹿げている。

 ……そう、ミリアは振り返って笑った。
 けれど、それが夢物語でもなんでもなく――自分達の姿だ。

「マックス、あまり背負いすぎるのも辛いものよ」
「……君がそれを言うのかい? ミリア」
「あら、じゃあお互い様?」

 軽口を叩くように笑って言うミリアに、マックスは気の抜けた笑いを一つしてみせた。
 ―― うまく笑えているのか、どうかは分からない。
 けれど、ミリアは優しく笑って、マックスの頬に小さく口付けを落として「大丈夫」と優しく囁いた。
 そうして、向かいの席にもう一度座りなおすとマックスにシャンパングラスを傾けるようにして見せる
と、矢張り彼女は笑って言う。


「せっかくの今年最後の日よ? ……時間なら沢山あるわ」
「……君は本当に」

 かなわないよ。

 マックスは自分のシャンパングラスを持つとミリアのシャンパングラスと小さく音を鳴らしあった。
 口の中に広がるロゼのシャンパンの香り。
 美味しそうなミリアの料理。

 いただきます、と口をそろえて言うと彼はミリアの手料理を丁寧に、最後まで残すことなく美味しくい
ただいた。

 余りに綺麗に食べるものだから、思わずミリアが笑ったのは言うまでも無い。
 新婚の時は、苦手なものでも、失敗したものでも食べてくれたマックスが居て。
 どこかそれを思い出したのもある。

「紅茶でいいかしら?」
「ああ、ありがとう」

 ことん、と置かれたティーカップには茶色く注がれた紅茶の姿。
 デザートにマックスが帰り道買って来たケーキを食べながら、他愛の無い会話を弾ませる。

 市はどんな感じか、バトル7がどんな状況か。 仕事の話ではなく、他愛の無い世間話。
 ――けれど、マックスはやがて小さく溜息をつくと「それで」と話を区切った。

「ミリア、バサラとミレーヌの婚姻届のことなんだが」
「……マックス、ミレーヌと最近話した?」
「? ……いや」

 首を小さく振ると、ミリアは紅茶をすすり、小さな溜息を零す。
 それが紅茶の温かさからでたものなのか、他のことからなのかはマックスは判断しかねたが、ゆったり
とした口調でミリアはそうね、とだけ言い返す。
 何を伝えたいのか、全く分からず首を小さくかしげるとミリアは矢張り笑った。

「分からない?」
「……すまない」
「いいのよ、女の勘、だから」

 くすくすと笑いながら、ミリアはケーキをほおばる。 
 モンブランの甘さと紅茶の渋さがマッチして丁度いい味になる。

 改めて、マックスとの共有する時間の長さを肌で感じた。
 どんな味がマックスは好きだっただろうか。
 どんなものがマックスは好きだっただろうか。
 すぐに思い出せる自分が、どこか可笑しくて笑えてしまえた。

「?」
「いつまでも、子供だと思ってちゃ駄目、ってことよ」

 あの子はもう、立派な大人になった。
 そう微笑するミリアからは数年前結婚しろと迫ったりだとか、バンドなんか駄目だ!と騒いでいたこと
などすっかり抜け落ちているようだ。
 朗らかに笑うようになったミリアに、思わずマックスも微笑を返す。


「そうだな。 ……私達も年を取るはずだ」
「あら、まだ私は若いわよ?」
「ああ、いつまでも若くて、綺麗なままだ」
「……あなた、そういう恥ずかしい言葉言うのやめない?」

 いい加減恥ずかしいわよ。
 そう言うミリアにマックスは首をかしげ――何を今更、とさらりといい放つ。
 子供が幾人も居るとはつまり、まぁ、そういうことで。

「……分かってるけど、それにしたって、マックスは少し人の気持ち考えなさい」
「やれやれ、これでも考えてるつもりなんだがね」

 そういう問題じゃない。
 ミリアは思わず頭を抱えたが、マックスは笑いながら冗談だよ、と彼女の頭を何度か触れて撫でた。

「何か不快にさせたなら謝るよ」
「……分かってないじゃない」

 くすり、とミリアは呆れながらも笑い、彼の手に自分の手を重ね合わせる。
 ゆっくりと視線が重なって、ミリアか、もしくはマックスか、お互いが気にも留めない、まるで自然の
摂理か何かのようにゆったりとキスを送る。
 ケーキのように甘く、とろけそうなキスは彼らの体の何かを燃やす。


