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朋也「軽音部? うんたん?」 4/8 木
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meteor089
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朋也「軽音部? うんたん?」
112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 13:29:54.74:1qYNd8dxO
4/8 木
唯「おはよう」
朋也「おはよ」
今日はちゃんと返事をして、席に着く。
唯「岡崎くん、ちゃんと寝てる?」
朋也「ああ、さっきまで寝てたけど」
唯「そうじゃなくて、夜更かししてるんじゃないかってことだよ」
唯「もうずっと遅刻してるし…」
朋也「だから、言っただろ。不良だって」
唯「でも…」
朋也「もういいだろ。おまえには関係ない」
反射的にきつく言ってしまう。
そのことであまり探られたくはなかった。
俺の身の上話なんて、他人にしてもしょうがないから。
そのことであまり探られたくはなかった。
俺の身の上話なんて、他人にしてもしょうがないから。
唯「…そうだね。ごめん…」
朋也「いや…俺もなんかきつく言っちまって、悪かったよ」
113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 13:31:55.28:1qYNd8dxO
唯「そんな…私がしつこかったから、しょうがないよ」
朋也「いや…」
唯「いやいや…」
どちらも譲歩しあってらちがあかなかった。
唯「…あはは」
朋也「…は」
軽く笑いあう。
そこでこの譲り合い合戦は終わった。
理屈じゃない。けど、すぐにわかった。
これで決着がついたこと。
勝ち負けがはっきりしたわけじゃない。
それでも、お互いに納得していたことが伝わっていた。
そこでこの譲り合い合戦は終わった。
理屈じゃない。けど、すぐにわかった。
これで決着がついたこと。
勝ち負けがはっきりしたわけじゃない。
それでも、お互いに納得していたことが伝わっていた。
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
唯「岡崎くん」
朋也「なんだ」
唯「今日のお昼のこと、きのうみんなで話したんだけどね…」
114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 13:37:36.45:1qYNd8dxO
唯「学食で食べてみようってことになったんだ」
唯「でも、私たち、誰も学食使ったことなかったからさ、ちょっと不安なんだよね」
唯「だから、岡崎くんがガイドしてくれたらうれしいんだけど…だめかな?」
朋也「ガイドって…食券買ってそれ渡すだけだぞ」
グルメ番組じゃあるまいし、必要ないと思うのだが…。
唯「でも、経験者がいたほうが心強いっていうか…」
唯「ほら、なんか常連だけの暗黙のルールとかあったら、絶対やぶっちゃうだろうし」
一見さんお断りの隠れ家的名店か。
ただの学食にそんなものはない。
ただの学食にそんなものはない。
唯「ね? だから、いっしょに食べて?」
朋也「…まぁ、いいけど」
春原とふたりだけで食べるのもマンネリ化してきて、ずいぶんと経っていたところだし…。
たまにはそういうのもいいかもしれない。
たまにはそういうのもいいかもしれない。
唯「やったぁ! じゃ、みんな呼んでくるねっ」
―――――――――――――――――――――
平沢が連れてきたメンツ、プラス二人で学食を目指す。
117:訂正:2010/09/25(土) 13:43:10.84:1qYNd8dxO
春原「なるほどね、いい目してるじゃん。僕、自称学食の帝王って呼ばれてるくらいだからね」
自称では意味がない。
唯「わぁ、すごいんだねっ」
今だけは平沢の賞賛も皮肉に聞こえた。
春原「まぁね。僕がいつもの、っていえば、カツ丼と水が出てくるんだぜ?」
律「うそつけっ。つーか、岡崎に頼むって聞いてたのに、なんであんたがついてきてんの?」
春原「岡崎はいつも僕と食ってるんだぞ。こいつと食うってことは、僕と食うってことと同じなんだよ」
律「気持ち悪いくらい仲いいな…」
春原「ふふん、まぁね」
朋也「キモっ」
春原「なんでだよっ!」
律「わははは!」
朋也(ん…?)
