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  • 自分用SSまとめ
  • 朋也「軽音部? うんたん?」 4/17 土 ①

自分用SSまとめ

朋也「軽音部? うんたん?」 4/17 土 ①

最終更新:2011年05月09日 16:41

meteor089

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管理者のみ編集可

朋也「軽音部? うんたん?」

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377:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:24:27.59:1qYNd8dxO


4/17 土

唯「あ、おはよ~」

女の子「おはようございます」

朋也「ん…」

平沢と、その隣にもうひとり。
髪を後ろで束ねた女の子がいた。校章の色は、二年のものだ。

唯「岡崎くん、やったねっ。合格だよっ」

朋也「なにが」

事情が飲み込めない。

唯「前に言ったでしょ? もう少し早く来れば私の妹と一緒にいけるって」

そういえば、言っていたような…。

唯「これが、私の妹でぇす」

女の子「初めまして。平沢憂です」

平沢に大げさな手振りで賑やかされながら、そう名乗った。

朋也「はぁ、どうも…」

見た感じ、妹というだけあって、顔はよく似ていた。


378:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:24:55.60:cUBlBpOS0


雰囲気的には平沢に比べ少し堅い感じがある。
まぁ、それも、見知らぬ上級生に対する、作った像なのかもしれないが。

憂「岡崎さんのことは、お姉ちゃんからよく聞いてます」

朋也「はぁ…」

なにを言われているんだろう。

憂「聞いてた通りの人ですね」

朋也「あん? なにが」

憂「お姉ちゃん、よく岡崎さんのこと…」

唯「あ、憂っ、あそこっ、アイスが壁にめり込んでるっ」

憂「え? どこ?」

唯「あ~、残念、もう蒸発してなくなっちゃった」

憂「えぇ? ほんとにあったの?」

唯「絶対間違いないよっ、多分っ」

憂「どっちなの…」

朋也(にしても…うい、ねぇ…う~む…)

俺は、その響きに引っかかりを覚えていた。


379:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:26:11.53:1qYNd8dxO


どこかでその名を聞いた気がする。

朋也(どこだったかな…)

記憶をたどる。
そう…あれは確か、軽音部の新勧ライブの日だったはずだ。
薄暗い講堂の中、会話が聞えてきた。
そこで、お姉ちゃん、と言っていたのが、その うい という子だった。
とすると…あの時、あの場に居たのはこの子だったのだ。

憂「あの…どうかしましたか?」

はっとする。
俺は考え込んでいる間、ずっとこの子を凝視してしまっていた。
さすがにそんなことをしていれば、不審に思われても仕方ない。
ただでさえ、俺は生来の不機嫌そうな顔を持っているのだ。
よく人に、怒っているのかと聞かれるくらいに。

朋也「いや、なんでも」

精一杯の作り笑顔でそう答えた。
不自然さを気取られて、さらに引かれていないだろうか…。
それだけが心配だった。

唯「私たち、ちょうどさっき来たばっかりなんだよ」

朋也「そうなのか」

唯「うん。でね、なんか、予感してたんだ」


380:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:26:32.99:cUBlBpOS0


朋也「予感?」

唯「うん。そろそろ岡崎くんが来るんじゃないかってね」

朋也「そら、すげぇ第六感だな。大当たりだ」

唯「違うよぉ。そんなのじゃないって」

唯「岡崎くん、日に日に来るの早くなってたでしょ。それでだよ」

今週はずっと朝から登校してたからな…。
そろそろ体が慣れてきたのかもしれない。
といっても、相変わらず眠りにつくのは深夜だったから、今も眠気はたっぷりあるが。
どうせまた、授業中は寝て過ごすことになるだろう。

唯「ずっとがんばり続けてたから、今日はこんなボーナスがつきました」

妹を景品のようにして、俺の前面にすっと差し出した。

朋也「じゃあ、さらに早くきたらどうなるんだ」

唯「え? えーっとね…」

しばし考える。

唯「どんどん憂の数が増えていきますっ」

憂「お、お姉ちゃん…」

朋也「そっか。なら、あと三人くらい増やそうかな」


382:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:27:49.13:1qYNd8dxO


憂「ええ!? お姉ちゃんの話に乗っちゃった!?」

憂「っていうか、私は一人しかいませんよぅ」

唯「そうなの?」

憂「常識的に考えてそうだよぉ、もう…」

唯「憂なら細胞分裂で増えるくらいできるかなぁと思って」

憂「それ、もはや人じゃないよね…」

妹のほうは姉と違って普通の感性をしているんだろうか。
突拍子も無いボケに、冷静な突っ込みを入れていた。

唯「じゃ、そろそろいこっか」

憂「うん」

ふたりが歩き出し、俺もそれに続いた。

―――――――――――――――――――――

唯「あーあ、とうとう全部散っちゃったね、桜」

憂「そうだね」

平沢姉妹と共に坂を上っていく。
これを、両手に花、というんだろうか…。
意識した途端、なんとも気恥ずかしくなる。


383:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:28:14.98:cUBlBpOS0


朋也(ホストじゃあるまいし…)