「愛しているよ、ミリア。 ……君にいつでも恋をしてる」
「……知ってるわよ、そんなこと!」

 私がそうなんだから。
 そういいきったミリアに、毒気を抜かれたのかマックスは何度か目を瞬かせた後、かなわないといわん
ばかりに笑って見せた。
 甘く蕩けそうなキスは体の全身を焦がす勢いで、一度するともう一度欲しくなる。
 そうして彼らは夜の帳が落ちていく中、そっとお互いを硬く抱きしめあい、まるで今はじめてするかの
ように、単純なキスを一つした。


 ミリアの服を手馴れた流れで脱がし、ベッドにそっと下ろす。
 隙間から覗く肌白い白いは唇を落とすのに最適で、吸い付けば弾力に背筋がぞわりと疼く。
 手を滑り込ませ、彼女のボディラインを撫ぜればさらに大きく身体が跳ねた。
 赤い花を見えないところを狙い、ピンポイントにかついくつも咲かせれば、彼女は鳴く。
 どこが弱く、どこを弾けば彼女が鳴くか。

 そんなことマックスは既に熟知していたし、彼女の体は自分だけが独占しているのだと言う独占欲が再
び巻き起こる。
 まるで初夜のように、甘酸っぱい。

「っ、マックス……」
「ミリア、覚えているかい? 初めての夜のことを」

 頬を撫で、キスを贈り、喉から胸にかけてのラインを舌でなぞっていく。 年をとっても形が崩れるこ
との無い胸に手を這わす。

 徘徊し続ける手はミリアの弱い部分を走りぬけ、彼女はぐっと体を跳ねらせた。
 何年ぶりに抱くのかも分からない、ミリアの体はしなやかで、甘く、それでいてどこかミントのように
ほろ苦い。

 ミリアは小さく頷いて、忘れるわけがないわ、と呟いた。

 あの頃の自分達は、子供そのもので、四苦八苦してお互いに振り回されて、それでも精一杯恋をして、
愛し合った。

 不思議と、過去を思い出すと今の姿は益々美しく見える。 人は老いる生き物だが、それと同時に、ま
るでワインのように、熟すものでもある。


「あの時、君は舌を噛んだっけね」
「……もう、過去のこと引っ張り出さないで」

 恥ずかしさから顔を背けるミリアに、マックスは笑った。
 本当に、彼女は変わったようで何も変わらない。

 徘徊していた手が、彼女の下着をかいくぐり、体の中心部を突く。
 喉元がさらけ出され、ミリアは嬌声を上げた。 

 迷うことなくマックスは彼女の喉元にかぶりつき、まるで吸血鬼のように甘く噛み付いた。
 赤くなった喉元に満足すると、今度は犬のように噛み付いたところを舐めまわす。 
 無論、指はそのままで。

「っ、ま、っくす……ずる、いわよ…!」
「ずるい? ミリアはこうされるのが一番好きじゃないか」
「んんっ!」

 甘い声、水ではない何かの水音。 体を弾く音。 ベッドの音。
 それら一つ一つがマックスに理性というものを弾き飛ばしていく。
 腕時計を見れば、当に年は越えていた。
 あけましておめでとう。
 そうキスを贈りながら言えば、今言うことじゃないでしょ、とミリアは呆れたように笑った。


「愛してるよ、ミリア」
「っ、ん……知ってる、わよ、そんな、こと…」


 慣らすように指を一本から二本へ増やし、残りの手で彼女の胸を揉みしだく。
 ああ、という声がして、肌が徐々に赤らんでいくミリアの姿はとても“オバサン”とは言えぬ妖艶さが
あり、知らずとして夢中にさせる。

 むさぼるように、胸を唇で攻め、手の動きを早めていく。
 そのたびに、彼女はビクン、ビクンと体を跳ねらせて高い声を上げた。

 下着を全て脱ぎ落とさせれば、全裸の、生まれたままの姿でいるミリアの姿が目に飛び込んでくる。
 老いなんて感じさせない――何か絵画のような雰囲気すら漂わせているミリアに知らずとしてごくり、
と唾をマックスは飲み込んだ。


