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  • 朋也「軽音部? うんたん?」 4/24 土

自分用SSまとめ

朋也「軽音部? うんたん?」 4/24 土

最終更新:2011年05月09日 16:56

meteor089

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管理者のみ編集可

朋也「軽音部? うんたん?」

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18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:09:27.88:1qYNd8dxO


4/24 土

試合当日。ついにこの日がやってきた。
向こうの話によれば、試合は放課後になってからすぐ行われるとのことだった。
昼食を摂ってからでは、バスケ部の練習に差し支えがあるらしい。
だが、試合時間自体は10分と短く、多少腹が減っていても問題なさそうだった。

春原「でも、ちょっと計算外だったよね」

春原「まさか、うちのバスケ部の、ほぼ全体を揃えてくるなんてさ」

朋也「ああ、そうだな」

つまり、その中には当然レギュラー陣も入っているわけで。
そいつらが出てくるなら、俺たちが勝てる可能性は限りなく低いだろう。
本当に、さわ子さんという保険があってよかった。つくづくそう思う。

春原「ま、僕たちが勝つことに変わりはないけどさ」

朋也「そうなりゃいいけどな」

春原「へっ、なるさ」

―――――――――――――――――――――

放課後。
メンバー全員で体育館に集まる。憂ちゃんも、少し遅れて駆けつけてくれた。
ふと、入り口から覗けた館内は、閑散として見えた。
広さに対して、居る人間の数が少ないからだ。
集まったのは、俺たちと、バスケ部、それと、ファンクラブの連中のみだった。


19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:10:35.76:cUBlBpOS0


他に体育館を使うクラブの姿はない。
この時間は本来、大多数の生徒にとって、昼休憩になっているはずだからだろう。

男子生徒「ああ、来た?」

体育館に足を踏み入れると、すぐにファンクラブの男がやってきた。
この試合の段取りを組んだ奴だ。
薄々思っていたが、やっぱり、こいつが現代表なんだろう。

春原「おう、来てやったぜ」

男子生徒「絶対あの約束は守れよ」

春原「わかってるっての。おまえらこそ、破んなよ」

男子生徒「そんなことしないよ。そこは安心してくれ」

自信たっぷりに言って、また仲間の輪に戻っていった。

律「マジで頼んだぞ、おまえら。あんなのに調子乗らせたくないからな」

春原「任せとけって」

キョン「やれるだけの全力は尽くすよ」

俺も口を開こうとした時、向こうから、ボールの跳ねる音がした。
見れば、相手のバスケ部がアップを始めていた。
定位置からシュートをする者、ドリブルをして、動きを確かめる者…様々だった。
…懐かしい風景。
俺もかつてはその中の一人だったのだ。


20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:11:50.09:1qYNd8dxO


けど、今は…
俺は自分の体を見下ろす。
制服のままの格好。
こんな姿で、かつて情熱を燃やしていたバスケをやるなんて、皮肉だ。滑稽すぎる。

唯「…なんか、緊張してきた」

朋也「おまえがかよ。でも、今となっては、遊びの延長だぞ」

律「む、遊びとはなんだ、遊びとはっ! 真剣にやれっ!」

春原「そうだぞ。おまえ、奴らにバカ呼ばわりされたままで悔しくないのかよっ」

朋也「それはおまえだけだろ」

春原「僕がバカにされたら、おまえがバカにされたも同然なんだよっ」

春原「一人はみんなのために、みんなは一人のためにだっ」

こいつの背負う業が重過ぎて、輪に入れられた俺が一方的に損していた。

唯「でも、バスケ部の人たちと試合するんだから、それはやっぱりすごいことなんだよね」

唯「ほら、みんなすごく上手だし」

聞かれていたら、怒られそうなことを言う。

唯「こうやって毎日練習してるんだよね」

梓「私たちも、あれくらい真面目にやりたいです…」


21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:12:12.28:cUBlBpOS0


澪「わかるぞ、その気持ち」

唯「まぁまぁ、今はそれは置いといて…」

手でどけるようなジェスチャーを入れる。

唯「そんな人たちと、集まったばっかりの私たちが戦うんだよ」

唯「今まで違う道を歩いてきた、私たちがね」

唯「もし勝てたとしたら…」

唯「この短い時間の中で、バスケ部の人たちよりも固い絆で結ばれたってことだよね」

唯「だとしたら、すごいことだよ」

唯「いつもは、まったりしてる私たち軽音部…時々、そのことで怒られちゃうこともあるよね」

唯「それと…不器用に、皆から離れていっちゃった、岡崎くんと春原くん」

唯「そのふたりと、今は仲良しだけど、出会う前は接点がまったくなかった、キョンくん」

唯「こんなにも、ばらばらで…みんなが一緒に、ひとつの目標に向かってるわけでもなくて…」

唯「もしかしたら、話すことさえなかったかもしれない私たちだけど…」

唯「それでも、力を合わせれば、頑張ってる人たちとだって、同じことが出来るってことだよね」

唯「普段は、ちょっと真剣さが足りない私たちでも、ね」


22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:13:25.37:1qYNd8dxO


朋也「ああ…そうだな」

平沢の言いたいことはよくわかる。
俺も、春原もそんなふうに生きてきたから。
キョンの奴だって、きっと似たような感情を持ったことがあるはずだ。
所属している部のことを聞くたび、俺たちに近かったことがわかっていったから。
けど…現実はそんなに甘くない。
気持ちだけでは超えられない壁も、確かにあるのだ。

