(投稿者:マーク)
ゴッ
そんな回想にふけっていたダリウスの後頭部に突然強烈な衝撃が襲った
おまけに顔面も衝撃の勢いで車のハンドルにひどくぶつけその二重の痛さにしばらく後頭部をおさえ悶絶しやっと振り向けば案の定
ディートリヒがでこピンの体制のままで固まっていた
「わ、わりぃまさかそこまで痛がるとは・・・・・・」
そんな彼に思わず「お前は加減というもんがわからんのかーーー!!!!」と怒鳴る
今ダリウス、ディートリヒの両名がいるのは先ほどの町の郊外の軍用ジープ、ディートリヒの大きさの問題で屋根を取り払ったため夜には、つまり今は満天の星空が堪能できる
マヤはこの計画の仕上げの下準備の最中でこの場にはいない
「急にボーっとしちまって反応がねえからよ」
「心配するな怖気づいてなどいないさ」
「そーいう事じゃねぇけどよ」と言うとドッカリと後部席にすわる。二人分も占領しているが彼には窮屈そうだ
「そろそろかな?」
「お? あれそうじゃねえか?」
指差すほうを見れば4匹ほどのモスを引きつれ飛行する女性、その両手にはしっかりとマヤがいわゆる”お姫様だっこ”をされて向かってきていた
おそらく彼女のことであるから真っ赤に赤面しているのだろう逆にこちらが恥ずかしくなってしまうぐらい
そんなダリウスの予想通り、マヤはゆでだこのようになっておりお姫様だっこから開放されるとダリウスから手渡された水筒の水を一気に飲み干してしまった
「もうっなんでお姫様抱っこなのよ私は嫌だって言ったじゃない!!」
「とにかくこれからは禁止!!!」
「でも・・・」
「でもじゃない!!」
いつみても不思議な光景だ、あの時まで、まさかG(といってもほとんど人間と同じだが)と意思疎通ができる人間がいるなど思いもよらなかったし人類を襲わないGがいるとも思わなかった
彼女、マヤと出会ったのはいまより一ヶ月前の戦闘だった。
全世界に衝撃をあたえた
EARTH直属のメード部隊セブンカーディナルシンズの離反、護衛対象であった
エメリンスキー旅団を壊滅させ追撃部隊をも退け逃走、その足取りは未だにつかめていない
あの時ほとんどが彼らを追撃していた中いち早く現場にたどり着いたのは
ダリウス大隊であった
頭から真っ二つに両断された死体もあれば殴りつけられたように顎から上がないものや頭部を踏み砕かれたもの、落雷が直撃したかのようなクレーターの周辺にちらばる焼け焦げた肉片、
的確に急所を撃ちぬかれたもの、なにかに押しつぶされたもの、手足をそぎ落とされたもの、細切れになったもの
おまけに
フライの死骸もそこら中にちらばりかなりの悪臭を放っていた
まさに地獄絵図、様々な凄惨な戦場を経験したダリウスでさえも目を覆いたくなるほどだった
本当にこれをこの短時間でたった七人で・・・・・・
そんな中マヤを抱きダリウスたちの目の前に現われたのは満身創痍の人型のG、コアクであった
彼は空中からダリウスのをじっと見つめると目の前に降り立ち、ひざまずくとマヤの口元の血をさしそして片方の手をどかして腹部の赤黒いしみを見せた
もちろんマヤがプロトファスマではないという保障はなかった、だが目の前で苦しげな声をあげた少女をまえにそんな考えは吹き飛んだ
リビドをディートリヒと他数名に彼を見張らせすぐに自らの野営地に連れ帰り治療をほどこした。銃創であったが応急処置が施されており
弾も臓器を傷つけることなく貫通していたためしっかりと消毒し包帯を取り替えるだけですんだ
運び込んでから数時間後に無事彼女は目覚めた
事情を聞けば彼女があの現場にいたのはエメンリスキー旅団に捕らえられていたためであった
コアクはとらわれたマヤを助け出すため単身で野営地を襲撃
その大混乱の中でマヤが撃たれコアクもエメリンスキー旅団との戦闘で負傷したのだという
それにしても彼女はずいぶんと変わったものだ。出会った当初は目をあわして話すことすら難しかったのに
「そろそろ勘弁してやってくれないかマヤ?」
「あ はいダリウスさん」とにっこりと微笑む彼女の後ろをみればようやく開放されたといった面持ちのコアク
しかしこちらのほうを見るとすぐさま真剣な表情となる
ディートリヒもエッケザックスを肩に担ぐ
「三人とも作戦は頭にきちんと入ってるな?」
三人は一斉にうなずく、ダリウスはそれを確認し言った
「これより
シュヴェルテ救出作戦を開始する!!各員、自らの役目を全うし彼女を必ず救いだそう!!!」
「彼ら動いたわ リューマ殿いこう!!」
「いいぜ”ルビー・アイズ”楽しい楽しいパーティとしゃれ込もうぜ」
そういうと赤いコートの男はバイクに乗りそのうしろに黒鎧をまとったメードが双眼鏡をしまいつつのる
「飛ばしてくぜ!!!」
そういうと男はおもいきりアクセルを踏み込み町の方角に突っ走っていった
最終更新:2008年12月18日 18:31