「マックス……」
「ミリア、綺麗だよ」
「……恥ずかしいわ」

 何を今更。
 のどの奥で笑って、指をバラバラに動かせばミリアの艶かしく色っぽい体がくねる。 息を荒くして、
マックスの名前を呼ぶだけで体が滾った。

 指を弾き、体を動き回り、二本だった指を入りきるだけに入れ、ぐるぐるとかき回す。
 ぬるりとした液体の感触が何とも言えず快感で、同時に自分を欲するミリアの姿は更にマックスを欲情
させていく。

「っ、マックス……おねがいよ、もっと……」
「ああ、わかっているよ」

 ミリアが弱いところなんて全てお見通しだ。 あえてそれを外して、指を増やして、再びかき回し、彼
女の性感帯とも言える尖った耳をぺろりと舐めてみる。
 今まで以上に体を跳ねらせる姿は、まるで水の無い魚が飛び跳ねているようにも見える。

 そうか、彼女は人魚か。
 妙に納得できて、そんな自分にマックスは笑わずには居られない。
 骨抜き状態と言われても過言ではなく、それほどに彼女に夢中だ。
 ミリアは知らないだろうが、女性の影が絶えない半面でマックスが思い続けているのはミリアのみであ
り――それ以外にいない。
 恋をして、愛して、抱き合って。
 リン・ミンメイの歌を聴いて、戦いの中に身をおいていたマックスの中でミリアは特殊なポジションに居た。

「はっ……ぁ……マックス……マックス」
「ここにいる。 大丈夫だ、ミリア」

 彼女の手を、己の頬へ誘導するとまるで貪るかのように彼女から熱烈なキスを受ける。
 舌を絡め取られ、もっと欲しい、もっと欲しいと必死に訴えかけてくるミリアの姿。 求めてくる姿は
母ではなく一人の女だ。
 そして、自分は父親ではなく一人の男。

 細くて長いマックスの指はミリアの中を自由気ままに動き回る。
 まるでマックスのそのものを映しているようにも思える。

 ミリアが快楽に溺れまいと体を引くが、それを許さないと言わんばかりに、彼は両足を大きく開かせ固
定させた。
 いくらミリアといえど――彼にはかなわない。

「やあっ・・・! だめ、マックス…」
「違うだろう? ミリア……さぁ、本音を言ってごらん」
「っ……ん…もっと……頂戴」

 言葉に満足して、足をもっと開かせると、指を引き抜き、彼は己の顔を彼女の中心部へと持っていく。
 当初はミリアも非常に困惑し、足をどうにかしようとばたつかせていたのだが、有無を言わせず、彼は
奥へと舌を突き入れる。

 ねっとりとした、彼女の体液の味は少し苦いが、同時に甘い。
 ミリアの身体が弓形に撓り、ぎゅうと内部が引き締められる。

 指でもっとも弱いところの一つを押し潰せば更に高い声が部屋に溢れ、彼女の胸から白濁としたものが
零れ落ちた。

 ちゅ、とその零れ落ちたものを舐めとり、マックスはミリアの額にキスを贈るとミリアは眉間に皺を寄
せて耐え切れない、と顔を背ける。

 弱い部分を突いているのに、一番欲しいものは渡されない。
 甘いキスに、悶えるような愛し方に、まるでバターのように蕩けそうだ。

 マックス、と彼の名前を呼べば、マックスは顔を上げ、ミリアに対して深く口付けると今一度、愛を囁いた。

 愛してる。
 愛してるんだ。

 それは、長いこと別居生活をしていた彼の本心。
 伝えたくも、伝えられない関係の中で心の奥底でどうにか蓋をしようとしていた思い。
 あふれ出した以上、覆水盆に帰らず。 思いは拍車をかけ、ぐるぐると留まるを知らない。

「っ、あ、ぁぁぁっ!」


 燻り続けていたそこへ、己自身を嵌めるように入れれば、ギリギリとつめが立てられて、背中が痛む。

 けれど、じわりじわりと腰を緩やかに動かし、甘いキスを施し、目を合わせ、彼女の名前を呼ぶと、
ミリアはゆったりとマックス、と彼の名前を呼んだ。
 男側には理解できない女性の痛み。 けれど、それもまた、いつしか快楽に変わる。