視界の隅、グループの中に見慣れない顔をとらえた。
朋也「平沢、そっちのは…」
119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 13:45:31.51:1qYNd8dxO
唯「ん? 和ちゃんだよぉ。同じクラスだし、みたことあるでしょ」
そういえば、あるような気もする。
唯「いつも私たちとお昼してるんだよ」
女生徒「どうも。同じクラスの人に今更なんだけど…」
女生徒「真鍋和です」
唯「和ちゃんは、岡崎くんと春原くんのこと知ってるよね」
和「ええ。一応クラスの人全員の名前と顔は一致してるわ」
唯「さすが和ちゃんっ」
和「ま、そのふたりに関しては、前から知ってたけどね」
唯「へ? なんで?」
和「生徒会の間ではちょっとした有名人だったからね。問題児として」
唯「あわ、問題児って…の、和ちゃん…」
春原「生徒会?」
春原が反応する。
和「ええ。私、一年の時から生徒会に所属してるの」
120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 13:47:08.91:cUBlBpOS0
和「だから、あなたたちの素行については、いくらか知ってるつもりよ」
春原「…ふぅん、そう」
怪訝な顔で返した。
生徒会なんていったら、風紀にも敏感な連中じゃないのか。
春原同様、俺もあまりいい気はしない。
生徒会なんていったら、風紀にも敏感な連中じゃないのか。
春原同様、俺もあまりいい気はしない。
和「ま、安心して。あなたたちにどうこう言うつもりはないから」
まるで心のうちを見透かされたかのようなセリフだった。
律「和ってさぁ、今度の生徒会長の選挙、立候補すんの?」
和「一応、しようと思ってるわ」
唯「和ちゃんならなれるよっ」
澪「そうだな。私もそう思う」
和「ありがと」
春原「生徒会長ねぇ…」
釈然としないようで、不満気にそうこぼしていた。
―――――――――――――――――――――
律「うっへ、混んでんなぁ」
121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 13:47:54.61:cUBlBpOS0
春原「いつもこんな感じだからな」
春原「おまえら、人の波に飲み込まれないようについてこいよ」
春原「おら、どけっ」
乱暴にかきわけ、進んでいく。
和「…あまり感心しないわね」
唯「ま、まぁまぁ。私たちのためにやってくれてるんだし…」
―――――――――――――――――――――
春原の先導により、券売機の前に辿り着いた。
春原「ここで食券を買うんだ。まず僕がお手本を見せてやる」
律「んなもんさすがにわかるわ」
春原は財布から千円札を取り出し、券売機に投入した。
ぺっ
吐き出される千円札。
春原「あれ? っかしいな…」
律「帝王とか言ってたくせに、こんな機械にナメられてるな、あんた」
122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 13:49:43.48:cUBlBpOS0
春原「うるせぇ、こんどこそっ」
ぺっ
またも戻ってくる。
律「あんた…それ、偽札じゃないだろうなぁ?」
春原「ちがわいっ! 次こそ成功するってのっ!」
春原「カァアアアアアアアアアッ!」
気合十分で投入する。
今度は飲み込まれたまま戻ってこなかった。
やっとのことで認識されたのだ。
今度は飲み込まれたまま戻ってこなかった。
やっとのことで認識されたのだ。
春原「ふぅ。ま、僕が本気になれば、こんなもんさ」
朋也「つーか、早くしろ」
ピッ ピッ ピッ
俺は後ろからボタンを押した。
選んだのは、ライス(大)、ライス(中)、ライス(小)。
選んだのは、ライス(大)、ライス(中)、ライス(小)。
春原「ああっ! なんで全種類のライスコンプリートなんだよっ!」
朋也「しるか。ライスの上にライスかけて食っとけ」
春原「意味ないだろっ!」
124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 13:50:32.07:cUBlBpOS0
朋也「おまえが遅いのが悪い」
春原「ぐ、くそぅ、覚えてろよ、てめぇ」
春原「…おまえら、見たか? このように、学食はそんなに甘い場所じゃないんだぞ」
律「号泣しながら言われてもな…」
―――――――――――――――――――――
券を買うのも、残すところ二人だけとなった。
紬「うわぁ、いいなぁ、こういうの」
目を輝かせ、券売機を見つめる。
春原「お、さすがムギちゃん。期待通りのういういしい反応してくれるねぇ」
紬「うん。私、一度こういう券を買ってみたかったの」
お嬢様だと聞いていたが、やっぱりこういう庶民的なところには普段来ないんだろうか。
紬「なににしようかな」
言いながら、財布から取り出したのは、一万円札。
なんともセレブリティなことだ。
なんともセレブリティなことだ。
春原「ははっ、すげ…ちゃんとお釣り返ってくるかな…」
さすがにそこまでの額じゃない。
125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 13:51:08.93:cUBlBpOS0