バスケ部員「話は聞いてるけど…おまえらが相手?」

ひとりのバスケ部員がやってくる。

春原「ああ、そうだよ」

バスケ部員「俺たち、もう始めたいんだけど」

春原「準備運動するから、ちょっと待っててくれよ」

バスケ部員「早くしろよ。さっさと終わらせて、飯にしたいんだからな」

機嫌悪く言い放ち、戻っていく。

春原「ちっ、感じ悪ぃな…」

朋也「昼飯前に駆り出されてんだ、気が立ってるんだろ」

屈伸しながら言う。

春原「だからってさぁ…言い方ってもんがあるだろ」


23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:13:45.81:cUBlBpOS0


キョン「試合でその鬱憤を晴らすってのはどうだ?」

腕を伸ばしながら、ついでのように助言する。

春原「ま…そうだね」

春原も、手首、足首とひねりを加えてほぐしていた。
三人とも、好きなように柔軟をしている。
決まった順序なんかない。全員で同じ動きを強要することもない。
そんな無秩序さが、実に俺たちらしかった。
ひいては、軽音部の連中を含めた、このチーム全体の有りようを表しているようだった。

朋也「いくか」

キョン「おう」

春原「うしっ」

気合十分でコートに踏み入っていく。
向こうは、すでに三人揃っていた。
軽く体を動かしたりしている。

バスケ部員「ハーフコートじゃなくて、全面使うからな」

審判を務めるらしい部員が、ボールを持ったままそう伝えてきた。

朋也「ああ、わかった」

バスケ部員「ジャンプボールだ。そっちは誰がやるんだ」


24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:15:07.85:1qYNd8dxO


朋也「キョン、頼む」

キョン「俺か?」

朋也「ああ。俺は無理だし、春原は背が低い。おまえが適任だ」

キョン「そうか。わかった」

センターサークルの中に両者陣取る。
そして、ボールが高く放られた。

キョン「岡崎っ」

最高到達点に達したところで、キョンがボールを叩き落とした。
俺の前に落ちてくる。
すぐさま拾い、そのままドリブルで切り込んでいく。
俺のマークはスピードで振り切ることができた。
だが、相手も一人ディフェンスに戻っていて、ゴール前で膠着する。
春原の姿を探す。反対サイドから走りこんでいるのが見えた。
それも、フリーで。
俺は一度ドリブルで突破するような素振りを見せ、パスを出した。
春原が受け取る。

春原「庶民シューっ!」

二、三歩ほどドリブルで距離をつめ、レイアップを決めていた。

キョン「ナイッシュ」

律「いいぞぉーっ、春原ぁ!」


26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:15:36.36:cUBlBpOS0


唯「すごぉい、春原くんっ」

憂「春原さん、かっこいいですっ」

紬「ナイスシュートっ」

澪「先取点だよっ」

春原「へへ…」

にやついた表情を浮かべる春原。
その横から、ボールを持った敵がドリブルで抜き去っていった。

春原「あ、やべ…」

朋也「余所見すんなっ、この馬鹿っ」

律「死ねーっ、春原ーっ!」

唯「最悪だよぉ、もう」

春原「おまえら、てのひら返すの早すぎだろっ!」

紬「…はぁ…マジで、はぁ…」

春原「ムギちゃんまでっすかっ!? つーか、キャラまで変わってるしっ」

朋也「春原、いいから戻れっ」

春原「わかってるよっ」


27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:17:17.00:1qYNd8dxO


3対2の状況も、春原が戻ったことで、やっとイーブンに戻った。
敵全員に俺たちのマークがつく。

キョン「っと…」

キョンがパスカット。
すぐに走り出す俺と春原。
カウンターの速攻だ。

キョン「いくぞっ」

キョンは一度春原の方を向いてフェイントを入れ、俺にロングパスを出した。
相手のコート、ツーポイントエリアで拾う。
俺がいるのは左サイド。
ここからレイアップに持っていきたいが、マークがしつこい。
春原もマンツーマンでつかれていた。
仮に今、俺についたこのディフェンスを突破できても、すぐにヘルプがくるだろう。
それくらいゴールに近い位置での攻防だった。
だがこれは、チャンスでもある。ヘルプが来たら、春原がフリーになるのだ。
そこで上手くパスを回せればいいが…
ここまで走ってきた疲労もあって、体がいうことを聞いてくれるかどうか自信が持てない。

朋也(キョンは…)

敵に背を向けて確認すると、自陣から上がってきているのが見えた。
ドリブルでキープしたまま、3対3の状況になるのを待つ。
これで、少し息も整えることができるだろう。

朋也(よし…)