 胎内は非常に熱く、そこに入れているだけで燃え盛りそうなほどだ。
 ぎゅう、としめつけ食いちぎろうとするほどの拒否。 たぷんと揺れる胸が扇情的にマックスを誘いあ
げる。
 体を揺さぶりあえばベッドが悲鳴を上げて、先ほどとは違う水音が響き渡る。

「ん、ふ……ふぁ……マックス…! ぁ、ああ!」
「全く…いけないね……ミリア……こんなに濡らして」

 ぎし、ぎしとベッドの音が響く。
 思えば、このベッドはコミリアを含めた全ての子供達を生み出した場所だ。
 何度も何度も体を求め合い、つながりあい、抱き合った場所。 運命と言えば運命なのだろうか。


「ん、も……ぉ……ひゃああ! マックス……、もっと、動いて……」
「……はいはい」


 ぎゅう、と抱き合い、腰を上下させ、それでも行為を強請り続けるミリアにキスを一つ。
 部屋に木霊する声、艶かしい体、色っぽい顔つき。 全てがマックスの理性を壊していく。

 いきたい、でも果てきれない。 ミリアはその葛藤の中に身をおいた。

 マックスのねっとりとした舌を感じながら、貫かれるそれを感じながら、喘ぐ事と体をのけぞらせて痛
みに耐えることしか方法がなかったからだ。

 ゼントラーディは性交はしない。
 だからこそ、ミリアは痛みを伴うこの行為を余り得意とは言えない。
 けれど、その一方でマックスから囁かれる言葉は甘く、切なく、自分を高揚させる。

 ああ、彼を愛している。 前よりもずっと、きっとこれからもっと。
 女性への嫉妬で悩んだ夜も、冷え切った朝も、それらを全て受け止めて、もう一度彼と向き合って、
ミリアは歩き出す。

 夫婦として。 母親ではなく、一人のパートナーとして。
 絡ませた手を離すことなく、ミリアはマックスへキスを贈った。

「マックス…………愛してる」
「…………知ってるよ」

 甘く、優しく笑ったマックスはぐっと最後に力を込めて――そして、彼女がもっとも弱い場所へラスト
スパートの力を込めて、くりかえし動かしていく。

「や、ぁ、ああっ、マックス・・・・・・!」
「よく我慢したね、偉いよ、ミリア」
「ん、ぁ、ぁあああ!」


 大きく弓形に撓り、彼女は果てた。 マックスもまた、彼女の中に吐き出して荒々しい息を整えながら
胎内から引き出して、前髪をかきあげる。

 久しぶりに抱いた彼女は、まるで生娘のようで。
 久しぶりに抱いた自分は、まるで女を知らないようで。
 ―― なんだか、新鮮だった。

「……ミリア」

 ミリア。 二回、彼女の名前を呼ぶ。
 ミリアは少し眉を寄せて、けだるい体を必死に起き上がらせて、何、と尋ねた。
 キスマークの数々が、益々彼女を艶かしく際立たせている。

 抱き寄せて、愛しているよと本日何度目か分からない愛の告白をマックスがすれば、ミリアはやわらか
く笑み返す。


「私もよ」


 事後のキスの味は、どこか甘くほろ苦いものだった。


 事態はその数時間後のことである。
 ソファーに座り、シャワーを浴び終えた二人は先ほどとは異なるにこやか笑顔で談笑を交わしつつ、
ミレーヌの未来について語り始めた。

 矢張り末娘が心配なのだろう。 ミレーヌとバサラの結婚に関して乗り気のミリアにマックスは苦笑し
ながらも彼女の意見をもう一度まとめてみる。
 ミレーヌが大人になった。 その言葉の裏に隠された意味を考えて――女になった、という意味に行き
着く。

「じゃあ赤飯だな」
「あら、そんなものとっくの昔に食べたわよ」
「……?」
「もっと大事なことよ、マックス」

 くすくすと笑ったミリアにマックスは腕を組み考え込むと――……やがて一つの答えに行き着き顔をサ
ッと青ざめた。
 まさか。 いやそんな、それはない、と思いたい。


「…………したのか?」
「多分ね」


 しれっと言い返したミリアにマックスは何か鈍器で頭を殴られたのかと思うくらいの頭痛を感じた。
 末娘が、男の毒牙にかけられるとは――!
 そう思う一方で、バサラの人間性を考えると一概に反対だとも言えない。