紬「う~んと…これにしよ」
ピッ
少しかがんで、出てきたお釣りと食券を回収した。
紬「はい、澪ちゃん、お待たせ」
澪「うん」
最後の一人に位置を譲る。
澪「う~ん…なんか、重たいものばっかりだな…」
朋也「なら、パンにするか?」
澪「え? あ、パ、パン…?」
朋也「ああ。ほら、あそこで売ってるだろ」
人だかりができているスペースを指さした。
今は激しい人気パン争奪戦が行われている最中だった。
今は激しい人気パン争奪戦が行われている最中だった。
澪「じゃあ…パンにしようかな…」
朋也「まぁ、これから行ったんじゃ、ロクなの残ってないだろうけどさ」
澪「そ、そうですか…」
律「なんで敬語なんだよ」
126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 13:51:42.38:cUBlBpOS0
澪「いや…だって…」
律「まぁだ恥ずかしがってんのか…」
澪「恥ずかしいっていうか…遠慮は必要だろ…」
律「そっかぁ?」
澪「そうだよ…」
言って、視線をパン売り場に戻す。
澪「…それにしても、混んでるなぁ」
律「澪、行って全員蹴散らしてこいっ!」
澪「無理だって…」
蹴散らすのはもとより無理だとしても、買ってくるだけでも女の子では苦労するだろう。
………。
………。
朋也「…おまえら、先に食券替えて、席確保しといてくれ」
朋也「春原、俺の分頼んだ」
強引に食券を握らせる。
春原「あん? おまえどっかいくの?」
朋也「そんなところだ。ほら、もういけ」
127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 13:52:15.23:cUBlBpOS0
春原「? ま、いいけど」
春原「じゃ、いくぞ、おまえら」
律「いいかげん仕切るのやめろよなぁ、ったく」
唯「じゃ、あとでね、澪ちゃん、岡崎くん」
春原の後に続き、平沢たちもカウンターへ向かっていった。
朋也「で、なにがいい」
澪「え?」
朋也「パンだよ。買ってきてやるから」
勧めたのは俺だったので、最後まで面倒をみてやらないと後味が悪い。
だから、そう申し出ていた。
だから、そう申し出ていた。
澪「え、あ、悪いですよ、そんな…」
朋也「いいから、言えよ」
澪「うっ…は、はい…じゃあ…」
メニュー表をしばしみつめる。
澪「クリームパンとあんぱん、それとやきそばパンで…」
朋也「わかった。金はあとで合流した時にな」
128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 13:54:37.17:1qYNd8dxO
澪「あ、はい…」
朋也(いくか…)
俺は覚悟を決め、人ごみの中に突っ込んでいった。
―――――――――――――――――――――
パンを購入し、春原たちがついているテーブルを探す。
とくに苦労することなく、その場所はすぐにみつかった。
目立つ金髪はこういう時には便利なものだ。
俺はその集団に歩み寄って行った。
とくに苦労することなく、その場所はすぐにみつかった。
目立つ金髪はこういう時には便利なものだ。
俺はその集団に歩み寄って行った。
朋也「わり、遅くなった」
澪「あ…いえ…そんな」
朋也「ほら、パン」
澪「ありがとうございます」
朋也「540円な」
澪「はい…どうぞ」
朋也「ん、ちょうど」
代金を受け取り、俺も席に着いた。
唯「ね、だから言ったでしょ。岡崎くん、いい人なんだって」
129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 13:55:02.01:cUBlBpOS0
律「いやぁ、悪人の善行ってやつじゃねぇの。ギャップでよくみえたりな」
唯「もう、りっちゃん! そんなことないよ、普通にいい人だよっ」
唯「ね、澪ちゃん」
澪「う、うん…」
紬「やさしいのね、岡崎くん」
春原「ムギちゃん、だまされちゃだめだっ」
春原「こいつのは計算なんだよっ。好感度上げようとしただけだってっ」
律「人の足引っ張るそのおまえの好感度が最悪だわ」
春原「なにぃっ!? ムギちゃん、今僕の好感度、どれぐらいある!?」
紬「えっと…ごめんなさい、不快指数のほうで表していいかな?」
春原「マイナスのメーターっすか!?」
律「わははは!」
騒がしい奴らだった。
―――――――――――――――――――――
律「にしても澪、部活でも甘いもの食べるのに、昼も菓子パン食べちゃって…」
130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 13:56:50.02:1qYNd8dxO
律「そろそろ腹まわりヤバいんじゃないの?」
腹の辺りに手を伸ばす。
澪「わ、馬鹿っ、つかむなっ」
その手を払いのけた。
律「ぷにってしたぞ」
澪「うそつけっ、まだ大丈夫…なはず」
最後は消え入りそうな声になっていた。
唯「心配しなくても、澪ちゃんスタイルいいよ」
律「ま、服の上からじゃわかんないよなぁ」
澪「う、うるさいっ! いいんだよ、今日は新勧ライブでカロリー消費するんだから」