29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:17:58.36:cUBlBpOS0


その時が来て、まず一人、俺のマークをドリブルで抜き去った。
案の定、すぐにヘルプが来る。
俺は近くにいた春原にパスを出した。
が、今度はキョンについていたマークが春原をチェックしに来た。
必然的に、キョンはフリーになる。

春原「おし、キョン、いけっ」

春原がワンバンさせてパスを回す。
キョンはそれをしっかりと胸で受け取った。
スリーポイントラインの、外側で。
その位置から、ゴールに向けてボールを放つ。
綺麗な放物線を描き、ゴールに吸い込まれていった。
得点表がめくられる。
3点だ。

春原「うっしゃっ、ナイッシュゥ、キョンっ」

朋也「ナイッシュ。押してるぞ、俺たち」

キョン「おう」

ハイタッチを交わす三人。

律「うおー、すげーっ!」

唯「あんな遠い所からだからかな、3点も入ってたよっ」

憂「お姉ちゃん、スリーポイントっていうのがあるんだよ」


30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:19:47.43:1qYNd8dxO


唯「え? そうなの? すごいシステムだねっ」

外野からは、のんきなやり取りが聞えてきていた。

バスケ部員「………」

対照的に、コート内はそう穏やかじゃなかった。
今のプレイで、部員たちの目の色が変わっていた。
おそらく、今まではキョンの動きを見て、素人に近いと踏んでいたんだろう。
だから、スリーポイントなんか、端から警戒していなかったのだ。
実際、キョンは、ドリブルやパスはそこまで上手くない。
だが、シュートには素質が感じられた。練習も、シュートを重点的にやっていた。
その成果が、今のスリーポイントだ。
プレッシャーのかかっていないドフリーからのシュートとはいえ、上出来だった。
しかし、これからはシュートもあると、相手も警戒してくるだろう。
まぁ、それを逆手に取ることも、もちろんできるのだが。

朋也(奇襲はもうやれないか…)

朋也(ま、なんとかなるか…)

朋也(こいつら、レギュラーってわけでもなさそうだしな…)

俺の予想はおそらく当たっているはずだ。
ここまでの試合運びが、楽にいきすぎている。
それは、あの二人も肌で感じていることだろう。
出し惜しみしているのか知らないが、このままいけば十分勝機はある。

朋也(よし…いくか)


32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:20:47.46:cUBlBpOS0


その後も、パス回しからの連携や、春原の個人技、キョンのシュートなどで得点を重ねていった。
俺も、左からのレイアップのみだったが、なんとか得点に貢献できていた。
こっちもそれなりに失点していたが、まだまだ優勢だ。

バスケ部員「メンバーチェンジ!」

ボールがコート外に出たとき、タイムを入れて、そう宣言された。
選手が総入れ替えになる。身長が軒並み上がっていた。
ガタイも、ずいぶんとよくなっている。

春原「おいおい、あいつらってさ、やっぱ…」

キョン「だろうな…」

朋也「ああ…レギュラー陣だ」

春原「ちっ、ここにきてか」

キョン「後半分だ。やれないことはないさ」

春原「へっ、そうだね…」

しかし、そう楽観的にもみていられない。
あっちはスタミナが満タンな上に、技量も体格も上だ。
対して、こっちは消耗が激しく、素人が二人に、肩が壊れている男が一人。
ここまではなんとかやってこれたが、この後どこまでやれるか…。

朋也(とにかく、今はこっちボールだ)

朋也(攻めていくか…)


33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:22:03.53:1qYNd8dxO


思いとは裏腹に、ボールをコートに戻すことさえそう簡単にさせてもらえない。
俊敏な動きでぴったりとつかれていた。
俺は苦し紛れにボールを投げ放ったが、すぐにカットされてしまった。
そのままの勢いで、一気に押し込まれ、得点を許してしまっていた。

朋也「わりぃ…」

キョン「いや、しょうがないさ。ああも、くっつかれちゃな…」

春原「まだ2点返されたただけじゃん。余裕だって」

朋也「すまん…」

キョン「謝らなくていい。いくぞ」

ぱんっと肩を叩かれる。

春原「おまえが謝るとか、らしくねぇっての」

朋也「ああ…そうだな」

再び気を奮い立たせる。
俺も、春原も、キョンも、必死になって食らいついていった。

朋也(くそ、俺に左からのレイアップしかないことがわかってやがる…)

相手には、俺たちの攻撃パターンも、ほぼ読まれていた。
それでも、レギュラー陣相手に、同等以上の戦いを演じて見せた。
だが、それも、終盤に差し掛かってから、かげりが見え始める。