俺はワンテンポ遅れて、後ろを歩いた。

憂「岡崎さん、どうしたんですか?」

その変化に気づいたのか、後ろにいる俺に振り返った。

朋也「いや、別に」

唯「ああっ、わかった! 憂、気をつけないとっ」

憂「え? なに?」

唯「岡崎くん、坂で角度つけて私たちのスカートの中覗こうとしてるんだよっ」

憂「え? えぇ?」

その、覗く、という単語に反応してか、周りの目が一瞬俺に集まった。

朋也(あのバカ…)

朋也「んなわけねぇだろっ」

俺は一気にペースを上げ、ふたりを抜き去っていった。

唯「あ、冗談だよぉ。待ってぇ~」

憂「岡崎さん、早いですっ」


384:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:30:17.61:1qYNd8dxO


ぱたぱたと追ってくる元気な足音が後ろからふたつ聞こえていた。

―――――――――――――――――――――

唯「もう許してよぉ…ね?」

下駄箱までずっと無視してやってくる。
平沢はさっきから俺の周囲をうろちょろとして回っていた。

朋也「………」

憂「あれは、お姉ちゃんが悪いよ、やっぱり」

唯「うぅ、憂まで…」

朋也「よくわかってるな」

俺は妹の頭に手を乗せ、ぽんぽんと軽くなでた。

憂「あ…」

唯「………」

それを見ていた平沢は、片手で髪を後ろでまとめ…

唯「私が憂だよっ。憂はこっちだよっ」

微妙な裏声でそういった。

朋也(アホか…)


385:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:33:39.35:cUBlBpOS0


だが、同時に毒気も抜かれてしまった。

朋也「似てるけど、あんま似てない」

平沢の頭にぽん、と触れる。

唯「あ、やっと喋ってくれたっ」

憂「よかったね、お姉ちゃん」

唯「うん。えへへ」

ふたりして、喜びを分かち合う。
仲のいい姉妹だった。

梓「…おはようございます」

いつの間にか、軽音部二年の中野が近くに立っていた。
こいつも、今登校してきたんだろう。

唯「あっ、あずにゃん。おはよう」

憂「おはよう、梓ちゃん」

梓「うん、おはよう憂」

梓「………」

じろっと俺を睨む。
そして、平沢の手を引いて俺から離した。


386:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:35:08.36:1qYNd8dxO


唯「あ、あずにゃん?」

そして、俺の方に寄ってくる。

梓「…やっぱり、仲いいんですね。頭なでたりなんかして…」

ぼそっ、と不機嫌そうにささやいた。

梓「しかも、憂にまで…」

朋也「いや、ふざけてただけだって…」

梓「へぇ、そうですか。先輩はふざけて女の子の頭なでるんですか」

梓「やっぱり違いますね、女の子慣れしてる人は」

朋也「そういうわけじゃ…」

言い終わる前、平沢のところに戻っていった。

梓「先輩、今日も練習がんばりましょうねっ」

言って、腕に絡みつく。

唯「うんっ…って、あずにゃんから私にきてくれたっ!?」

梓「なに言ってるんですか、いつものことじゃないですか」

梓「私たち、すごく仲がいいですからね。もう知り合って一年も経ちますし」


387:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:35:26.19:cUBlBpOS0


梓「その間にかなり絆は深まってますよ。部外者がそうやすやすと立ち入れないほどに」

ちらり、と俺を見る。

唯「う…うれしいよ、あずにゃんっ」

がばっと勢いよく正面から抱きしめた。

梓「もう、唯先輩は…」

中野もそれに応え、腕を回していた。
しばしそのままの状態が続く。

梓「ほら、もう離してください」

回していた手で、とんとん、と背中を軽く叩く。

梓「続きは部活のときにでも」

唯「続いていいんだねっ!?」

梓「ええ、どうぞ」

唯「やったぁ!」

ぱっ、と離れる。

梓「憂、いこ」

憂「うん」


388:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:36:40.46:1qYNd8dxO


二年の下駄箱がある方に連れてだって歩いていく。

朋也(俺、あいつに嫌われてんのかな…)