和「あら、軽音部は今日なの?」
唯「うん、そうだよ」
和「そう。がんばってね」
唯「うん、全力でやるよっ。今日はみんなを沸かせて、総スタンディングさせるんだ」
唯「それで、客席にダイブするよっ」
131:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 13:57:25.08:cUBlBpOS0
和「危ないから、それはやめときなさい…」
律「あんたら、今日はきっちり働いてもらうからな」
春原「わぁってるよ。あ、ムギちゃん、今日もお茶よろしくね」
紬「うん、用意するね」
律「だぁから、ムギ、しなくていいって。こいつを調子づかせるだけなんだからさ」
紬「おいしそうに食べてくれるから、なんだか私も嬉しくて…」
律「でもこいつ、ケーキつつんでたラップまでなめまわすから、きちゃないじゃん」
春原「それだけうまいってことなんだから、いいだろっ。ね、ムギちゃん」
紬「えっと…ごめんなさい、あれは正直ドン引きしてたの」
春原「笑顔で内心そんなこと思ってたんすかっ!?」
律「みんなそう思ってたわい。あと、お前が座った席は消毒してるんだからな」
春原「マジかよ…」
澪「そんなことしてないだろ」
律「あーも、澪、ネタバレすんなよ」
春原「てめぇ、話盛ってんじゃねぇよ、デコっ」
132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 13:58:51.36:1qYNd8dxO
律「あぁん? 春原のくせに反抗的だな、おい」
春原「“さん”をつけろよ、デコ助野郎っ」
どこかで聞いたことがあるような気がする…。
律「はぁ? なんであんたにさんづけなんだよっ」
春原「お約束だろっ。察せよ、ったく。空気読めないやつだなぁ」
律「存在自体が場違いなあんたに言われたくないわっ」
春原「あんだよ、やんのかデコ」
春原がファイティングポーズを取る。
律「上等だっつーの」
部長もそれに応じて構えた。
唯「はいはい、ストップ、ストーップ!」
平沢が審判のように割って入り、ふたりを制した。
澪「律、なんでそんなに喧嘩腰なんだ」
律「だってさぁ…」
唯「ふたりとも、仲直りの握手しよ、ね?」
134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:01:07.01:cUBlBpOS0
律「やだ」
春原「やだ」
春原「やだ」
唯「うわ、いきぴったり」
律「あわせんなっ」
春原「あわせんなっ」
春原「あわせんなっ」
唯「まただ」
澪「あはは、ほんとは相性いいのかも」
律「よくないっ」
春原「よくないっ」
春原「よくないっ」
紬「ふふ、またね。すごい」
唯「あははっ」
澪「ははっ」
俺たちの中に、ひとつ小さな笑いが起こる。
春原「ちっ…」
律「ふん…」
それに当てられてか、喧嘩は収まったようだった。
―――――――――――――――――――――
135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:03:01.82:1qYNd8dxO
俺と春原は食べ終わると、すぐに教室へ戻ってきた。
平沢たちはまだだべっていくつもりのようで、その場で別れていた。
平沢たちはまだだべっていくつもりのようで、その場で別れていた。
唯「やっほ、岡崎くん」
と、戻ってきたようだ。
唯「今日は付き合ってくれてありがとね」
朋也「ああ、まぁ、俺はなにもしてないけど」
ほとんど春原が牽引していたように思う。
唯「そんなことないよ。澪ちゃんにパン買ってあげてたし」
朋也「ああ…それか」
唯「うん、それだよ」
言って、席に着く。
唯「いやぁ、でも、学食おいしかったよ。満足満足~」
朋也「そっか」
唯「それに、いつもよりにぎやかで楽しかったし」
唯「岡崎くんはどうだった? 私たちと食べて」
朋也「騒がしかったよ」
136:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:03:26.85:cUBlBpOS0
唯「それだけ?」
朋也「ああ」
唯「ぶぅ、もっとなんかあるでしょ~」
朋也「まぁ、退屈はしなかったかな」
唯「ほんとに? なら、また一緒に食べようね」
朋也「気が向いたらな」
唯「うん、約束ね」
―――――――――――――――――――――
………。
―――――――――――――――――――――
そして、迎えた放課後。
律「ほんじゃ、これみんな運んどいて」
俺にはよくわからないが、スピーカーやらなにやらがずらっと並べられていた。
春原「あのドラムはおまえが持ってけよ。自分のだろ」
律「私は両手がふさがってるから。ほら」
137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:04:43.53:1qYNd8dxO
スティックを両手でもち、春原に示した。
春原「そんなもんどうとでもなるだろっ」
律「うるせぇなぁ。なんのためにあんたらがいるんだよ」
律「こういう汚れ仕事をするためだろ?」
澪「汚れって…ただの力仕事だろ」
