SILVERMOON

あなたと過ごす朝

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mayusilvermoon

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「う~ん、もう朝ぁ?」

カーテンの隙間から差し込む朝日にまぶしそうに顔をゆがめながらエンジュは目を覚ました。
だんだんとまぶしさに慣れ、エンジュはゆっくりと目を開いた。

「きゃあっ!」

目の前にレオナードの寝顔のアップが飛び込んできたのだ。
驚いたエンジュは声をあげ、思わず身を引くが身体が動かない。

「あ、あれっ?」

自分を見回し、ようやく今の状況を把握した。
レオナードの腕の中にしっかりと納まっているため動かなかったのだ。

「やっ、恥ずかしいっ…」

その状況に、エンジュは一層心拍数を上げ、恥ずかしさを募らせる。
エンジュは落ち着くためにもどうにかして距離をとろうとじたばたする。
レオナードは寝入っているようだが、エンジュを抱く力は一向に緩まない。

「ん~、エンジュ……」

「あ……。」

レオナードに名前を呼ばれて、ドキンと心臓が高鳴る。
寝言だったのか、見るとレオナードはまだ寝ているようだった。

―レオナード様寝ぼけてる?

そう思いレオナードの様子をうかがっていると、だんだんと顔が近づいてきた。

―キス……されちゃう?!

エンジュは真っ赤になって、目をきゅっと瞑る。




「……ぶっ、なんて顔してんだよ。」

「え?」

その声にエンジュがそっと目を開けると、目の前にはにやっと不敵な笑みを浮かべるレオナード。

「よォ。」

「レ、レオナード様っ!起きてたの??」

「そりゃあ、あれだけ腕の中で暴れられたらなァ……。」

からかわれていたとわかり、恥ずかしさと怒りでますます頭に血が上っていく。
その気持ちをぶつけるようにエンジュはレオナードに訴える。

「じゃあどうして離してくれなかったんですか?」

「おまえを離す?やなこった。」

「なっ…!」

エンジュはおもわず絶句する。

「昨夜オレをほっぽって寝ちまったのはどこのどいつだってーの。」

「え……?」

拗ねるようにレオナードに言われ、エンジュは昨夜のことを思い返す。


昨夜のこと…、

ええと、

お風呂に先に入って……

そうそう、それから、カクテルを作っていただいて……
本当にすごくおいしかったわ!

え~と、それで……

お風呂上りでのどがかわいてたのよね。
それにカクテルがあんまりおいしかったから、レオナード様が飲みかけておいていったお酒も飲んでみて…

あれはなんだか喉が焼けるような感じだったなあ。

あ、そうそう。
そうしたらすごく眠くなっちゃって……

レオナード様がお戻りになるまでちょっとだけって……




「あ~~~~っ!!!!」


それから先の記憶が全くない。
そのあとすっかり眠りこけてしまったことをエンジュはようやく理解する。

「わ、わたし……、ご、ごめんなさいっ!」

「わかったらもうちょっと抱かれてろ。」

「あう…」

返す言葉もなく、レオナードの言葉に従うしかないエンジュであった。



「……で、ちったぁ疲れはとれたか?」

「え?」

「長旅で疲れてたんだろ?」

「あ、そういえば。よく眠れました」

そういえば頭がスッキリして身体のだるさもない。

「ったく。幸せそ~な顔して眠りこけてやがったぜ。」

「もうっ。」

からかわれてエンジュは頬を膨らませる。

「まァ、今夜は寝かせるつもりはないから今のうちにしっかり寝とけや。」

「ええっ」

エンジュは驚いてレオナードの顔を覗き込む。

「おあずけを食らわされたんだ。たっぷりお返しして差し上げるぜ?」

そういってウインクをするレオナードからは、その言葉が本気なのか冗談なのか、エンジュにはうかがい知ることは出来なかった。
それでも、ちゃんとそのつもりをして泊まりに来たのである。
それだけは伝えたくてエンジュはぺこっと頭を下げる。

「お、お手柔らかにお願いします。」

「バ~カ、冗談だよ。」

そう言って笑うレオナードの目は優しくて、自分の気持ちは伝わったかなとエンジュは思うのだった。

おわり






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