マクロスFRONTIERでエロパロ まとめwiki

4-931

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匿名ユーザー

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930 :名無しさん@ピンキー:2009/01/04(日) 12:05:39 ID:GXp8ysOg

(中略)
Fばっかりの中7混じっててなんか、申し訳ないです。
バサミレ+マクミリのマクミリサイド出来上がったので投下失礼します。


※ 先に 4-814 をお読みください ※

 FIREBOMBERが忘年会で騒ぎきっている時間帯の頃。

 ミレーヌ・F・ジーナスの実父にしてシティ7艦長であるマクシミリアン・ジーナスは頭を痛めていた。
 殆どの艦内に居る者は非番の者は全て帰還。残りの者も新年ということで浮かれきっている。

 早々にマックスも家に帰還しようと思っている、のだが。
 この一件ばかりはどうにも早々に終わりそうに無い。

「……ね、艦長何かあったの?」

 ブリッジオペレーターの一人である美保美穂が紙コップを片手に同じくオペレーターのサリーに尋ねる
と彼女は小さく肩を上下させた。

 プロトデビルンとの戦いから、早くも数年が過ぎようとしている。
 とても五十を過ぎたとは思えない若々しい顔、体つき。

 ブリッジ勤務女性たちの憧れの上司そのもので、彼に憧れて勤務を始める女性も少なくない。

 夫婦仲が悪いと噂され、艦内で夫婦喧嘩をモニター越しで行っている現場も度々見られたが、それも先
の大戦で吹っ切られた。

 ミリア・ファリーナ・ジーナス。

 マクシミリアン・ジーナスの夫人でありマクロス7の市長でもある彼女の性格を知るものは口をそろえて言う。

 【 この母ありにして、あの娘あり 】

 その「娘」は誰のことかと聞かれれば恐らく大方の人間は大人気ロックバンド、FIREBOMBERのミレー
ヌ・フレア・ジーナスをあげるだろう。

 長女のコミリア・マリア・ジーナスはそれはそれは美しく、穏やかで、どちらかといえば父親に似てい
ると称されることが多い。
 実際のところはどうなのか一切不明だが、噂によると統合宇宙軍のエースパイロットになったという。
 既に子供が居ても可笑しくない年齢でもあるのだが、実際のところマックスもミリアも、そのことに関
しては何も言わない。

 ……が、末娘のミレーヌに関しては非常にミリアが結婚に関して口を酸っぱくしていっていることか
ら、恐らくコミリアは既に既婚しているのではないか、という噂も耐えない。


「艦長?」
「何だ、モニターから目を離すな」
「はい、ところでそのー、何かあったんですか?」

 くるりと画面に視線を戻して、暢気に美保美穂が尋ねるとマックスは動揺した。
 あからさま過ぎる動揺に本日居残りの美穂とサリーはちらりとマックスに視線を送るが、彼は咳払い一
つで「何もない」といたって静かに言い返す。

 手元にある、たった一枚の紙切れ。

 そんなものに頭を悩ませていることなんて部下達に知られるわけには行かないと彼はいたって真顔で私
のことはいい、と言い返した。

 ……無論、この後彼が居なくなった後にオペレーター数人による憶測が飛び交うことは目に見えている。
 マックスはゆっくりと椅子から立ち上がると、その紙切れを持ってブリッジから重たい足取りで出て行
った。

 その姿をオペレーターたちは顔を見合わせながらじっと背中を見送った後、参謀が「年末ですからか
な」と小さく呟いたのを耳にしたものは居なかった。


「……ミリア、どういうことだい、これは」

 モニター越しに写った愛妻に、出来るだけ穏便にことを済まそうと、穏やかな口調で尋ねるマックスに
スーツ姿のミリアはあら、と小さく笑うだけだ。
 ……分かっている。 これが何かは分かっているからこそ、頭が痛いのだ。


「何って、婚姻届」
「……私が言いたいのはそういうことではない。 いつの間にこんなものを作ったのか、と言っているんだ」
「だって、煮え切らないんだもの、あの二人」

 少し拗ねたようなミリアの言い草はまるで少女そのものなのだが、可愛らしく言ったところで全くもっ
て洒落にならない話だ。
 ……しかし、そんな愛妻の姿も可愛らしいと思うのは惚れた弱みなのだろうか。

 マックスは画面越しのミリアにも分かるように、紙切れをぐっと突き出して「どういうことかね、これ
は」ともう一度彼女に尋ねてみる。
 真っ赤なルージュが施されている唇が「だって」と再び開いて、ミリアはテーブルに両手を着くと溜息
を一つ、零す。

「ミレーヌいくつだと思ってるの?」
「……ミレーヌにも本人の意思というものがあるだろう」
「あなたね、そんなこと言ってても歌ばっかり歌ってお見合い蹴っ飛ばして、宇宙飛び立っちゃったりと
かしてるのよ? あの子」


 分かってるの。
 逆にこちらが怒られてしまったことに「なぜ私が怒られなければならないんだろうか」と少々の疑問を
マックスは抱いたものの、ミリアの言い分をしっかりと最後まで聞く。

