天と地の合戦 その1

(投稿者:セルバンテス)


 4月30日、クロッセル連合王国領とザハーラ共和国領の間にある荒野。日は既に沈んでおり、時刻は8時30分を過ぎた所だろう。
 上に存在している空の主役は清々しい青空から、暗闇の空間に酷似する空と、その間に存在する輝かしい無数の星に移り変わっていた。
 季節は春であるが、熱帯草原地帯と熱帯雨林が多いザハーラに近いこの南の領域の夜の気温は涼しい程度だ。
 それでも飛騎丸の乗った白鳳はこの地を歩き続けていた。
 エテルネの領域の時から同行していた黒の部隊は上空待機していたベーエルデー連邦仕様の人員輸送機に回収され、飛騎丸を追い越しつつ、そのまま目的地まで飛行した。
 この時間帯まで足を動かしていた白鳳はその足の動きを緩めていた。其処で飛騎丸は白鳳から降り、手綱だけを持ち続けながらも共に歩く。
 目的地が近いのかも知れないのか、或いは愛馬の疲労を溜まらせたくないのか、この二つのうちどちらか、或いは両方なのかも知れない。
 エターナルコアを埋め込まれている白鳳は体力も並みの馬のより高いが、この状況での疲労を表す感情は隠せなかった。
 このような状態が15分以内まで続いた後、飛騎丸は遠方に存在する灯りを発見する。懐から双眼鏡を取り出し、その灯りを良く見ると、仮設だが其処には野営地があった。
 双眼鏡を使い続けて更にその場所を見直すと、其処にはテントが2~3つ存在し、其処にクロッセル軍の兵士が4~5人とチューリップ達“黒の部隊”が見えた。
 遠方に灯された光の正体を判明した飛騎丸は自分も漸く目的地に着いた事を実感出来た。

「白鳳、頑張れ。もう少しだ。もう少し歩けば足を休める。」

 愛馬をなだめつつ、双眼鏡をしまい、その安心感を抱く武者はその先を目指して歩く。
 何分か経った後で彼等は野営地に着き、それに気づいた兵の一人が飛騎丸の前で敬礼をする。

「ミスター・ヒキマル、御苦労様であります。」
「すまない、ムーディー中尉。遅くなってしまった。」
「いえ、自分達は大丈夫であります。あちらに貴方の御食事を用意致しました。」
「白鳳の分はあるか?」
「ハッ、勿論ご用意しているであります。」

 その返事を聞いた飛騎丸は、溜息をしつつ安心する。

「そうか、安心した。 ――――先に白鳳の餌をやる。」
「ミスター、それは自分が………。」
「―――いや、止めた方が良い。白鳳は拙者以外のものには懐かない癖が目立っている。だから拙者やらねばな………。」
「………はぁ、了解致しました。ミスターも無理せずに。」
「かたじけない。」

 この会話の後、兵の敬礼を受けた飛騎丸は一旦兜を外し、白鳳を餌のある場所まで誘導し、首筋の後ろを撫でつつも世話を始める。
 飼い主が差し出した自分の餌をまんべん無く食べる白馬。
 それは兵が食べる軍用の食料ではなく、出発前に基地の近くにあった農場から購入した新鮮な野菜が殆どだ。馬小屋に居るときにも殆どこれらを栄養として食べている。
 その光景を、食事を済ませる最中に見かけたチューリップは自分の食器を係りの兵に渡した後で飛騎丸に近寄る。

「お疲れ様でしゅ、飛騎丸さん。」
「―――チューリップか、何とか拙者も間に合う事が出来た。これで今後の迎撃戦に参れる。」
「そうでしゅよね? これは作戦ですから少しでも遅れがでてしまったら、後で支障が出る事だってありますから……」
「………そうであろうな。」

 飛騎丸は溜息をしつつ目の前のメードに笑顔で返し、この場の周辺を見回した。しかし、この場には自分とチューリップ以外は兵隊しか居なかった。
 その事に飛騎丸は疑問を感じていた。
 何故ならば、自分を含めて5人が此処に来たのであるから、後の3人が居ない。この疑問を抱きつつ彼はチューリップに質問をする。

