おはよう!!朝ご飯 ◆yX/9K6uV4E
―――――ララララご飯!ララララ食べよう!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ぐぅぅぅっと物凄い鈍い音が、青空の下、盛大に響く。
朝も終わり、そろそろお昼に差し掛かる頃だった。
その音を出したのは、勿論―――
「にゃ、にゃ!?」
猫型アイドル、
前川みくの可愛いお腹であった。
大きく響いた音に思わず、みくは顔を紅く染めてお腹を抑える。
思えば、殺し合いが始まって以降、何も食べては居なかった。
そんな余裕は無かったし、朝以降は……勿論そう。
そうなれば、当然お腹は減る。
朝ご飯は、元気の源なのだ。
「そんにゃこともあろうかと、みくはちゃんと用意したんだにゃあ!」
だから、みくはきちんと遅すぎる朝食を用意していたのだ。
とはいっても、ライブステージにあった売店からハンバーグ弁当を拝借しただけなのだが。
ついでにミルクも拝借した。三本も。
目指せ、雫並みの胸である。
みくはトップアイドルになる為なら、努力は惜しまないのである。
それが、雫に対しての贖罪にもなるから。
あれは不幸な事故だった。
でも、だからこそ、それをきっちり受け止めて生きていく。
「……とりあえず、食べるにゃ」
兎も角、今は朝ご飯である。
みくは、空港へ向かう道の傍にあったベンチに座った。
とりあえず、南……牧場に行ってみようと思ったから。
何故牧場なのかって……まあ色々思うところがあったから。
その最中で、人がいそうな空港に言ってみようとみくは思ったのだ。
「……いただきますにゃ!」
そして、弁当のプラスチックの蓋をとる。
弁当は何処にでもありそうなコンビニ弁当で。
白米に梅干、ポテトサラダにハンバーグ。
それになんかのフライだ。
朝に食べるには、少々ヘビーだけど、お腹が減ってるからきっと大丈夫だろう。
「まずはお肉……美味しいにゃ~♪」
まずはハンバーグを口にする。
その瞬間溢れ出る肉汁が、堪らなく美味しい。
ちょっと冷めてるのはいただけないが、仕方ない。
程よく柔らかくて、簡単に切れる。
「サラダもおいし……」
そのままポテトサラダもつまむ。
ちょっと辛めの味付けがご飯を進ませる。
白米も食べて、次はフライをと、噛んだ瞬間
「にゃ!?」
サクッと衣が柔らかいのはいい。
ちょっとしなっとしてるのは冷めてるから仕方ない。
問題は、中身だ。
「さ、魚……にゃーー!?」
そう、魚のフライで。
みくにとっては猫型アイドルの癖に、魚は大の苦手なのだ。
どうしても、ぱさぱさしたあの身は許せないのである。
食うのも、苦痛で。
どうしても、無理で。
「の、残すにゃ……」
残そうと、そう思った時。
―――無駄じゃありません。ううん……無駄に、しないでください。みくさんが、私の命に意味を持たせてください
不意にリフレインする言葉。
雫が残そうとした言葉。
難しい、命の話だった。
―――命は等しいものだと私は思いますー
命は、等しいものだと彼女は言った。
あの時みくには、解からなかったけど。
でも、今は理解しようと思う。
「…………食べよう。そのほうがいいにゃ」
そうして、みくは意を決して目を閉じてフライを飲み込む。
相変わらず美味しくないし、味も超絶に苦手だ。
でも、残してはいけない。
無駄に、してはいけない。
命を、みくが繋げなければならない。
みくも、魚も、雫も、牛も命は等価値だ。
それを、みくは魚の命を食べて、生きる。
魚も牛も、人間の都合で、殺す、食物だ。
等価値じゃないかもしれない。
けど、それは違うんだ。
みくが、魚の命を貰って、それを糧にして。
魚の命を貰う。
それが、循環する。
いわば、命の循環だ。
誰かが奪ってしまった命を、いただく。
そうして、自分の糧にする。
そうすれば、奪った命は、エゴかもしれないけど。
奪った人間の為に、なるのだから。
だから、みくが、魚の、雫の命の意味を持たせる。
それが、大切な事だから。
「―――いただきます」
命に、感謝を。
いただきますと言葉を重ねて。
みくは、米も、牛も、梅も、芋も、魚も。
一杯食べた。
一杯命をいただいた。
そうして、命は巡る。
「――――ごちそうさまでした」
ごちそうさまと。
命をごちそうまと言葉をかけた。
こうして、食事を終えた。
満足だった。とても美味しい。
そうやって、命は無駄にしないこと。
きっと、雫が言いたかったことはそれで。
そうして、雫の命も、繋げよう。
いただきますから、ごちそうままで。
そうやって。
命は、巡る。
【D-3 北部/一日目 昼】
【前川みく】
【装備:セクシーキャットなステージ衣装、『ドッキリ大成功』と書かれたプラカード、ビデオカメラ、S&WM36レディ・スミス(4/5)】
【所持品:基本支給品一式】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本方針:みんなを安心させて(騙して)、この殺し合いを本物の『ドッキリ』にする。
1:ご馳走様でした。
―――好き嫌いは仕方ないけど 食べ残しは絶対ダメ すべてのものに感謝忘れず、両手合わせていただきます!
最終更新:2013年05月07日 06:29