 彼女の言い分は、母親としていたって簡単なもので。
 要するに早々に身を固めて欲しいのだ。 娘達は全員自立した。
 結婚をしたり、とある星で歌の特訓をずっと続けていたり――と様々ではある。

 その中でも末っ子のミレーヌは特に一番上のコミリアと年齢が二十歳近く違うことからか、何かと世話
を焼きたくなる。

 末っ子の原理というものだろうか。 何かあるとハラハラして大丈夫だろうかと思う。
 ……他の娘達もそうなのだが、特にミレーヌのお転婆っぷりは目に余る要所がある。
 ミリアの娘なのだからしょうがない。

 そうミリアを知る人間達は口々にいうのだが――そういう問題ではない。
 今をときめくロックバンド・FIRE BOMBERのベース、そしてツインボーカルの片割れとして音を奏でる
娘の将来が心配なのだ。

 お見合いをさせたガムリン木崎との関係は――「良い相談相手」かつ「ちょっと気になる異性」だと困
ったように笑っていた末娘。

 そんなことがあったのは先の大戦の際で、あれからもう数年既に立っている。
 当時十四歳だったミレーヌも、今では十七を過ぎる頃。
 ……十七歳と言えば、マックスがバーミリオン小隊に配属された時よりも年上だ。
 既にこの時マックスはミリアと出会っている。

 ミリアの言いたいことはマックスにもわからなくはない。
 確かに、孫の顔は見たい。 他の娘達は全員自立しすぎて逆に連絡が無い。

 双子のミューズとテレーズは今どうしているのだろう、とか、次女のミラクルも元気だろうか。
 コミリアは今ミレーヌが十七歳であるのだから、プラス二十。 すなわち三十七だ。

 結婚相手は一度便りがきたきりで性格も分からないが――きっと大丈夫だろう。
 孫に会いたいと思う気持ちもあるが、向こうから申し出ない限りマックスは何となく、気が引けるのだ。

 夫婦仲が悪くなって、そのせいか娘達は自分と妻であるミリアへの反発心を其々胸のうちに抱える結果
となっている。

 「ああはなりたくない」と言われているのではないか。 そんな不安さえ過ぎるマックスに、気兼ねし
ないミリアは「ちょっと」と頭を抱えるようにして彼に問いかける。


「マックス、あなた人に尋ねておいて聞いてなかったの?」
「あ……あぁ、すまない」
「もう、しょうがない人ね。 ……兎に角、私はそれを【市長】として受け取るつもりです。 あなたも
しっかりと目を通したのでしょう、今日届けてください」
「待ちなさい、そもそもだね、彼に許可も取っていないのだろう?」

 紙切れをズームアップさせるように見せ付けるマックスに対し、ミリアは図星とも言わんばかりに視線
を逸らした。
 紙にはプリントアウトされた文字で「婚姻届」と書かれており、その下にはバサラとミレーヌの写真、
そして名前と判子が記入されている。

 そもそもバサラは現在進行形で、あちこち放浪・冒険を繰り返している。
 もしかしたらどこかに思い人がいて、その相手と婚姻を結んでいるかもしれない。
 宇宙は広いのだからそれぐらいありえる話だ。

 ミリアを諭すように、そう言うもマックスの諭す言葉はあっさりと「そうかもしれないは結局可能性の
話でしょう」と切り捨てられる。


「もし嫌だったら籍を抜くでしょ? いいじゃない」
「ミリア、君はミレーヌをバツイチにさせたいのか!」
「あら、ミレーヌならバサラにどうやったってついていくでしょ? それにあの子、バサラのこと好きだ
し、何も問題ないじゃない」

 確かにミレーヌはバサラに対して一種の依存とも取れるようなほど、執着心を持っている。
 ……が、それはバンドのメンバーとしてかもしれないし、はたまた年齢の近い、兄のようなものとして
みているのかもしれない。

 ミレーヌにとって一番身近だった六女・ミランダがバサラと略同い年であることから、そういうことも
ありえるだろう。
 必死にそう説得するマックスに対して、ミリアは呆れたような溜息をつくばかりで、相手になどしてく
れない。

「あなたね、もう少し女心を考えなさい」
「いや、しかし……」
「それよりも、仕事はよろしいんですか? “マックス艦長”」

 ぴしゃりと鞭のようにいい放ったミリアの容赦の無い迎撃にマックスは一瞬戸惑ったが、流石に天才と
呼ばれるだけのことはあり、彼はすぐに姿勢を正すと、ええ、と頷く。

 実質、マクロス7とシティ7の二つで一つの船団は、彼らジーナス夫妻が統括しているため彼ら二人は
「仕事」と「プライベート」を共有しあう形となっている。
 マックスは静かに、視線をブリッジに向け、そして時計をちらりと見た。

 艦長の不在は基本的にはご法度なのだが、実際のところ本日は年末最後の日であり、一般人軍人含め
オフにすべき日でもある。
 小さく口元を緩ませふ、と言葉を零すとミリアの怪訝そうな顔をしながらも、マックスの言葉を待つの
が見えた。