「―――所でチューリップ。御主の部下が居ないのだが、如何したのだ?」
「あぁ、ブラック・スリーの事ですよね? あの3人はこの野営地の兵隊さんと一緒にジープでちょっと離れた場所で見張りをしてます。」
「何、3人一緒にか?」
「はい、3人一緒にでしゅ。私達が何時遭遇しても良い様にしないといけませんから。でもあの3人、何をするのも一緒なんでしゅよ?」
「……――――そうか。」

 自分の部下のやる事を微笑しつつも話すチューリップに飛騎丸は笑顔で返す。
 愛馬の食事が終わると、武者はその頭を撫でた。
 人間ではなく、動物なのだから自分の情報を自分で主に伝える事は出来ないが、その馬は自分なりに腹の満足感を伝える。
 飛騎丸にはそれが分かり、軽く微笑む。彼がこの世に誕生してからではないが、自分とその主である武者が共に居て何年かが経っている。何十年と言う訳ではなく、せいぜい2年か3年くらいだろう。
 彼は自分の愛馬から一旦離れ、食事係から食事を受け取り、自分も食事を取る。

「所で私――――話したい事があるんでしゅ………。」
「話したい事?」
「はい。“向こうに着いたら話したい事がある”って出発する前に言ったと思いますけど―――。」
「確かに御主は言っていたな。 ………それで、話したい事とは何だ?」

 飛騎丸は食事にまだ手を付けず、目先に立つチューリップを見つめる。
 彼女は戸惑いつつも自分の頭の中にある疑問を打ち明ける。

「それなんです………。あの~、フランキー中佐の事なんですけど………」
「――――中佐が如何かしたのか?」
「如何かしたって事じゃないんでしゅけど………ほら、ブリーフィングの最中に私の部下3人が中佐に変な事言いましたよね? とても失礼に思ったんじゃないのかなって今でも思ってます。 ―――あの時、やっぱり私が先に注意すれば良かったのかな………。飛騎丸さんもそう思います?」
「その事か。………それであれば、中佐は気にしてはおられないだろう。あの3人のした事は拙者も何も言わずに見ていたが、何かの誇りと強い志が感じられた。拙者の言う事が正しければ良いのだが、中佐はあの時、御主達の心の中にある何かを既に感じていたのかもしれんな。」
「“私達の心の中にある何か”でしゅか………。それは一体何なんでしゅか?」

 チューリップの問いの後に飛騎丸は食事に入り、おぼんに含まれている乾パンを取り出し、その中の一枚を口にする。
 乾パンを食べる口の動きが一定の時間で止まった時、彼の口が再び動き出す。

「チューリップ、御主に聞いて良いか?」
「何でしゅか?」
「――――御主は如何言う戦いをしているつもりでいるのだ?」
「私が心がけている戦いでしゅか? えぇ~っと―――………」
「何も考えずに戦っているのか?」
「いえ、ちゃんと考えを持って戦ってましゅよ? そうですね――――、生きる為の戦い。出来れば仲間と一緒に…………そんな戦いが出来たら良いなぁ~……って思ってましゅ。」

 彼女の答えを聞いた飛騎丸は片手を口―――両方の頬も含む―――に当て、微笑した。この行動にチューリップは多少の疑問を感じていた。

「如何したんでしゅか? 笑ったりしちゃって………」
「………すまぬ。中佐が御主より先に言ったのが納得出来る。」
「それは………どう言う事でしゅか?」
「拙者は説明するのは難しいかも知れぬが、中佐はブリーフィング前から御主のその意思に気づいていたのかもしれない。だから、御主より先にあのような事を言ったのだろう。助言のつもりで――――」

 飛騎丸が出した答えに納得した。
 彼の答えを聞く最中に多少の疑問を感じていたが、後にゆっくりと考えてその答えに納得した。
 しかし、その直後の事。チューリップの頭からまた次の疑問が生まれる。