律「とにかく、私たちは先にいってコードの配線とかやっとくから」
律「じゃ、がんばってねん」
部室から、いの一番に出ていった。
澪「ああ、もう、あいつは…」
澪「あの、私たちも運ぶんで、安心してください」
朋也「いいよ。おまえらも行っててくれ」
澪「え? でも…」
春原「おい、岡崎…」
朋也「部長の言った通りだ。こういうことをするために俺たちがいるんだからな」
唯「いいの? 岡崎くん」
138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:05:02.54:cUBlBpOS0
朋也「ああ」
唯「そっか。それじゃ、おねがいね」
朋也「任せろ」
唯「いこう、澪ちゃん、あずにゃん、ムギちゃん」
澪「う、うん…。それじゃ、お願いします」
梓「お願いします」
紬「よろしくね」
平沢たちも出ていった。
春原「はぁ…これ全部だぜ。おまえ、カッコつけすぎな」
朋也「いいから、運ぶぞ」
春原「へいへい…」
―――――――――――――――――――――
春原「あ~、疲れた」
言われていた物は全て運び込み、設営も整った。
軽音部の連中は、実際に音を出してなにか確認しているようだった。
時計を見てみる。
ライブが始まると聞いた時間までまだ30分はあった。
軽音部の連中は、実際に音を出してなにか確認しているようだった。
時計を見てみる。
ライブが始まると聞いた時間までまだ30分はあった。
139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:06:21.60:1qYNd8dxO
だが、ちらほらと生徒が講堂に入ってきていた。
春原「おい、二年とか三年までいるぞ。暇なやつらだなぁ」
おまえが言うな。
―――――――――――――――――――――
開演時間5分前となった。
すでに席は埋め尽くされている。
それだけにとどまらず、立って見ているやつらもいた。
すでに席は埋め尽くされている。
それだけにとどまらず、立って見ているやつらもいた。
春原「おい、出ようぜ、岡崎」
俺たちも席に座らず、一番後ろで壁に寄りかかっていたのだが…
もう、ここまで人が詰まってきていた。春原の言い分もわかる。
正直、うっとうしい。
もう、ここまで人が詰まってきていた。春原の言い分もわかる。
正直、うっとうしい。
朋也「そうだな」
俺も出ることにした。
最後にと、一度ステージに目をやる。
すると、偶然平沢と目が合った…気がした。
最後にと、一度ステージに目をやる。
すると、偶然平沢と目が合った…気がした。
唯「………っ!」
平沢は、ステージから大きく手を振っていた。
朋也「………」
140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:06:41.02:cUBlBpOS0
振り返したほうがいいのだろうか…今から出ていくというのに。
少しの間考える。
少しの間考える。
朋也(あんな愛想振ったあと、出てかれるの見ると、士気が下がるかもしれないよな…)
なら、やっぱりここで見ていたほうが…
男子生徒1「唯ちゃんこっちに手振ってね?」
男子生徒2「俺にむいてね? 俺じゃね?」
男子生徒1「ははっ違いすぎる。あ、でも振り返してみれば?」
男子生徒2「っおまえ。むり、はずすぎる」
近くにいた奴らの会話が聞こえてきた。
こいつらは平沢の知り合いかなにかなんだろうか。
だとしたら、あれは俺ではなくこいつらにむけられたものだったのか。
こいつらは平沢の知り合いかなにかなんだろうか。
だとしたら、あれは俺ではなくこいつらにむけられたものだったのか。
朋也(はっ…なに勘違いしてんだ、俺…)
一瞬でも自分に向けられたものだと思ってしまったのが恥ずかしい。
止まりかけた体を再び動かし、外に出た。
止まりかけた体を再び動かし、外に出た。
―――――――――――――――――――――
唯『新入生のみなさん、御入学おめでとうございます』
講堂の中から平沢の声が漏れ聞こえてきた。
自分が軽音部に入ったいきさつなどを喋っているようだ。
自分が軽音部に入ったいきさつなどを喋っているようだ。
142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:08:07.56:1qYNd8dxO
………。
唯『…こんな私でも一生懸命になれることをみつけることができました』
唯『すごく練習をがんばってきた、なんて胸を張っていえませんが…』
唯『でも、今まですごく楽しくてやってこれて…とても充実してました』
唯『みなさんも、私たちと一緒にバンド、やってみませんか?』
春原「なぁ、岡崎。場所移らない? 別に、こんなとこで待ってなくてもいいと思うんだけど」
俺たちは講堂の入り口付近の壁に背中を預けるようにして座り込んでいた。
朋也「…ああ、だな」
立ち上がり、歩き出す。
去っていったその場所からは、軽音部の演奏が僅かに届いてきていた。
去っていったその場所からは、軽音部の演奏が僅かに届いてきていた。
―――――――――――――――――――――
学食まで訪れて、ジュースを購入する。