 ……何年、一緒に年など明かしていないだろう。
 不意に彼女の言葉が、声が、顔が恋しくなりマックスは帽子をとって「ミリア」と彼女の名前を呼んだ。


「何かしら? 後艦長、公私混同はいかがなものかと思いますが?」
「この後、私は抜ける」
「……あなた、何言い出してるの?」

 先の星間戦争の際、かの有名なロイ・フォッカーや一条輝とのチームを組み戦い続けた「天才」と称さ
れるマックス。
 軍人であるがため、仕方が無い。

 仕事優先である生活が続き、そして更に女性に対してフェミニストであるがため女性の影が常にちらつ

いているような男だ。
 その「軍人」であるマクシミリアン・ジーナスの今放った言葉をミリアはぐるぐる脳内で反芻させて、
そしてやっと理解すると盛大に溜息をついた。


「……あなた、バカ?」
「バカとは心外だね、私はいたって真面目だよ。 年末くらい、愛妻と一緒に過ごしたいと思うのはいけ
ないことかい?」
「……全く、呆れるわ、本当に。私にミレーヌが似たっていうけど、あなたにだってやっぱり似てるわ」


 失笑とも苦笑ともとれるそれに、マックスは肩を落として少々オーバーに笑って見せた。
 それぐらいのご褒美ぐらいだって私も欲しいものなんだよ、なんて五十代には決して見えない口ぶり
に、ミリアも釣られてそうね、なんていい返す。

 この時の二人を見たものがいたとするなら、恐らく「夫婦仲が冷え切っている」だなんていわれること
は無いだろう。
 別居から同居に戻ったとはいえ、マックスが家に帰ることなんて滅多になく、ミリアも家を空けること
が多いためか以前と大差がないように見られがちではある。

 ……が、二人の関係は、一時期の冷え切ったものよりは大分落ち着き、それどころか再燃していると取
ってもらってもいいだろう。

「分かった、私も早々に切り上げて帰るわ」
「ああ、もらい物だがいいシャンパンを買っておいたからそれでも開けよう」
「あら、なら私も何か持っていかなきゃいけないじゃない」

 あんまり期待しないでね。
 少し恥ずかしそうに笑って、画面を切る直前に見たミリアの表情の残像がマックスの瞳に映る。

 長年連れ添ったパートナーは、あの頃から変化を遂げて、ずいぶんと大人になりそして更に美しさに磨
きがかかった。

 しみじみとそんなことを考え、思わず口が緩む。

 ……こんな自分の姿を見たら、彼は何と言うだろう。
 豪快に笑って、「天才つっても女の前じゃカタなしだな」なんて言うのだろうか。
 上司なのに、どこまでも明るい人だった。 今は、もう居ない。

 どこまでもおおらかで、マイペースだったあの男は何と言うのだろう。
 いつもと同じように笑って「大変だな、色男も」なんて言うのだろうか。

 同時期に配属され、同じように戦ってきた仲間の中でも誰よりも明るく前向きだった人だった。
 彼もまた、今はもう居ない。 

 先輩で同級だった、三角関係の中に居た男は何と言うのだろう。
 優柔不断で、おろおろしがちだったけれど、決める時は決めてくれた時と同じようにアドバイスをくれ
るのだろうか。

 結婚で悩んでいた際に、支えてくれたように、最も欲しい言葉をくれるのだろうか。
 メガロード-01は今はどこの宇宙を旅しているのだろう。
 彼と、彼の愛すべき妻と――子供を乗せた船は、ダークホールの向こう側で空の海を漂っているのだろ
うか。
 ……彼も、また、マックスの手の届かないところに行ってしまった。

「……らしくない」

 思わず苦笑してしまう。
 先の大戦で共に戦った人々が自分を残してどこかへ行ったことを、今になって思い返すなんてどうかし
ている。
 沢山の同胞が命の花を散らし、死んでいった。

 そのリアルを受け止めながらマックスはエリートという、天才と言う肩書きを持って階段を上る。
 振り返れば沢山の屍骸が転がっている。 分かっている。

 自分が沢山のゼントラーディを殺めたことも、そしてこれからまた、誰かを殺めることも。
 それでも――守りたいものがある。

 恐らく熱気バサラあたりは「誰かを傷つけて手に入れるようなものでいいのか」と憤怒をむき出しにす
るのだろうが、天才と言えどマックスもそこまで器用ではない。


「……守りたいからこそ、戦うんだ」


 歌が全てを包み込み、全てを支え、戦争を停めさせる。 命を落とさずにすむ、すばらしい方法。
 けれど、それは無限大に続くわけではない。

 バサラの次に引き継がれるような力を持った人間も居ない。
 ……そういったことを踏まえると、時折無性に不安になる。

 けれど、マックスは艦長だ。
 「マクシミリアン・ジーナス」が弱音を吐いていいわけが無い。

 弱音を吐けばそれがつながって、軍内にも動揺が走る。常に毅然として、真っ直ぐと前を見ていなけれ
ばならない。

 ……酷な話だ。

「ああ、困ったな」

 今すぐミリアに会いたくなった。
 小さく零した言葉と共に、彼は少々引きつりながらも――笑った。


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