―――――――――――――――――――――

教室に到着し、ふたりとも自分の席についた。
まだ人もそんなに多くない。
かなり余裕のある時間。俺にとっては未知の世界。
そんなに耳障りな声もなく、眠るには都合がよかった。

唯「岡崎くん」

今まさに机に突っ伏そうとしたその時、声をかけられた。

朋也「なんだ」

唯「岡崎くんたちがやってるお仕事のことなんだけどね…」

朋也「ああ」

唯「あれって、遅刻とか、サボったりしなかったら、やらなくていいんだよね?」

多分こいつはまた、さわ子さんにでも話を聞いたのだろう。
あの人は軽音部の顧問を務めているらしいし…
会話の中で、その事について触れる機会は十分すぎるほどある。

朋也「みたいだな」

唯「じゃあ、最近ずっと遅刻してない岡崎くんは、放課後自由なんだよね?」


389:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:37:04.21:cUBlBpOS0


朋也「ああ、まぁな」

唯「だったらさ…何度もしつこいようだけど…遊びにおいでよ。軽音部に」

朋也「前にも言っただろ。遠慮しとくって」

唯「でも、お昼だって私たちと一緒に食べて、盛り上がってたでしょ?」

唯「あんな感じでいいんだよ?」

朋也「それでもだよ」

唯「…そっか」

しゅんとする。

唯「やっぱりさ…」

でも、すぐに口を開いた。

唯「部活動が嫌いって言ってたこと…関係あるのかな」

朋也「………」

あの時春原が放った不用意な発言が、今になって負債となり、重くのしかかってきた。
きっかけさえ作らなければ、話題にのぼることさえなかったはずなのに。
そもそも、自ら進んで人にするような話でもない。
だが、もし、仮に…
こいつとこれからも親しくなっていくようであれば…
そうなれば、いつかは訊かれることになっていたかもしれないが。


390:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:38:47.29:1qYNd8dxO


こいつは、そういうことを気にしてしまうだろうから。
………。
俺は頬杖をついて、一度視線を窓の外に移した。
そして、気を落ち着けると、また平沢に戻す。

朋也「…中学のころは、バスケ部だったんだ」

朋也「レギュラーだったんだけど、三年最後の試合の直前に親父と大喧嘩してさ…」

朋也「怪我して、試合には出れなくなってさ…」

朋也「それっきりやめちまった」

………。
こんな身の上話、こいつにして、俺はどうしたかったのだろう。
どれだけ、自分が不幸な奴か平沢に教えたかったのだろうか。
また、慰めて欲しかったのだろうか。

唯「そうだったんだ…」

今だけは自分の行為が自虐的に思えた。
その古傷には触れて欲しくなかったはずなのに。

唯「………」

平沢は、じっと顔を伏せた。

唯「私…もう一度、岡崎くんにバスケ始めて欲しい」

そのままの状態で言った。


391:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:39:08.84:cUBlBpOS0


そして、今度は俺に向き直る。

唯「それで、みんなから不良だなんて呼ばれなくなって…」

唯「本当の岡崎くんでいられるようになってほしい」

本当の俺とはなんだろう。
こいつには、俺が自分を偽っているように見えるのだろうか。
そんなこと、意識したことさえないのに。

唯「みんなにも、岡崎くんが優しい人だって、わかってほしいよ」

ああ、そういえば…
こいつの中では、俺はいい人ということになっていたんだったか…。
だが、それも無理な相談だった。

朋也「…無理だよ」

唯「え? あ、三年生だからってこと…」

朋也「違う。そうじゃない」

もっと、根本的な、どうしようもないところで。

朋也「俺さ…右腕が肩より上に上がらないんだよ」

朋也「怪我して以来、ずっと…」

…三年前。
俺はバスケ部のキャプテンとして順風満帆な学生生活を送っていた。


392:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:40:21.55:1qYNd8dxO


スポーツ推薦により、希望通りの高校に進み、そしてバスケを続けるはずだった。
しかし、その道は唐突に閉ざされた。
親父との喧嘩が原因だった。
発端は、身だしなみがどうとか、くつの並べ方がどうとか…そんなくだらないこと。
取っ組み合うような喧嘩になって…
壁に右肩をぶつけて…
どれだけ痛みが激しくなっても、意地を張って、そのままにして部屋に閉じこもって…
そして医者に行った時はもう手遅れで…
肩より上に上がらない腕になってしまったのだ。