そして、適当なテーブルについた。
そして、適当なテーブルについた。
春原「あ~あ、ムギちゃんのケーキも今日までかぁ」
春原「なんか、惜しいなぁ」
朋也「だったら、入部でもしろよ」
143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:08:31.41:cUBlBpOS0
春原「はっ、馬鹿いうなよ。楽器なんか興味ないね」
春原「それに、音楽はボンバヘッで全て事足りるしね」
朋也「あ、そ…」
何も言うまい。
春原「でも、ムギちゃんなら頼めばくれそうだよね。軽音部となんの関係もなくなってもさ」
朋也「表立って断られはしないだろうけど、裏ではおまえを始末する計画練り始めるだろうな」
春原「んなことする子じゃねぇよ。それに、けっこうフラグたってたと思うし」
朋也「はぁ?」
春原「わからない? あの、ムギちゃんが僕を見る目の熱っぽさが」
朋也「わかるかよ…」
春原「おまえはまだまだ青いねぇ。あとちょっとで落とせるとこまできてんだよ」
どう考えてもこいつの思い込みだった。
春原「そろそろ、呼び捨てしてもいい時期かもね」
春原「あ、それから、住所と電話番号もつきとめてさ、毎日一緒に登下校したり…」
春原「軽い恋人同士のいたずらで、無言電話してみたりとかね、ぐっへへ」
144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:10:38.69:1qYNd8dxO
もはやストーカーになっていた。
朋也(ふぅ…)
妄想に浸る春原を視界からフェードアウトさせる。
椅子に体重をかけ、体を少しのけ反らせてから天井を見つめた。
椅子に体重をかけ、体を少しのけ反らせてから天井を見つめた。
―――…こんな私でも一生懸命になれることをみつることができました
平沢の言葉を思い出す。
朋也(一生懸命、ね…)
体勢を戻し、一気にジュースを飲み干す。
かつては、俺も…そして、春原もそんな風だったのかもしれない。
今では、そんな奴と関わることさえ嫌になってしまうほどだったが。
だが、なぜか今、平沢には…軽音部の連中には普通に接してしまっている。
かつては、俺も…そして、春原もそんな風だったのかもしれない。
今では、そんな奴と関わることさえ嫌になってしまうほどだったが。
だが、なぜか今、平沢には…軽音部の連中には普通に接してしまっている。
朋也(なんでだろうな…)
俺は空になった空き缶を持ち直し、ゴミ箱に狙いを定め…
しゅっ
左腕で放った。
それは放物線を描き、ゴミ箱に吸い込まれていった。
それは放物線を描き、ゴミ箱に吸い込まれていった。
春原「お、ナイッシュ」
春原「おし、僕も」
145:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:11:10.20:cUBlBpOS0
空にするためか、ごくごくと残りのジュースを飲み始める。
朋也「実はさ……う○こっ!!!!!」
春原「ぶっ!!!」
ドバっ、と鼻からも液体が噴出される。
春原「いきなりなんだよっ!?」
朋也「こうなるかな、と思って」
春原「じゃあ、やるなよっ!」
朋也「いや、でもまさかうん○で笑うとは思わなかったんだよ」
春原「笑ったんじゃねぇよ。おまえの声のでかさにおどろいたのっ」
朋也「あ、そ」
春原「ったく…くだらないことすんなよな…」
―――――――――――――――――――――
朋也(そろそろか…)
終了時間も間近にせまっていた。
今から行けば、ちょうど終わった頃につけるだろう。
今から行けば、ちょうど終わった頃につけるだろう。
朋也「春原、いくぞ」
146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:13:04.99:1qYNd8dxO
春原「ちょっとまって、あと少しで読み終わるから」
春原は途中学校を出て、コンビニで漫画雑誌を買ってきていた。
朋也「先にいってるぞ」
春原「あー、うん。わかった」
雑誌を読みながら、気の無い返事。
俺は春原をその場に残し、ひとり講堂へ向かった。
俺は春原をその場に残し、ひとり講堂へ向かった。
―――――――――――――――――――――
「アンコールっ! アンコールっ!」
つくなり、聞えてくる観客の声。
唯『えへへ…みんな、ありがとう! じゃあもう一曲…』
続いて、平沢の声がして、演奏が始まった。
扉を開けてみる。
扉を開けてみる。
―――――――――――――――――――――
場内は熱気に包まれ、蒸し暑かった。
その中で軽音部の連中が演奏している。
ボーカルは、平沢と、秋山だった。
扉を閉め、中に入り、しばしそのまま聴き入る。
その中で軽音部の連中が演奏している。
ボーカルは、平沢と、秋山だった。
扉を閉め、中に入り、しばしそのまま聴き入る。
女生徒1「お姉ちゃん、すごい…」
147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:13:27.09:cUBlBpOS0
女生徒2「憂のお姉さん、演奏してる時はかっこいいよね」
女生徒1「うんっ」
朋也(お姉ちゃん…?)