「――――そうでしゅよね。ちょっと納得しました。でも、如何して中佐はそんな事を………。」
「拙者が言うのは難だと思うが、御主達を何かに見立てたのかもしれんな。」
「私達を何かに……?」
「うむ、中佐も嘗ては御主達―――空戦メードと同じく空で戦った者の一人だったからな。確か、拙者達と大蟲共の存在がまだ無かった年だったか、その時代の戦争で中佐は戦闘機に乗り、その時に敵対していた国に自分の名を轟かせたって話だ。
どんな信念を持っていたかはあまり話さなかったが、拙者には“どんな事があっても自分のその信念を貫きなさい”と教え込まれた。きっと、御主達にも今拙者に言った戦いを貫いて欲しいと願っていたのかも知れんな。これ以上は分からんが………」

 この時、チューリップは自分の胸に両手を当てて考え込んだ。
 それは嘗て自分と同じく空で戦った人間に対しての思いと感謝もあるかもしれない。

「飛騎丸さん、有難う御座いましゅ。今の話で何だか分かったような気がしました。」
「自分の意思が本当に貫けるか如何か問いには拙者にも答えられないが、御主にも強さが見える。その強さによってはそれが出来るかもしれん。」
「私も改めて頑張って見る事にしましゅ。フランキー中佐の願いが本当にそうなのでしたりゃわt…! ――――っつう!」

 自分の舌の痛みを感じるチューリップは多少ながらも顔を赤らめる。

「如何したのだ?」
「ゴメンなさい、私油断しちゃうと舌噛んじゃうんでしゅ………。」

 チューリップの苦笑染みた発言を聞く飛騎丸は溜息をする。
 二人の会話が其処で終わった後、チューリップは挨拶御礼を言いつつも飛騎丸から一旦離れる。挨拶を交わした彼はその後で食事を再開しつつ、この先に不安を感じていた。
 ついさっき見た、チューリップの舌をかんでしまう姿が今でも脳裏に映っている事もあろうが、その事は忘れようとすぐに考えた。



 太陽は未だに顔を出していないが、空の色が偉大に明るく染まって行くのが分かる。時刻は5時になりつつあるか、まだ4時半の間のどちらかだろう。
 そんな夜明けが近い中で、野営地から離れた場所―――視界に映らないくらい―――にジープが一台駐車していた。
 乗っているのはブラック・スリーの3人組と、彼女達に同行する兵士2名。
 彼女達は迎撃対象となるG郡とのエンカウントに備え、ジープで野営地から離れ、こうして眠らずに見張りをし続けていた。
 そのはずなのだが、睡魔に勝てなかったのか、ルテーガとマシューは後部座席で眠っており、助手席に居るカイアと兵士二人が真正面に双眼鏡をあわせ、見張りをしていた。
 何とか耐えつつも、あまりにも激しいルテーガのいびきにその意欲が削られつつある。
 その間に二人の兵士はそれを見守っていた。

「ミス・カイア、この二人は起こしましょうか………?」
「放っておけ、何時もの事だ。 ………ったく、交代でやるって決めたのにのんきに寝やがって。」

 カイアは舌打ちしつつ、後ろに目線をある程度向け、すぐに視線を向きなおす。
 双眼鏡から見える先には向かって来るGが未だに1匹も居ない。
 見えるのは風に流れて移動する砂だけである。
 彼女はこの光景を何時間も見ている。それだけならまだしも、ルテーガのいびきがプラスされて苛立ちを隠せない。
 二人が寝始めたのは午前の2時くらい。それまでは1時間の交代制で見張りをしていた。しかし、その時間帯に睡魔が二人を襲い、夢の世界へと誘ったのである。
 そんな二人に苛立ちを感じたカイアは握り拳で殴り起こそうかと考えたが、喧嘩になって見張りが出来なくなると推測した。
 無論、二人の分まで頑張っている彼女としては、本当ならば思いっきり殴りたい所である。しかし、同行した兵士の一人によってそれは解消される。
 彼が持参してきた板チョコを半分に折り、その片方をカイアに渡した。