 ……だが、しかし。 いやでも。

 ぐるんぐるんと頭の中をフル回転させるマックスにミリアは笑った。 だから言わないほうがいいかと
思ったのに。

 顔を上げてマックスはよし、と一言だけ言い切った。


「日取りは大安吉日、西洋式の結婚式にすべきだ」
「……マックス?」
「ヴァージンロードをミレーヌと歩くのだけは譲れん!」


 真顔でそういい切ったマックスに、ミリアは盛大に吹いた。
 色男が台無しだ。

 くすくす、と笑えば何がおかしいんだと反論される。 
 そもそも結婚はまだ早いといっていたのはマックスのほうなのだが、そんなことはどうでもいいらしい。

 可笑しくて、腹を抱えて笑い転げるミリアにマックスは「全く」と溜息を零しながら、時計を見やった。
 少々遅い時間ではあるが、確かFIREBOMBERで忘年会をやるとかミレーヌがいっていたことを思い出す。
 ……これは直接聞いたほうが恐らく良いだろう。

「ミリア」
「なぁに?」
「……行くぞ」
「何処に?」
「決まっているだろう! バサラとミレーヌのところに、だ!」

 バサラのご両親が何処に居るかも分からない今、彼の父親になるには今からでもコミュニケーションを
とることが大事だ。

 言い切るマックスは正直迷走しているようにしか思えないのだが、だがまぁミリアもミリアで好奇心か
らか、聞いてみたい気持ちもあった。

 二人は早々に衣服を着替えて車に乗り込むとFIREBOMBERのアジト――基、彼らの住処へと車を転がした。
 車の中で呆れたように笑いながらも、マックスと何気ない会話を楽しみながらふとミリアは市全体を見
渡すように目を送る。

 長い間気づかなかった光景がぱっと開いて、まるで新世界のように照らし出す。
 ……ああ、新年をこんな気持ちで迎えるなんていつ以来だろうか。

 口元が小さく弧を描くといたって真剣そのものの顔をしている夫へ視線をちらりとだけよこす。
 相変わらずの堅物っぷりだが、彼のよさは相変わらずだ。

 自分だけが知っていればいい、彼の弱いところ。
 そして、彼だけが知っていればいい、自分の弱いところ。

 それら全てを補えるような、夫妻でありたいと願って支えあってきたはずだったのに、
いつの間か忘れていた気持ち、情熱。

 ――けれど、もう大丈夫。 もう離れたりしない。 もう忘れない。

「ねぇ、マックス」
「何だ?」
「反対、しないのね、あなた」

 ミレーヌとバサラのこと。
 付け加えたミリアに、マックスは少々驚いて、そしてミラー越しにミリアへ視線を送り返した。
 ミラー越し視線と視線がぶつかりあう。

「私達が、色々あったからね」
「……ふふ、まだ夢物語だって、言いたいのかしら?」
「まさか」

 君を抱くのを夢だなんて思いたくはないね。
 さらりと言いのけるマックスの言葉は棘がない。
 嫌味の無い、これでもかという気持ちのいい青年だったあの頃から何一つとして変わらない。
 振り回されるのはジーナス家の血縁なのだろうか。 ふとミリアはそんなことを思う。

 思えば、ミリアは常にマックスに振り回されていたし、娘たち――特に末娘のミレーヌは今も現在進行
形でバサラに振り回されっぱなしだ。

 そんなことをミリアがマックスに言えば恐らく、マックスはミリアの額にキスをして、“振り回されて
いるのは私のほうだと思うが?”なんて言うのだろう。

 予想のつく言葉に、何だかおかしくて、小さくミリアは笑った。


 夢なら、醒めないで。 そう願っていた少女はもう居ない。
 夢だなんて思わない。 思えない。

 抱き合って、キスをして、子供を生んで、育てて、彼を愛し続けられること。
 それは神の祝福にも似ている。
 誰よりも彼に一番恋をしているのは自分である。
 そうミリアは断言できる。
 こんな乙女のような気持ちがまだあったのか、そう思うと何だか可笑しくて仕方が無い。

「でも、私達ほどあの二人は発展しないわよ、絶対」
「それはそうだろう」

 私達ほど、愛し合っているものはいないのだから。
 さらりと言いのけたマックスに、ミリアは羞恥心からミラーに向けていた視線を逸らしたが信号が赤に
なったのを見計らい、彼の左腕をぐいと引っ張った。