近くにいた女生徒の話が、大音量の中かすかにきこえてきた。
朋也(あいつらの中の、誰かの妹か…)
暗くて顔はあまりみえなかったので、誰の妹かは見当がつけられなかった。
きぃ
春原「ありゃ、まだやってんの」
扉を開け、春原が入ってきた。
朋也「アンコールだと」
春原「ふぅん…」
春原もその場にとどまり、演奏を聴き始めた。
すぐに引き返して雑誌の続きでも読み始めるかと思ったのだが…。
すぐに引き返して雑誌の続きでも読み始めるかと思ったのだが…。
春原「………」
ステージの上、あいつらは本当に楽しそうに演奏していた。
練習の時にも見たが、本番ではよりいっそういきいきとしている。
練習の時にも見たが、本番ではよりいっそういきいきとしている。
148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:14:56.72:1qYNd8dxO
春原「……絶対、ボンバヘッのほうがいいっての」
そうこぼしたのは、強がりだったのか。
俺たちと、あいつらのいる場所、その距離に対しての。
俺たちと、あいつらのいる場所、その距離に対しての。
―――――――――――――――――――――
ライブも終わり、観客も捌けはじめた。
一度外に出て、そのまま待つ。
一度外に出て、そのまま待つ。
―――――――――――――――――――――
場内が空いてくると、中に入ってステージに向かった。
唯「岡崎くんっ!」
機材を片していた平沢が俺に気づき、あげた第一声。
唯「私、手振ったよね? 気づいたでしょ? なんで出てっちゃったの?」
ああ…あれはやっぱり、俺に振っていたのか。
勘違いではなかったようだ。
勘違いではなかったようだ。
朋也「悪い。気づかなかった」
唯「嘘だよっ。目もあったじゃん」
朋也「おまえ、目いいな。俺、わからなかったよ」
唯「えぇ~、でも、ちょっと止まったじゃん…」
149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:15:20.99:cUBlBpOS0
朋也「暗かったからな。慎重に動いてたら、そうなったんだ」
唯「そうなの…?」
朋也「ああ」
唯「そっか…」
なんとかごまかせたようだ。
朋也(って、別に嘘つくようなことでもなかったか…)
正直に、勘違いしてたら恥ずかしいから、と言えばよかったのに。
俺はなにを見栄張ってるんだか…。
俺はなにを見栄張ってるんだか…。
唯「はぁ、春原くんもすぐ出てっちゃうし…ふたりにも聴いててほしかったのに」
朋也「最後のは聴いてたよ。な」
春原「ああ、まぁね」
唯「あ、じゃあやっぱりあの時入ってきたの、岡崎くんと春原くんだったんだ」
唯「背格好で、なんとなくそうなんじゃないかと思ってたんだ」
朋也「そっか」
唯「うん。どうだったかな? 私、メインで歌ってたんだけど…」
それは、会場の沸き具合がそのまま答えになっていた。
151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:16:31.19:1qYNd8dxO
だめだったら、あそこまで盛り上がるはずがない。
朋也「よかったんじゃないか」
唯「ほんとに?」
春原「そこそこね」
唯「そこそこかぁ…じゃ、まだまだだね、私も」
言って、微笑む。
前向きな奴だった。
前向きな奴だった。
律「おーい、岡崎に春原。こっちの、もう運んどいてっ」
舞台の端で部長が呼んでいた。
春原「ふぁー、めんどくさ…」
―――――――――――――――――――――
機材の往復も終わり、部室では軽い打ち上げが行われていた。
紬「みんな、おつかれさま」
琴吹がティーカップに紅茶を淹れ始める。
律「ムギもおつかれだろ~。だから、今日はお茶はセルフサービスな」
紬「あら、そう?」
152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:16:55.83:cUBlBpOS0
律「うん。今淹れた分はムギのってことで」
春原「僕はムギちゃんが淹れたのが飲みたかったけどね」
紬「そう? なら、やっぱり私が…」
律「いいよ、ムギ。座ってなって」
座っていろ、と身振りで示す。
律「春原…あんた、部員でもないのにちゃっかり打ち上げに参加しやがって…」
律「あまつさえ自分のために働かせるって、どういう脳みそしてんだよっ」