「ミス・カイア、夜食になれば良いのですが、宜しければどうぞ………。」
「んぁ? ―――あぁ、悪い。」

 カイアはチョコを受け取ると、それをガブリと食いつき、激しい音を出しつつそれを食べ始める。おそらく、後ろで寝た二人に対しての苛立ちも込めているのだろう。
 だが、それもチョコレートの味で開放されつつあった。
 彼女は双眼鏡を下ろし、その味を堪能すべく短時間の一休みに入った。本当はルテーガやマシューのように休みたかったのかも知れない。
 カイアはそんな欲望を浮かべつつ、束の間の休憩を満喫していた。
 しかし、チョコを食べ尽くし、双眼鏡を正面に向けたその時である。

「………――――!!?」

 双眼鏡の視界に自分達の居る方向に向かってくるGの大群が入り込んで来た。種はワモンとウォーリア。どれも数が多い。

「――――来たか。お前ら起きろッ!!」

 カイアは怒声を上げつつ、ルテーガとマシューを叩き起こす。
「っつ――――、痛ぇなぁ! もう少し優しく起してくれても良いんじゃねぇか?」
「バァカ! “良いんじゃねぇか?”じゃねぇッ! とうとうG共が来たんだよ!」
「な、何だって!?」

 カイアの報告にルテーガとマシューの眼は寝惚けの状態から一瞬にして元に戻る。

「良いか、其処のお前らはジープで野営地に戻れ。マシューは信号弾でチューリップ隊長に知らせろ!」

 カイア達はジープを降りて―――マシューは携帯用の信号弾を取り出して―――其々の準備を整えようとする。兵士達二人は彼女の指示通りにジープで野営地に向かう。
 後にマシューは信号弾を打ち上げた。


 同じ頃、チューリップと飛騎丸は到着した補給部隊を迎え入れていた。
 人用の輸送車両3台の中身に手榴弾も含まれていた。どれもエントリヒ製で対G用。しかも最新型。これを見たチューリップは、これらはマシューが使っていると思われる物のスペア代わりに相応しいと考えた。それ以外は応急処置用の救急セットが殆どであった。
 それを一通り見た飛騎丸もこれで準備万全である事を確信した。

「わざわざ遠い所からすまぬ。」
「大丈夫ッスよ。自分達が持ってきたヤツを活用してやっちまって下さいよ。」
「かたじけない。そうさせてもらう。」

 飛騎丸と輸送車両の運転手との会話の最中、遠方から信号弾が打ち上げられたのをチューリップは発見する。

「マシューから信号………飛騎丸さん!」
「如何した?」
「私の部下から信号でしゅ。 とうとう―――」
「大蟲共が来たのか………。」

 二人の会話が其処で終わると、飛騎丸はテーブルの上に置きっ放しにしてあった兜を取り出して被り、外れないように固定する。
 そして、寝ている白鳳を起こし、立ち上がった所でテントの外で引っ張っていき、それら釣られてチューリップも飛騎丸の隣で準備運動をし、準備整える。
 それをムーディー中尉とその周りに居る兵士達が見守る。

「ミスター・ヒキマル、ミス・チューリップ、御武運をお祈りしております………。」
「ムーディー中尉、もし拙者達の力で抑えきれない時は赤の信号弾で合図する。その時は迷わずに撤退してくれ。それで青の信号弾の合図があったら抑えきれた事を意味する。その時は頼む。」
「ハッ、しかし―――ミス・チューリップの方は………?」
「彼女の方は大丈夫だ。出身国仕様の輸送機が回収してくれる。」
「分かりました。では、お気をつけて!」

 ムーディー中尉が敬礼をして二人の無事を祈る。それを確認した飛騎丸とチューリップは彼に向かって一緒に敬礼で帰す。
 その後で二人は自分達の視線を正面に向きなおす。

「………チューリップ、行くぞ!」
「はいでしゅ、飛騎丸さん!」

 チューリップの背中に黒い翼を模ったエネルギー体が展開し、彼女は背中にくっ付けっ放しだった自分の武器を両手で取り出し、空中を浮遊する。
 後に二人は野営地を後にし、スピードを上げて自分達の戦場となる場所へと目指す。その足はカイア達―――ブラック・スリーの居る場所で止まり、この場に揃った5人は向かって来るGの大群と向き合う。