34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:22:24.35:cUBlBpOS0


春原「あ…ぐっ…はぁ…はぁ…」

キョン「はぁー…はぁ、っく…はぁ…」

二人の体力が底をつき始めていた。
それは、俺にしても同じことだったが…。

朋也「大丈夫か?」

春原「ああ、余裕すぎて、なんか眠いよ」

朋也「それ、死にかけてるからな」

朋也「キョンは?」

キョン「ああ…まだ、いけるぞ」

朋也「そうか…」

とてもそうは見えない。
肩で息をしていた。
強がりだということが、すぐにわかる。

朋也「残り30秒で、こっちボールだ。もう、このワンプレイで終わるぞ」

得点差は一点のみ。
俺たちが負けていた。

春原「泣いても笑っても、最後ってわけね…」


35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:23:44.26:1qYNd8dxO


キョン「どうする? もう、パターンだいぶ読まれてるぞ…」

バスケ部員「おまえら、早く始めろよっ!」

怒声が届く。

朋也「ああ、すぐ始める」

そう冷静に返した。

朋也「いいか、ふたりとも」

俺は二人を抱き寄せて、最後の指示を出す。

キョン「了解」

春原「うまくいくといいけどねぇ」

コートに散る。
最初のパスでカットされればそれでゲームオーバー。
相手もそれがわかっているから、今まで以上に必死のディフェンスだ。
ぐるぐるとめまぐるしく変わる陣形…。
俺はボールを投げ入れた。
キョンの手に渡る。
不意に取られないよう、囲まれる前に俺に戻した。
ドリブルで中央に割って入る。
相手は意表を突かれた形になった。
俺は今まで左サイドからしかゴール下に入ることはなかったからだ。
一、二…
レイアップ! …の振りだけしてみせる。


36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:24:14.59:cUBlBpOS0


思惑通り、目の前に影がよぎった。
俺は胸の前でボールを左手に移した。
そして、背後にいるのが春原だと信じてボールを浮かせる。

春原「よし、きたぁぁっ!」

春原の声。
振り返ると、ボールを両手に掴んだ春原が着地したところだった。
それに、春原についていたディフェンスが覆い被さる。
フェイントで振った後、ボールを床に打ちつけた。
高くバウンドしたボール。
助走と共に拾っていたのはキョン。
自分についたディフェンスを振り切って、そして…
ゴールとは反対方向にボールを投げていた。
ゴール正面のフリースローポイント。
そこで俺はボールを受け取っていた。
すべてのディフェンスを振り切って。
コートに立つ全員が俺を振り返っていた。
相手の、唖然とした顔が滑稽だった。


37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:24:46.08:cUBlBpOS0


唯「岡崎くん、シュートだよっ」

平沢の声だけが、一際大きく聞えた気がした。

ああ…了解。

俺は上がらない肩もお構いなしに打った。

バスケ経験者とはほど遠い、不恰好な姿勢で。

それがすべてを象徴していた。

不恰好に暮らしてきた俺たち。

そんな奴らでも、辿り着くことができる。


道は違っても… 同じ高みに。


ぱすっ、と音がして、ネットが揺れていた。
一瞬の静けさ…
直後、割れんばかりの大歓声が起きた。

春原「よくやった、岡崎!」

キョン「岡崎ぃ、すごいじゃないかっ!」

律「やるじゃん、岡崎っ」


38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:26:08.11:1qYNd8dxO


唯「岡崎くん、MVP賞受賞だよっ!」

憂「岡崎さんっ」

澪「岡崎くん…すごいよっ、ほんとに…」

紬「やったね、逆転よっ」

梓「まぁ…認めます。おめでとうございます」

みんなが駆け寄ってくる。

澪「みんな…すごいよ」

澪「唯が言ってた通り…力を合わせれば、こんなこともできるんだって…」

澪「わだし…ぐす…感動だよ…」

朋也「泣くな。これくらいのことで」

春原「そうそう。当然のこと」

キョン「ははっ、だな」

しばし、みんなで喜びを分かち合う。
俺たちとやりあっていたバスケ部員たちは、仲間に非難され始めていた。
そいつらも、手でバツを作ったり、首を横に振ったりして、抵抗を示しているようだった。
だが、そんな中にも、俺たちに拍手を送ってくれる奴らもいた。
本気で戦っていたことを、本物たちに認められたようで、それが少しうれしかった。