澪「い、いいじゃないか。ふたりのおかげで、今日はほんとに助かったし…」
春原「だそうだ」
律「くむむ…だとしても、あんまり調子に乗るなよなっ」
澪「とりあえず、淹れてから乾杯しようか」
唯「さんせーい」
全員がカップに紅茶を淹れ、中央に寄せ合った。
唯「春原くんと岡崎くんも」
朋也「俺たちもか」
153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:18:14.46:1qYNd8dxO
唯「うん」
誘いを受け、俺と春原もそこに混じる。
ちんっ
軽く触れて乾杯し、一斉に飲み始めた。
律「くぅ~、うんめぇ~。一仕事終えた後の一杯は格別だな」
澪「オヤジ臭いな…お酒じゃないんだぞ…」
唯「今日は大成功だったよね。アンコールももらったし」
唯「入ろうと思ってくれた人がたくさんいてくれればいいなぁ」
梓「大丈夫ですよ。今日の出来はすっごく良かったですから」
唯「あずにゃん…うん、そうだよね」
唯「これで、あずにゃんに後輩ができるといいね」
梓「後輩ですか」
律「今回、それで唯が一番張り切ってたんだぞ」
律「今年部員が入らないと来年梓がひとりになってかわいそうだから~ってな」
澪「それがあの着ぐるみにつながったわけだけどな…」
154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:18:38.05:cUBlBpOS0
澪「でも、梓も思わなかったか。いつもより音に気合が入ってるって」
梓「そういえば…」
唯「えへへ。私、がんばったんだよ? ほめて、あずにゃんっ」
梓「わっ…」
抱きつき、頬を寄せる。
梓「もう…唯先輩は…」
抵抗せず、されるままになっていた。
律「お? 今日は嫌がらないな?」
梓「う…そ、それは…そんな話聞いたあとですし…」
唯「やった! ついにあずにゃんが私の支配下に!」
梓「し、支配ってなんですか…や、やっぱり離れてください」
ぐいぐいと懸命に平沢を引きはがしている。
唯「あっ、ちぇ…」
密着状態が終わる。
紬「くす…唯ちゃん、支配下に置くにはまだ調教が足りなかったようね」
155:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:20:02.06:1qYNd8dxO
ばっ、と全員が琴吹に振り返る。
紬「? どうかした?」
律「いや…うん…」
澪「ムギって…時々…いや、なんでもない…」
梓「ムギ先輩…」
春原「…僕はそういうのもアリかな…ははっ…」
紬「?」
琴吹だけがわかっていなかった。
―――――――――――――――――――――
春原「おまえ、さわちゃんからなんか聞いてる?」
コタツから上体だけ起こし、訊いてくる。
朋也「いや、なにも。でも昨日、これで終わりじゃないみたいなこと言ってたけど」
寝転がったまま答える。
明日以降なにをするかは聞いていない。
多分、明日の放課後にでも通達がくるのではないかと踏んでいるのだが。
明日以降なにをするかは聞いていない。
多分、明日の放課後にでも通達がくるのではないかと踏んでいるのだが。
春原「そっか。じゃあさ、このままバックレても大丈夫かな」
156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 14:20:29.67:cUBlBpOS0
朋也「さぁな。でも、担任だからな。逃げられんだろ」
春原「近づいてきたらダッシュで逃げればいいじゃん」
朋也「あの人なら絶対追ってくるぞ」
春原「僕の俊足なら振り切れるさ」
朋也「おまえにそんなイメージないからな」
というか、そもそもそういう物理的な問題でもない気がする。
春原「おまえ、知らねぇの? ちまたで噂のエスケープ春原の異名を」
情けなすぎる異名だった。
朋也「知らねぇよ…そんなもん初耳だ」
春原「どんな手段を使っても逃げ切る男として恐れられてるんだぜ?」
逃げているのに恐れられるなんてことがあるのか。
春原「へっ、これでまた僕の実績が増えるね」
朋也「そうか、よかったな」
逃げの歴史に新たな一行が加えられることがそんなにうれしいのだろうか。
なぜそんなことを誇っているのかよくわからない…。
なぜそんなことを誇っているのかよくわからない…。
朋也(やっぱ、アホなんだろうな…)