 うわ、と小さな悲鳴。 けれどそのすぐ後にミリアの甘くどこかスパイシーな香水が鼻腔を擽る。
 噛み付くようなキスを一つ、首元につけられるとマックスは驚いてミリアを見たが、ミリアはどこ吹く風。
 信号をすぐに見つめて「恥ずかしいのよ、あなたは」なんて呟いてみせる。

 恥ずかしいのはお互い様なのだが、そのことにミリアは気づかないのだろう。
 見ているこっちが恥ずかしいくらいの二人が、ゆったりと車を走らせて、彼らは娘と、その恋人なのか
もしれない男へと会いに行く。

 ……バサラとミレーヌにとっての緊急事態発生まで、後十分少々。
 略同時刻で、まさか二人の愛娘である末娘のミレーヌがベッドの上で獣のように声を荒げ性急にバサラ
を求めていることなど、彼らは想像すらしていなかった。


 彼らの拠点地にたどり着くと、車から降りて二人は揃って顔を見上げる。
 ボロボロになった、居住区として登録すらされていない場所、アクショ。
 その一角の小さなボロアパートに彼らは住んでいる。

 本来なら、ミレーヌはこのような無法かつ危険地帯になんて居させるべきではない、と思っているのだ
が彼女の意地っ張りさ加減はミリアに負けず劣らず。

 あまり遅くに帰らないで。
 そう口を酸っぱくして言ってみたところでミレーヌが聞くわけがない。 周りは狼だらけだというの
に、いささか彼女はそういった危機感というものが抜け落ちている。

 インターフォンなんてものが存在しないため、ミリアは何度か扉をノックしてみる。

 一度目。 返事なし。
 二度目。 返事なし。
 三度目。 返事なし。

「……マックス、ドア蹴破ってもいいかしら?」
「やめなさい」

 すぱりとツッコミを入れるかのようにマックスがミリアをたしなめると、ミリアは冗談よ、と微かに笑
ってみせるが、目が全く笑っていない。
 仕方なしに、ドアノブを捻り扉を押すと鍵が開いていたためあっさりと扉は開かれる。

 思えば、忘年会だと言っていた割りに全く持って部屋が静かであることに違和感があったことに気づか
なかった自分達が軽薄だったのかもしれない。

 きょろきょろと見渡せば充満している酒の匂いに思わず頭をミリアは抱えたくなった。

「あの子、呑んだわね……絶対」
「ハイボールあたりでも呑んだんじゃないのか」
「もう! マンハッタンあたり呑んでたなら一時間のお説教じゃ済まさないんだから」

 ハイボールとはウイスキーをソーダ水で割ったもので、ミレーヌはそれを酒と思わずに呑むことがしば
しばある。

 ……無論、いくらソーダ水で割ったとはいえ、ウイスキーはウイスキーであり、酒は酒である。
 マンハッタンは通称カクテルの女王なのだが、これまたミリアがそれを嗜好の一品として呑むせいだろ
う。 ミレーヌがちょこちょと手をつけていたりもする。
 ライ・ウイスキーをベースにして作られた、これまたウイスキーのカクテルだ。

「……全く、誰に似たんだか」
「あなたね、絶対あなた」
「どうかな」

 軽口をたたきながら、ゆっくりと階段を上っていく。
 いつものバンドメンバーの姿は無く、広い部屋のソファーにはグババが眠り転げていた。
 グババがいるということは、ミレーヌは居る。 思わず顔をあわせ、ぐるりと部屋一帯を見渡すが――
人の気配は無い。

「……ミレーヌ! いないのか?」

 ゆっくり、言葉を紡いで見る。
 ―― 返事、なし。

 コツ、コツと靴音を立ててもう一度階段の下へと降りていきながらミレーヌを呼ぶマックスに対して、
ミリアは頬に手を添えて声を上げた。


「いないのかしら、ミレーヌ、ミレーヌ!」

 これまた、返事、なし。


 誰かに奇襲されたのではないだろうか。
 思わずそんな嫌な気配を感じるが、それならばバサラのバルキリーは出撃しているだろうし、グババも
ここに居たとしてももっと焦りに焦っているはずだ。