39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:26:26.97:cUBlBpOS0


朋也「じゃあ、本題に移るか」

朋也「おい、つっ立ってないで、こっちこい」

ファンクラブの男を呼びつける。
しぶりながらもやってきた。

朋也「これで、文句ねぇだろ」

男子生徒「…文句っていうかさ…澪ちゃんは別に迷惑してなかったからいいだろ」

澪「え…」

男子生徒「そうだったじゃん。そんな嫌でもなかったんでしょ?」

春原「てめぇな、このごに及んで、なに言って…」

朋也「春原…」

手で制す。

春原「あん? なんだよ」

朋也「いいから、ちょっと黙ってろ」

春原「なんなんだよ…」

朋也「秋山、おまえはどうなんだ」

途中で止められ、怒りのやり場を失った春原をよそに、秋山にそう訊いた。


40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:27:36.85:1qYNd8dxO


澪「そ、それは…」

朋也「嫌だったんだろ。はっきり言ってやれ」

澪「………」

男子生徒「おまえが言わそうとしてるだけだろどうみても。馬鹿か」

朋也「正直に言え。なにを言ったって、俺たちがついてるから」

俺は男の暴言に言い返すことはしなかった。
じっと、秋山の答えを待った。

澪「……です…」

男子生徒「え?」

澪「嫌です。もう、私に…」

澪「私に…」

澪「………」

澪「軽音部のみんなに、近づかないで」

最後には顔を上げ、しっかりと相手の目を見据え、はっきりと言った。

男子生徒「………」

男子生徒「ビッチすぎだろ…」


41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:27:59.81:cUBlBpOS0


捨て台詞を吐き、残していた仲間と共に体育館から出ていく。

春原「ったく、拒否られたからって、最後に変なこと言っていきやがってよ」

朋也「あんな奴の言うことなんて、気にするな」

澪「う、うん…」

春原「今度見かけたら、ぶっ飛ばしといてやるよ」

澪「そ、それはダメだよ」

春原「遠慮すんなって」

澪「気持ちだけ、受け取っておくよ。ありがとう」

春原「…ま、いいけどね」

キョン「おまえは喧嘩したかっただけだろ」

春原「ちがわい」

律「いやぁ、でも、驚いたわ。あの澪が、あんなはっきり断り入れるなんてな」

律「幼馴染のあたしでも、今までみたことなかったのにさ」

澪「岡崎くんが、背を押してくれたから…」

俺を一瞬だけ見て、顔を伏せる。
俺も、あんな恥ずかしいセリフを吐いてしまった手前、なにか気恥ずかしかった。


42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:29:13.30:1qYNd8dxO


勝って気分がよくなっていたとはいえ…猛省。

春原「おお? なに、いい雰囲気?」

律「初々しいねぇ、おふたりさん」

澪「え? ちちち、ちが…」

律「こぉのフラグ立て夫がぁ。略して立て夫がぁ」

俺を肘でつついてくる。

朋也「なにが立て夫だ…っ、あでででっ」

何者かに太ももをつねられる。

梓「………」

何食わぬ顔で中野が横に立っていた。

朋也「って、やっぱおまえかっ! なにすんだ、こらっ」

梓「すみません、ぎょう虫がいたもので、つい」

そんなのケツにしかいない。

律「あ~、立て夫が澪に優しくするもんだから…」

唯「ほらぁ、唯が元気なくしちゃってるじゃん」


44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:29:34.10:cUBlBpOS0


唯「そ、そんなことないよぉ…ないよ…」

紬「ふふ、唯ちゃん可愛い」

憂「お姉ちゃん頑張ってっ」

唯「え、ええ? なんのことか、わかんないっ」

律「はは、まぁいいや。とにかく、祝勝会だっ」

律「部室行くぞぉ」

がし、っと秋山の肩に手を回した。

澪「あ、こら律、歩きにくいっ」

律「細かいことは気にすんなっ」

―――――――――――――――――――――

キョン「じゃ、俺はここで」

体育館から直接旧校舎の一階までやってくると、そう言った。

朋也「おまえ、こないのか」

キョン「ああ、バスケ終わるまでって、言ってあるからな」

春原「いいじゃん、ちょっとくらい」


45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:31:41.77:1qYNd8dxO


キョン「そのちょっとが許されてたら、苦労してないんだけどな」

朋也「なんか、大変そうだな、おまえも」

あの日、文芸部室から出てきた時のこいつの顔を思い出す。
眉間にしわを寄せ、難しそうな顔をしていた。
いろいと複雑な環境なんだろう、きっと。

キョン「ああ、まぁな。でも…」

言いかけて、やめる。

キョン「…いや、なんでもない」

キョン「それじゃ」

唯「キョンくん、いつでも軽音部に遊びに来てね」

キョン「ありがたいけど…多分、顔を出すことはないと思う」

キョン「俺の居場所は、なんだかんだいって、あそこだからな」

親指で文芸部室をさす。

唯「そっか…そうなんだね」

キョン「ああ」

朋也「悪かったな、なにも見返りがなくて」


46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:31:58.48:cUBlBpOS0


キョン「あったさ。久しぶりにおまえらとつるんで馬鹿やれたっていうな」

春原「うれしいこと言ってくれるじゃん」

朋也「ちょっと臭いけどな」

キョン「はは、最後までキツいな、岡崎は」

キョン「まぁ、それが、らしくていいよ。それじゃな。また機会があれば」

朋也「ああ、またな」

春原「じゃあね」

唯「ありがとう、キョンくん」

律「おつかれさん」

紬「ありがとう。おつかれさま」

澪「ありがとう、一緒に頑張ってくれて」

梓「ありがとうございました」

憂「おつかれさまでした」

俺たちの言葉を聞き終えると、部室に入っていった。
ドア越しに、また女と言い争うような声が聞えてくる。
だが、その声色に怒気は含まれていなかった。
どころか、生き生きとしているような印象さえ受けた。


48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:33:23.83:1qYNd8dxO


俺も詳しくは知らないが、それだけでわかった。
あそこが、あいつの収まるべき場所なんだろう、と。

―――――――――――――――――――――

律「かんぱ~い」

唯「いぇい、かんぱ~い」

中央にティーカップを寄せ集め、チンッ、と軽く触れ合わせた。

律「しっかし、本業のバスケ部相手に…」

唯「えいっ」

パンッ!