唯「あ…ご、ごめん…軽はずみで言っちゃって…」

朋也「いや…」

………。
静寂が訪れる…痛いくらいに。

朋也「…春原もさ、俺と同じだよ」

先にその沈黙を破ったのは俺だった。

朋也「一年の頃は、あいつも部活でサッカーやってたんだ」

朋也「でも、他校の生徒と喧嘩やらかして、停学食らってさ…」

朋也「レギュラーから落ちて、居場所も無くなって、退部しちまったんだ」

唯「そう…だったんだ…」

唯「でも…春原くんは、もう一度、サッカーできるんじゃないかな」


393:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:40:45.33:cUBlBpOS0


朋也「再入部するってことか」

唯「うん」

朋也「それは…無理だろうな。あいつ、連中からめちゃくちゃ嫌われてるんだよ」

朋也「あいつの喧嘩のせいで、今の三年は新人戦に出られなかったらしいからな」

朋也「第一、あいつ自身、絶対納得しないだろうし」

唯「でも…やっぱり、夢中になれることができないって、つらいよ」

唯「なんとかできないかな…」

朋也「なんでおまえがそんなに必死なんだよ…」

唯「だって、私も今、もうギター弾いちゃだめだって…バンドしちゃだめだって言われたら、すごく悲しいもん」

唯「きっと、それと同じことだと思うんだ」

唯「私は、岡崎くんや春原くんみたいに、運動部でレギュラーになれるほどすごくないけど…」

唯「でも、高校に入る前は、ただぼーっとしてただけの私が、軽音部に入って、みんなに出会って…」

唯「それからは、すごく楽しかったんだ。ライブしたり、お茶したり、合宿にいったり…」

唯「それが途中で終わっちゃうなんて絶対いやだもん」

唯「もっとみんなで演奏したいし、お話もしたいし、お菓子も食べたいし…ずっと一緒に居たいよ」


395:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:44:33.15:1qYNd8dxO


唯「だから、なんとかできるなら、してあげたいんだ」

唯「それじゃ、だめかな」

こいつは、自分に置き換えて考えていたらしい。
よほど軽音部が気に入っているんだろう。
その熱意が、言葉や口ぶりの節々から窺えた。
つたなくても、伝えようとしてくれるその意思も。

朋也(いや…それだけじゃないよな、きっと)

いつだってそうだった。
俺が親父を拒否して彷徨い歩いていた時も、ずっと後ろからついてきた。
朝だって、ずっと待っていた。自分の遅刻も顧みずに。

朋也「…おまえ、すげぇおせっかいな奴な」

唯「う…そ、そうかな…迷惑かな、やっぱり…」

朋也「いや…いいよ、それで」

唯「え?」

肯定されるとは思っていなかったんだろう。
それが、表情にわかりやすく現れていた。

朋也「ずっとそういう奴でいてくれ」

そんな真っ直ぐさに救われる奴もいるのだから。


396:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:45:27.63:cUBlBpOS0


…少なくとも、ここにひとり。

唯「あ…」

一瞬、固まったあと…

唯「うん、がんばるよっ」

そう、はっきりと答えた。

朋也「俺、寝るからさ。さわ子さん来たら起こしてくれ」

唯「え、ずるい! 私も寝る!」

朋也「目覚ましが贅沢言うなよ」

唯「もう、目覚まし扱いしないでよっ」

朋也「じゃ、どうやって起きればいいんだよ」

唯「自力で起きるしかないよね」

朋也「無理だな」

唯「それじゃ、私に腕枕してくれたら、起こしてあげるよ」

朋也「おやすみ」

唯「あ、ひどいっ!」


397:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:47:15.02:1qYNd8dxO


視界が暗くなる。目を閉じたからだ。
それでも、窓の方に顔を向けると、まぶたの上からでも光が眩しく感じられた。
頭を動かし、心地いい位置を模索する。
腕の隙間から半分顔を出すと、しっくりきた。
そのまま、じっとする。
次第に意識が薄れていく。
室内の静けさ、春の陽気も手伝って、すぐに眠りに落ちていった。

―――――――――――――――――――――

………。

―――――――――――――――――――――

SHRが終わり、放課となる。

朋也(ふぁ…)