 ゆっくりと階段を上がってきたマックスに顔をあわせて「どうましょう」と彼女はほのかに溜息をつく
が――その時だ。
 扉がガチャリと開き、ひょっこりとバサラが顔を覗かせる。

「バサラ!」
「……ども、どしたんだよ、おばさん」
「オ・バ・サ・ン?」

 ギロリ、ミリアがにらみ付けるも、バサラは全く気にも留めずに頭をバリバリと掻いた。
 倦怠感を丸出しに、だるそうにしているバサラにマックスは暫く彼を観察していたが、はっと現実に戻
されてミレーヌに新年の挨拶を、とだけ返す。

 本当はもっと聞きたいことがあったのだが――まぁそれは今はいいとしよう。
 バサラはああ、とのん気に言い返すとぴっ、と窓の向こうを指差す。

「レイたちと一緒に、買出しに」
「こんな時間にか?!」
「まぁ、レイたちも居るし大丈夫だろ」
「……君は何をしていたのかね」

 出来るだけ、冷静に、そう冷静に言おうとするマックスの横でミリアは先ほどのマックスの慌てふため
きっぷりと比較して思わず笑った。

 しかしマックスはそれを黙殺し、静かにバサラを見据える。
 サングラスもせず、今さっきまで寝ていたと言わんばかりのバサラは、ああ、とゆったりとした口調で
答えた。

「酒飲んでたんで、寝てた」
「……矢張りか」
「ま、忘年会だし呑まねーほうが可笑しいだろ」

 バサラが呑もうと呑まなかろうと何ら問題は無いのだが――、マックスは溜息をつくと腕を組み、今一
度ぐるりと部屋を見渡した。
 矢張り、ミレーヌの居るような雰囲気は無い。

「……そうか、ではまた朝に来る」
「おう、そん頃には帰ってきてるだろ」
「……それと」

 これを、と押し付けるように四つ降りにした紙をバサラに渡すと「気が向いたら見てくれ」とだけ彼は
言い残しミリアの手を引いて部屋を出て行った。

 階段を下りる音。
 扉が閉まる音。

 それら全て最後まで聞き終えると、バサラは四つ降りにされたその紙を広げ――瞠目した。
 が、即効でくしゃりと丸めるとゴミ箱へ投げ捨ててしまう。

 ―― 結婚? 婚姻? 冗談じゃないぜ。

 そんなものはどうでもいい。
 口端を吊り上げて、彼は扉に寄りかかるとふぅ、と重たい溜息をついた。
 唯単に歌い続けていることが至福で、思いを伝え合うよりも響かせ合わせたほうがいいと考えているせ
いか、結婚だとか婚姻だとかに彼は興味が無い。

 取りあえず、扉の向こうのベッドで縮こまっているミレーヌに帰ったことを知らせなくては。
 くるりと彼は振り向いて扉を開けると――音を立てないように、扉をそっと閉ざした。

「……何をそんなに怒っているんだい? ミリア」
「なぁんで、あなたは渡しちゃったのかしら? あれ」
「あれ?」
「婚・姻・届!」

 むっつりとした顔で、文句を零すミリアに、ああ、とマックスは小さく笑った。
 瞳越しに見た、バサラの真意。
 それは男だけにしか伝わらない何かがあり――マックスにとってはそれで十分すぎたのだ。

 彼がミレーヌを好こうが、そうでなかろうが、男女としての仲になってしまおうが。
 それでもミレーヌはミレーヌでバサラはバサラだ。
 恐らく彼らは変わらないだろう。

 ヴァージンロードをミレーヌと歩くという夢は、未だ叶わずだが、それでも、彼女が強くそれを自らの
意思で望んだ時。
 マックスはミレーヌの願いに答えればいいと、素直にそう思った。

「ミリア」
「なによ、もう!」
「……ミレーヌのことばかりではなく、今日ぐらいは私のことを見てくれると嬉しいんだがね?」


 零れ落ちた言葉は、車を走らせる音と風にかき消されそうなものだったけれど、ミリアは驚愕して、
そして笑った。


 まるで先ほどの仕返しのような言葉。
 ……ああ、まったく、彼には敵わない。

 車を走らせながら、二人を包み込むかのようにゆっくりと朝陽が上り始めていた。




以上で終わりです。お粗末でした。つか本当長くてすみません…
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