律「っいっつ…って、なぁにすんだよ、唯っ」

唯「このクラッカー、試合中に使おうと思ってたんだけど、使い時がわからなくて…」

まだ持っていたのか…。

唯「それで、今使ってみました」

律「今もタイミングずれてるってのっ! 私のトークが始まろうとしてただろがっ」

律「しかも、こんな近くで放ちやがって…」

唯「えへへ、ごめんね。みんなの分もあるよ?」


52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:35:24.02:1qYNd8dxO


律「反省の色がみえねぇ~…」

唯「やろうよ、みんなでさ、おめでと~って」

律「はいはい…」

全員に配り終える。

唯「それじゃ、改めて…」

唯「おめでとぉ~」

パンッ パンッ パンッ

次々に祝砲が上がる。

パンッ!

朋也「うぉっ…」

俺の横からクラッカーの紙ふぶきが飛んでくる。
腕を上げてガードしたのは、モロに食らってからだった。

梓「ちっ、火力が足りなかったか…」

一人だけ武器として扱っている奴がいた。

憂「梓ちゃん、人に向けて打ったらだめだよ」

梓「だって…自然と発射口が岡崎先輩を向くんだもん」


53:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:35:46.79:cUBlBpOS0


憂「自動照準なんて機能、ついてないよ…」

春原「ははっ、なんか知らないけど、おまえ、ナメられてるよね」

朋也「目潰しっ!」

パンッ!

春原「ぎゃぁああああああ目がぁああ目がぁああああっ!!」

両目を押さえながらもんどり打つ。

春原「なにすんだよっ! つーか…なにすんだよっ!」

朋也「二回言うな」

春原「ちくしょう、僕が失明でもしたらどう…ヒック…ぅう…すんだよ」

しゃっくりが出始めていた。

春原「ヒック…あー、くそ、止まんね…ヒック…」

朋也「ヒックヒックうるせぇな。心臓の動き止めろよ」

春原「無茶言うなっ! ヒック…」

律「普段はこんな奴らなのになぁ。試合の時とは、ほんと別人だよ」

紬「ふふ、そうね。でも、やる時はやる、って感じでかっこいいと思うな」


54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:37:03.41:1qYNd8dxO


春原「え? ほんとに? ヒック…」

春原がしゃっくりを交えながら目を輝かせて反応する。

春原「ムギちゃん、僕のこと、そんなにかっこいいと思う? ヒック…」

紬「うん、ちょっと耳障りかな、その心臓の痙攣」

春原「暗に勘違いするなって言ってますか、それ!?」

律「わははは!」

春原「うぅ…ショックでしゃっくり止まっちゃったよ…」

紬「じゃあ、あと一押し足りなかったかな…」

春原「息の根も止めるつもりだったんすかっ!?」

律「はは、おまえ、ムギに相手されてねぇんだって。諦めろよ」

春原「んなことねぇってのっ」

律「変なとこで根性あるなぁ、こいつは…」

がちゃり

さわ子「おいすー」

唯「あ、さわちゃんだ」


55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:37:37.83:cUBlBpOS0


さわ子「あれ? なに、この散乱してる紙ふぶきは」

さわ子「パーティーの中盤戦みたいになってるじゃない」

歩を進めながら言って、空いている席に腰を下ろした。
すかさず琴吹がティーカップをそばに置く。

さわ子「ありがと、ムギちゃん」

紬「いえいえ」

再びもとの席におさまる琴吹。

唯「試合が終わったから、おつかれさま会してたんだよ」

さわ子「あら、もう試合してきたのね」

唯「うん。でね、相手はバスケ部の人たちだったんだけど、それでも勝てたんだよっ」

さわ子「へぇ、やるじゃない」

春原「まぁね。楽勝だったよ」

澪「ほんとに、すごかったんですよ」

澪「途中、逆転されても、みんな、諦めないで頑張って…」

澪「背だって、相手の方がずっと高くて、有利だったのに…」

澪「それでも、最後には勝つことができたんです」


56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:38:46.78:1qYNd8dxO


澪「私、すごく感動しました…」

さわ子「ふぅん、このふたりにそんな男気があったとはねぇ…」

春原「僕はもともと男気の塊みたいなもんでしょ」

朋也「取れたら、嬉しいんだか、嬉しくなんだかで葛藤する、あの塊のことか」

春原「それ、ミミクソの塊だろっ! 僕、どんな奴だよっ!?」

律「わははは!」

さわ子「そういえば、キョンくんは、いないのね」

さわ子「あの子も試合に出たんでしょ? 誘ってあげなかったの?」

律「いや、自分の部活があるからって、来なかったんだよ」

さわ子「ああ、なるほどね。あのクラブに入ってたんだっけ、あの子は」

あの、を強調して言った。
この人は、あいつの部活のことを知っているんだろうか。
そんな口ぶりだった。

さわ子「でも、岡崎。あんた、肩…大丈夫だったの?」

朋也「ああ…まぁ、なんとかな」

律「え? なに、肩?」


57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:39:09.86:cUBlBpOS0


さわ子「あら…てっきり、聞いてるのかと思ってたんだけど…」

俺を見て、ばつが悪そうに表情を硬くする。
俺が話す前に、自分が半ば打ち明けてしまったことを、悪く思っているんだろうか。
今更こいつらに知られたところで、もうしこりが残るようなことでもないのに。