昼になり、ようやく体も目覚めてくる。
一度伸びをして、血の巡りを促す。
頭にもわっとした圧迫がかかった後、脱力し、心地よく弛緩した。

唯「岡崎くん、聞いて聞いてっ」

朋也「…ん。なんだ」

唯「あのね、あした、みんなでサッカーしない?」

朋也「はぁ?」


398:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:48:19.33:cUBlBpOS0


唯「ほら、あしたって日曜日でしょ。だから、学校に集まって、やろうよ」

朋也「それは、やっぱ…」

春原のことで、なにか意図するところがあるんだろうか。

唯「…うん。なんの助けにもならないかもしれないけど…」

唯「春原くんが、少しでも夢中になれた時のこと思い出してくれたらいいなって」

やっぱり、そうだった。

朋也「俺も行かなきゃだめなのか」

唯「もちろんだよ。岡崎くんは、春原くんとすっごく仲いいからね」

朋也「いや、別によくはないけど」

唯「照れちゃってぇ~。いつも楽しそうにしてるじゃん」

朋也「それは偽装だ。フェイクだ。欺くための演技なんだ」

朋也「実際は、おたがい寝首を掻かれまいと、常に牽制し合ってるんだ」

唯「もう、変な設定捏造しないでいいよ。岡崎くんは来てくれるよね」

朋也「暇だったらな」

唯「うん、待ってるね」


399:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:50:26.99:1qYNd8dxO


まぁ、どうせ、あいつが断れば、その計画も流れてしまうのだ。
伸るか反るかで言えば、反る方の可能性が高いだろう。

春原「おーい、岡崎。飯いこうぜ」

考えていると、ちょうど春原が前方からチンタラやってきた。

唯「あ、春原くん。あのさ、あしたみんなでサッカーしない?」

春原「あん? サッカー?」

唯「うん。学校に集まってさ、やろうよ」

春原「やだよ。なんで休みの日に、わざわざんなことしなくちゃなんないだよ」

唯「練習じゃないんだよ? 遊びだよ?」

春原「わかってるよ、そのくらい。試合に出るわけでもないのに練習なんかするわけないしね」

唯「岡崎くんも来るんだよ?」

春原「え? マジ?」

驚きの表情を俺に向ける。

朋也「…まぁ、暇だったら行くってことだよ」

春原「ふぅん、珍しいこともあるもんだ」

唯「どう? 春原くんも。いつも一緒に遊んでるでしょ?」


400:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:50:56.08:cUBlBpOS0


春原「そうだけど、こいつが行くとこに、必ず僕もついていくってわけじゃないからね」

唯「ムギちゃんなら、きっとお菓子も紅茶も用意してくれると思うよ?」

春原「え、ムギちゃんもくんの?」

唯「まだ誘ってないけど、言えばきてくれると思うな」

春原「ふぅん、そっか…」

顔つきが変わる。

春原「ま、そういうことなら…行くよ」

なにかしらの下心があるんだろう。
じゃなきゃ、こいつがわざわざ休日を使ってまで動くはずがない。

唯「ほんとに? よかったぁ」

唯「それじゃあ、時間は何時ごろがいいかな」

春原「昼からなら、起きられるけど」

唯「う~ん、なら、1時くらいからでどう?」

春原「いいけど」

唯「決まりだね。集合場所は校門前でいいよね」

春原「ああ、いいよ」


401:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:52:36.62:1qYNd8dxO


唯「岡崎くんも、いい?」

朋也「ああ」

唯「じゃ、私みんなにも頼んでくるよ」

言って、席を立つ。

唯「あ、そうだ。今日も一緒にお昼どう?」

春原「どうする? おまえ、学食でいいの?」

朋也「俺は、別に」

春原「あそ。じゃ、僕も、学食でいいや」

朋也「つーことだ」

唯「じゃ、またあとで、学食で会おうねっ」

朋也「ああ」