「…………皆さん、武器を構えて下さいッ!」

 チューリップの掛け声の後にカイア達3人は持参してきた自分達の武器を取り出し、構える。後に彼女達の背中からも翼が展開され、その力の影響により宙に浮かぶ。
 それに連られて飛騎丸もまた背中にくっ付けてあった薙刀―――“翠光”を取り出し、構える。
 そして………

「突撃ィィ――――――ッ!!!」

 チューリップの怒声の後に彼女も含める5人が向かい側の大群に目掛けて突撃を始めた。
 その影響でこの場の全てのGの視線がチューリップ達と飛騎丸に集中し、進路を5人に変更して突き進んでいく。大蟲達は5人の肉の匂いに反応し、全員で捕食しようとしている。彼らは当然ながらも本能は肉食の昆虫に似ており、獲物を捕食して生き長らえる。前進し続ける彼等にとって、5人は願っても無い獲物同然だろう。
 飛騎丸は翠光を持つ右手に力を込め、彼の白鳳と対峙するG群との距離が詰まって行き、至近距離まで到達した直後に自分と対峙するウォーリアに翠光で薙ぎ払う。
 斬られたウォーリアはその場に倒れるが、次の瞬間に周辺のワモンが羽を広げ、飛騎丸に向かって飛び掛る。
 彼はそれを確認し、翠光でそのワモン達を斬って行く。その最中にウォーリアも羽を広げ、飛び掛ってくるが、その強靭な爪が触れられる前に白鳳は高く ジャンプして避け、反撃としてそのウォーリアの下に着地して踏みつけ、飛騎丸はそれを串刺しにする。
 直に別のウォーリアがその爪を、ワモンがその牙を光らせてるのを飛騎丸は目の当たりにする。
 しかし………

「飛騎丸、退きなッ!!」

 その背後に飛んでいるルテーガは大戦斧を構える手に力を―――力瘤がふくらむ程―――入れる。そして、ブーメランを投げるかの如く、斧を投げた。
 白鳳は跳び、ルテーガの斧は回転しつつその下を突っ込み、先のウォーリアを両断し、またその後ろに居たウォーリアに斧の刃が刺さる。
 更にルテーガの力が影響しているのか、斧が刺さったウォーリアは吹き飛ばされ、周辺に立つG達を将棋倒しして行く。
 この気に乗じてルテーガは突っ込み、刺さったままの自分の斧を抜き、両手で豪快に周辺の大蟲達を薙ぎ払って行き、飛騎丸もまた彼女の近くで薙ぎ払って行く。
 やがて二人の間に空間が広がって行き、其処にカイアとマシュー、そしてチューリップが着地する。
 二人が戦闘を一旦止めた所でこの場の全てのGは5人を囲み出す。囲まれたチューリップ達と飛騎丸は周辺を見回しつつ大蟲達に自分達の武器を向ける。
 しかし、その次の瞬間である。

「チューリップ隊長、あれを!」

 カイアが指をさした方向に彼女が向く。
すると其処には、フライの群れが戦闘機のプロペラ音にも似た翅音を出して自分達の居る場所を目指して飛んで来るのが見える。

「フライの群れ………多分フランキー中佐の言っていたグレートウォール山脈付近上空からやって来た奴等でしゅね。 ―――カイアとルテーガは私と一緒にフライを叩きましゅ。マシューは飛騎丸さんの援護をして!」

 チューリップに命令を下されたマシューはこくりと頷く。

「隊長、行きましょう!」

 カイアの掛け声と共に3人の空戦メードは上空に上がり、マシューも宙に上がり、低空でワモン達にバトルアックスを向ける。
 これで5人は空で迎え撃つ者達と地上で迎え撃つ者達に別れた。これこそ正しく“天と地の合戦”である。
 チューリップは向かってくるフライの群れとの距離を確認しつつクリューアルファングを向け………

「二人とも行きますよォ―――――ッ!!!」

 その怒声の後、彼女を中心に3人は彼等の群れに突撃する。


最終更新:2009年10月11日 16:23
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