朋也「俺、肩壊しててさ。右腕が、肩より上に上がらないんだよ」

だから、俺の口からそう告げていた。

さわ子「岡崎…」

朋也「いいよ、平沢にはもう話してるしな」

さわ子「…そう」

事情を知っている者以外は、みな驚きの表情を浮かべていた。

律「そうだったのか…だから、練習中もシュート打ってなかったんだな…」

朋也「ああ、まぁな」

律「じゃあ…逆転決めた、あんたの最後のシュートも、肩庇いながら…」

朋也「ああ。それでかなり無様な格好になっちまったけどな」

澪「そんなことないよっ、すごく格好良かったっ」

朋也「そっか…サンキュな」


58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:40:21.17:1qYNd8dxO


澪「ううん、本当に、そう思ったから…慰めなんかじゃないから」

朋也「ああ…ありがとな」

澪「うん…」

さわ子「…あらあら? 岡崎にも、ようやく春が訪れたのかしら?」

朋也「あん?」

さわ子「あんた、あの、恋する乙女の眼差しに気づかないの?」

澪「せ、せせ先生、なに言ってるんですかっ…」

さわ子「でも、澪ちゃんが、あの岡崎になんて、意外だわ」

さわ子「ああっ、でもそういう意外性もまた、若さの特権よねぇ…」

しみじみという。
この人もまだそんなに歳食ってもいないだろうに。多分。

澪「ち、ちが…」

律「うわぁ、澪、顔真っ赤だなぁ」

澪「な、う、うるさいっ」

律「で、実際どうなんだよ」

澪「な、なにが…」


59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:40:49.36:cUBlBpOS0


律「いや、だから、岡崎だよ。アリかナシか」

澪「そ、それは…」

律「ありゃ、即答しないな? ってことは…」

澪「深読みするなっ」

ぽかっ

律「あでっ」

律「殴って誤魔化すなよなぁ…」

澪「おまえがへんなこと言うからだっ」

律「ああはいはい、すいませんでしたねぇ…」

律「って、しまった、また唯の元気がなくなってるし」

唯「わ、私は元気だよ…いつも通りだよ…」

澪「ゆ、唯、違うんだ、私は別に…」

唯「な、なんで謝るのぉ、澪ちゃん。いいじゃん、岡崎くんと澪ちゃんのカップル」

唯「どっちも、美形ですっごく似合ってるよっ」

澪「ゆ、唯までそんな…」


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:42:02.23:1qYNd8dxO


律「はは、唯、強がんなって、このこのぉ」

首に腕を回し、ぐりぐりと平沢の頭に拳を当てた。

唯「本心だよぉ…もうやめてぇ~りっちゃんっ」

いじられ続ける平沢。
しかし…
女というのは、浮いた話に持っていくのが好きな生き物なんだろうか。
なにかあると、すぐに冷やかされている気がする…。

朋也(…ん?)

俺の横の席、中野が何か両の手でくるくる回していた。
そして、おもむろに俺の頬に触れてくる。

朋也「…っだぁっつっ」

その指先から、バチッ、とした痛みが走った。

朋也「なにしやがった、こらっ」

梓「静電気ですよ」

朋也「はぁ? 静電気?」

梓「この、『電気バチバチくん』を手の中でこねると、静電気がたまるんです」

鉄製の棒のようなものに触れながら説明してくれた。


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:42:49.30:cUBlBpOS0


朋也(あぶねぇ…なんてもん持ってんだ…)

朋也「つーか、今俺が攻撃された理由がわからん」

梓「流れが気に食わなかっただけです」

梓「モテ男みたいに扱われて、調子に乗られたら嫌ですから」

朋也「思ってねぇよ、んなこと…」

憂「あの、岡崎さん」

朋也「うん? なんだ、憂ちゃん」

憂「何か、困ったことがあったら、いつでも言ってきてくださいね」

憂「私、力になりたいです」

それは、俺の肩のことを気にかけていってくれてるんだろう。

朋也「ああ、大丈夫。こんな肩でも、そこそこ不自由しないからさ」

憂「そうですか…?」

朋也「ああ」

梓「憂、この人なら、頭が吹き飛んでても不自由しないから、ほっといてもいいよ」

俺のアイデンティティが粉々にされていた。


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:43:28.87:b4ZW6ocJ0


梓と朋也のやり取りが面白いwwwwwww


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:43:56.99:1qYNd8dxO


憂「梓ちゃん、ほんと厳しいよね、岡崎さんに…」

梓「憂が甘すぎるんだよ」

朋也(っとにこいつは…生意気な野郎だ)