平沢は仲間を呼び集めるため、俺たちは席を取るために動き出した。

―――――――――――――――――――――

朋也「おまえ、明日ほんとにくんのか」

春原「ああ、いくね。それで、ムギちゃんに僕のスーパープレイをみせるんだ」


402:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:53:23.39:cUBlBpOS0


春原「それでもう、あの子は僕にメロメロさ」

朋也「やっぱ、そういう魂胆か」

春原「まぁね。それよか、おまえこそ、よく行く気になったね」

春原「そういうの、好きな方じゃないだろ。なんで?」

朋也「別に…なんとなくだよ」

春原「ふぅん。僕はてっきり、平沢と居たいからだと思ったんだけど」

朋也「はぁ? なんでそうなるんだよ」

春原「だって、おまえら一緒に登校したりしてるんだろ」

どこで知ったんだろう。
こいつには言っていなかったはずなのに。

春原「それに、いつも仲よさそうにしてるじゃん」

春原「でも、付き合ってるってわけじゃなさそうだし…」

春原「両思いなのに、どっちも好きだって伝えてない感じにみえるね」

昨日同じようなことを言われたばかりだ。
傍目には、そういうふうに見えてしまうんだろうか…。

春原「ま、おまえ、そういうとこ、奥手そうだからなぁ」


403:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:55:47.13:1qYNd8dxO


朋也「勝手にひとりで盛り上がるな。まったくそんなんじゃねぇんだよ」

春原「そう怒るなって。明日は頑張ってかっこいいとこみせとけよ」

春原「おまえ、運動神経いいんだしさ」

春原「まぁ、でも、本職である僕の前では、引き立て役みたいになっちゃうだろうけどね」

朋也「そうだな。おまえの音色にはかなわないな」

春原「音色? うん、まぁ、僕のプレイはそういう比喩表現がよく似合うけどさ…」

朋也「うるさすぎて、指示が聞えないもんな」

春原「って、それ、絶対ブブゼラのこと言ってるだろっ!」

朋也「え? おまえ、本職はブブゼラ職人だろ?」

春原「フォワードだよっ!」

朋也「おいおい、素人がピッチに立つなよ」

春原「だから、ブブゼラ職人じゃねぇってのっ!」

―――――――――――――――――――――

律「いやぁ、ほんと、めでたいな」

澪「改めておめでとう、和」


404:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:56:37.42:cUBlBpOS0


紬「おめでとう」

唯「おめでと~」

和「ありがとう」

今朝のSHRで、先日の選挙結果が発表されていたのだが…
真鍋は見事、というか、順当に当選していた。
副会長はあの坂上だった。
他の役員は、興味がないのですぐに忘れてしまったが。

和「これから忙しくなるわ」

澪「大変な時は言ってくれ。力になるから」

和「ありがとね、澪」

澪「うん」

律「おい、春原。あんたのおごりで、特上スシの食券買って来いよ」

春原「ワリカンだろっ!」

そもそもそんなメニューは無い。

紬「そんなのもあるの?」

朋也「いや、あるわけない」

紬「なぁんだ。あるなら、私が出してもよかったのに」


405:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:58:40.77:1qYNd8dxO


軽く言ってのけるところがすごい。

律「セコいな、春原」

春原「るせぇよ、かっぱ巻きみたいな顔しやがって」

律「なっ、あんたなんか頭に玉子のせてんじゃねぇかよっ」

春原「あんだと!?」

律「なんだよ!?」

唯「はい、そこまで!」
紬「お昼時にね、判定? だめよ、KOじゃなきゃっ」

割って入ろうとした平沢を、横から琴吹が腕を取って制止させた。

唯「む、ムギちゃん?」

紬「嘘、ごめんなさい。冗談よ」

ぱっと手を離す。

紬「五味を止められるのはレフリーだけぇ~♪」

朋也(PRIDE…)

琴吹は謎のマイクパフォーマンスを挟みはしたが、仲裁する側に回っていた。
平沢も困惑状態から復帰すると、一緒に止めに入っていた。


406:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:59:20.56:cUBlBpOS0


―――――――――――――――――――――

妙な間はあったが、平沢と琴吹に制され、争いは一応の収まりを見せた。
両者ともそっぽを向いている。
まるで子供の喧嘩のようだった。

澪「毎回毎回…よく飽きないな…」

律「ふん…」

和「明日を機に仲良くなればいいんじゃない」

唯「そうだね。りっちゃんと春原くんは同じチームがいいかも」

律「えぇ、やだよっ」

春原「つーか、こいつもくんの?」

唯「うん。みんな来てくれるって」

律「わりぃか、こら」

春原「ふん、まぁ、明日は僕のすごさをその身をもって思い知るがいいさ」

律「あん? おまえなんか、りっちゃんシュートの餌食にしてくれるわっ」

春原「なんだそりゃ。陽平オフサイドトラップにかかって、泣きわめけ」

律「なにぃ? りっちゃんサポーターたちが暴動起こしてもいいのか?」


407:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 18:01:13.21:1qYNd8dxO


春原「んなもんは陽平ボールボーイで鎮圧できるね」

律「むりむり。りっちゃんラインズマンがすでに動きを抑えてるから」

春原「卑怯だぞ! 陽平訴訟を起こしてやるからな!」

律「あほか。こっちにはりっちゃん弁護士がついてるんだぞ」

律「あきらめて、『敗訴』って字を和紙に達筆な字で書いとけ」

律「それで、その紙を掲げて泣きながらこっちに走ってこいよ、はっははぁ!」

澪「もはや、サッカー全然関係ないな…」

―――――――――――――――――――――

食事を済ませ、連中と別れる。
春原は今日もまた奉仕活動に駆り出されていってしまった。
月曜日の時同様、俺はひとりになってしまい、暇な時間が訪れる。
差し当たっては、学校を出ることにした。

―――――――――――――――――――――

家に帰りつき、着替えを済ませて寮に向かう。

―――――――――――――――――――――

道すがら、スーパーに菓子類を買いに寄った。
資金源は、芳野祐介を手伝った時のバイト代だ。
もう先週のことだったが、無駄遣いもしなかったので、まだ全然余裕があるのだ。




408:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 18:01:54.47:cUBlBpOS0


―――――――――――――――――――――

買い物を終え、店から出る。
レジ袋の中には、スナック菓子、アメ、ソフトキャンディーなどが入っている。
その中でも一番の目玉は、「コアラのデスマーチ」という、新発売のチョコレートだ。
パッケージには、重労働に従事させられるコアラのキャラクター達が描かれている。
当たりつきで、ひとつだけ過労死したコアラが居るらしい。
製造会社の取締役も、よくこんなものにゴーサインを出したものだ。
なにかの悪い冗談にしか見えない。

声「あれ…岡崎さんじゃないですか」

突っ立っていると、横から声をかけられた。

憂「こんにちは」

朋也「ああ…妹の…」

見れば、向こうも俺と同じで私服だった。
プライベート同士だ。

憂「憂です。もう忘れられちゃってましたか?」

朋也「いや…覚えてるよ」

朋也「憂…ちゃん」

呼び捨てするのもどうかと思い、ちゃんをつけてみたが…
どうも、呼びづらい。
かといって、平沢だと、姉と同じで区別がつかず、座りが悪いような…。


409:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 18:03:24.88:1qYNd8dxO


憂「岡崎さんもお買い物ですよね」

朋也「ああ、そうだよ」

憂「なにを買ったんです?」

俺が手に持つレジ袋に興味を示してきた。

朋也「菓子だよ」

憂「あ、いいですね、お菓子。私も、余裕があれば買いたかったなぁ」

その、余裕とは、金の問題じゃなく、持てる量のことを言っているんだろう。
この子は、買い物バッグを両手で持っていたのだ。
そしてそのバッグの口からは、野菜やらビンやらが顔を覗かせている。
もう容量に空きがない、といった感じで膨らんでいた。