勝利の宴は、日が暮れるまで続いていた。

―――――――――――――――――――――

春原「うげぇえっぷ…ふぅ」

律「きったねぇな馬鹿野郎、勝手にすっきりしてんじゃねぇよ」

春原「生理現象なんだから、しょうがないじゃん」

律「あんたが炭酸飲み過ぎなだけだろ」

春原「いや、おまえのデコみたら、誘発されたんだけど」

律「ぬぁんだとぉ、この白髪染め野郎っ!」

春原「脱色だってのっ! 白髪なんか一本もねぇよっ!」

律「嘘つけっ、白髪染め液のパッケージにおまえっぽいのいたもんっ」

春原「別人だろっ! 似て非なるものだよっ!」

春原「育毛剤のパッケージにおまえ本人がいるならわかるけどさっ」


65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:44:33.75:cUBlBpOS0


律「い、育毛剤だと!? こぉの野郎…」

春原「ふん…やんのかい? お嬢ちゃん…」

 律「きえぇえええええっ!」 
春原「ほおぁあああああっ!」

何かの動物のような鳴き声と型を取って威嚇しあう。
毎回のことなので、もう誰も止めようとしなくなっていた。

澪「岡崎くん、今日はありがとね」

ふたりが生む喧騒の外、秋山が俺に礼の言葉をくれた。

朋也「いや、別に。結果的に勝てたし、俺もわりと気分よかったからな」

澪「あ、そのこともなんだけど、もうひとつ…」

朋也「ん?」

澪「えっと…あの時、私に、正直になれって、後押ししてくれたこと」

朋也「ああ…」

澪「岡崎くんのおかげで、私、自分の気持ちがそのまま言えたんだ」

澪「今まで、怖がって、仲のいい友達にしか本音を言えなかった私が、だよ」

朋也「そっか。じゃあ、すっきりしただろ」


66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:45:41.63:1qYNd8dxO


澪「うん、ちょっとね」

言って、苦笑する。

朋也「これからは本音だけで喋れよ」

朋也「例えば、ブルドックを可愛いって言う人がいたとするだろ?」

朋也「そしたら、正面から前蹴り食らったような顔面だ、って言ってやるんだ」

澪「あはは、それは、難しいかなぁ」

朋也「簡単だって」

澪「それは、岡崎くんだからだよ」

澪「岡崎くん、お世辞言いそうにないもんね」

朋也「ああ、臭いものは臭いって言うし、春原には馬鹿って言うぞ」

春原「聞えてるよっ!」

澪「あははっ」

―――――――――――――――――――――

各々が自分の帰路につき、俺と平沢姉妹だけが残った。
三人で今朝も歩いてきた道をいく。

唯「岡崎くん、澪ちゃんと仲良くなったよね」


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:46:04.73:cUBlBpOS0


朋也「そうか?」

唯「うん。だって、いっぱい喋ってたし…」

朋也「そんなでもないけど」

唯「でも、あの恥ずかしがり屋の澪ちゃんが、平気で話してるし…」

唯「それに、楽しそうに笑ってたし…」

朋也「単に慣れただけなんじゃないのか」

唯「そうなのかなぁ…」

朋也「そうだろ」

唯「う~ん…」

憂「岡崎さんって話しやすいですもんね」

憂「きっと、澪さんもそう思ったんじゃないかなぁ」

朋也「そんなこと言ってくれるのは憂ちゃんぐらいだよ」

言って、頭をなでる。
憂ちゃんも、笑顔で返してくれた。

唯「でもさぁ、岡崎くんもなんか楽しげだったよね」

唯「やっぱり、澪ちゃんみたいな美人さんとお喋りするのは楽しい?」


70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:47:23.27:1qYNd8dxO


朋也「まぁ…そうだな」

容姿がよければ、大抵の男はそうだろうと思う。

唯「そうだよね…あはは…」

朋也「でも、俺の好みとしては、美人系よりかは、可愛らしい方がいいけどな」

唯「じゃあ…ムギちゃんとか?」

朋也「琴吹は、そうかもしれないけど、ちょっと大人っぽいしな」

朋也「だから、俺の中じゃ、きりっとしたイメージがあるんだよな」

唯「じゃあ、あずにゃんとか」

朋也「あいつはガキっぽすぎるっていうか…」

それ以前の問題な気がする。

朋也「まぁ、軽音部の中で言うなら…おまえが、一番近いよ」


71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 22:47:44.78:cUBlBpOS0


唯「え…あう…わた、私…?」

朋也「ああ…まぁ、な…」

唯「それは…ご期待に添えられて、よかったです…」

朋也「いや…別になにも要求してないけどな…」

唯「そ、そうだったね…あははっ」

憂「岡崎さん、お姉ちゃんを末永くよろしくお願いしますね」

朋也「って、それ、どういう意味だ」

憂「さぁ? うふふ」

唯「う、憂っ、今日の晩御飯なに?」

憂「ん? 今日はねぇ、若鶏のグリルと…」

晩飯の話題で盛り上がる平沢姉妹。
俺はずっと横でそれを聞いていた。
いつしか俺は、こんな日々がずっと続いてくれればいいと…
そう、願うようになっていた。

―――――――――――――――――――――


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