憂「これですか? 夕飯の材料と、お醤油ですよ」

憂「お醤油がもう切れそうだったから、買いに来てたんです」

憂「そのついでに、夕飯の材料も買っておこうかと思いまして」

朋也「ふぅん、そっか…」

しかし、重そうだ。

朋也「自転車で来てたりするのか」

憂「いえ、カゴに入りきらないだろうと思って、歩きですよ」


410:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 18:04:04.54:cUBlBpOS0


ということは、これを持ったまま、家まで歩いていくことになるのか。
それは、少しキツそうだ。

朋也「それ、俺が持とうか?」

憂「え?」

朋也「いや、家までな」

憂「いいんですか? 岡崎さん、これからなにか予定ありませんか?」

朋也「ないよ。暇だから、手伝ってもいいかなって思ったんだよ」

憂「でも、悪いですよ、さすがに…」

朋也「いいから、貸してみ」

憂「あ…」

少し強引に奪い取った。
ずしり、と重みが伝わってくる。

朋也「憂ちゃんは、こっちを持ってくれ」

俺の菓子が入ったレジ袋を渡す。

憂「あ、はい…」

できてしまった流れに戸惑いながらも、受け取った。


411:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 18:05:23.83:1qYNd8dxO


朋也「じゃ、いこうか」

憂「は、はい」

―――――――――――――――――――――

ふたり、肩を並べて歩く。
俺はほとんど自宅へ引き返しているようなものだった。
平沢の家とはだいたい同じ方角にあるからだ。

憂「重くないですか?」

朋也「ああ、このくらい、平気だよ」

憂「すごいですね。私、休みながら行こうと思ってたのに」

朋也「まぁ、女の子は、それくらいが可愛くて、丁度いいんじゃないか」

憂「そうですか?」

朋也「ああ」

憂「私は、軽々と片手で持ってる岡崎さんは、男らしくていいと思いますよ」

朋也「そりゃ、どうも」

憂「どういたしまして」

にこっと笑顔になる。やっぱり、その笑顔も平沢によく似ていた。
さすが姉妹だ。髪を下ろせば、見分けがつかなくなるんじゃないだろうか。


412:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 18:05:49.10:cUBlBpOS0


朋也「そういえば、平沢の弁当とか、憂ちゃんが作ってるんだってな」

憂「そうですね、私です」

朋也「これだって、おつかいとかじゃなくて、自分で作るために買ったんだろ」

バッグを手前に掲げてみせる。

憂「はい、そうです」

朋也「えらいよな」

憂「そんなことないですよ」

朋也「いや、親も、めちゃくちゃ助かってると思うぞ。なかなかいないよ、そんな奴」

憂「いえ、うちのお父さんとお母さんは、昔から家を空けてることが多いんですよ」

憂「今だって、どっちもお仕事で海外に行ってて、いないんです」

憂「だから、家事は自然とできるようになったんです」

憂「っていうか、しなきゃいけなかったから、って感じなんですけどね」

朋也「ふぅん…」

そうだったのか…。
なら、平沢も家事が器用にこなせたりするんだろうか。
でも、前に、弁当を妹に作ってやれ、と言われ、無理だと即答していたことがあるし…。
あいつは、掃除や洗濯を主にやっているのかも。


413:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 18:07:01.70:1qYNd8dxO


朋也「ま、それでもえらいことには変わりないよ」

朋也「だからさ、ご褒美っていうと、ちょっとアレかもだけど…」

朋也「俺の菓子、好きなのひとつ食っていいぞ」

憂「いいんですか?」

朋也「ああ」

憂「ありがとうございますっ」

憂「どれにしようかな…」

袋の中を覗く。
そして、おもむろに一つ取り出した。

憂「…コアラのデスマーチ?」

よりにもよって、それか。

朋也「なんか、新発売らしいぞ」

憂「絵が怖いです。名前もだけど…」

朋也「コアラがムチでしばかれてるだろ。そこは、コアラがコアラに管理される施設なんだ」

朋也「上級コアラと下級コアラがいて、その支配構造がうまく機能しているらしい」

憂「やってることが全然かわいくないです…」


415:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 18:07:21.73:cUBlBpOS0


朋也「ま、食ってみろよ。味とストーリ-は関係ないだろうからさ」

憂「はい…」

開封し、中から一個取り出した。

憂「わぁっ、岡崎さん、この子、し、死んでますっ」

朋也「それ、当たりだ」

なんて強運な子なんだろう。
一発目から引き当てていた。

憂「当たりって…」

朋也「その死体食って、供養してやってくれ」

憂「うぅ…死体なんて言わないでくださぁい…」

目を潤ませながら半分かじる。

憂「あ…イチゴ味だ…おいしい」

朋也「臓器と血みたいなのが出てきてないか、その死体」

憂「イチゴですよぉ…生々しく言わないでくださいよぉ…」

―――――――――――――――――――――

憂「ありがとうございました」


416:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 18:08:38.19:1qYNd8dxO


朋也「ああ」

平沢家の手前まで無事荷物を運び終え、そこで手渡した。
ここで俺の役目も終わりだった。

憂「それから…すみませんでした」

朋也「いや、いいって」

憂「でも…結局、私が全部食べちゃって…」

ここまで来る間、憂ちゃんは俺の菓子を完食してしまっていた。
それも、俺が譲ったからなのだが。
喜んでくれるのがうれしくて、次々にあげていってしまったのだ。

憂「あの、よければ、ホットケーキ作りますけど…食べていきませんか?」

朋也(ホットケーキか…)

普段甘いものが苦手な俺だが、時に、体が糖分を欲することがある。
それが、まさに今日だった。
だからこそ、スーパーで駄菓子なんかを買っていたのだ。
どうせなら、そんな既製品を買い直すよりも、手作りの方が味があっていいかもしれない。
加え、両親は現時点で不在だとの言質が取れていたため、俺の気も楽だった。
家に上がらせてもうらうにしても、とくに抵抗はない。
ただ、女の子とふたりきり、という状況が少し気になりはしたが。

朋也「いいのか?」

憂「はいっ、もちろん」




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